satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第173話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でのんびりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ケアル邸を出発しました。馬車移動のメンバー達。のんびり(?)旅のスタートですね。
ラル「私達……仕事、なんだよなぁ」
ティール「そ、そうだね」
ラル「果たして、のんびりできるのか」
ティール「観光できるといいね」
どうでしょうね。相方の裁量によりますかね。
ラル、ティール「ですよね~」


《L side》
馬車の中は広く、私達五人が座っていてもまだ余裕がある。ちなみに、メアリーさんは中ではなく、馬を操る先導者さんの隣にいるらしい。エデンさんはどういう手段でついてきているのかさっぱりだが、少なくとも、ここにはいない。何らかの移動方法があるのだろう。凡人の私には理解できない何かがあるのだ。
「ね、ラル~? スプランドゥールってどんなとこー?」
ガタゴトと馬車に揺られながら、しーくんは首を傾げる。私達の拠点はフェアリーギルドで、それ以外はあまり訪れない。だから、しーくんの疑問も最もではある。
「ん? あー……隣街とはいえ、正直なところ、よく知らないんだよねぇ、私。スプランドゥールも、ギルド『明けの明星』も。ティールは?」
「ぼくも似たようなもんだよ。ま、ラルよりは詳しいと思うけども」
ま、そうだろうねぇ~……
「? そうなのか? あそこ、探検隊とか多いし、ラル達は知ってるもんだと思ってた」
「道具の調達で寄ることはあっても、観光はないかな。基本、バッジで現地行っちゃうし。あっても、中間地点くらいの認識だよ。……明けの明星にも寄ったことないよな?」
ないね。
ツバサちゃんの取り出したスノードーム型の魔法具のおかげで、馬車の中も快適な室温に保たれているからか、ティールも元気である。
なんでも、その魔法具もおじいさんのギルドが開発したものだとか。どういう原理なのか大変興味深いのだが、魔法が絡んでるとなると、お手上げである。私は基本、科学の人間なので。
「スプランドゥールは冒険者の街って呼ばれるんだって。ダンジョンに向かうような冒険者や探検隊、救助隊なんかがたくさんここを拠点に構えてるらしいよ。売ってるものもそれに特化してるし」
「ま、街がそれに適してるってことなんだねぇ……?」
「ラル、分かってるの……?」
わかってる。だいじょーぶ。
「ルー爺は陸の国を治めるお偉いさんの一人で、街も『明けの明星』が取り仕切ってんだ」
一体、どんな人なのだろう。
今回の仕事をするにあたって、情報収集はしたつもりだ。しかし、調査を頼まれたダンジョンや護衛をするという夏祭りに関すること等、仕事中心に調べたため、街の概要なんかは深く調べなかったのだ。よく知るであろうツバサちゃん達が一緒だからいいか、みたいな気持ちがあったのもある。
冒険者の街の他にも……えっと、『始まりの地』とも呼ばれてるよね?」
なんでそんなに呼び方あるの、あの街は……しかし、始まりの地はどこかで聞いた気がする。多分、歴史かなんかの授業で。
ティールの言葉にツバサちゃんはこくんと頷いた。
「そうみたいですね~♪」
「ま、陸の国は王権主義国でもないのに、スプランドゥールには城があるからだろ。そう呼ばれるのも無理はないっつーか」
ティールの祖国やクラウの祖国は王権主義。王様が土地を治める国だ。だから、国のトップは王様である。現在の海の王はティールのお父さんのブライトさん。そして、空の王はクラウのお父さんのルフトさんだ。
そして、この陸の国はどうしているのかと言うと、各地に領主というか、リーダーみたいな人がいる。そのリーダー達ががそれぞれの地域を治めている。私達の地域はプリン親方である。恐ろしいことに。
だからまあ、治める人によって地域の色が出やすくもある。例えば、明るくなんでも自由なプリン親方らしく、私達の暮らす街は様々な施設やもの、人達が住んでいる、とかね。探検隊や救助隊、運び屋、商人……はたまた、そこで暮らす人々もたくさんなのも、「みーんな、友達!」精神の親方の人柄が出ていると言ってもいい。
「はじまり……?」
「しーくんも一回は絵本とかで読んだことありそうだけど……ちょっと待ってね?」
ポケットから端末を取り出し、始まりの地についての記述を探す。そして、出てきた内容をしーくんに聞かせてあげる。

