satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第132話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でだらだらしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
今回からまた新しいお話へと移っていきます!
なんだかんだ、お久しぶりな一年生や中学生組を! 出せたらいいなと思ってますよ!
多分、十話越えるくらいでおわ……おわ、る? のかな? わからない!
とまあ、魔力風邪編! スタートです!


今日も今日とて、大きなトラブルもなく平和な時が流れる学園。とある生徒は勉学に勤しみ、またある生徒は部活に精を出す。もしかしたら、何らかの仕事へと赴き、社会勉強をしている生徒もいるだろう。……そんな学生全員に平等に与えられと言ってもいい自由な午後の時間だ。
つまるところ、放課後である。
探検隊スカイの柱とも言える私とティールは、余程な理由がない限り、学校のある平日に探検隊の仕事は入れない。また、部活動なんかもやっていないわけだから、放課後は取り分け、暇人である。
え? 生徒会の仕事? 知らん。
「ラル? ソファで寝っ転がらないの。制服、しわになっちゃうよ?」
「ほっとけよ、ティール。今のあいつに何言っても通じない。仕事もおれらでどうにかしようぜ」
「それ、全く同じことを昨日も聞いた」
「おれも言いながら思ったわ~」
急ぎの仕事もないせいか、ティールもフォース君も雑談混じりに話している。
お前らの話なんてどーでもええわ。勝手に言ってろ。私はそんなことを今言われたところで、うんともすんとも言う元気はないのだ。
私がやる気もなく、だらしくなくソファでうじうじしているのには訳がある。
「だってぇ~……ツバサちゃんと二週間も会ってないんだよ? 死ぬしかないじゃん? いやもう、死にかけなんだけど。死ぬ~……今、私の中に存在するツバサちゃんメーター切れてるのぉ~」
「ツバサちゃんメーターって何。つーか、お前、長期休暇控えてんのに大丈夫か?」
夏休みは……多分、ツバサちゃんを考える暇もなく忙しくする予定なので大丈夫。いや、どんな予定入ってるのか知らんけどね。今年に限っては親方任せなので。
「仕方ないじゃないか。ツバサは魔力風邪にかかったんだもん。当分は無理だってアラシから話があったろ? 二週間前に」
二週間も! 前にな!!

今日から二週間前の放課後。いつものサボりで学校に来ないフォース君を除き、私とティールであれこれ話していたとき─大した話は全くしていない─だった。アラシ君とレオン君の二人が生徒会室へとやってきた。二人だけで来るなんて珍しいこともあるもんだと思いながら、二人の話を聞いていると、ツバサちゃんが魔力風邪にかかったと報告に来てくれたのだ。
「……なんだっけ、魔力風邪て」
「ほんっとに君って人は……一ヶ月前くらいにツバサ達が教えてくれただろ? 魔法使用者のみがかかる風邪のこと」
……あぁ、なんかそんな話もした気がする。
ティールの呆れ顔に慣れきった私は大して気にも止めずに、アラシ君達へ話を続けるように促した。
「まあ、そういうわけだから、しばらくの間、ツバサは学校に来れないんだよ。あいつが来ないんなら、俺らもここに来る理由もないだろ?」
「にゃはは♪ んまぁ、何かあれば頼るかもだけど……ツルギのときみたいなことがない限りはきっと来ないだろーしなぁ~」
あんなどたばた事件を頻繁に起こされても困るけれどね。あれは珍しい事例だろう。
「……ま、ツバサのやつは学校行きたがってたんだけどさ。どんだけ好きなんだよって話だよな?」
やれやれと肩をすくめるアラシ君。私に聞かれても、よく分からないので答えられない。
ちなみに、私が風邪を引いたなんて状況になれば、喜んで休んでいるところだ。だからまあ、推測でしかないけれど……ツバサちゃんにとって学校とは、楽しい場所なんだろう。友達もいて、楽しい時間を送れる素敵な場所……なのかもしれない。
「今日の朝、迎えに行ったときも、俺とアラシも使用人の人達と一緒になって抑え込んできたぜ! 高熱でフラフラだってのにパワフルだよな~♪」
「明るく言うな。馬鹿レオン」
軽く話すレオン君と淡々としているアラシ君だけれど、朝から大変だったみたいだ。お疲れ様である。
「そっか。ツバサにはお大事って伝えておいてくれる? こっちは心配いらないから安静にねって」
ティールの言葉にアラシ君はしっかりと頷いた。
「もちろん。んじゃ、俺らは部活に行ってくるよ。ツバサが学校来れるようになったら、またよろしくな?」
「分かった。二人とも、部活頑張ってね」
「おう♪」
「あぁ。サンキューな、ティール。……? ラル? どうかしたか?」
黙ったままの私が気になったのか、アラシ君が去り際にこちらを振り向いた。そんな彼に私は素直に思いの丈を告げる。
「しばらくツバサちゃんと会えないのつらぁい」
「……そっすか」
「にしし。ラルらしいな~♪」
「ごめん。こんな相棒で」
彼らの反応は三者三様だったが、一律して呆れていたのはひしひしと感じ取った。

