satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第106話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でほわほわっと物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ようやく決勝戦が終わりました!! 閉会式のネタなんてないからぬるっと終わらせる予定です! はい!!
今回は久しぶりのアラシ君視点です。


《A side》
『Wiener! 勝者はアリア&ラルチーム! よって優勝はアリア・ディィィィィィィネェェェェェ!!』
リュウ先輩の暑苦しくも、よく通る声で試合終了の証として勝者の名前が呼ばれる。
両者の技同士がぶつかったあとに発生した煙のせいで、残念ながら最後の方は何も見えなかった。しかし、最終的にはミユルが倒れ、フォースは場外へと飛ばされている辺り、アリアとラルの技が決まった……とほとんどの人は思っているんだろう。
「ミユルはやられたフリだよな。そこまでダメージ負ってなさそうだし。んでも、フォースはなんでだ?」
レオンの疑問は最もだ。
アリアが勝つというシナリオを完遂させようとミユルは動いているはず─アリアを怒らせていいことがないってのは、幼馴染みの俺達がよく知っている─だから、やられた姿を見せるだけでいいはず。フォースもそれは同じで、その場に倒れるか、最悪、そこに立ってても問題はない。ミユルがやられるってのが重要なのだから。
「師匠。ラルさんの使った技、あーちゃんの龍と似てましたね?」
ツバサはフォースが飛ばされたことよりも、ラルが使った技の方が気になったらしく、リアさんを見上げて質問していた。ツバサの問いにリアさんは明確な答えを持っているようで、間を開けずに口を開く。
「あれは“雷龍”。ラルちゃんが使う技の中で一、二位を争うくらいの強力な技よ。フォースくんを落としたのもラルちゃんの“雷龍”ね。……あれって反動が使い手に結構あるから、ここで使うとは思わなかったけれど。……ティールくん? 大丈夫?」
あ、ラルの技のせいでフォースは落とされたのか……なるほど。
リアさんからの簡単な説明を聞いていた俺達は、ティールの名前が出てきたところで本人を見る。呼び掛けられたティールはにっこりと笑った。……目は笑っていないけど。
「ははっ……大丈夫か? 大丈夫なわけないでしょう。当たり前のことを聞かないでください。リア先生?」
「あらあら」
「ほんっとこっちの気持ちが分かってない。というか、ぼくの寿命をどれくらい削れば気が済むんだよ。あの馬鹿は。これで何度目だ?……あーもう!! 嫌い! そういうところ!! マジで!」
ラルみたいに最後まで捲し立てると、ぐしゃぐしゃと髪の毛を乱暴に掻きむしった。ラルに厳しい発言はいくつかしているが、ここまで声を荒らげるティールは珍しいんじゃないだろうか。少なくとも、ここ数ヶ月接してきて、俺は見たことはない。きっと、レオンもおんなじだろう。
「は、はわわ……ティールさん……!」
……うん。ツバサも初めてみたいだな、この反応からして。
ただ、リアさんだけはよく知っているのか、戸惑いはなくとも、困ったように笑うだけだった。
「ラルちゃん、無茶ばっかりするのも相変わらずね。ダンジョンでも多いのかしら?」
「敵の大群に単身で突っ込みますよ。大型モンスター相手にも」
「それは……全然変わらないわね」
「はい。本当に……自己犠牲中心な考えやめてほしい。胃が辛い。ストレスしんどい」
あ~……心中お察しします……

