satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第169話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で話してた物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、スカイとシリウスの再会を果たし、まあ、色々ありましたが、イグさんとリアさんと仲良くなり始めるスタートラインはあんな感じだったと思ってくれれば!
今回からは予告通り、時間を現在に戻します。
なんか久しぶりな生徒会メンバーをお楽しみください!


「ほえ~……そういう経緯があったんですね~」
私の席に座ったままイグさん達との出会いの話を聞いていたツバサちゃんは、うんうんと頷きながら聞いていた。マグカップを両手で持ちながら、思いの外、真剣だったのだ。話しているこちら側としては、そこまで気合いの入った話ではないと思うのだけれど。
「お前にもしおらしい時期があったんだなぁ?」
この話を誰かにしたのはこれが初めてで、フォース君もここで初めて聞いたことになる。本を片手になんとなく聞いていた彼の感想は、ある意味彼らしいものではあった。らしいからと言って、ムカつくのは変わらなくてだな。
「はぁ!? 今でもしおらしくできるしぃ!? 大人しめ美少女いけるもんねー! なめんな、バーカ!」
「そういう発言をするやつが大人しめ美少女になるわけねぇだろ。アホ。……いつからこうなんの、こいつ。少なくとも、おれと会ってからはこれだよな」
「ん? そうだなぁ……大体、中三くらいだよ。猫被りやめたの」
猫被りとか言うな。被ってねぇし!
私と一緒に過去を語ってくれていたティールは、手元の書類に何やら書き込みつつ、フォース君の質問に答える。
「ごめんごめん♪ 言い方変えるよ。素を出すようになった、かな?」
「う、うん……うん? それはそれで刺を感じるのは気のせいかな。相棒くん」
「気のせいだよ、相棒さん」
ぐむむ……? まあ、いい。そういうことにしておこう。
「ラルさん達がイグ兄やししょーと仲のいい理由が分かりました♪ ラルさんやティールさんは、話にあったお誘いに乗ったから、今みたいな仲になったんですね?」
「そうそう。あの場じゃ、ラルが答えを出さなかったんだけど……結局ね。直接、誰かに指導してもらった方が上達も早いだろうと思って、お願いしたんだ」
で、悲しいかな、仕事を押し付けられたり、いじってくるようなお兄ちゃんとお知り合いになったわけだよ……
「またそういうこと言う……ぼくらだって、イグさんに仕事をお願いすることあるだろ? お互い様だよ」
そうかなぁ……? あの人は人使い荒いと思うんだけれど? 気づいたら、いいように使われてた率が高いような。この前なんていい例じゃない。
「イグ兄、口が上手ですからね~♪ それにしても、ティールさんが『家出王子』様だとは思いませんでした」
「なっ!?」
この話で久しぶりに思い出したな、家出王子という名前。
ツバサちゃんの『家出王子』というフレーズを口にした瞬間、私とフォース君が同時に吹き出したことは言うまでもない。私はもちろん、フォース君もティールの事情は知っているから、笑いが込み上げてくるのだ。仕方がない。
「本当に家出はしてないからね? 留学扱いだから……おい。そこ、笑うな」
「あぁ、悪い。大丈夫、分かってるって。家族公認の家出ってことだもんな?」
「んなわけないだろ! 最早それ、縁切られてるよな!? 切ってないから!」
「大丈夫、だいじょーぶ」
「何が大丈夫なの!? 返事が適当すぎるだろ、フォース!」
フォース君が珍しくティールいじってるなぁ。
わいわいし始める男子二人を見たツバサちゃんがハッとなって、慌てて首を振る。
「いえいえ! 私はティールさんが家出しているなんて思ってないですよ! ただ、ティールさん=家出王子、だと思ってなかったんです」
「……? どういうことだい、ツバサ?」
「じいじのギルドで家出王子様のお話が盛り上がっていたときがあって……その話に出てくる王子がティールさんだとは今まで思ってなかったってことです」
……ん?
「私が小三くらいでしたかね……? その頃にじいじが「家出王子がレイ学に入学してくるぞ~♪」って。じいじだけじゃなくて、ギルドの方からも話は聞いてました」
……うん。なるほど? ちょっと失礼?
私はティールの腕を掴み、部屋の隅っこへ行き、その場にしゃがみこむ。ちょうど、フォース君とツバサちゃんに背を向ける形だ。
「ね、ラル? ぼくの理解力が乏しいのかな。今、ツバサがとんでもないこと言っていた気がするんだ」
「いやいや、君の理解力は正常だ。つまり、ツバサちゃんのおじいさんはギルドをやっている人ってことよ」
「……そして、イグさん達の話に出てきた、妹と家出王子の単語……二人の妹分はツバサのことで、そのツバサのおじいさんはギルドのトップ」
うちで言う、プリン親方の地位である。
まあ、フェルドの名を聞いた時点で、ツバサちゃんとイグさん達との繋がりを予測すべきではある。ティールは驚いているみたいだけれど、私の場合、この点においては、なんとなく想像はしていたので驚きはない。ないけれど、世間は狭いことを痛感せざるを得ない。
なぜなら、間接的に何年も前からツバサちゃんの知り合いと仲良くしていたのだ。そんな偶然、早々ないだろう。
……あれ? 私、どこかでギルドの名前とおじいさんの名前聞いたな? どこだ……あぁ、大会だ。ツバサちゃんのお父さんであるアルフォースさんが親方さんを『おとうさん』って……えぇっと?
「ねえ、ティール。『明けの明星』ってギルド知ってる?」
「え? まあ、名前くらいなら。有名な商人ギルドだよ。ギルド内でアイテム製造して、色んなとこに商売してて……探検隊のギルドでもあった気がするけど。親方は……ルーメン、だったかな。その人、探検隊連盟の会長とかじゃなかったっけ」
流石、ティール。私の知らないこともちゃんと知ってる。そして、ケアル家の実績というか、経歴がヤバイことも明らかになったな!?
「マジかよ。え、そんな人がツバサちゃんのおじいさんってことだよ?」
「…………うわっ!? そうなるのか! うぇえ!? あのギルド、めちゃくちゃでっかいんだよ!? こわっ!」
私の指摘に数秒黙り、ティール自身の脳内整理が完了した後、めちゃくちゃ焦り始めた。
「連盟の会長ってある意味、ぼくらの上司だよ? なんなら、親方よりも上の人だよ!? 怖い怖い!! そんな人と血の繋がりのあるツバサと知り合うぼくらも怖い!」
「わ、悪いことできないっすよ、ティールさん」
「いや、別にしないけど……」
もっと乗ってこいよ。つまらん。
「何、隅っこで密会してんだ~? もしかして俺の悪口かなぁ?」
……は?
頭上からの声に二人で上を見上げると、にやにやと笑うイグさんがいた。
「きゃあぁぁあ!?」
「うわぁっ!? イ、イグせんせ……! え、いきなりなん……って、ラル? 仲間を盾にするのはどうかと思う」
二人してその場から素早く立ち上がって遠ざかるまでは、ほぼ変わらないタイミングで動いていた。しかし、私はティールの後ろに隠れ、そんな私を呆れた様子のティール。
「や、ごめん。つい……昔の話をしたせいかなぁ」
「関係ある? で、ええっと、イグ先生? 突然、何のご用で。ノックもなしに」
「ん~……そこまで脅かすつもりなかったんだけどな? ノックもしてるし。フォースが入っていいって言ったし?」
あん?
二人でフォース君を見ると、あちらもにやりと笑っている。確信犯である。
「で? 二人して何の話なんだ? 先生の悪口か~?」
「こんなところでイグさんの悪口なんて言うわけないでしょ。恐れ知らずな」
「ほう? ここじゃなかったら言うのか?」
「さぁね。……じゃなくて!! 何しに来たのか聞いてるんです。ここ、生徒会室ですよ? イグさん、ここに用なんてないじゃないですか」
その答えを口に出す代わりに、イグさんはひらりと紙を見せてきた。それを私たちの方に差し出し、何かを企むような意味深な笑顔を見せる。
「これを渡しに来たんだよ。スカイの二人にな」


