satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第146話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、生徒会室の愉快なメンバー(?)として、リランが追加されました! しれっといたりいなかったりすると思います。よろしくね!
リラン「わんっ!」
そして、今回もリランが出てきます。よろしくね!
まあ、視点は関係ないところから始めるけどな!


「ユーリ、ここ教えて~」
「その公式使ってください」
「どれー! たくさんあるー! 見分けつかん!」
馬鹿なのかな、こいつ。
期末テストまで一週間をきり、イツキは珍しく僕の部屋でテスト勉強に励んでいた。理由は単純。補習を受けたくないだけだ。高校一年から補習組常連と化しているイツキは、今年こそは回避したいらしい。無理な気がするけど。
ほんとはリリアも来る予定だったんだけれど、家の都合で来れなくなってしまった。僕としては教える相手が一人減っただけなので、大した違いはない。
ちなみに、僕ら三人のペーパーテスト成績順は僕、リリア、イツキの順。実技になると、イツキ、僕、リリアという順番になる。もちろん、上からの並べてだ。
「ユーリ~」
「今度は何?」
「もう、俺、何にも頭に入りません……へ、へるぷ……」
「いっぺん気絶しておく? スッキリするかもよ」
「多分、今やったことが全部出てくよ? お前のそれは乱暴な眠らせ方だろ!?」
そんなことないよ。ちゃんとデバフ魔法だから。大丈夫、だいじょーぶ。
「どこが!!」
「ユーリ? イツキくーん? ちょっと降りてきて~?」
適当な言い合いをしていると、下から母さんの呼ぶ声が聞こえてきた。僕らは互いに顔を見合わせ、母さんの呼び掛けに素直に従うことにした。
「どうしたんすか、おばさん?」
「お使い、頼んでいいかしら? アイちゃんが帰ってこないのよ~」
アイ? そういえば、遊べ遊べうるさいからノワールに投げて任せてたな。散歩行っているのか。
「せんせーいるし、大丈夫なんじゃぁ……はっ! 行きます行きます!! 気分転換のお散歩じゃいー!」
……なるほど。そういうこと。
母さん、イツキの集中力が切れる頃だろうと思って、わざと連れ出そうとしているらしい。僕の親友をよく分かっていらっしゃる。
「じゃ、行ってくる。そんなに遅くはならないと思うけど、晩ご飯までには戻るね」
「ええ。お願いね、ユーリ、イツキくん」
「任せてください! 行こーぜ、ユーリ!」
はいはい。全く、調子いいんだから。

