satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第163話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で危機一髪してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
先に逃がしたはずのティールが帰ってきましたが、未だ危機は脱せず。さあ、どうなる!?
ってところでしたねー
これ、ギャグ&コメディ的なやつだと思ってたのに、なんでこんなに危ない目に遭ってるんだろう。謎ですね。
今回はティール視点。なんでって? ラルが気絶してるからだよ!!


《Te side》
なぜか興奮気味のベヒーモスの更なる攻撃に備えて、後ろにいるラルを守るために防御姿勢をとったものの、ベヒーモスはぼくらに突進してこなかった。大きな炎の道が見えたと思ったら、ベヒーモスがふらつき、ばたりと倒れてしまう。
「……えっ?」
ぼくは何かしたつもりはないし、後ろのラルが何かした気配もない。それなのに、独りでに倒れてしまうのはなぜだろう? 運が良かった……なんて、そんな偶然あるわけない、と思う。
とはいえ、危機は去ったと考えて間違いないのは確かだ。終わったと実感した途端、ずっと気を張っていたせいか、全身から力が抜けてしまう。
へなへなとその場に座り込み、大きく息を吐いた。
死ぬかと思った。本当に。終わったと思った。
「…………あっ! ラル!? 大丈夫!? 返事して!」
スイとセツを鞘に納めると、慌てて彼女の元へと近づく。ぼくの問いかけに答えることはないけれど、比較的落ち着いた呼吸をしているみたいで、安心する。
「ラル……よかった。生きてる」
「……かってに、ころすなっての」
小さく咳き込んだあと、ぼそっと呟いた。閉じられていた目を無理矢理開けるみたいに、瞼を震わせた。ぼくはそんなボロボロの相棒の姿にぐっと胸を掴まれたみたいに苦しくなる。それを誤魔化したくて、彼女の頭を優しく撫でる。
「そだね。ごめん」
「こんどは、いいつけ、まもれよな……」
「それは、約束できないや」
「ばか」
……ごめん。
ラルは目を開けているのが疲れてしまったのか、再び目を閉じてしまう。ずっとこのままでいても、ラルの怪我は治らない。手当てして、どうにか病院に運ばないと。
『てぃー、るー。だれか、くるよ』
『よくないひとじゃないのら。だいじょーぶだとおもーう』
誰か……あのベヒーモスを倒した人だろうか。
スイとセツが言う方角に目をやると、こちらに駆け寄る人影がある。二人が言うなら、怪しい人物ではないのだろうけれど。
駆け寄ってきたのは、水色のワンピースの上からパステルカラーの緑色のチュニックを着た一人の女性だった。ぼくよりも少し年上だろうか。
灰色の獣の耳にクリーム色の髪をゆるく二つ結びにまとめた女の人。多分、チンチラ族の人だろう。ここにいるということは、たまたま鉢合わせた探検隊とかそういう人、なのかな。
「大丈夫!? 今、手当てするわね!」
「あ、えと……」
見知らぬ人に触れられるの、ラルは大丈夫かなと思うけれど、今はそんなの気にしてられない。
「ぼくより、この子をお願いします」
「分かった。君は少し待っててね」
ごめん、ラル。嫌かもしれないけれど、我慢してね。
「まずは体力回復させないとね……“ヒール”」
この人、魔法使いか。なら、ヒーラー寄りの土属性魔法使い……か?
“ヒール”は名前の通り、体力回復と少しの怪我の回復を促す魔法だ。完全に怪我は治せないけれど、ある程度の止血をするならこの魔法で対応できる。
「……っ」
回復魔法のお陰か、ぴくりと反応を見せる。それを見た女性はほっと息をついた。反応があって、よかったと思ったのかもしれない。
「皆、手伝って」
そう言いながら、地面を軽く叩くと、モコモコと地面が脈打ち、そこから数体の手のひらサイズのゴーレムが現れる。これは精霊召喚魔法だ。
「この子の負担にならないよう、優しく体の向きを変えてあげて?」
「うー!」
あ、ゴーレムってそう喋るんだ……?
数体のゴーレム達がラルに近づき、命令通りに体を向きを変える。そして、女性はどこからか取り出した救急箱を開き、ガーゼと消毒液を取り出した。
「ちょっと染みるけれど、我慢してね?」
てきぱきと応急手当をする姿はとても手慣れていて、無駄がなかった。魔法系統もそっち寄りだし、普段からやっているのかもしれない。
女性を補助するゴーレム達はラルの右腕と左足にそれぞれ集まって、「うー!」とパタパタと両腕を動かした。何かを訴えかけている……ように見えるけど、ぼくには何がなんだかさっぱりだ。しかし、主の女性はにっこりと笑った。
