satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第116話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で学生生活を謳歌する物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から新しいお話を始めています。一応!
メインになる三年はラルとティールしかいなかったけどな……まあ、進めていけば、ちゃんと出てきますので。大丈夫!


ごくごく平和な午前ラストの授業が淡々と進められていた。本日の授業は『魔物学』と呼ばれるもので、内容は読んで字のごとく、魔物、モンスターに関する座学だ。〇〇の弱点はここで、得意技は何とかだーとか、△△はこんな攻撃するから、こう対処しろよーとか、なんかそんな内容だ。
教壇に立つのはイグさん。イグさんの担当は実技が多いんだけれど、たまに代理として座学も教えている。今日なんかがまさにそれだ。
本来の教師に何があったのかは知らないが、イグさんの授業は分かりやすいとかで生徒にも人気だ。だから、急な担当教員の変更に文句のある生徒はいないだろう。
実技のときは動きやすい服装をしていることの多いイグさんだけれど、今回は教師らしくシンプルなYシャツ姿。
「──とまあ、コカトリスの雌の尻尾は、メデューサみたいな石化効果を持っている。だから、もし出くわしても絶対、尻尾の蛇と目を合わせないようにすることが重要だ」
イグさんは黒板に要点だけをさらさらと書いていく。そして、生徒達はイグさんの言葉を逃さぬようにメモを取る。
コカトリスとは、半分鶏、半分蛇みたいな魔物のことだ。そして、そこそこでかい。大型モンスターかと言われると、微妙なラインだが、少なくとも、私達よりは大きい。
「あと、これは雄雌共通だが、蛇に噛まれたら確定で毒のデバフがつく。真っ先に切り落とした方が得策だな」
周りが必死にメモを取る中、私は記憶の引き出しからコカトリスを引っ張り出し、ノートの隅っこに書いていた。が、かなり簡略化したせいで、可愛くなってしまう。どこぞのマスコットみたいな感じ。
……うん。奴はこんなマスコット的な容姿はしていない。書き直すか。
それはそれとして、いつだったか、イグさん達とダンジョンへ赴いた際、コカトリスの毒を食らった経験がある。何がどういう経緯でそうなったかは、もう忘れたのだけれど。ただ、私が特攻仕掛けたのだけは覚えてる。
「ちなみに雄雌の区別の仕方は頭のトサカだな。そこは一般的な鳥と一緒だ。……でも、いくらこの方法がいいからって、捨て身で尻尾を切り落とそうとするなよ?」
要点を書き終えたイグさんがこちらを振り向く。ぐるっと全員の顔を─欠席者は何人かいるけど─見回し、にこっと笑う。
「雄だったら隙を見て……雌だったら目眩ましの魔法なり道具なりを使うようにして、なるべく安全に対処すること。……昔、それすら使わないで、単身で倒そうとした奴を俺は見たことあるからな~?」
私かな、これ。私のことかな。
イグさんの視線を感じつつも、私は無視してノートを取っている風を装う。いやまあ、ちゃんと一応は、取ってるんだけど。『魔物学』って基本、知ってることだから、ほぼ真っ白なんですけど。
「真面目に受けなよ」
「!……ビックリした」
私の前の席にいるティールが横目で私の方を見ていた。呆れたように、じーっと冷めたような目で。
あのときのことは忘れてませんからね、とでも言いたげである。
「うっさい。今はあんなドジ踏むわけないでしよ。前向け、前」
「知ってる。今は実力ついちゃって、できること増えて、余計に危ないことしまくるもんね~」
とだけ言い残し、ティールは前を向いた。
なんなんだよ。お前に言われたかないわ!! それこそ、この前、ティールがぶっ倒れたの忘れてないからなぁ!?
後ろから椅子の裏に軽く蹴りを一発入れ、知らんぷり決め込む。ティールが軽く睨んできているのは分かるけれど、こちらも無視だ。
「はーい。そこ、二人で仲良くじゃれてないで、先生の話聞けよー?」
教卓からばっちり見えていたんだろう。イグさんが、しょうがないなぁみたいに注意してきた。
「ま、きりのいいとこで終わってたからいいけどさ。……おっ? もうこんな時間か~」
