satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第160話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
スカイとイグニース&リアの出会いの話でっす。過去編。レイ学で過去編は初ですね。これからも過去編あるのか微妙っすね。あるんかね?
過去編のネタはたっくさんあるけど、やる機会はなさそうだよね。まあ、いいんやけど。
今回はまだ警戒心むき出しで物静かなラルちゃん視点ですぞ。


とある休日。簡単な素材採取依頼を二つ、私達はこなしていた。一つは森林ダンジョンでの薬草採取。もう一つは渓谷ダンジョンで鉱石の採取だ。どちらのダンジョンも初心者向きで、出てくるモンスターも強くないと言われている場所だった。
まずはその一つ、薬草採取の依頼を片付けるために森林ダンジョンへとやってきたわけですが。
「薬草は五種類くらい集めろって話だね~」
「……ゴシュルイ」
「あ、大丈夫だよ! 全部、特徴のあるやつだから! ほら、写真見て見て!」
訳あってこの世界の常識という常識を学び直している私になんという苦行を。
とはいえ、ティールに見せられた写真を見るに、確かに全てがなんらかの特徴がある薬草ばかりだ。特にこのキノコ。ドクガダケ。いや、毒ですよって言ってるじゃないですか。
「……このキノコ、ほんとに探すの? マジで言ってるの? え、毒キノコじゃん。絶対」
「毒も薬になるってことだよ……あ、でも、バフ効果のある薬とは限らないのか。なら、デバフ効果の薬かも」
毒薬かな。
「ぼくはあっち見てくるね。ラルはそっち見てきて? 三十分後に連絡するから!」
「……え。別行動?」
「ここ、そこまでモンスター出ないからね! 手分けした方が早いよ」
まあ、そうだけど。
言うが早いか、ティールは森の中へと消えてしまった。ご丁寧に薬草の写真は私に押し付けて。
「……やれやれ。探すか」
しかし、こんな葉っぱをどう探せば……いや、キノコもあるけれども。そうじゃないよね?

適当にダンジョンをさ迷うこと数分。
知識に乏しい私がぱぱっとお目当ての品物を見つけられるはずもなく、迷子のように歩き回るだけである。かなり空しい。
「……? 人だ」
てけてけ歩いていると、薬草ではなく、まさかの人を見つけた。それはお呼びではなかったよ。
人数は三人くらい。私やティールみたくがっちり武装をしているわけではなく、山菜採りに来ました程度の軽装備。探検隊とかでもないのだろう彼らは、どこか困り果てた様子で辺りを見回していた。明らかに困っていると見てとれるくらいには。
ここは探検隊として声をかけるべきなのだろうか。探検隊とは、色んなお仕事をするものだと教わった。お宝や歴史的発見をするだけが仕事ではないと。人助けも仕事のうちだとかなんとか……? 誰が言っていたんだったか。……忘れたな。
しかし、見知らぬ相手とは何を考えているのか分からない。可愛い顔して襲ってくるくせに、他人には媚を売るような同年代もいるくらいだ。人なんてろくなもんじゃない。
……ろくなもんじゃないけど。
「……あ、あの、何かありました……?」
どうせ、ここで話しかけたとしても今回限りの関係性だ。今後なんてあり得ない。……大丈夫。
そう言い聞かせ、お困りの三人に話しかけた。こんなところに子供がいることに驚いたのか、戸惑いつつ顔を見合わせていた。
「お嬢ちゃんは……?」
「通りすがりの探検隊、です。……仕事でここに……あっと」
三人のうち一人が足を押さえてうずくまっていた。恐らく、彼が困っている原因なのだろう。
「これは……歩け……ないですよね。……あぁ、あそこからか」
少し上の方に出っ張った部分がある。きっとあそこから足を踏み外して、ここまで転がってきたのだろう。災難だが、折れた程度ですんでよかった。
「ごめんなさい。……私、魔法とか、回復とかできないんです。……でも、軽い処置くらいなら……あの、動かないでくださいね?」
未だに戸惑う彼らをよそに、私は手頃なところから程よく真っ直ぐな枝を見つけ、うずくまる人の足に添え木としてあてがう。そして、バッグから、手当て用の包帯を取り出し、ぐるぐる巻き付けていく。
「お嬢ちゃん、手慣れてるねぇ」
「……そんなことないです。……それに、これくらいしか、できないですから」
足の固定はしておいたが、病院で診てもらった方が絶対にいい。すぐにここから脱出させないと。しかし、探検隊バッジで脱出させられるのは、救助依頼を出した相手のみ。緊急脱出を使いたければ、私達も一緒に出る羽目になる。ティールがここにいれば、相談もできたけれど……いない以上、抜けるわけにはいかない。
「手当てしてくれてありがとう。この先は自分達でなんとかするよ」
私が考え込んでいたからか、一人が気遣ってくれた。そうしたいのは山々だが、そうもいかない。中途半端に関わったのなら、最後までやりきらねば意味がない。
「いえ……少しとはいえモンスターも出ます。怪我人背負って安全に抜けられる保証はない、です……ので、これ、あげます。使ってください」
「!? こ、これ、転移用の結晶!? こんな高級品もらえないぞ!」
「いいんです。……こういうときのための、道具ですから。私、まだ仕事あるので、一緒には行けませんが……ここを出れば、町はすぐですから」
ノウツに高いからむやみに使うなと、なくすなと散々言われたやつだけど……こういうときに使わないでいつ使う。
無償でもらうことに申し訳なさそうにする彼らに、私は思い出したように紙を取り出した。それは依頼で探す予定だった薬草の写真が載っている紙だ。
「じゃ、じゃあ、これ。……これ、持ってたら、それと交換……ってことにしましょ? それなら、私もあなた方も、損がない……と思うので」
何言ってるんだろう。損害は無茶苦茶あるんだけど。こっちが。いや、悟られるな。ノウツに怒られたって、この三人が助かるならいいじゃないか。探検隊っぽいことしてるじゃん。……あれ。救助隊ぽいか?
「お嬢ちゃんがそう、言うなら……全部はねぇけど、ほら」
「ありがとうございます。……助かります」
このままここに留まっていては、彼らも脱出してはくれないだろう。きっと、申し訳ない気持ちは消えていないはずだから。
一人から受け取った薬草の数々を適当にバッグに詰め、私はペコリと頭を下げる。そして、踵を返してさっさと去ろうとした。
「お嬢ちゃん、名前は……?」
「……スカイ。私の所属する……探検隊の名前ですけど。では、無事を祈ってますので」
私個人の名前を伝える必要性は感じなかったから、探検隊の名前を伝える。これ以上、会話を持ちかけられても話が続く気がしなかったから、今度こそ足早にこの場を去った。

