satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第131話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でギャグ話してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
大食いしたかったけど、その手前で終わってしまいましたね。雑談パートって感じ。
今回こそは! 今回こそはー!!


しーくんのラーメン到着から数分後。活発な店員さんからの「お待たせデスネ~」という声と共に私とアリアちゃんの目の前に大きなラーメンが置かれた。一人ではなく、二人がかりで持ってくるくらいの大きさのラーメンである。
「お、おう……マジか」
大食いとは縁のない人生を歩んできたつもりである。少なくとも、記憶にある限りでは、関わりなんて一切なかった。
そんな私がこんなところで、実際に経験するとは……人生とは何が起こるのか分からないものである。……そんな大それた話ではないことは重々承知なんですけどね!?
器には四つの仕切りがあり、それぞれに味の違うラーメンが盛り付けてあるらしい。これが四つの化け物の正体なのだ。
「ラーメンの味は、こちらから『背油』『馬油』『豚骨』……」
右から時計回りに一つ一つ丁寧に指を差しつつ、私達に説明をしてくれる。どれもこれも胃もたれがしそうなラインナップだ。見ているだけでお腹いっぱいになる。
「そして、こちらが『塩』! お口直しにピッタリヨ!」
「お口直しって言葉の意味を調べてこぉぉい!! ここまできたら、四種類全部こってりで揃えろよ! いや、揃える意味はないけど! ないんだけども!!」
「こ、こちら、取り皿です」
活発な店員さんと一緒になって運んできてくれた男性の店員さん─新人アルバイトみたいな雰囲気のある人─が、取り皿と言う割には、ごく普通のラーメンのお皿を渡してくる。取り皿ってこんな大きさのものを渡されるものなんだろうか。もっとこう……小皿とか、お子さまの器とかなのでは。
新人さんはペコッと頭を下げて引っ込んでしまったが、活発な店員さんはまだこちらに用があるのかその場に残ったままだった。
アリアちゃんは目の前の巨大ラーメンに意識を持っていかれて、話を聞く気があるのかは謎だ。
「これから、ルール説明、していきますデスネ」
そうか。これ、チャレンジメニューか。アリアちゃんのあの食べっぷりを知っているから、チャレンジにもなりはしなさそうだけれど。
「ラル、このうつわ、おっきーね! すごいね!」
「す、すごいね~……まあ、でも、うん。心配はいらないかなぁ?」
だって、底無しブラックホールをお腹に飼ってる(アラシ君談)アリアちゃんがいるだもん。
片言な店員さんから聞かされた内容をまとめると……
一、制限時間は四十分間。
二、ラーメンは二人で分け合うこと。ただし、食べ方に関しての決まりは特にない。
三、故意な事故や魔法等の食べ物消失はルール違反とし、その場でチャレンジ失敗となる。
四、第三者の加入は禁止。事前に申し出た二人のみが参加が認められる。
五、スープまで飲み干しての完食とする。
……というのが、ルールのようだ。
このルールの場合、極論を言えば、私が一口だけ食べ、残りをアリアちゃんあげてしまっても、ルール違反はしていないと見なされるのだろう。
まあ、普通は半々分け合うのがセオリーなのだろうが。いや、こんなチャレンジしたことがないので、大食いのセオリーなんて知らないんだけれども。
「それでは、よぉいスタート、デスネ!」
店員さんの合図にアリアちゃんはすぐさま動いた。お箸とレンゲをきちっと装備し、一気に食べ始める……かと思ったのだが。
「ラル、何味食べたい……?」
「え、あぁ……なんでもいいけど……塩がいいかな」
こってりはこの量を見ただけで、胸焼けが凄いので食べられる気がしません。
二人で完食せよというルールをきっちり守るためだろう。まず始めに、通常サイズの器に適量の塩ラーメンを取り分けていく。そして、そのラーメンを私に手渡すと、キラリと目を光らせた。
「まずは……馬油から……♪」
尋常じゃない量の麺をお箸で掬い上げると、勢いよく食べ始める。まさしくブラックホール並みの吸引力なのではと思いたくなるくらいの勢いである。
「アリアお姉ちゃん、はやーい!」
「……見てるだけでしんどいのはなぜ?」
油でこってこての味付けだと想像できるからだろう。それ以外に何があると言うのだ。
ものの五分程度で馬油ラーメンを空っぽにしてしまったアリアちゃんは、くるりと器を回転させ、豚骨ラーメンへと手をつける。
五分て。普通のラーメンの量じゃないのに、五分て!!
「ラーメン、伸びちゃうよ……?」
「ア、ハイ。……ノビテモ、キチント、カンショク、デキル。ダイジョーブ」
アリアちゃんからの心暖まる気遣いに、私もようやくお箸とレンゲを手を持った。
「ラル、だいじょぶ? なんだか、ほーしんしたときのラルみたいだよ?」
うん。実際、放心気味だからね……しーくんの考えは間違ってないよ。
放心気味ではあるが、アリアちゃんのチャレンジに水は差したくない。きちんと時間内で食べるけれども。
「……しーくん、お口の周り、汚れちゃってる。じっとしててね」
「はわ。ごめんなさいっ!」
紙ナプキンでさっと拭いてあげている間も、アリアちゃんは豚骨ラーメンに夢中であった。