というのが、二週間前の出来事。彼らは話の通り、この二週間、生徒会室へ来ることはなかった。まあ、廊下ですれ違うだとか、見かけることはあるので、二人がきちんと学校にいるのは確認している。今日もアラシ君とは廊下ですれ違ったばかりだ。そのときは簡単な挨拶程度しか交わさなかったけれど。
「……癒しだ。癒しが足りない。死んじゃう!」
ガバッと体を起こし、興味もなさそうに読書中のフォース君に抱きついた。理由は近くにいたからである。が、彼は空いていた片手で意図も簡単に私をひっぺがし、ティールに押し付けた。
押し付け先のティールはひっぺがしはせずに、私を抱き止めてくれた。そして、本来はツバサちゃんの席に私を座らせる。ティール本人は傍に立ったままだ。
なんか、私に対する扱いがどこぞの幼児並みに落ちていないか? いや、いいんだけども。
「鬼……悪魔……可愛い美少女の抱擁くらい受け入れなさいよ! お兄ちゃん!」
「自分のことを美少女とか言っている辺り、うさんくせぇ。鬱陶しいな」
ティール! フォース君が優しくなぁあい!」
「はいはい……ラルも変なこと言ってる自覚持ってね? 癒しなら雫がいるだろ? というか、家じゃ普通じゃないか。なんで学校に来る度におかしくなっていくの」
家はティールの言う通り、しーくんがいる。ついでにともも。あの二人に心配はかけられないから、普段通りに振る舞っているのだ。家だと家事や書類仕事なんかで忙しいから、考える余裕もないのだけれど。
「しーくんとツバサちゃんは別なの! しーくんはしーくんで可愛いし、天使だし、癒しだけどね? ツバサちゃんはそれに加えてもふもふなの。ツバサちゃんのもふもふが足りないの!」
「えー……じゃあ、フォース、もふもふになってあげてよ」
「意味分からん。ねぇわ」
……あったらなってくれたのだろうか?
「ならねぇ。お前のためになるわけがない」
私じゃなかったらなるのか! 鈴流さんか!? 鈴流さんに頼まれたらもっふもふになるんか!?
「なるわけねぇだろ!!」
「はいはい! ぼくの冗談から発展させちゃったけどさ、仕方ないだろ。ラルも分かってるんでしょ? こればっかりはどうにもならないの。時間が治すんだから」
「そうそう。諦めて仕事しろよ、会長?」
むー!! 二人とも、優しくない!
こんなにツバサちゃん欠乏症なのは、彼女の状態を知る手段がないからだ。思えば学校で会うだけで学園外で会ったことはないし、連絡先も知らない。いや、連絡先くらい調べれば出てくるだろうし、簡単に分かるとは思うのだが。
今、一番確実な手段でツバサちゃんの状況を知れるのは……やはり、あの手しかないだろう。
「……? ラル?」
「ついに頭がおかしくなったか」
私はふらりと立ち上がり、困惑する二人を置いて扉の前まで移動。そして、くるりと二人の方へと向き直った。
「今から剣術部に殴り込み……もとい、助っ人参加して、アラシ君から話聞いてくる!! しばらくは戻らない! じゃあね!」
勢いよく扉を開け放ち、教師が見たら一発で注意するレベルのスピードを維持したまま廊下を駆け抜ける。そんな私の背にティールの慌てた声が聞こえてきた。
「ちょ!? ラル! 仕事はー!?」
「んなもん、とっくに終わってるわー!!」
机の上に全部揃えてある! お前らが確認して問題なければ提出しておけ!!
「えっ!? 本当に?」
「マジだよ。……これさぁ、定期的に姫さんいない方が捗るんじゃないの?」
「……可能性あるかもしれない」
なんていう男子二人の恐ろしい話は、廊下を走る私の耳に届くことはなかった。



~あとがき~
一年ズ出すとか言って、今回の話のメインは三年トリオという謎。

次回、剣術部にラル見参! アラシ君、超逃げて!!←

皆さん、覚えてますかね。魔力風邪。
私はざっくりとしか覚えてません。今回の話で復習していきましょうね……(汗)

ではでは!