satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第174話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
馬車に揺られながら、ギルド明けの明星を目指す一行。
進んでいるようで、未だに移動中なので、まあ、そこまでですよ。今回で場面動けばいいけどな。馬車から降りるとか?


《L side》
スプランドゥールの話や、『癒しの女神の祈り』の話をしている間に、馬車はスプランドゥールへと近づいていたらしい。
遠目から見えるスプランドゥールの街並みは、和風と洋風が上手く合わさったような雰囲気だった。
石煉瓦で綺麗に整えられている歩道、賑やかな市場、煉瓦作りの建物の他に、街の雰囲気にあった和を思わせる屋敷のような趣ある建物が多い。統一感のある街並みに、しーくんはキラキラと目を輝かせていた。
「やっぱ、色ががらっと変わるねぇ……んお、あれが噂のお城が見えてきた。……ま、ティールの実家よりは小さいか。流石に」
「あの、ぼくの実家を比較対象にしないでくれない……?」
ごめーん♪ 私の身近にあるお城はティールの家なので、つい、ね。
このスプランドゥールを象徴するとも言えるあのお城は、『旧エクラ城』と呼ばれ、観光地としても有名だったはずだ。私もティールも近くまで行ったことはないが、この街を訪れる度、一度は目にしていた。今回は、見る機会、あるだろうか。せっかく長期滞在するのだから、じっくり見てみたいものだけれど。
「あの噴水広場の近くにあるあの像が、癒しの女神様と呼ばれてた『ミルティア』様だよ♪」
「ほわ!? どれどれー!?」
ほう。この国を治めていたらしい女神様の登場だ~
……というか、銅像まであるってことは、いよいよ、全てが本当なのではないかと思い始めてくるぞ……? いや、考え始めると止まらなくなる。今はやめておこう。
馬車は街の中心部分と思われる噴水広場へと差し掛かる。そこには、ツバサちゃんの言う通り、女性の銅像が建てられていた。槍を持ち、目を固く閉じて祈りを捧げる女神像である。
よく観察してみると、着色はないものの、ミルティア様の容姿は、左頬に星のアザがあり、腰まで伸びている長い髪。そして、人族の見た目ではあるものの、背中には天使のような羽があり、それが特徴的だ。
……? なんだ? この感じ。
「ラル……? どうかしたの?」
「あ、ううん。なんでも……」
あの女神、どこかで見た気がする。いや、本人様を見たとかではなくて、既視感とでも言うべきなのだろうか。いや、誰かに似てる……のか?
くそ、このモヤモヤは気持ち悪いやつだ。どうしよう!? 解消できない! 気持ち悪い! 誰か助けて、ヘルプ!!
……駄目だ。考えても私の中での答えが出てこない。い、今は気のせいで片付けておこうかな……悔しいけど。
「めがみさま、きれーだったね!」
「そうだね~♪」
「おい。もうすぐ、ルー爺のギルドにつくぞ」
「そだね! じいじのギルド、もうちょっとでつくからね、雫くん」
「はーいっ!」
ほん……?
つくぞと言われても、近くにギルドみたいな大きな施設じみた建物は見えてこない。今、大きく見えているのはお城だけ……ん? お城、だけ?
「……あの、アラシ? 一応、聞くけど……ギルドって」
ティールも私と同じような予測を立てたらしいが、念のためにと目の前のアラシ君に問いかける。そんな私とティールを交互に見たアラシ君は、少し驚いたような戸惑いを見せつつも、
「え……? ルー爺のギルドはあの城……今は観光地兼ギルド『明けの明星』だけど……しら、なかった?」
と教えてくれた。
もちろん、予測はしていても、行ったこともなければ、この事実を知りもしない私とティールは、馬車の中で驚愕したことは言うまでもない。
エクラ城は今現在、王族とかいなくても、歴史的に重要な建物のはず。それをギルドの拠点として活用するなど、あり得るだろうか。あり得るというか、ありなのか否か。
……いやね? あり得てるけどもだ。今、目の前でな!?
「例えるなら、ティールん家がギルドやってるようなもんだろ……? うそぉ」
ティール、おやかただ!!」
「親方……? あー、うん……もう、いいや。……ルーメンさんの凄さは前から伝わってたけど、本当に何者なんだい?」
「じいじがというよりも、昔からなんですよ。経緯は分からないんですが、うちの所有物らしくって。えーっと、昔、ミルティア様に仕えていていたとか……?」
神様にお仕え……ねぇ?
「それは、ツバサのご先祖様……ケアル家がってこと?」
「みたいです。でも、私も詳しくは知らないんです」
直系に当たるであろう、ツバサちゃんが知らないのなら、部外者である私達も知るはずもない。理事長……セラさんなら、何か知っているかもしれないけれど。
あとはまあ、神様サイドに聞くしかないのかな……くっそう。なんで、今回、フォース君いないんだ……! いろよ!?
ここにはいないお兄ちゃんを心で罵りつつ、馬車はお城の門前までやってきた。流石に勝手にお邪魔しますよーと通り抜けることはできないようで、馬車は一旦止まり、門番さんとメアリーさんがお話ししているらしい。
