satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第148話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で頑張る物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ユーリとアリシャの父、レイフィードが出てきたり、なぜか研究所に入ろうとしないリランとの攻防が始まったり色々ありました。
今回はそんな攻防から続けてやって参りますよ。


手伝える身内は皆参加しているにも関わらず、リランはびくともしない。後ろへ下がらなくなっただけまだましなのかもしれないけれど。
「そんなにこの前のトラウマなのかぁ~」
「な、何したの、父さん」
「色々あってねぇ……えへ」
可愛くないからっ!
しかし、このままではこちらもリランも消耗戦。こちらがスタミナ勝ちするならいいが、リランが勝ってしまったら、どこかへ走り出してしまうかも。
……仕方ない。
「僕、ちょっと抜ける。……あの、頑張って」
「え、あ、ユーリ先輩!?」
握っていたリードを離し、傍観し続けていたノワールの元へと近寄る。ご主人が頑張っていたというのに、こいつは他人面である。
ノワール
「……」
「命令だ。リランを捕獲しろ。ただし、傷付けたり、状態異常にするのは禁止。できるな?」
「……がう」
当たり前だと一言返され、やれやれと言わんばかりにゆっくりと立ち上がる。体の大きさを多少大きく変化させ、のそのそリランに近づく。そして、リランを繋ぐリードを前足で押さえ、リランの動きを制限した。
「せんせー! やるなら! 早く!」
「がう」
「……! レオンさん達はリランから離れても大丈夫です!」
レオンさん達が離れる瞬間、ノワールはリランの頭を前足で押さえつけ、その隙に首根っこを咥える。そして、意図も容易く持ち上げてしまった。
ノワール! お前、神様だな!!」
「ノワー! お手柄だよー!」
レオンさんとアイの称賛には耳を貸さず、のそのそと僕のところまで戻ってきた。
「よくやった。ノワール
「…………わふ。あんっ!?」
自分がどうなっているのかようやく理解したらしいリランがバタバタと暴れだすものの、ノワールの拘束から逃れることはできない。びくともしないノワールだが、暴れられるのは不快だったのか、キッと表情が変わる。
「ぐぅ……がぁぁっ!!」
「わふっ!? くぅん~……」
ノワールの一喝に流石のリランも大人しくなった。しょんぼりしつつ、ノワールに身を任せることにしたらしい。
「あ、ありがとうございます、ユーリさん。ノワールも、ありがとうね」
ツバサさんに優しく撫でられ、ノワールは顔には出さないが、尻尾はぱたぱた動いている。ツバサさんに撫でられたのが嬉しいのだろう。
「いえ。……それで、リランはどうすれば? 父さん、どこのエリアに行くの?」
「んーとねぇ……第四までお願いしてもいい?」
第四エリアと呼ばれるそこは、一般的に立ち入り禁止区域だったはずだ。僕は父さんに会いに何度もここへ来ているけれど、第四エリアには足を踏み入れたことはない。
「ツバサちゃんと一緒に来たのなら、他言無用という話も聞いてるんだよね~? ユリくんだし!」
え、何その信頼?
「お願いします、ユーリさん。リランを運ぶの、手伝ってもらえませんか……?」
「父さんもそう言うなら、僕は構いませんよ。……ノワール、中まで頼む」
「ぐぅ」
「くぅ~……ん」
リランの悲しそうな声に罪悪感を抱かないわけじゃないけれど、飼い主のツバサさんに言われちゃうと、下手なことはできない。
ごめんね、リラン。

