satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第178話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルVSツルギ戦を無理矢理止めたリランだったり、双子の喧嘩を止めに入ったリランだったりでした。え? リランの話なのかって? 多分、違いますね。
さて、今回からまた別のところへ。ようやく。ルーメン親方様を出していきますぜ。


《L side》
こちらにやってきたアルフォースさんはティールと雫を見ると、にこりと笑う。
「お二人とは初めまして、ですね。親方補佐をしているアルフォース・ケアルと申します。そして、いつも娘がお世話になってます。……あと、先程は息子がお騒がせしてすみません」
「お、俺からも! 若が粗相をしでかしてしまい、申し訳ないっす! 俺はヒデって言います。普段から若の世話役として傍に付いてます」
アルフォースさんは余裕のある感じだけれど、ヒデさんは全力で謝っている。いつも、こんな感じで各所謝っている……のだろうか。いや、そこまでツルギ君がやらかしてるのか知らないけれど。
「あ、ご丁寧にどうも。私はラル、スカイのリーダーです。さっきのあれは気にしないでください。あんな感じのは慣れてますし」
「それに、ぼくと雫は被害受けてませんからね。……初めまして、アルフォースさん、ヒデさん。ラルのパートナーのティール・クランドです。そして、こっちが」
「ラルとティールのなかまの、雫ですっ! よろしくおねがいします!」
元気よく挨拶をしたしーくんにアルフォースさんは優しく微笑む。そして、しーくんと目線を合わせて、頭を撫でた。
「雫くん、きちんとご挨拶できて偉いねぇ」
「えへへ。ラルがちゃんとしなさいっていうの!」
「そうなんだ。きちんとお約束守れて凄いな~」
流石、二児のパパ。手慣れていらっしゃる。
褒められて嬉しそうにするしーくんを撫でた後、アルフォースさんは立ち上がり、私とティールをそれぞれ見る。
「今回は我々の依頼を受けてくださりありがとうございます。先程、親方の商談と昼食も終わりましたので、部屋に御案内しますね」
「あっと……わざわざすみません。お願いしてもいいですか?」
「ええ、もちろんです。……あ、ツルギ」
部屋へと案内しようと踵を返したが、何かを思い出したらしく、ツルギ君の名前を呼びながら彼の方を見た。
「うん?」
「夏祭りの実行委員が出店のことで、ツルギに聞きたいことがあるって探していたよ?」
「えー? せっかくツバサ会えたのに仕事なのー?」
そういえば、ツルギ君はここでお仕事してるんだっけ。ルーメンさんがツバサちゃんのおじいちゃんなら、ツルギ君のおじいちゃんでもある。ここの跡取りとして修行中……みたいな感じなのかな。
「明日からはツバサと一緒にいられるんだし……今日は我慢して頑張ろう?」
「そうだよ、ツルギ! お仕事、頑張って!」
「むぅ……わかったