satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第167話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、親方部屋でのお叱り&茶番回終わりました。もうすぐ、彼らも登場するでしょう……!
ラル「……くっ。惜しいです」
リア「? あら。何が?」
ラル「ここら辺、私の知らないところで、リアさんとイグさんのラッブラブシーンがあると言うのに、語れないところですっ! 惜しいでーす!!」
リア「ちょっ!? ラルちゃん!?」
せっかくだ。あとがきで語るか~(笑)
リア「えぇぇぇ!!??」
ラル「そーだそーだ! 記録に残せー!!」


結果、二、三時間程かけて行われていたらしいお話し会は衝撃の事実を教えられてお開きとなった。
このまま真っ直ぐ帰ってもよかったのだけれど、小腹が空いたので、ギルド内にあるカフェで軽食を取ることにした。
二人で向かい合い、私はミルクティーティールはアップルティーを一口飲む。
「……長かったね」
「うん。そう、だね……お疲れ様、ラル」
「お主もな……ねえ、大丈夫?」
「え、何が?」
ティールの浮かない顔の原因はきっと、王子様ってことを再認識させられたからだ。あんまり、王子って言われるの好きそうじゃないのに。
「あぁ、うん。……久しぶりに実感した。その重みってやつ。ここに来てから、ただのティールとしてやってこれたから、余計にね」
困ったように笑い、サンドイッチを手に取る。それを口に運んでから、ちらりと窓を見た。それにつられて、私も見てみると、まだ日は高く、夕暮れにはまだ時間がかかるだろうか。
私が視線を正面に戻すものの、ティールはまだ外を見ていた。そのままの状態で話を続ける。
「駄目だったのかな。あのときの選択……本当は、選んじゃいけなかったのかな」
あのときは感情で動いたから、今更ではあるけれど、考えてしまっているのだろうか。過去の話だから、本当に今更なんだけれど。
「私は嬉しかった」
「……え?」
私の言葉にティールはこちらを振り向く。真面目すぎで、考えすぎの相棒に私は優しく微笑む。
「なんで戻ったんだとか、言うこと聞けやなんて、あそこでは言ったけど……助けてくれて、嬉しかったよ。だから、いい選択とは言えなくても、駄目ではないんじゃないかなって」
親方も、自分の気持ちを大切にしてねって言ってたわけだし。
ティールは助けに戻ったとき、後悔はなかったんでしょ? 私がやられててたのを見て、やっぱ、やめとけばよかったなんて思ってた?」
「いや、それは全く……」
「なら、いいんだよ。間違ってない……なんて、やらかした二人で慰めるのも変な話だけどさ」
「あはは。そうだね……でも、ありがと。ラルにとって、間違ってなかったんだね」
「うん。個人的にはそう、思ってる。他の人から見ても間違ってないって言わせられるようにするには、強くなるしかないんだと思う。頑張ろ」
「そだね」
まだ少し無理して笑っているように見えるけれど、これ以上はもう何も言えない。あとは時間に任せるか、ティール自身が折り合いをつけなければならないのだろう。
「あ、そういえば。さっきの話。シリウスの」
ん? あぁ、それか。
「もしかしたら、学校で会えるかも。探してみる? お礼もまだだし……」
「え。中等部の制服で高等部の校舎に入るの……? お前は勇者なのか?」
「あ~……目立つね。うん。やめよう」
懸命だ。
それに、私はその二人の顔をはっきりと見たわけではない。会話をした記憶もないし、探すとなるとティールに頼るしかないのだ。あの莫大な敷地内でたった二人を探すのはな。無謀というものだ。
「……親方に協力してもらえればよかったのか。知ってたからさ、仲介してもらえばよかったのよね。今にして思えば」
「確かに。今からお願いに行く?」
……今はいかなぁい。面倒だもん。
ティールが呆れたように見ているけれど、彼一人でお願いに行くのも嫌らしく、それ以上は何も言わなかった。
「話からすると、ベヒーモスを倒したのが炎鬼の……?」
