satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第177話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどったんばったんしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ギルド内探索中にツバサちゃんの兄、ツルギ君の襲撃を受けてしまうラル。彼女は楽しそうです。
今回もその続きでラルVSツルギ戦。参ります。多分、こんなに丁寧なのは今回だけじゃないかなと……このあとは……そのときの気分によるね。
ラル「これは適当に流される可能性」
ツルギ「えーー!? なんで!」
場面が進まないからです。
ツルギ「ラルのせいだな……!」
ラル「え!? なぜ!?」


《L side》
ツルギ君は真っ直ぐに立ち向かい、刀を振りかざす。太刀筋は悪くないが、素直なその攻撃を受けきれないはずもなく。
私は片手で雷姫を操り、軽く受け流していく。水が自然に流れるように、何も感じさせないように、淡々と受け流す。
「くそっ……!」
それでも、少年は諦めることを知らないのか、果敢にも何度か打ち合う。攻撃はツルギ君、防御は私。他人から見れば、防戦一方なのは私だが、焦っているのは彼の方だ。何度も攻撃を仕掛けているのに、軽々と防がれてしまっているから、気持ちにも焦りが生まれ、それが表情にも出ている。……さて、そろそろ仕掛けるか。
次に繰り出されたツルギ君の攻撃を受け流さず、しっかりと受け止めて、彼との鍔迫り合いとなる。雷姫と少年の刀が触れ合った瞬間、短く指示を出した。
「やれ、雷姫」
「……っ!!」
私の雷姫はただの刀ではない。雷の力を司る妖刀だ。
バチンッと眩い光を放ち、雷姫から紅い電撃を繰り出す。ヒットしていれば、麻痺効果もあるのだが、ツルギ君は直撃する前に直感的に察知したのだろう。大きく後ろに飛び、雷姫の電撃から逃れる。
『む。威力を軽くしてしまったせいで届かないな』
「いや……牽制の意味合いしかなかったから、あれで十分」
『……なるほど』
ここまでやれば、いい加減敵わないと諦めるのが懸命だと思うのだが、まだまだ元気な少年は立ち向かう気満々だ。
再び、真っ直ぐに飛び出し、正面からの攻撃を仕掛けてきた。
「えー? それ以外の戦略が見た……お?」
突っ込んできていたと思ったツルギ君が消えた。幻術の類いかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
……しかし、まだだ。こんなもんで私に勝てるなんて思ったら大間違いだ。これでも私は、探検隊を率いるリーダーなのだから。
「甘い!」
「わっ!? なんで!?」
私の視界を外れ、脇からの攻撃、すなわち、死角からの奇襲をしたかったのだろうが、まだ気配が隠しきれていない。これでは、不意打ちにもなりはしない。
私は素早く体の向きを変え、ツルギ君の斬撃を受けきる。そして、力任せに凪ぎ払った。男女とはいえ、相手は中学一年の年齢で私は高校三年で、現役の探検隊。力負けなどするはずもなかった。
「うわぁぁ!?」
地面にごろごろっと転がり、少し行ったところで大の字になって止まる。そのまま寝てればいいのに、バネのように飛び起きて、こちらを睨み付ける。
おやおや、まだやるのかな。うーん。私の中では一段落つけたつもりなんだけれど。……仕方ない。やる気なら、とことん付き合ってあげようか。
……なんて思っていたとき。
「まだまだぁ……! うわぁっ!? リ、リラン!?」
ツルギ君がこちらに走り出そうとした瞬間、リランが勢いよく走り出してきて、彼に飛び付いた。せっかく立ち上がったのに、リランのせいで再び地面にばたーんと倒れてしまった。
どうやら、勝負はここまでらしい。
ツルギ君の方にはツバサちゃんとアラシ君、私の方にはティールとしーくんが近寄ってきた。
「もう少しやり方、あったんじゃない?」
「手加減はするなというイグお兄ちゃんの教えがあったから……つい?」
「え、そんなのあったっけ」
あったんだよ。多分。
「ラル、だいじょぶ?」
「うん。お互い、本気じゃないからね。それにツルギ君だって、ここがどこで、私達が何のために来ているのか、知らないなんてないと思うし」
しかし、あの動きは十二歳にしてはなかなかだった。魔法よりも武器を使った戦い方は、とても分かりやすいものだったけれど。きっとそれは、子供っぽい性格が表に出ているせいなのだろう。
「ありゃあ、成長すると化けますわ……怖い怖い」