結果、私が一杯の塩ラーメンを完食するのと、アリアちゃんが巨大ラーメンを完食するのはほぼ当時であった。制限時間も約十分程残した状態でフィニッシュとなった。
「美味しかった……♪」
だろうな。アリアちゃん顔に大満足と書かれているもん。見えるもん。なんか!
「わーい! ラルもアリアお姉ちゃんも、ぜーんぶたべた! すごーい!」
私達の挑戦を見守っていた店員さんも呆然としていたが、しーくんの声で我に返ったらしい。慌ててストップウォッチを止め、一緒に運んできた新人さんと器を回収し、さっと厨房へと戻っていく。そして、別のものを手に戻ってきた。
「こ、こちらは完食特典デスヨ! 巨大ラーメンのお題は無料ヨ! それから、コッチもどうぞ!」
巨大ラーメンを見たあとではかなり小さく感じるものの、通常サイズの小鉢に白いアイスのようなものが盛り付けてある。
「杏仁アイスクリームネ!」
お口直しとはまさにこの事です。よく覚えておいてくださいね、店員さん。
「アイス!」
「ごほーび! よかったね、アリアお姉ちゃん!」
「うん……♪」
巨大ラーメンで終わりだと思っていたのか、アリアちゃんはアイスを目の前にしてとても嬉しそうにしていた。小さなスプーンで掬い取り、まったりと堪能している。もう制限時間も関係ないためだろうか。
「あ、あの、私もいいんですか? こんなことを言うのもあれてすが、ほぼ食べてないも同然でしたけど……?」
あのラーメンをほぼ食べたのはアリアちゃん自身。もちろん、ルール違反ではないのは理解しているが、この特典のアイスを貰えるほど活躍したとも思えない。
そんな私の申し出に店員さんはにこりと笑う。
「お客サン、ちゃんと食べてたの見てましたノデ! よろしければ、食べてください」
そ、そうですか……?
少しだけアイスを掬い、口に入れる。ほのかな甘味が口の中で広がり、杏仁の風味も香りもきちんと感じ取れる一品であった。アイスだからか、意外とさっぱりとしていて、とっても美味しい。
「……これはチャレンジルールとは関係ないんですよね?」
「ハイ!」
「そうですか。……なら、しーくんも一緒に食べる? 私、なんかもう色んな意味でお腹いっぱい」
「そなの? じゃあ、はんぶんこだねー♪」
はあぁ! 可愛い! 半分こだって! もう、全部食べてもいい! あげる!!
……と言ってしまいたいところだが、しーくんはお子さまラーメンについてきていたゼリーを食べてしまっている。なので、アイスはきちんと半分にして、仲良く食べることにした。
アイスもきっちりいただき、最初の約束通り、お昼はアリアちゃんにご馳走になってしまった。結局、しーくんの分だけだったし、私が払ってもよかったのだけれど、アリアちゃんが「約束だから」と譲らなかったのだ。ここで無理矢理お金を押し付けるのも違うし、今度、別の形でお礼すればいいかと思い直した。家に夕飯の招待とかはしない。そんなんうちの冷蔵庫パァになりますもん。
まあ、お菓子とか……作ってあげればいいかな。タッパーにでも詰めて持ってくるか。何を作るかはそのときの気分によるが。
「アリアお姉ちゃん、ありがとう! おいしかったよー!」
「……ん。僕の方こそ……付き合ってくれて、ありがと」
「いえいえ。なんだかんだ、しーくんは楽しかったみたいだから」
私は色々、思うところはあったけれどね。それは言わなくてもいいか……
「また、いっしょにごはんたべよ! アリアお姉ちゃん!」
えっ……!?
「わかった。……約束だね」
無邪気に恐ろしい提案をしているしーくんの頭をアリアちゃんはそっと撫でる。しばらくなでなでしていたが、満足したのかしーくんから離れた。
「じゃあ、学校でね。アリアちゃん」
「そだね……学校で」
「またね、アリアお姉ちゃ~ん♪」
目一杯手を振るしーくんに合わせ、アリアちゃんも控えめながらも手を振ってくれた。
そして、吸い込まれるように別の飲食店へと入っていったのを見逃さなかった。
幸いにもしーくんは、アリアちゃんが別のお店へと消えた場面を見ていなかったみたいで、愛らしく首を傾げていた。でも、これだけは言わせてほしい。
……まだ食べるんかぁぁあいっ!!??



~あとがき~
アリアちゃんの挑戦は続きます(笑)

次回、とある人物の魔力風邪の話。
新しいお話へと移って参ります。ここで久しく出ていない彼ら彼女らをね! 出していきますね!

二人で持たないと持ってこれないラーメンて何人前なんでしょうね。十人前は軽く越えているのでしょうか。謎です。
大食いのアリアちゃんなので、何百人前やってこようが、ちょっと消化してしまえば永遠と食べ続けてしまいそうですね。限界値を誰も知りませんのでね。
いやはや……今後もね。所々にアリアちゃんの大食いシーンはあるんじゃないかなって思います。はい。今後に期待だぞ☆

ではでは。