satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第117話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界での青春物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
学園っぽい授業風景のお話でした!!
今回はお昼です。ぽいぞぽいぞー!!
ずっと、バトルしてたからな。いいですね! 日常の楽しい感じ! 好き!!


三年の教室から学食と購買部はどちらかと言えば、後者の方が近いため、私は迷わずそちらへと歩を進める。
この学園での昼食パターンは主に三つ。
一、学食を使用する。
二、購買部で購入し、好きなところで食べる。
三、お弁当等を持参。
……である。全生徒がどれだけの割合で、どのように利用しているかは知らないが、学食や購買部の利用率の方が高い気もする。
購買部ではクレアさん、学食ではゴンツさんという夫婦がお互いにメニューを考えている。つまり、購買部ではクレアさんの考えたメニューが、学食ではゴンツさんの考えたメニューが食べられるというわけだ。
「ちょ、押すなよ!」
「混んでんだからしゃーねぇだろ! それよりも、早く進めよ」
あらあら。今日も今日とて混んでるな。まあ、ジャムパンの発売日だからというのもあるんだろうな。
……あー、ティールが揉みくちゃにされてる。これが全員敵なら助けてあげるんだけれど。
「巻き込まれたくないからスルーだね。頑張れ~」
戦場のジャムパン特設コーナーは素通りし、私はお弁当コーナーへと到着。
購買は客を分散させるために大まかにパンはパン、お米はお米みたいに分類され、レジも分けられている。レジで買いたい商品名を言えば、店員さんがぱぱーっと詰めてくれるのだ。とはいえ、いちいちコーナー移動するのも面倒であるため、種類は少なくとも、別系統のものも置いてはある。
例えば、おにぎりも買って、サンドイッチも! みたいなことがお米コーナーでも、パンコーナーでもできるわけだ。いやはや、考えられている。
私はお行儀よくレジに並び、その間に何にするかと何となく考える。ついでに、負けて帰ってくるであろう、ティールの分も。
万が一。万が一にもゲットしてきたり、ジャムパンは無理だったとしても、自分用のを買ってきたと言われたら、フォース君に投げつけるか。
「ありがとうね! はい! 次の人どうぞ!」
「はぁい……あ、お久しぶりです。サクラさん」
「おや、ラルちゃん! 久しぶりだねぇ!」
普段来ないからなぁ……
桃色の髪を下の方でお団子にまとめ、頭に白の三角巾を着ける、おばちゃんがにこやかに笑いかける。
「キノコのドリアとフィッシュサンド……あと、りんごのミニパフェとマゴウのミニパフェ、一つずつお願いします」
「はいよ! ラルちゃんがここに来るときは、何かあってお弁当作れなかったときだけだからね!」
「あ、あはは……まあ、色々ありまして」
朝から嫌な事件でした。
サクラさんは手際よく袋に入れてくれ、ご丁寧にお弁当とデザートの袋を別々にしてくれた。
「お待たせ! まだ温かいからね。教室帰ってからでも美味しく食べられるよ!」
「わっ! ありがとうございます~♪」
お会計を済ませ、にこやかに見送ってくれるサクラさんに軽く会釈をする。そして、出入口付近にて、未だ戦場から戻らないティールを待つ。
「なんか、学食の方がすごいらしいぞ!」
「え? 何々?」
購買の先にある学食にて、何やら起こっているらしい。心なしかいつもより賑やかな気がする。
何かトラブルが起こっているというよりは、単純に何か面白いことが起きているみたいな雰囲気のようだ。これがトラブルなら、もう少しパニックになるはず。その空気が今はない。
この前の大会に似たお祭り騒ぎというか、そんな感じ。外の陽気も穏やかで、事件とは無縁な様子ともいえるが、それなら、何が学食スペースで起こっているのだろう?
「ただいまぁ」
「あ。……おかえり、ティール」
そちらが気にならない訳ではないが、ふらふらでぼろぼろのティールが帰ってきたため、学食の件は一旦放置しよう。
壁際まで危なげに歩いたと思ったら、ずるずると座りこんでしまう。見た目と様子からして、駄目だったのは明らかである。が、一応、聞いてみるか。
ティールの横でしゃがみ、乱れている髪を整えてあげる。
「まあ、聞くまでもないけど……どうでした?」
「分かるだろ? 無理だったよ。どっかの知らない人に押されまくった結果でした」
ティール、威厳ないから」
「なにそれ……関係ある?」
いやぁ、この世界には威圧感というものがあってだな。それを駆使すれば人という人はひれ伏すんだよ。
とまあ、冗談はさておき。
完全に手ぶらなティールを立ち上がらせ、教室方面へと導く。歩きながら、お弁当の入っている袋をちらつかせた。
「ところで、君、お昼はいらないのかい?」
「……あぁ!? そっか! ラルのお弁当ないんだった!! またあそこ戻るのかぁ……」
「いいよ。私のチョイスでよければティールの分もあるから」
「え? ほんと? ありがとー!」
ティールは満面の笑みで答えたあと、持つよと言われたので、素直にお弁当の袋を差し出した。
「……ティール」
「んー?」
「今日、外で食べよっか。天気いいからさ」
「ん。いいけど……上? 下?」