態度が悪ければ、ガンガンに減点をつける人だけれど、意外にもあっさり許してくれた。少し不思議に思ったが、その理由はすぐに分かった。
「今日は幻のジャムパンが販売される日だし……今日の授業はここまでにするか~♪」
あぁ、今日か。それ。
幻のジャムパンは、購買で売られるりんごジャムのパン。数量限定品で決まった日にしか発売されないため、競争率は高い。
ジャムパン狙いをするつもりの生徒達から、「おー!」という感嘆が漏れる。
「さっすがイグニース先生! 気が利く~」
「ははっ♪ それでもパンが買えなかったからって俺のせいにするなよ~?……あっ、最後に伝えることがあったんだった。この授業とは別件だけど」
そう言って、イグさんは一枚の紙を取り出し、黒板に張り出す。その紙を指差しながら、内容を説明していく。
「三日後、高等部冒険科の三年全員対象にした一泊二日の合宿を行う。場所は学園の裏山で、四人一組のグループでのサバイバル形式」
はー……なるほど? またこの時期が来たか。
レイ学は広大な敷地の中に様々な施設がある。裏山も施設と言っていいかは不明だが、学園内でよく利用される場所の一つなのだ。学園の裏山ではあるが、授業のためか魔物が生息している。余談だが、一応、降りてこないようにしつけてある。しかし、たまぁに園芸部の畑を荒らすいけない子達がいるとか、いないとか。
そんな裏山で行うサバイバル合宿は冒険科の恒例行事みたいなものだ。一年生から三年生が毎年、二回参加する必要があり、いわゆる卒業必須科目である。要は三年までに六回受ける必要があるのだ。
「詳しい内容はプリントで各自チェックするように。それでも分からないことがあったら、俺や他の先生達に聞いてくれ。……ま、流石に皆、三年だから理解してると思うけど、これは必ず出席しろよ。サボんなよー? 特にサボり常習犯達には絶対伝えること。ラル、分かったか?」
「は? なんで私なのか理由が分からない」
「今日いないフォースは、お前のチームメンバーだろ? そうでなくても、生徒会長なんだから、快く引き受けろよな~? ま、アリアには俺から言うけど」
なら、フォース君もよろしくしたいんだけど。
「俺より、確実に連絡取れるのはラルだけだろ。よろしくな♪」
よろしくな、じゃねぇし!? 職務放棄だ。職務放棄!
私の抗議も空しく、イグさんは「じゃあ、今日はここまで! お疲れさん!」と、そそくさと号令をかけて教室を出ていってしまう。それと同時に、昼食を買いに行くつもりのクラスメイト達がどたばたと勉強道具を片付け始めた。
数分後にチャイムが鳴り、十数人の生徒が教室を飛び出していく。この一軍は多分、皆、ジャムパン狙い。毎回五つしかない数量限定品だからな。毎回が戦争と化す。りんご大好きなティールは毎回のように参戦して、泣きながら─実際は泣いてないけど─帰ってくるくらいなので、私は本当に参加したくない。まあ、過去に一回だけ、ティールに泣きつかれて代わりに行ったことはあるけど。
それに遅れて、バラバラと出ていくのは、ジャムパン狙いでもなく、ただ購買に行く人達か、食堂利用者、或いは何かしらの用事のある人達だろう。
「……あ、私も行かないとなのか」
いつもはお弁当派の私だけれど、今回はアホ狐ちゃんのせいでお昼がない。残念なことに。
貴重品だけ身に付け、私も遅れて教室を出る。ティールがいないのは、一軍として教室を出ていったから。多分、ティールも本気を出せば買えると思うんだけれど、その辺は真面目スイッチがあるせいなのか。探検でのティール君が出てくれば、チャンスはあると思うんだけどなぁ……?
はてさて、今回のティールはゲットできるのやら。



~あとがき~
学園っぽい!! 学園ものっぽいぞぉぉー!!
んでも、ラルとティール以外の三年がいねぇえー!! あの二人、授業サボってるせいだ!!←

次回、ラル達のお昼風景です。

ラルのやらかし案件は数知れず。ティールはまあ、普通だと思うんです。説教を受けるレベルの失敗は数えるくらいしかないと思うんですよね。注意はたくさんあると思うけど。
ラルに関しては、あれこれ説教を受けてる人です。詳しいエピソードがありませんでしたが、コカトリスの件もお叱り受けてると思います。独断専行してるので。リアさんに……されてるんだろうな。
ラルはそういうやつなので、致し方なし。本人も反省はするけど、後悔はないタイプです。厄介だね! 必要とあらば、なんでもするんでね。

ではでは。