satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第149話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で色々格闘してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、嫌がるリランをノワールが捕まえ、無理矢理研究所へとお邪魔したユーリ達。そして、ドラゴン姿のリランとご対面です。
今回はイヤイヤしまくるリランの話。
ユーリ「ざっくりですね」
ざっくりだね……(笑)


検査をしたい父さんと、何がなんでもやりたくないリラン。人懐っこいリランがここまで嫌がるのも珍しい気もする。
「おじさん、何したのさ~?」
「ん~?……まあ、普通のことしかしてないんだけどね。ここに来れば観念するかと思ったけど、駄目か。甘々でしたか~」
小さく肩を竦め、父さんは棚からファイルを取り出して、キャスターつきの椅子に座る。見ているのは多分、前回の検査結果とか、リランのカルテとかそんなんだろう。
「色々あったんすよね……あんときは」
「だな~? そのせいで研究所とレイフィードさんも嫌いになっちゃったんすよね~」
父さん!? 何したの、本当に!
リランは診察室の出入り口から動こうとしなかった。涙目になりながら、ぷるぷる震えている。そんなリランにアイは傍にしゃがんでよしよしと頭を撫でていた。
ノワールは部屋の隅で大人しく待機中だ。一応、父さんの言葉を守るためか、体の大きさに変化はない。
「前回の診察、予定にないことしちゃったんだよねぇ……それのせいかなぁ」
……? どういうこと?
「んと、ですね……前回来たとき、急だったんですが、採血したんですよ。たまたま、レイさんが他の精霊との違いに気づいて、それを確かめたいからって」
その話を受けて、ツバサさんは承諾を?
「はい。リランのことが少しでも解明するならと。……でも、リランに採血するよ! なんて、説明しても微妙な反応で。その、理解してないと言いますか」
「リランはやったことないだろし、説明も難しいもんな? それは仕方ないよ~」
そのまま、始めてしまった、と。
「そゆこと。採血用の注射器見たら、恐怖心からか暴れちゃいまして~♪ いやぁ、失敗失敗! 機材もいくつかお亡くなりに……上からも怒られちゃった☆ ひっさびさに怒られた! あはは~♪」
笑い事か!?
「はう……あのときはごめんなさい、レイさん! 弁償代、足りましたか?」
「もちろん。むしろ、多すぎるくらいだった。お母様によろしく~」
弁償代を支払ったのはツバサさんの母親……理事長か。お金持ちは違うな、やっぱり。
「ツバサちゃんのおうち、すごぉい!」
「こらこら……アリシャ、そういうことじゃないからな」
「? そなの?」
そなの。
しかし、原因は分かっても、リランの状況が変化するわけではない。どうにかして診察台へと上げなければ。しかし、ドラゴンで大きくなったリランを持ち上げるのは容易ではない。どうしたものか。
「リラン、ちょっとだけだから。痛いことは何もな……ってぇ!?」
優しく声をかけつつ近づいてきたアラシさんに容赦なく噛みついた。本気で嫌なんだな。
「もう、何とかして持ち上げる? アラシ、そっちから行こう。アイちゃん、ちょっと離れてて。危ないかもだから」
「わ、わかった! いーにぃ達、気をつけてね!」
ずっと傍で撫でていたアイがリランから離れ、ノワールの近くへと移動する。まあ、何かあってもノワールが守るだろう。
「リラーン! 今日は診るだけだぞ! ね、おじさん!」
そだねー……採血とか針を使うような検査はないかな~……今のところ」
余計なこと言わないで、父さん。
イツキとアラシさん、レオンさんでどうにか押さえ込もうとするも、リランが突進してきたり、尻尾を振り回したりと、迂闊に近づけない。
「イツキ、尻尾攻撃来るよ」
「ぐえっ!」
お馬鹿め……
遠心力で威力が上がった尻尾攻撃を腹で受け止めたイツキはその場でうずくまってしまう。それを見た後輩二人もすすっと後ろに下がる。そりゃあ、受けたくないもん。先輩の務めを果たしたな、イツキ。
「だーいじょぶ? ユリくん、もうちょいテンション上げて言ってあげたら~?」
そんなこと言われてもな……これが通常テンションだしな。
「くっそ、リランのやつ、意地でも診察受けるつもりないな。……武器に戻すのは……リランがなりたがらないから無理か」
「迂闊にリランに飛び付いても、イツキ先輩の二の舞だもんな~……どーするよ?」
無理矢理引き上げるのは無理。ノワールに持ち上げてもらってもいいが、診察台に下ろしたところで、すぐ逃げられるのがオチだろう。