「なんでそっちを覚えてるのさ。イグニースさんだよ。イグニースさん。ちゃんと覚えてね」
ういっす……
そのイグニースさんとやらは、私達の三つ上……たった三つか。
「凄かったよ。ちょっと遠かったから見えなかったところもあるけど、一撃だったと思う」
私は見ていないが、ティールはきっと、そのときの場面を思い出しているのだろう。少しだけ思案して、小さく首を振る。
「……きっと、元々が強い人なんだよ。流石にぼくはあそこまでは……いける気がしないなぁ」
でも、いかないと。
「……分かってる。約束だもんね。ラルもその約束、ちゃんと守ってよね」
「ん~?」
「死にたがりしないでねってこと。自分のことも考えるってこと!」
それは、極力、努力はするけれど……
また、似たような場面に遭遇して、私は今回とは違う選択を取るだろうか? どちらかしか生き残る可能性がないとき、私は……
「今、同じ場面に遭ったとしても……やっぱり、私はティールが無事でいてほしい。だから、そうなったら迷わず私は……あ」
じーっと私を見つめ、頬を膨らませたティールに気づいて、言葉を止める。が、時すでに遅しで。
「隣座っていいかな、ラルさん」
「ど、同席拒否……や、待って? こっち来ないで? いやぁぁー!!」
私の言葉なんて聞こえていないのか、つかつかっと歩み寄り、私の座っていたソファ席へと移ってきた。そして、にやりと笑って、いきなりくすぐり攻撃を仕掛けてきた。
「ご、ごめ……ごめんって! 冗談だよ!! く、くすぐ……きゃぁぁぁ!!」
「この前の話は! 嘘だってこと!? そんなのずるいよー!! ラルのバカー!」
「にゃ、ちが……くふっ……んー!! あんなの、頻繁に起こってたまるかー!! きゃはははっ! ちょ、激しいって! やめてぇぇえ!!」
「問答無用!」
いや、もう、こんなところでやめろってば!
けれど、私にお仕置き─ただのくすぐりだけど─をするティールはいつものティールだった。私の無茶を止めてくれて、いつでも隣にいてくれる、優しい相棒だ。さっきまでの思い詰めた顔ではなくなっている。それなら、あの冗談のような本音も、無駄ではなかったのかもしれない。
「何? なんでそんな嬉しそうに笑ってるの?」
ティールがぴたりとくすぐるのをやめると、不思議そうに首を傾げる。私はそんなつもりなかったのだけれど、無意識に表情に出ていたのだろうか。
「そ、そう? 気のせいじゃない?」
「……ふーん? くすぐられるの、そんなに好きなの?」
「え、いや、それはちが……こらぁぁ! ま、また、やろうとしな……みゃあぁぁ!!」
楽しくなってきてしまったのか、ティールが珍しくいたずらっ子みたいに笑って、私をまたくすぐり始めた。これ、下手したらティールの方が悪者になるけれど……ま、まあ、いいか。楽しそうだし。
いやでも、そろそろくすぐりはやめてほしいかな!?
「ちょ、も、もう、やめて! お願いだよー! ティールさまー!!」
「ラルがあの発言を撤回するまでやめなーい!」
「そ、それはちょっとむ……ぎゃあぁぁ!! ごめんなさいごめんなさい!! お許しをー!!」
「よう♪ 元気そうだな、お二人さん?」
……?
完全に二人だけの世界だったから、声をかけられるまで、近づいてきていた人影に全く気づかなかった。
少し長い赤髪を後ろに束ね、ぴんと立つ獣の耳。流れるような毛並みの尻尾をもった男性。そして、にっと爽やかな笑顔を浮かべる牙狼族のお兄さん。
その隣に優しいクリーム色の髪を緩く二つにくくり、少し大きな灰色の耳とふわふわっとした尻尾が特徴的な女性。優しく控えめな笑顔を向けるチンチラ族のお姉さん。
そして、二人はカップルなのかなんなのか、お揃いのピアスを片耳につけていた。色は違うが、デザインは同じものだ。
……うん。ここまで特徴を整理しても、知らない人ですね。
「!? ちょ、ラル! こっち!!」
驚いたように立ち上がると、私の手を掴んで、無理矢理立たせると、カフェスペースの隅っこへと連れていかれる。何がなんだかさっぱりだ。
「何……どうした?」
「あの二人だよ! シリウスの!」