「そうは言うけど……ぼくも君が怖いよ?」
ほん? 何故?
「……まだまだ全力で応戦する気満々なところとかね」
そりゃあ、ねぇ。雷姫の能力を一つも引き出してないからね。まだまだ余裕ですよ。
きっとこの二週間、あの勇敢なる勇者様の挑戦を何度も受けるのだと思うとワクワクしてくるじゃない?
「戦闘狂め」
「そんなことは。ほら、あれだよ。私がイグさんやリアさんにこのやろーって立ち向かうのとおんなじ気持ち」
「それはツルギ側が思ってるんじゃ」
……あり? 言われてみるとそうだな。うん、じゃあ、戦闘狂ってことでいいや。
私は雷姫の鞘を出現させ、それに雷姫を納めるとベルトに帯刀させる。するつもりはなかったのだけれど、今後、ツルギ君の襲撃があるのか分かったもんじゃない。これからは、ギルド内でも雷姫装備しておこう。
私が雷姫を消さなかったのを見て、ティールもスイちゃんとセツちゃんをそのままに、ツバサちゃん達のところへ近づく。
リランに襲撃されていたツルギ少年だったけれど、アラシ君が救出済みらしく、今は元気に兄妹喧嘩中。
「もうっ! なんでいきなりあんなことするの!?」
「だって、ラルに勝つためには上からの奇襲が一番かなって思ったんだもん」
「そこじゃないよ! ラルさんに襲いかかったことを言ってるの! 危ないでしょ!?」
「僕はまだ認めてないもん! あの誘惑魔がツバサの傍にいてもいいなんて思ってないもん!!」
「何、変なこと言ってるの!? ツルギのバカ!!」
「なぬー!? バカって言って方がバカなんだぞ、ツバサの分らず屋!」
……私、まだ誘惑魔認定受けてたのかぁ。
私の隣で笑う相棒の背中を思い切り叩いて黙らせると、しーくんが服の裾を引っ張ってきた。
「ん? どうかしたの?」
「んとね、ゆーわくってなぁに?」
んっ!?
「……わ、私にも分かんないなぁ」
「ほわ。そーなの? ねー? ティール?」
「ご、ごめん。ぼくも上手く説明できないかなぁ……?」
「ありゃあ。そーなのねー」
子供の純粋な質問に逃げてしまってすみません。ですが、これに答えてしまうと、なんかややこしくなりそうなので……黙秘権使わせてください。すみません……!
私のことで喧嘩する双子達は、大変愛らしいのだけれど、そんな二人に狙いを定める一匹のお犬様が。
「うぅ~……わふーーーん!!」
「うわぁぁ!?」
「きゃあぁっ!」
我慢できなーい! とでも言うように元気よく飛び付いたリランは喧嘩する双子の間に割って入る。突然のことで、二人とも反応できずに仲良く押し倒されてしまう。
「あっ!? おい、リラン!? やめろってば!」
「わぁ。喧嘩両成敗ってやつ……?」
「ち、違うんじゃない?」
飛び付いたリランをアラシ君が慌てて引き剥がし、ツバサちゃんとツルギ君を助け出す。リラン的には遊びたかっただけで、喧嘩を止めるつもりはなかったのかもしれない。
「あ、いたいた。ツルギが飛び降りたって聞いて来てみれば……なるほど。ラルさん達が来ていたんですね」
「若ぁぁ!! お客人にあんなことしないでくださいよ! バレて怒られるの俺なんすよ!?」
「お父さん!」
「あ、ヒデだ」
黒髪の狐族で双子の父、アルフォースさんとヒデと呼ばれた、茶色の短髪で私と同じ、人族の男性がこちらへと近寄ってきた。アルフォースさんはのんびりしているけれど、ヒデさんはツルギ君に駆け寄ってきて、アワアワしている。そんなヒデさんにツルギ君は、慌てる様子もなければ、詫びる素振りもない。
「お久しぶりです、ヒデさん♪」
「あ、おひさし……ってお嬢!? お嬢も来てたんすか!?」
どうやら、ヒデさん、ツルギ君しか見えてなかったようで、ツバサちゃんの姿を見るなりビックリしていた。
「ほえ?……ツルギ、私が来ること言ってなかったの?」
「言おうと思ったときにラルを見つけちゃって……うん。言ってないや」
ここでのヒデさんの扱いというか、運命というか……これで見えた気がする。できるなら、私のそれは外れるといいなと思う。
……この人、振り回され体質だろ。



~あとがき~
あー! 楽しかった!!

次回、ようやくギルド『明けの明星』の親方さんのところへ……!
出てくるかは保証できん(汗)

ツバサちゃんが怒るのは珍しいので、ノリノリで書いてしまいました。ラルはそれを見て、「私のために怒ってる天使まじ天使」見たいになってると思います。まあ、今回はなる前に、誘惑魔発言に苦笑してましたけどね。まだ有効だったのか、それ。
プロットいただいたとき、久しぶりに目にして笑いました。出たよ、例のあだ名! となりました。ツルギ君だけだよ。そういうの。

ではでは。