手詰まりとはこのことか。
「パパ、おもちゃは~? ここ、いっぱいあるよ!」
部屋の隅っこで見つけたらしく、アイがアヒルのおもちゃを持ってきた。その後ろから、アイに頼まれたのか、ノワールがおもちゃの入ったカゴごと持ってくる。
「それねー……精霊の気を引くためにおいてあるもんなんだよね。あんまり活用した記憶はないけど……まあ、一応」
父さんはアイから受け取ったアヒルのおもちゃを診察台に置く。最早、やけくそなのか、ノワールの咥えているカゴの中から手当たり次第に並べ始めた。そして、一つを手に取ると音を鳴らす。
「音が鳴るおもちゃなんですね」
「うん。他にも鳴るやつあるよ。鳴らす?」
「じゃ、じゃあ、一応……」
父さんとツバサさんはお互い一つずつ手に取り、音を鳴らしていく。『プピー』と少し間抜けな音が診察室に響く中、ちらりとリランを見てみた。すると、さっきまでは診察台すら見向きもしなかったのに、リランはおもちゃに興味津々らしい。じっと父さんの方を見ていた。
「……まさかねぇ」
と、呟きつつも、父さんはリランに向かっておもちゃを鳴らした。すると、ぴょこっと翼が動いて、自ら父さんに近づき、さらにはふわりと診察台へと上ってきた。そこには父さんが適当に並べたおもちゃの数々が。そのおもちゃに目をキラキラさせ、ぱくっと一つを咥える。
「わふっ♪ わふっ♪」
そして、リランは嬉しそうにおもちゃで遊び始める。リランが甘噛みする度、おもちゃは音を鳴らしていく。それが楽しいのか、リランは尻尾まで揺らして上機嫌だ。
「う、嘘だろ、お前ぇぇぇ!?」
「俺らの! 頑張りは!? 俺が尻尾でやられたのはなんだったの!! リランさぁぁん!?」
「チョロいよ、チョロすぎだぞ、リラン!」
何とかして持ち上げようとしていた三人が悲痛な叫びを上げる。特にイツキは一番、納得がいってない様子。まあ、わからなくはない。
そして、嫌われていた張本人はというと。
「……あはは。周りはよく見なきゃ駄目だねぇ」
と、苦笑ぎみに持っていたおもちゃを一回だけ鳴らした。そして、それも診察台に置くと、アイとノワールの頭を優しく撫でた。
「お手柄だね、アイちゃん。ノワール
「えへへっ! ほめられたね、ノワ!」
「……がうっ」
「さて、紆余曲折あったけど、やりますか~」
父さんはおもちゃに夢中になっているリランを診察することができたのである。
ま、大それたことは何もなく、触診だったり、体重測定だったりが主な内容らしい。そして、最後にリランの毛を少しだけ採取して診察は終了。十分程度で全て終わった。
この時間のためだけにリランと綱引きしたり、診察台にあげるための格闘したりしていたんだな。……僕は格闘してないけど。
「つまみ食いとかで食事回数が増えてるんだっけ? んでも、体重に変動はないね。元は武器という概念から外れないからだろうな。ふむぅ……面白い構造だな~♪ 運動量はどうだい?」
少しだけ仕事モードの父さんは笑顔でツバサさんに質問を投げ掛ける。それを受けて、ツバサさんも少しだけ考え込み、口を開いた。
「そうですね~……変わらずです。土日はツルギとも遊んでますが、今まで以上にはしゃぐことはなかったし……イタズラもいつも通りやってるというか」
「それは見た目通りってことなんだろね。精神面も子供で、色んなことに興味があるんだよ。さっきのおもちゃ然り、ね。……とまあ、特別変わったことはないっと。……このあとはいつも通り、広場で様子見しようか」
「はいっ♪ リラン、広場行くよ~♪」
「! あんあんっ!」
広場という言葉で、遊んでいたおもちゃからぱっと離れる。そして、診察室の扉まで戻ると、早く早くと急かし始めた。そんなリランを見て、ノワールが呆れたように見つめていた。
「……がう」
うん。子供だからね、リランは。
待ちきれないリランには申し訳ないけど、僕らは出したおもちゃを片付け、父さんはファイルに何やら書き留めるという作業をする。多分、さっきまでの会話だったり、今回の結果をメモしているんだろう。
それら全てが終わり、僕らは父さんの言う広場へと移動することとなった。



~あとがき~
検査できました。

次回、広場で大はしゃぎリラン。
あれれ~? この前も大はしゃぎしてたぞ~?

話したいことはない……そうだな。
ユーリが格闘に参加しなかったのは、無理だと思っていたからです。入口でもあの力を体感してたので、生身は無理だろと勝手に傍観してました。
単純に、三人いるからまあ、いいか。みたいな所もある。他力本願というわけじゃないけど、一歩引いて観察するのはユーリの癖みたいなもんですね。

ではでは!