あの三人組と別れて十数分後。ティールと合流し、軽く集めた薬草類を確かめてから、ダンジョンの外へと脱出した。そして、改めてお互いの成果を見せ合い、種類や数があっているか確認をする。
「……うん。バッチリだね!」
「よかったぁ。これでまた探してこいって言われたらボイコットするところだよ」
「なんでさ! けど、ラルはたくさん見つけたんだね? 凄いよ」
まあ、分けてもらったもんね。……とは言わず。
「山菜採ってた人がいたから、場所教えてもらったの。だからかな」
「……一人でよく話しかけられたね?」
「逆だよ……かけられた方」
まあ、嘘だけど。
しかし、深く追求せず、基本、私の言うことは素直に頷くティールだ。今回も例に漏れず、「そっか」と納得したらしい。
「よし、じゃあ次行ってみよー! 今度は渓谷ダンジョンか。探す素材はどこにでもある鉱石みたいだけど……頑張って探そうね」
「そだね。すんなり見つかるといいけど……あそこは一回行ったことあるとこだよね? バッジで移動しよっか」
「了解」
バッジに移動したい場所と座標を指定し、転移ボタンをぽちっと押す。一瞬の浮遊感のあと、緑ばかりの森林から、岩の目立つ渓谷へと景色が変わっていた。
「バッジの転移システム、凄いよね~♪ ま、場所を逐一記録させないと駄目だし、何かと制約もあるけど、便利道具だよね」
「脱出用の転移も、モンスターとか危険がないってのが絶対条件だもんね。緊急脱出のはずなのに」
「範囲にいたら、一緒にワープする危険があるからだろ? お尋ね者とかと町中に飛ばされるなんて事件だよ」
そりゃそうだけど。
探検隊バッジにはたくさんの機能があって、その中でも転移、転送システムは便利機能の一つでもあり、不便さを感じる一つでもあった。理由は語った通りである。敵にターゲットされている状態ではシステムは使えないのだ。チームならともかく、ソロだと何のための緊急脱出用なんだろうと思ってしまう。とはいえ、魔法を使えない私達にとっては、貴重な足というか、移動手段でもある。
他にはマップ表示とか、仲間の位置の特定だとか、通信だとか色々ある。なんかもう覚えきれないくらいだ。
「行こうか、ティール」
「うん」



~あとがき~
やっぱ、クールラルもいいっすよね。
だれおま感がいい。

次回、渓谷ダンジョンで二人が見たものとは。
シリアスシリアス~♪

ラルのこのイメージ的には、はじソラ初期みたいななんかそんな感じですね。この頃のラルは人間不信が凄いです。仲間やティールには普通ですが。
理由は本編では語ってきませんでしたが、それっぽいことを作中で言ってました。可愛い顔して襲われた経験があるからです。ま、これはオーバーな言い方してますけどね。
人は見た目じゃ良し悪しわかんねぇよってことっす。怖いね。

ではでは。