閉会式が始まるまでの休憩中、唐突に救護室の扉が開けられた。そこから顔を覗かせたのはコートを脱いでタンクトップ姿のフォースだ。水路に落ちたせいで服や髪が体に張り付いてしまっている。
「リア、タオル寄越せ」
「あら、フォースくん。先生は?」
「なんでおれが先生呼びしなきゃなんないの」
お前が生徒でリアさんが先生だからじゃないかな!? ある種の師弟関係だよ!
しかし、こんなことを言ってもフォースが聞くような奴じゃないのは分かっているから、声には出さなかった。
リアさんが取り出したタオルをティールが受け取り、フォースに手渡す。それのついで……というよりは、こちらが本題だろう。ティールがある質問を投げ掛けた。
「フォース、ラルは?」
「ここで力尽きました。いやまあ、頑張ったんじゃない?」
フォースが指差していたのは扉の外。つまり、部屋の外だ。ラルは俺達の死角になるようなところにいるんだろう。力尽きたって言葉からして多分、動けなくなったのか、あるいは動く気がないのかもしれない。
「……そう」
「心配すんな。死ぬわけじゃあるまいし。……着替えてくるわ。すぐ戻る」
フォースが着替えのためにここから離れ、ティールが部屋を出る。そして、すぐにラルを抱えて戻ってきた。フォースの言葉通り、力尽きてしまったらしく、ぴくりとも動かない。また、試合で使っていた刀はすでにしまった後なのか、武器らしき物は何も身に付けていない。が、ラルに貸した雪花という武器はティールの腰に帯剣されていた。
ティールは手慣れた手つきで、綺麗にまとめられているラルのサイドテールをほどき、ベッドに寝かせる。そのほんの数秒だけ、複雑そうな表情を浮かべた。何か後悔しているような、悲しむような。これと言い表せない……そんな表情。でも、それはすぐに消えて、いつものティールに戻っていた。
「リア先生、任せます」
「はぁい♪ 理事長の結界内で負った傷だもの。大したことはないわよ?」
「分かってます」
一言だけ答え、ずっと座っていた席に戻る。
さて、俺達は一連の流れを黙って見ていたわけだが……
レオンはラルの心配というよりは、ティールの行動に興味を持ったみたいだった。つくづく、こういうところで空気を読まない馬鹿である。これが羨ましく思うときもあれば、鬱陶しいときもあるんだけども。
ツバサは当然と言えば当然だが、ラルを気にかけている。我に返り、リアさんの近くへ駆け寄り、できることがないか聞きに行った。
俺もどちらかと言えば、ラルよりもティールが気になった。表情もそうだし、態度もそうだ。
まあ、ラルとティール達と過ごした時間は短いから、俺があの裏側を知る機会はないんだろう。
「俺さ、ずっと思ってたけど」
「あ? なんだよ、レオン。改まって」
ちょいちょいっと耳を貸せ的なジェスチャーをされ、仕方なくそれに従う。レオンはガラにもなく声を潜めた。
ティールとラルの間に恋愛感情は挟まってんの?」
「……それ、今じゃなきゃダメか?」
「ったりめーよ!! 結構前から思ってたんだぞ!?」
一瞬でこそこそ話状態が解除され、普段のレオンに戻った。声をちっさくして話しかけてきたのはなんだったのかと問いたくなる。ティールからの反応はないから、聞こえてないみたいだが。
つか、今じゃなくてもいいよな。絶対。
そう呆れつつも、俺は少しだけ考える。
ラルとティールの関係か。異性の友達としては距離は近い方だと思うけど、仲がいいからという説明で片付いてしまうような感じだ。もちろん、互いに好意がないとは思わないし、単なるビジネスパートナーの関係って感じでもないのは確か。だが、そこに恋愛要素を感じるかと問われると……
「俺にはよくわかんねぇな」
「なんだよ~? 真面目に考えろよな~」
他人の色恋を真面目に捉えられるほど、人ができてねぇわ。
「大体、考察できるほど、仲いい訳じゃないだろ。付き合いとしては俺ら、ツバサ以下だし」
「そうじゃなくって!! アラシは想像力ないのかよぉ」
その想像をするための材料がないって話だろ。
「頼りねぇな、アラシは。ってことで、そこんところどーなの、フォースせんぱ~い!」
「ノーコメント」
「うわ!? びっくりした……!」
いつの間にか帰ってきていたフォースが答える。制服姿……とは言っても、ブレザーはフォースの座る椅子の背もたれにかけてあるし、ネクタイもしていない。ワイシャツのボタンをだらしなく開け、かなりラフな制服の着こなしをしている。なんて言うか、生徒会の一員がそれでいいのかと聞きたくなるくらいには着崩してた。
「高一からの仲だろー?」
「まあな。んでも、初めて会ったときから変わらんよ、奴らは。他人から見れば恋人でしょって思うくらいには距離は近い」
「でも、本人達は否定してんの? ただの友達って?」
レオンの疑問にフォースは黙って頷く。
「……説得力なくなぁい?」
「ないけど。おれとも似たような距離感だし」
まあ、確かに。フォースとも距離は近いかな。
「じゃ、フォースとラルはあり!?」
フォースの言葉にレオンはキラリと目を光らせ、食い気味に質問をぶつけた。とことん、変わらないやつだ。
そして、その問いにフォースは冷めたような目付きになる。元々冷めたやつだけど、それ以上に温度を感じないというか。
「あるわけないだろ。ふざけたこと言ってると殴るぞ」
そ、それだけで殴られるのか……
フォースからも有力な手がかりもなく、悔しそうなレオンにフォースは小さくため息をつく。
「好意はあるよ。互いに、好きだって気持ちはあるんじゃないの。……おれの主観だけどね」
「マジで!?」
「けど、二人して動く気ないから、他人の目から見てじれったくなってる。以上」
なんでそう思うんだ?
俺の疑問にフォースはちらりと俺を見上げる。しかし、それだけで答えは返ってこなかった。
もしかして、以上って言ったから、先を答える気がない……んだろうか。
『お待たせしました! これから、剣技大会閉会式を執り行いたいと思います!!』
『同時に、大会の表彰式も行っていくぞ!』
閉会式が始まるアナウンスが入り、ここで話が半強制的に打ち切られた。
う~ん……レオンじゃないが、もう少し、聞きたかった……かも。



~あとがき~
アラシ君視点、久しぶりすぎて意味が分からない。
うちの子じゃないからか……ただのスランプか。

次回、閉会式ぱーっとやって、小ネタ拾いしていきたいです。

ラルとティールの関係性について触れとこっと思ってやりました。
恋人関係は現時点ではありません。どっかで言った気もしますが。
フォースには二人の気持ちとかどう考えているのか等々全てお見通し状態(能力と長年の経験のおかげで)ですが、手を出す気はありませんし、誰かに語る気もありません。
今回、レオン君に言ったのは気まぐれでしょうね。

ではでは。