─これは昔々のお話です。とある国は、大変荒れていました。そこは水も草も枯れ果て、食べ物だってありません。人々はいつもお腹を空かせ、苦しんでいました。
そんな荒れ地に一人の女神様が降り立ちました。女神様は遥か高くお空に住むお方だったのです。
女神様は地上で暮らす人々が大好きでした。そんな大好きな人たちが苦しむ姿を見て、自然が苦しむ姿を見て、助けに来たと言います。
女神様が祈りを一つ捧げると、大地は緑を取り戻します。祈りを二つ捧げると、きれいな水が、三つ捧げると、美味しそうな果物が出てくるではありませんか。
女神様の不思議な力で助かった人々は女神様を『癒しの女神』様と敬い、荒れ果てた国の再興を誓います。一致団結した人々の手で、一つの大きな国が出来上がったのです。
その様子を見守っていた女神様は大変喜び、お空の国には帰らず、人々と暮らすようになりました。そして、女神様はその国の王となり、子を育み、幸せな時間と国の行く末を長く長く見守り続けました。
ところがある日、事件が起こりました。女神様がもたらした光を人々が使いすぎてしまい、豊かになったはずの土地が再び枯れ始めたのです。
それに気づいた人々は、減ってしまった光をどうにかして守ろうとしましたが、一向によくなる気配はありません。
やがて、守りたい気持ちが争いへと変わってしまいました。ほんの少しの光を自分のものにするために、人々は争い始めたのです。
やがて、豊かな自然は争いによってなくなり、関係のない人々の命すら奪ってしまったのです。
女神様は大変悲しみました。そして、この争いは女神様の国すらも飲み込んでしまうと。大好きな人々が暮らし、大好きな家族すらも消えてしまうのではと思ったのです。
女神様は考え、言いました。
「自らの命を使い、この争いを止めましょう」と。
女神様は大好きで大切な人々を守るため、光になることを選んだのです。光となって消えてしまった女神様は、国中に光をもたらし、争いを収めました。
残された女神様の家族は、国と女神様の優しい心を受け継いで、人々を導いていきました。
もう二度と、争いが起きないように─

これが、絵本とか児童書で語られる始まりの地について……『癒しの女神様の祈り』の大まかな内容である。
よくある悲しい話にも聞こえるが、要するに無駄な争いは何も生まない、とか、自然や命は大切にしよう、とか、そういった教訓を教えるための教育本のようなものだ。
「ラルさん、読み聞かせお上手ですね!」
それは多分、たまにしーくんに聞かせているからかな? そこまで褒められたものではないと思うけれど。
「これ、昔の史実を元にしてるんだろ? となると」
とある国はここ、陸の国。祈りは魔法、光は……魔素、だろうか。ならば、お空の国は……
「あ! ふぉ…」
「はぁい! しーくん、そこはお口チャック!」
駄目だよ? フォースお兄ちゃんとか言っちゃアカンから!! あっぶね。
「……?」
アラシ君とツバサちゃんが首を傾げた。その疑問にはお答えできないので、私とティールは曖昧に微笑んでおく。そして、ティールと頭をぶつけるんじゃないかってくらいまで近づいた。
こほん。
お空の国は、フォース君やウィルさん達の住む、天界なのだろう。つまり、この癒しの女神は神様の一人だった。この国を救ったのは、神様……となるが。
「あり得ると思う?」
声を潜め、ティールに問いかける。幸いにも、馬車の走る音でツバサちゃん達には私の声は、聞こえていないみたいだ。ティールも同じように声を潜めた。
「どうだろう。全部を素直に受け取るべきなのかは判断できないかな。だって、ねぇ?」
そう、だよね。全てを受け入れるとなると、癒しの女神はこの国のために命を落としたものの、その子孫が意思を受け継ぎ、この国に根付いたということになる。それは流石に……信じがたい話である。
もちろん、神の存在は信じる。すぐ近くにいるし、それで信じられませんなんて、通じるものでもない。だからまあ、この国を神が助けたのは、本当なのではないかとは思う。
案外、ここでウィルさんに聞いてみれば、「あ! その話かー! なっつー!!」とか言い始め、真相を教えてくれるかもしれない。フォース君も「あぁ……その話な~」とか言い出しそうだ。だって、生命の神様に、力の神様の使いだ。真相を知っていてもおかしくはない。
はたまた、期待を裏切って、「それ、作り話」と断言するかもしれない。それはまた、夢のない話だけれど。
「……まあ、今は判断できないね。事実を元にしてるけど、これは創作物だし」
「今は半分作り話っていう認識でいいんじゃないかな。きっと、今回の仕事には影響ないだろ。ウィルさんやフォースに急いで聞く必要もないと思う」
そうだね。よし、この話は終わりだ。
「ひそひそ話は終わりか?」
「ま、まあね~……と、ともかく! しーくん、始まりの地ってのは、天界から一人の神が舞い降りたとされる土地のこと……って授業で習った気がするよ。ってことは、スプランドゥールはさっきの絵本にある国のモデルってことだね」
「スプランドゥールは、めがみさまのくに?」
まあ、平たく言えば、かな。
きっと今は、その女神様はいないんだろうけれど。



~あとがき~
スプランドゥールについてのお話でした。

次回、スプランドゥールに到着!
……できたらいいなって。うん。

ラルやティールが天界をどこまで知っているかという件について。
まあ、あるってことは知ってるし、沢山の神々の暮らす世界だってことも知ってますね。ただ、空海と違って知り合いは少ない。
他制御者やファウスと会って話したことはないですし、アルフさんに関しては名前すら知らないですが、転生の神様ってのがいるのは知ってます。ウィル伝いで。
深く関わるのは、ウィルやフォースだけかなぁ……ま、ラルは湖の守り神と仲良さそうな気がしますが。この辺は深く考えてませんので、適当に流してくれればよいです。
さて、一般人の認識として、神を信じる信じないは個人の裁量によると思います。当たり前だけど。信仰心のあるなしは人それぞれって感じっすな~

ではでは。