「……え」
ちらりと後ろを見る。私の視線に気づいたのか、牙狼族のお兄さん改め、イグニースさんは手を振ってきた。どう反応していいのか分からず、曖昧に会釈してティールに視線を戻した。
「あの二人が? 間違いないの?」
「間違いないよ。う、噂をすればなんとやらってこのことなんだね……?」
そうだね。
話しかけてきたということは、少なからず私達を覚えていたのだろう。たまたま見かけて、話しかけてくれたと解釈すべきだ。あちらに私達のチーム名も個人名も教えていないから、探していたわけでもあるまい。彼らの中で、『たまたま助けた新米探検隊だろう』という認識でしかないはずだから。
ティール、こういうときはどうすべき、なのかな」
「どうって……普通にお話し……は、でき、そうですか。リーダー」
そう問われて、もう一度二人を見る。今度は二人して話しているみたいで、私の視線に気づいていないみたいだ。
「ちょっと、無理……悪い人じゃないのは、わかるんだけど……やっぱり、その」
「分かった。ぼくが話すから、無理しなくていいよ。しなくていいんだけど、コミュニケーションも慣れてかないとだね」
「……うん」
「ゆっくりでいいさ」
ティールが優しく笑うと、私の手を握り、元の席まで戻った。私を庇うように前に出て、二人に頭を下げる。
「ごめんなさい、ちょっと色々と話をしていたもので。この前は、ぼく達を助けてくれてありがとうございました、探検隊『シリウス』さん」
「ん? あれ? 俺達、名乗ったっけ?」
イグニースさんが首を傾げる。言葉は発しなかったものの、リアさんも思い当たる節がないようで、似たような反応をしている。
「いえ。ただ、病院の方や親方……プリン親方から聞きました。お二人の名前も」
「おー! そっかそっか♪ いやぁ、こっちこそ、名乗る暇なくてごめんな~? 怪我の具合もよくなったみたいで何よりだぜ」
イグニースさんがティールの後ろに隠れる私をちらっと覗くように身を乗り出す。私は一瞬だけ目を合わせるものの、すぐに逸らしてしまった。
悪意はないんだけれど、年上の男の人ってのも、あまりいい思い出がない。あれこれ難癖や明らかな悪口をぶつけてくる先輩探検隊のせいだ。もちろん、イグニースさんはそういう人ではないんだろうけれど……分からないから、あまり目も合わせられないのが本音だ。
「お陰さまで」
「あのときは、ベヒーモス討伐を依頼した依頼者のところへ行かなくてはならなくて……本当なら、最後までついていてあげたかったのだけれど。本当にごめんなさいね?」
「そんな。病院に連れていってくれただけでもありがたかったので。謝らないでください」
「立ち話もなんだし、少し座って話そうぜ♪」
えっ。
「ご一緒してもいいかしら?」
リアさんはティールに、というよりは、私に向かって聞いてきた。にこっと安心させるように笑う。
何が目的なんだろう……いや、この場合は目的とかないのか?
真意は不明だが、ここで断るのも不自然だろう。私達が飲んでいた飲み物はまだあるし、二人で食べていたサンドイッチも少し残っている。こんな状況で立ち去る言い訳なんて思い付かない。
だから、私はティールの影から小さく頷いた。



~あとがき~
他人を目の前にして小さくなるラルはレアだぞ!
今は堂々としてますからね!! 臆することなくなりましたもん!

次回、スカイとシリウスの雑談回。

ここの一方その頃で、リアさんとイグさんのイチャイチャがあるんですよ。ほんとにね、書きたいですよ。いいですか。ここで言っても。駄目って言われても言うわ。裏話としてお聞きください!
フェアリーギルドへ来る前、イグさんと待ち合わせをしていたリアさん。後からやって来たイグさんに声をかけられ、振り返ると、いきなり抱き締めからのおでこにキッス! これをイチャイチャと言わずに何と言う!? ラッブラブと呼ばすに何と呼ぶ!?
はー……リアさん大好きなイグ兄さんが好きです……もうこれ、作者側のコメントではなく、一ファンとしてのコメントですね。おかしいなぁ?
イグ&リアは相方のキャラなので間違ってないんですけどね~

ではでは!