ノワールは僕が呼び出す精霊の中で一番の上位精霊だ。その場の思いつきで出すような精霊とはわけが違う。また、僕の精霊達はサポート要員が多い中、ノワールは唯一の攻撃特化型の精霊。まあ、固有能力も使うんだけど、それがなくとも素で強い。だからこそ、僕は無暗に呼び出さないようにしている。ノワールばかりに頼る戦い方にしないために。
……それはさておき。
アイとノワールの散歩コースは決まっている。近くの広い公園でのびのびと遊んでいるはずだ。
「アリシャ! ノワール!」
「アイちゃ~ん? せんせー!! 返事くれ~!」
「あ、にぃだ! いーにぃだ! お~い!」
案外、早くに見つかったな。
広い原っぱで休憩中だったのか、座ってこちらへ手を振っていた。肝心のノワールはちらりとこちらを見るものの、すぐにそっぽを向く。
ノワールは真っ黒な大型犬くらいの大きさで─本来はもっと大きい─尻尾をゆらゆらさせていた。
「帰ってこないから、母さんが心配してたよ?」
「そなの? じゃあ、ノワ、そろそろ帰る……?」
「……」
ノワールは何も言わず、じっとアイを見ていた。
お前が決めろみたいな目だな。やれやれ。
「アイ、何か飲む? ずっと外にいたんでしょ」
「にぃ、買ってくれんの!? いいの!」
「いいよ。ノワールはいらな……」
「がぁう?」
……ごめんなさい。はい。お水買います。はい。
近くの自動販売機で適当にジュースと水を買い、ジュースをアイに渡し、水は蓋を開けて……までをして、ふと考える。
こいつ、どうやって水飲むつもりなんだ。皿なんて持ってないんですけど。
ノワール、これ、本当に飲む気ある?」
「ばふん」
ねぇよ、じゃないわ!! 無駄に買わせたな、お前! あ、その顔ムカつく。
「先生、さいっこうだよ。流石だよー!」
「イツキの頭に全部ぶっかけてやりたい」
「やだ、怖い!」
嘘だよ。もったいないからそんなことしないよ。
買ってしまったものは仕方がないので、自分で飲むことにしよう。今から帰るところだけど。
「にぃ、ジュースありがと! ノワ、帰ろ。乗せて乗せてー!」
このアイの発言に嫌な顔をするも、僕の方を見上げる。今のサイズではアイを乗せられないからだろう。
「いいよ。やってあげて」
「……がう」
ぶるりと体を震わせると、足元に魔法陣が現れる。そして、ノワールの体が二回りほど大きくなると、魔法陣は跡形もなく消えていた。これでもまだ大きくなる。最大で僕と同じくらいの目線になるし。
「わーい! おっきーノワだ!」
アイが乗りやすいように伏せてあげる辺り、お前にも良心は存在するんだなと思う。
「先生って女の子には無条件で優しいよね。アイちゃんはもちろんだけどさ~? リリィとか……ラル先輩とかツバサとか。あ、でも、フォース先輩にも服従してる?」
「あの先輩の場合、例外的な気もするけど。強さで服従させてるよね、あの人は」
基本、誰に対しても強気なノワールだが、初めて先輩を目の前にしたとき、何も言わずに伏せのポーズをしていた。あの人から何かを感じ取ったのだろう。僕にはよく分からないけれど。
少しのコーヒーブレイク─誰もコーヒーなんて飲んでないけれど─を終え、僕らは家に帰るために歩を進める。僕とイツキの歩幅に合わせ、ノワールもゆったりと歩いてくれていた。
「これ、家帰ったらまた勉強会再開か」
「イツキがやりたくないなら、やめたっていいよ。僕はどっちでも」
「くそー! やるよ! 今回こそは補習から抜け出すんだよ!」
だから、今のまんまだと無理だって。基礎を理解してないんだもん。
「いーにぃ、ずっと前からテストやだーってなってるよねー」
「そーだぞ! テストはな、アイちゃんが先生と遊ぶ時間だったり、ユーリにぃちゃんと遊ぶ時間だったりを奪う悪いやつなんだぞ!」
「でも、学校はお勉強するところだもん。いつもお勉強してたら、悪い点数はとらないよ~? ね、にぃ」
「そだね」
ガリ勉兄妹か!? 勉強大好きなの!?」
「わたしはふつーかなぁ?」
ぐぬぬ。勉強なんてなくなってしまえ……んお? なにやら見知った顔発見!」
相変わらず、切り替え早いな。見知った顔見つけたとしても、話しかけは……
「アラシ達じゃーん! やっほー!!」
「普通、話しかけないよな。あっちはあっちの休日過ごしてるわけで……」
「そお? 俺は挨拶すっけどな?」
あ、うん。そぉね。お前はそういうやつだ。
「にぃ、だれ?」
「僕らの後輩さん達だよ」
イツキが手を振る方向にアラシさん、レオンさん、ツバサさんの三人が歩いていた。そして、ツバサさんの手にはリードが握られ、真っ白な犬、リランも一緒だった。きっと、散歩中なのだろう。
めちゃくちゃアピールするイツキに三人も気づいたらしく、こちらに来てくれた。無視してもよかったのに。
「ちわっす、イツキ先輩。ユーリ先輩」
「おー! ノワールじゃん! 久しぶり~」
丁寧に挨拶をしてくれるアラシさんに、ノワールにも挨拶をしてくれるレオンさん。ノワールは完全に無視してるけど。そして、ツバサさんもペコッと頭を下げて、笑顔を見せてくれた。
「こんにちは! それからえっと……?」
「僕の妹ですよ。……アイ」
僕の声にこくんと頷き、ノワールの背から降りる。
「初めまして! アリシャ・ケインです! 皆からはアイって呼ばれてますっ」
猫被ってんなぁ~……
「がう」
「にぃ! ノワ! めっ!」
「はいはい……めって、僕は犬か何かなの?」
「わふ」
間違ってない、ね。まあ、そうなんだけど。お前には言われたくはないよね?
「アイちゃん……私はツバサ・ケアルです! ツバサって呼んで。私もアイちゃんって呼ぶから!」
「わかった! ツバサちゃん!」
「アラシ。アラシ・フェルドだ。イツキ先輩とは同じ部活でお世話になってる」
「俺はレオン・エクレール! 特にユーリ先輩達とは被ってないけど、何かと縁はあるぜ!」
「そうですね。別に同じ部活でもないのに……まあ、ツバサさんのお友達ですし、間接的に関係はあるということなんでしょう」
「ほわ。にぃ、めっちゃ敬語~」
「うるっせ」
「お前のその温度差に風邪引くわぁ」
勝手に引いてろ。
ここで初めて会うリランとノワールは互いの様子を窺っているのか、じっと見つめあったまま動こうとしない。が、先に動いたのはリランだった。遠慮がちに近づいたかと思うと、ノワールの匂いを嗅ぎ始める。ノワールが邪険に扱うのかと思ったが、意外とじっとしていた。まるで、リランを観察するように、目を離さない。
……珍しいこともあるもんだね。



~あとがき~
もふもふアイランドがはっじまるぞ~

次回、白と黒の獣を連れて、一年トリオと二年コンビ(+α)が向かう先は?

お久しぶりです。ユーリ&イツキコンビ!
イツキは前回のお風邪編で、ちろっと出てましたが、ユーリは大会以来です。アリシャは二年トリオの休日回以来です。アリシャはメインでもなければ、サブでもないので、また出せるとは思いませんでした。今回はがっつり出てきてもらいますよ~(多分)

ではでは!