satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第145話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界できゃっきゃっしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
リランが石を降らせて、ティールに被害がいきました。まあ、軽いらしいし、なによりファンタジーなので実際どうなのよってとこはあれだよ。放置でお願いします←


ティール以外に石とごっつんこした人は誰もいないのを確認して、私達はカルタムさんやメアリーさん達に混じって、そこら中に散らばる石の回収を手伝うことにした。石を拾いながら、カルタムさんはさっきの続きを話してくれた。
「アラシ様達が申されたように、リランは現在、本当に白竜か、否かは不明。つまり、謎の存在のドラゴンでございます。そのため、月に数回、研究のために、お嬢様がリランを連れて魔術研究所へと伺うのですが、それでも不明な点は多いのが現状でして」
「白竜がこの時代にいるという事実すら不可解ですからね。……探検隊をやる身としてはそんな不可解もまた、楽しいんですけど」
ティールのそれはほぼ病気だよ……?
集めた石をメアリーさんが用意してくれた袋に移していく。もちろん、ティールの頭に直撃したそれも袋の中だ。見た感じ、気持ち黄色の石が多いのは、直前に雷姫の力を吸収したからだろうか。
ティールの言葉にカルタムさんは静かに頷き、話を続けた。
「そして、今回の件についてはまだ、研究所と連絡を取り合ってないため、詳しいころは分かりません。そのため、これは我々の憶測となります」
と、前置きした上でカルタムさんが教えてくれた。それを簡潔にまとめてしまうと、魔力風邪で放出されたツバサちゃんの魔力と空気中の魔素の二つを吸収。限界値を越えたときに、魔力石のような何かとして置き換えている。……とのことだった。
「本来、魔力石は魔素の濃い自然界……森や洞窟みたいなとこで見つかるのに……人の多い町中で作れるもんなのかな」
ティール様の仰る通りでございます。我々もこの予想は半信半疑なのです。この現象については、後日、研究所と協力して解明できればと考えております」
なるほど。そのためのサンプルってことだ。
研究のためのサンプルを全てかき集め、回収したところで、私達はそろそろ帰ろうかという話になった。きりもいいし、何より思った以上に長居してしまった。途中からいつもの受け答えをしてくれていたツバサちゃんだったけれど、またぽやぽやし始めたので、さっさと帰るに限る。
ついでに、リランとのおいかけっこも疲れたし。
「今日はお見舞いに来てくれてありがとうございます。もうすぐ学校に行けると思いますので~♪」
「無理しちゃダメだよ、ツバサちゃん! ちゃあんと治さないとダメだからね!」
「そうそう。今日は早めに寝なよ~?」
「分かってる! ありがとね、ステラちゃん、リーフちゃん♪」
リランに乗ってお見送りしてくれたツバサちゃんは、二人の言葉にちゃんと頷いていた。リランもお見送りのつもりなのか、元気よく「あんっ!」と鳴いた。
あれ、何て言ったんだろう?
『ふん! 二度と遊ばぬわ!』
……また遊ぼう的なやつだったらしい。
ケアル邸を出て、すぐにアラシ君とレオン君とも別れ、今日のところはお開きとなった。