この魔術研究所には第一エリアから第五エリアが存在する。各エリアで研究している分野が違い、今回向かうエリアは主に精霊を扱うところだったはずだ。
父さんの研究分野、精霊じゃなかったと思うんだけれど……んでも、この人、分野がころころ変わるから、僕の知らないところで配置代えでもあった可能性はある。
「第四はね、一部の研究者と関係者以外立ち入り禁止なの~♪ だから、パパがいてもアイちゃんもユリくんもほんとは入っちゃ駄目なんだぁ」
「パパの研究室、そこなの?」
「違うよ~? ここ何年かは変わってな~い」
じゃあ、石の研究か。
「そそ。変わらず魔力石を眺める日々だよ。……あ、この前のユリくんが言ってた石ね、測定と鑑定、終わったよ。加工はまた今度やるから待っててね~」
あぁ、うん。
この会話だけで何のことだか分かったのはイツキだけだったらしく、ぽんっと手を叩いた。
「あ、あのクーちゃんの?」
「クーちゃんの。せっかくだし、試したくて」
「……俺でか」
「お前でだ。リリアも一緒だから辛いのは一瞬」
「いいけどさぁ……毎回俺を実験台にするのよくないよ? 端から見たらいじめだからね!」
人聞きの悪いことを言わないでほしい。ちゃんと試合形式で行っているし、僕もイツキの技は受けてるんだ。おあいこだよ。
クーちゃんの名前が出て、アラシさんやレオンさんも思い出したらしく、「あ~……」と呟いていた。
「クーちゃんって、あれか~? ツバサの精霊の……あの、ちっこい狐?」
「うん。そだよ。大会でユーリさんの麻痺を治してた精霊さん。クーちゃんが結晶化させた石をユーリさんにあげたの。……レイさん、魔力石でもないあの石を分析したんですか?」
「俺の専門分野だかんね~♪」
……精霊。
「精霊の研究エリアへ行くということは、リランは犬ではなく精霊なのか?」
「ツバサの精霊? えーでも、この前は狐だったろ? ってことは、実はツバサじゃない誰か……お前か、アラシー!」
「見た目で判断してませんか、イツキ先輩!? 確かに、俺が呼び出したんなら犬っつーか、狼ですけど! んでも、属性は火属性。白はないです」
精霊は術者の属性に合わせたやつが呼び出される。だから、見た目がそれっぽいからといって、アラシさんが呼び出したとは考えにくい。
「んお。そっか……え、んじゃあ、ツバサの精霊って考えはあってるのか~……?」
「そうですね。……完全とは言えないんですけど」
「うーん? よくわかんな~い」
「リランは普通じゃないってことだよ、アイちゃん。ま、詳しいことはまたあとでね」
雑談混じりに話をしている間に、目的地である第四エリアの入口へと到着していた。僕らの話に何ら興味のないノワールはとっくに到着していて、「おっせぇよ」みたいな顔をしていた。
「ありがとね、ノワール。さっすが、ユリくんの相棒精霊だ~」
「えらいえらーい!」
父さんとアイの言葉に満更でもない様子のノワール。その証拠に尻尾がぱたぱたと動いている。
父さんが扉近くに設置してあった認証システムを軽く操作し、扉を開ける。
「ほらほら、ユリくん達も入って入って~」
父さんに言われるがまま、中に入る。エリア移動しただけだから、何か景色が変わるわけではない。侵入禁止区域という雰囲気はなかった。
「んと、その扉だ。そこ入ったらノワールはリラン降ろしていいからね。ツバサちゃんも、魔法解いてだいじょぶだかんね~」
「がぅ」
「はーいっ」
端末を操作して、入ってきた扉にロックをかけた父さんは、近くの部屋の扉を潜り、ちょいちょいっと手招きをする。それに素直に応じたノワールは、言われた通りにリランを優しく地面に下ろした。
「ここまで来て逃げるのはないと思うけど、もしものときは、ノワール、頼んだよ~♪」
「……がう」
「にゃはは♪ ユーリ先輩の精霊なのに、レイフィードさんの精霊みたいっすよ~?」
「えへへ♪ 仲良しだから」
「ぐ、ぐるぅ……がう」
昔、研究だーとかなんとか言われて、色々とやらされたからだろうか。ノワールは父さんの言葉に、案外素直に従うのだ。不服そうではあるけども。
皆と一緒に入った部屋は検査室というか、動物病院の診察室みたいなところだった。僕ら全員が入っても広さには余裕があり、周りにはいかにも高価ですと言わんばかりの最新機器が所狭しと揃っている。
「イツキ、壊すなよ」
「触りません。だいじょーぶ」
流石の馬鹿もこれらがとてつもなく高価であると判断できたらしく、両手を上げて、触りませんアピールをする。その辺はアホっぽいが。
「イツキ先輩、ユーリ先輩からの信頼なさすぎじゃないっすか?」
「いつものことですよ、アラシさん」
「よし! じゃあ、解除しますね♪」
と、ツバサさんが扉付近でじっとしているリランに近づき、そっと頭を触ると、光に包まれた。次の瞬間、優しく暖かな光に包まれたリランが、犬からドラゴンへと変化していた。
ドラゴンになったリランは無理矢理連れ込まれたのが相当嫌だったのか、かなりいじけてしまっている。そんないじけるリランを見ても、ドラゴンには代わりはないので……
「ドラゴン!! かっこいー!!」
「わあー! 犬じゃなくってももふもふなんだね、リラン、かわいいー!」
という、二人の反応はある意味、間違ってないのだろう。
しかし、ドラゴンはドラゴンでも……白竜か。
「ねえ、父さん。リランって父さんの持ってる文献にあった……白竜なの?」
「んふふ。ユリくんは勉強熱心だねぇ~♪ そだよ。その白竜さんだろうって言われてる。まあ、まだ色々と研究中ではあるけれど……さぁて、リラン。検査の時間だよ~♪」
「わうぅぅん!!」
……あの、全力で嫌がってますが?



~あとがき~
レイフィード、パッパに思えなくなってきた。

次回、検査を嫌がるリランVS検査したいレイフィード! どうなる!?←

白竜の説明は以前しましたので、ここでは省略します。まあ、ユーリはすでに知っているみたいですね。イツキとアイは知らなくても、気にしないでしょう。ドラゴン!! すげー!! となってるだけですからね!(笑)

ではでは!