~あとがき~
一話で終わらせたかった。

次回、イグさんがスカイの二人に手渡したものとは?
次で! この話も終わりだよ!!

ケアル家のすごさ、分かります?
おじいちゃんはギルドの親方で連盟の会長してて、一国の王と親交があるんだって。
お母さんはレイ学の若き経営者。
お父さんはおじいちゃんの補佐。
子供二人も魔法にずば抜けた才能を持つ白の魔法使いさん。そして、何よりツバサちゃんやツルギ君は可愛いと。もふもふのふわふわで可愛いと。天使だと。いやぁ、もうね、ヤバイよね??←

ケアル家の話は置いておいて。
ラルの性格の変化について少し。
基本、大人しく、冷静な彼女が元々にあるにはあります。そして、別の一面として、明るく子供っぽい(?)ところもありまふ。それの比率が変化してる感じですかね?
初めはティールやギルメンと言った、心を許した相手にのみ明るい一面を見せていたのですが、今では誰にでも見せるようになり、冷静な部分は出てこなくなってます。
むしろ、冷静なところは一人だったり、何か問題に直面しない限り出てこない裏の部分、みたいな感じですね。今は。
理由として、ラルという人物はころころ仮面をつけ変えるといいますか、多面性を秘めてるのですよね。一番、多くの仮面を所有しているキャラです。多分。だからこそ、彼女の本音は見えたり見えなかったりするし、付き合いの長いティールでも分かってないところもある。扱いやすくも難しいキャラクターなのです。
ま、始まりが真っ白だから、なんにでも染まれる子だった、というのが背景にはありますが。
もちろん、これはレイ学ラルだけでなく、空海ピカにも言えますけれど。
こいつについて語ると終わらなくなりそうなので、この辺で。

ではでは!