ギルドだし、一般人も出入り可能だと思うが、怪しい人物がいないかどうかを確認しているのだろう。フェアリーギルドはその辺の警備、甘々なんだけれど。誰でもウェルカーム精神だもの。ま、大切な書類とか情報とかのセキュリティはきちんとしている。
「……ちょっと出てくる。すぐ戻るわ」
「わかった! いってらっしゃい、アラシ!」
メアリーさんと門番さんの会話をなんとなく聞いていたらしいアラシ君─流石、獣人……ということなのだろうか?─が小さくため息をついたあと、馬車の扉を開けて出ていく。
そんなアラシ君を窓から盗み見る。しーくんも気になったみたいで、私の真似っこをした。これは、張り込みの刑事になった気持ちである。
しかしまあ、こんなことをしても会話が聞こえてくるわけではないのだ。私の耳はふっつーの耳。別に特殊能力を持った何かではない。
こちらに背を向けたアラシ君が何を言っているのか分からないものの、門番さんはこちら側を向いている。アラシ君に対する態度や読唇術でどうにかなるかな?
二人の門番さんはアラシ君を見るなり、ピンッと背筋を伸ばし、敬礼。そして、口の動きから、「アラシ様もいらしたのですね」と言っているらしかった。
ん。……様?
「ねえ、ツバサちゃん。なんであの門番さんはアラシ君を敬うというか……上の人として話してるの?」
「ほえ? イグ兄から聞いてませんか?」
いつの間にか寝てしまっているリランを膝の上に乗せ、優しく撫でていたツバサちゃんか首を傾げる。そんなツバサちゃんの問いに私達は首を横に振る。
「ここの門番さん……近衛騎士団なんですけど、イグ兄とアラシのお父さんが団長さんなんです」
ふうん。しかし、それとアラシ君に敬意を払う理由とは。上司の息子だから?
「それもなくはなさそうですけど、一番はアラシが次期騎士団長だからだと思いますよ~♪」
「アラシが!?」
「だんちょー? だんちょーて、すごいのー?」
「うん♪ あの騎士さん達を引っ張ってくリーダーだよ。そうだなぁ……ラルさんみたいな人のことかな?」
「ほわー! アラシお兄ちゃんすごいねー!」
なるほど? この前の大会のリュウ君の紹介はあながち間違いではないのか。なるほどぉ?
私が隠さずにやにやしているのが見えたのだろう。ティールが呆れたようにため息をつく。
「ラル~? 変なこと考えてないよね?」
「いーや? まーったく!」
ただ、ちょっぴりの悪戯心が揺れ動いているだけだよ。安心したまえ~?
このあとに起こることは予測しただろうが、ティールは困ったように笑うだけで、これ以上の詮索はしてこなかった。
それから少しして、門番さん達との話を終わらせたアラシ君が再び、馬車の中へと戻ってきた。元々座っていた席に戻ると、私の視線に気づいたのか訝しげにこちらを見る。もしかしたら、嫌な予感でもしたのかもしれない。もしそうならば、その勘は的中しているのだろう。
「おっかえり~♪ 未来の騎士団長様」
「……ちょっと待て。なんでそれをラルが知ってるんだよ? あっ!? ツバサ、お前……!」
「だって、イグ兄から聞いてると思ったんだもん」
「いやいやいや!? だからって話していいことにはならなくてだな……」
「アラシお兄ちゃん、きしさま! かっこいーね!」
邪推な考えを持つ私とは違い、しーくんは単純に「騎士!? かっこいい!」と思っているからこその、発言であり、純粋な感心だ。キラキラしたその瞳を無下にできるはずもなく、アラシ君も例外なくのようで。
「え、いや……あのな?」
無垢な少年からの感想に、どう返答しようか決めかねているらしかった。そんなことないと言ってしまうか、矛先を私やティールとか……別に向けるなりすればいいのに。そんな風に戸惑っているところを見てしまったら、追撃してしまいたくなるのが常である。
「そーなんだよ。しーくん。アラシお兄ちゃんはね、ツバサお姉ちゃんを守る騎士様なんだよ?」
「ラル!? お前!」
「ツバサお姉ちゃんを?」
「そう。ツバサちゃんの『knight』様なのよ~♪ おとぎ話でお姫様を守る騎士さん、いるでしょ? アラシ君はツバサちゃんというお姫様を守るknightなの~♪」
「えーっと……ごめん。ちょっといいかな、ラル? なぜ、ネイティブ発言なの?」
単純明快。かっこいいから。
「きゃー! 姫を守る騎士様~♪ かっこいいー!」
「こんの……調子に乗るなよ、ラルー!!」
顔を真っ赤にさせて反論しているけれど、反論とも呼べないそれは、私の心に響くものはない。
にしし。いやぁ~……よきかなよきかなー!



~あとがき~
馬車から降りたのは、アラシ君だけでした。そしてまた、戻ってくると……おかしいな?

次回、ギルド潜入!
……潜入じゃないか。訪問? 見学……違うな。なんだろう。まあ、いいや。突撃します←

ギルド『明けの明星』はお城がギルドの本拠地です。ヤバイね?? ファンタジーファンタジーしてるぜ!!
ちなみに、フェアリーギルドはでっかい建物です。イメージは市役所←
市役所は言い過ぎか。なんと言いますか、ファンタジー感なく、近代的なイメージです。ギルドだよ! という主張の激しい建物ではないという感じ。
ゆーて、中に入ると、掲示板に依頼書ぺったぺた貼ってますし、武装した人達が闊歩してるんでしょうけども。ファンタジー感は……ないよなあ…と思います。はい。プリンが拘らなさそう。

ではでは。