ツバサちゃんのお見舞い……もとい、リラン騒動から二、三日後。今日も今日とて、学園は平和です。あったことと言えば、衣替えくらいだ。薄着の季節であるが、あまり変化はないように思う。私はカーディガンが薄手の七分袖パーカーになり、タイツが黒のニーハイになるくらいだし。ティールは規定通りのYシャツにサマーニット姿になるだけだ。
「あ、フォース君やん。なんか久しぶり~」
「……やっぱ帰るわ」
休日明けから今の今まで、なぜか学校に姿を見せなかったフォース君がようやくのお出ましである。まあ、何かを感じたのか、Uターンして帰ろうとしてるんだけれど。
彼のスタイルはほぼ変化はない。長袖パーカーのまんま。ただ、Yシャツじゃなくて、黒のインナー着てるけど。あと、少し長めの髪を後ろでハーフアップにちょこんと結んでいる。前から見るとやっぱりあんま変わらない。
「まーまー!! 聞きたいことあるんだって! まあ、入れよ。歓迎するわ。ティール! 捕獲!」
「ん? ほかく……?」
「お前んちじゃねぇだろ。……いいよ。素直に入るよ。何?」
「休日。何してたの? 私、仕事入れた記憶がなくってさ」
予測では制御者としての仕事かなと思っているのだけれど、気になるし。
「マスターじゃなくて、兄貴の方だな。やることやって、上に顔出したら、帰るに帰れなくなりました」
「フォースの仕事増えたってこと?」
「うんにゃ。仲間に捕まったり、他の神様と猫に捕まったり? 挙げ句の果てにマスターの部屋の大掃除してたね」
なんか、里帰りした実家で、親戚一同にいいように使われてる気がする。というか、猫?
「おれもそう思う。猫は……まあ、猫。毛玉みたいにもっふもふしてるやつ」
何それ、かわいい。
「こんにちは! 今日からまたよろしくお願いします~♪ ラルさん、ティールさん、フォースさん!」
無垢な笑顔を浮かべ、入ってきたのはツバサちゃんだ。こちらも、夏服仕様になっている。透明感のあるマントを重ね、涼しげなスタイルだ。流石、魔術科。可愛らしいデザインである。
「ツバサちゃーん! おいで!」
「はーいっ!」
ぱっと両手を広げ、駆け寄るツバサちゃんを抱き締める。うん! これだよこれ!! これを待ってたんだよ!
「よかったな。これで元通りだよ」
「仕事、捗るといいんだけど」
それとこれとは話は別だね!!
「全くラルは。……ツバサ、元から魔法たくさん使えてたけど、魔力風邪を経て、習得したやつとかあるの?」
「ありますよ~♪ あ! せっかくですし、お見せしますっ!」
明るく質問に答えたツバサちゃんは、私から離れ、静かに目を閉じて祈りのポーズをする。ぽわっと優しい光に包まれたツバサちゃんは、ぱちっと目を開ける。
「出ておいで、リラン!」
……リラン!? え、あの!?
「リラン……?」
まだリランに会ったことがないフォース君だけ首を傾げているが、私とティールは戸惑いを隠せなかった。あんなに世間から隠しているドラゴンを呼ぶのだ。慌てない方がおかしい。
「わんっ!」
……と、思ったんだけれど。
リランと呼ばれて出てきたのは犬だ。どこからどう見ても、犬。真っ白で毛の長い中型犬。
「実は変身魔法が普通に使えるようになったんですよ~♪ だから、こうしてリランを堂々と学校に連れていけるようになりました!」
「変身魔法か。高度な魔法だよね、確か」
「流石、ティールさん。知ってましたか~♪ そうなんですよ~♪」
変身魔法……とは?
自然とフォース君に目がいく。ばっちり目があって、盛大なため息と共に、ホワイトボードに向かう。
「幻術の上位互換の魔法が変身。幻術はあくまで隠すだけだろ。あるもんを消したり、ないもんを見せたり」
ボードの近くに置いてあったマーカーを手に取る。それで図解するのかと思いきや、マーカーをくるりと回すとぱっと手元から消えてしまった。かと思えば、パーカーのフードから出てきた。
これは、多分、手品か。
「わふ~ん!」
「フォースさん、すごいですー!」
「変身は姿形そのものを変えちまう。だから、触られたとしても、それだと認識する。仮にお前を猫にして、触られたとしても人だとバレないのが変身魔法のいいところだよね。その分、力の消費も激しいけど。……で、あってますかね、ツバサ先生?」
「はいっ! 私、元々変身魔法は習得はしてたんですが、魔力消費おっきくてネックだったんです。でも、今はご覧の通りです♪」
ドラゴンから犬に変えちゃったってことか。
リランは手品を見せたフォース君に興味があるのか、足元をぐるぐる回っている。
フォース君にドラゴンって言ってないな。そういえば。けど、多分……
「変身魔法を使うってことは、元々は違うんだな。お前」
「あんっ」
一鳴きして、ぴたりと回転を止める。そして、じっとフォース君を見つめ始めた。
「はーん……難儀な時代に出てきちゃったんだ。お前の同胞はいないのに」
「あん?」
「……おれはフォース。よろしくね、チビッ子白竜さん。……色的にも今は少し違うみたいだけど」
他者の心を読む力に加え、魂の色を視るフォース君に隠し事なんてできるわけがない。
大人しくお座りをしているリランの頭を優しく撫でながら、ちらりとツバサちゃんを見つめる。
「誰にも言わんよ。面倒は嫌いなんで」
「はい♪ お願いします、フォースさん」
「くう?」
「……ん? 雷姫のばーさんはあっちだぞ。リラン、ラルに突進だ。いけー」
「! あんあんっ!」
うえ!? ちょ、ばっ……!
勢いよく走り、飛び付いてきたリラン。今回は犬だし、中型犬だしで、避けずにしっかりと受け止める。それが嬉しかったのか、大きく尻尾を振りながら、思い切りじゃれてきた。
「きゃあ~! くすぐったいよ、リラン! んでも、まあ、このお犬体型なら、たまに遊んであげる~」
「あん! あんあんっ!」
『あの裏切り者め! 斬り殺してやろうか!!』
私の中で雷姫がうるさい。感情を露にしている分、フォース君にも聴こえているだろう。んでも、リランのもふもふするので、私は大して気にならない。好きにしてくれ。
「何とでも言え。おれはリランにぶん回されるババァが見たいだけだよ。無様だな、雷姫様?」
『なぜそれを! 表に出ろ、小僧!!』
「リランが教えてくれました」
『駄犬がっ!!!』
雷姫の声が聞こえていないツバサちゃんとティールは不思議そうにしているけれど、ティールは何となく察したみたいだ。小さくため息をつくと、ツバサちゃんに向かってにこっと笑う。
「……ツバサ、お仕事手伝ってくれるかい? リランはラルとフォースに任せよう」
「はい! 分かりました~♪ リラン、ラルさんとフォースさんに迷惑のないようにね?」
「あん!」
んふふ。また一段と賑やかになりそうな予感♪



~あとがき~
ちょっぴり長いけど、きりがいいので。

次回、新しいお話! やります!
ちょっぴりご無沙汰なコンビと+αやで。

リランには優しく接してるのに、雷姫をいじるときのフォースのはっちゃけが好きです。というか、誰かをいじるときのフォースが楽しそうで酷いやつだなと思いながら、私は楽しく書いてます。
今回は全体を通してリラン回でしたね。それのおまけとしてラルだったりティールだったり、ケアル邸の使用人さん達だったり。色んなこと書きましたわ。楽しかったぜ!

ではでは。