ティールのこの質問は、校舎外で食べるのか、一般生徒が立ち入り禁止の屋上へ行くのかという問いだ。屋上に行こうかなんて、一般生徒が行き交う廊下では言えないから、こんな言い方をしたのだろう。
「上。それなら、フォース君も来てくれるだろうからね。連絡すれば来るっしょ」
「いれば来るだろうけど、学校にいるかも怪しいよ。朝から見てないし」
いるいる。いなかったら私のために登校してくればいいんだよ。
私の暴君もびっくりな支離滅裂な発言にティールは呆れているけれど、これを咎めても何かあるわけではない。学生の本分は学業。来ない方が悪い……ま、私も適度に休む派なんだけども。
端末を操作し、フォース君を呼び出す。何回かコールしたあと、通話状態になるが、何か聞こえてくるわけではない。強いて言えば、クラスメイトの楽しそうな声が遠くから聞こえる。とりあえず、教室にはいるらしい。
いや、そんなことよりも何か話せよ。
「上で待ってる。早く来い」
『……へい』
それだけが聞こえてくると、一方的に電話を切られる。仕方なく、私も通話状態を解除した。
「フォース君は確保した。多分」
「来てたんだ?」
「みたい。どっかでサボってたのか、昼から来たのかは分かんないけどね。……私達も上に行こっか」
「了解だよ」
屋上へと向かうために階段を淡々と上っていく。そんなに階数のある学校ではないからすぐに登り終えると、階段の最上段にぼけっとフォース君が座っていた。
「おはよう、フォース。午前中はどこにいたの?」
「図書館」
「ふーん? 学校にはいたんだ。なんで授業にはいないんかな」
「ラルもいないときはいないだろう? 人のこと言えないよ」
う。……さ、最近は真面目にいるし……ちゃんとお利口さんだし?
じとーっとしたティールの視線から逃げるように、私は屋上へと続く扉の前に立つ。ポケットからマスターキーを取り出すと、扉は簡単に解錠される。
限られた人しか屋上へと続く鍵は持っていない。理由は単純。危ないから。
職員室に厳重に保管されているのが一つ。私の持つマスターキーが一つ。そして、校長と理事長が持つマスターキーが一つずつ。計四つ。私が把握している屋上の鍵の在りかはこれだけ。……まあ、例外はある。例えば、そこのぼけーっとしていたお兄さんが複製する、とかね?
屋上に出ると、外の穏やかな風がとても気持ちいい。ぽかぽかした陽気も相まって、心まで暖かくなった気分だ。
「そいやぁ、ティール。今日も行ってきたのか?」
ティールの挑戦をフォース君も幾度となく見てきている。今日がジャムパンの発売日であると思い出したらしいフォース君が、大して興味もなさそうなトーンで聞いてきた。
「ん? あぁ、行ってきたよ。結果は言わなくても分かるだろ」
「どんくせぇなぁ」
「じゃあ、今度は君が行ってきてよ。味わいなよ、あの地獄」
「おれを殺すつもりかよ……人酔いで死ぬ」
死因が人酔いなんて聞いたこともないわ。
安全上のために高く設置された柵と給水タンク。そして、配電盤があるであろう小屋くらいしかこの屋上にはない。フォース君の嫌いな人混みからは離れられる数少ない場所だ。
「とりあえず、ご飯食べよ~? フォース君、レジャーシート的なやつ、よろしく!」
「そのために呼んだんじゃねぇだろうな? つか、お前、おれのことを何でも屋だと勘違いしてない?」
何でも屋というか、便利屋だとは思ってる。なんて、言えませんけど。
「心外だなぁ? きっと、教室でこの前の大会のあれこれを聞かれてて大変だろうなぁって思っての行動だよ?」
「……ちっ」
ふふん♪ この反応は図星だな。……そりゃそうだ。フォース君が鈴流さんを見せたのはあれが初めてだったんだもん。世の男子が根掘り葉掘り聞きたくなるのも分からんでもない。それくらい、鈴流さんは可愛らしいのだから。
フォース君が片手をかざすと、丁度よい大きさのシートが出現する。本当に、何でも作り出せてしまうものである。
そのシートにフォース君がどかっと座り、そんな彼にティールはお礼を言っていた。そのときだ。
「……なんだ」
一瞬だけ感じた人の気配に、私は後ろを振り向く。しかし、そこにあるのは扉と給水タンクのみ。人影など全くない。当然だ。ここは基本的に立ち入り禁止区域で、人がいてはいけないのだから。
……なら、なぜ誰かの気配を感じ取った? 私達以外の気配を、だ。
「ラル? どうかした?」
ティールが私を見上げながら質問をなげかける。何も言ってこないが、フォース君も不思議そうにしていた。
「誰かいる。……仮にいるなら、多分、あそこに」
と、私が指差したのは、給水タンクの上。給水タンクには梯子があり、上ろうと思えば上れるのだ。鍵がなければ入れない電気室を除けば、可能性はそこしかない。もちろん、出ていった可能性もあるけれど、今もまだ微かに気配を感じる。
つまり、まだ、そこにいるのだ。



~あとがき~
よくないやつだなと思いつつも、長いので次回に続く。

次回、立ち入り禁止の屋上にいるのは一体……?

フォースのおサボりスポットはいくつかあります。まずは今回出てきた図書館。そして、屋上。
あとはまあ、生徒会室にいたり、その辺の木陰に寝てたり自由です。自由ですが、教師のいるようなところには寄り付きません。ラル御用達(?)の保健室は行かないですね。リアさんいるんで。
図書館はいいんかい! って思うかもですが、あそこは広いし、不用意に関わってこないので、邪魔されないんだと思います。もしくは、生徒会の重要書類をまとめた部屋にいる。あそこ、関係者以外立ち入り禁止だから。いやはや、職権乱用ですね。悪いやつめ。

ではでは!