「あら、骨折してるのね。教えてくれてありがとう」
……えと、パタパタしてただけだよね?
『せーれーのことば、あるじにはちゃあんとつたわるもんなのら』
『せっちゃたちとおんなじなのら!』
はえ~……不思議だね? でも、お前らは精霊とは違う気もするけど。
『ただ、せーれーは、なれてくれば、だれでもおはなしできるんらよ! てぃーもできるよ!』
そ、そうなんだ? けど、周りに精霊使いいないから、その情報は豆知識適度にしかならないなぁ。
「……これでよしっと。次は君の番ね」
ラルの手当てを終わらせた女性はぼくの方を見て、にこりと微笑みかける。
「え、あ……ぼくは」
「放置しておくと長引くわよ~?」
「あう……お言葉に甘えて、お願いします」
ラルよりは軽傷だから、大した時間もかけずにぱぱっと終わらせてしまう。話すことがないくらいに手際のいい手当てだ。
はやい……
「よしっと。……二人とも応急処置程度だけど、手当て終わったわ。でも、病院でちゃんと診てもらった方がいいわね。このあと、一緒に行きましょう」
「えっ!? いや、流石にそれは……」
「おーい! そっちは終わったか~?」
「あら。そっちこそ」
「俺がしくじるわけないだろ? リアが倒せるって言ったんだし~♪」
「ふふ。そうね♪」
わ。新手か……
牙狼族と思われる男性は、赤いマントに濃い灰色のベストを身につけた男の人。長めの赤髪を後ろで一つにまとめていた。この人、チンチラ族の女の人と同じくらいの年、なのかな。そして、あのベヒーモスを倒したんだろう。それも、一人で、一撃で。
「災難だったな、お前ら。空腹状態のベヒーモスと遭遇なんてさ」
ベヒーモスからドロップした何かを詰め込んだ大きな袋を肩に担いだ男性が、あっけらかんとした笑顔を向けてきた。
空腹……そうか。だから、あそこまで興奮していたのか。
遭遇したときは思案する暇なんてなかったけれど、元々、ここはベヒーモスが住むような環境ではないのだ。だから、きっと食べるものも合わないだろう。それでも、この辺に住む魔物を食べて生き長らえていたけれど、食べるものにも困って……たまたま通りかかったぼくらを襲った。
「……餌かぁ、ぼく達」
『るーもおんなじこと、いってたよー』
ラルは気づいていたの。
リアと呼ばれた女性は、簡単にぼく達の状態を男性に説明し、それを理解した男性はこくっと頷いた。
「OK。そう言うことなら、俺らと近くの病院まで行くか~♪」
「はっ……その話に戻るのか! いや、でも、そこまでしてもらうのは流石に」
「ほーう? その足で仲間を運ぶ自信があると?」
あっと。そこは~……ない、けど。それはあなた方も同じなのでは……
「あらあら。そこは問題ないわよ? 皆、集まって。この子達を運ぶわよ~♪」
「うー!!」
さっきのゴーレム達……?
手のひらゴーレム達がわらわらと群がると、一つの土の山へと変化する。そして、むくむく成長し始め、最終的には約二メートルのゴーレムになった。
でっか……
『じょーいせーれーさんなのら』
『おつよいせーれーさんなのら』
へ、へぇ……ぼく、もっとちゃんと勉強しよう。そうしよう。
「“ソイル”、彼らを優しく運んであげてね」
「コオォ……」
ソイルと呼ばれたゴーレムは、その命令通りにぼくを両手で抱き上げると、肩に座らされる。そして、ラルは気遣うように両手で優しく抱き抱えると、前を歩く二人についていく。
「……あの人達、何者なんだろうね」
ぼくはゴーレムから落ちないよう、申し訳ないと思いつつも、ゴーレムの頭にしがみついていた。
『わるいひとじゃないらよ』
『ねー! てぃーとるー、ちゃんとしんぱいしてたもん』
そ、そう……
あの二人に何かを問いかける元気もなく、ただただ、ゴーレムに揺られながら病院へと運ばれるのだった。



~あとがき~
イケメン兄さんのシーン、ティールちゃんと見てなかったな。描写できないじゃん……!

次回、病院へと運ばれる二人。
今回の件を経て、二人が思うところは……

名前は! 出してないけど! 出てきましたね!!
今よりも若い(?)学生時代のイグさんとリアさんです。あ、リアさんは名前出たわ。
とはいえ、お知り合いになるには、まだまだかかります。もう少しお付き合いくださいね。

そして、大人リアさんが精霊を使うシーンが出る前に学生リアさんが精霊を使いましたね。
レイ学キャラでは三人目の精霊使いっす。ユーリ、ツバサちゃん、リアさん。
……ツバサちゃんを数えていいのかは謎だけど(汗)
まあ!? 使えるしぃ!? いいよね! ね!!

ではでは。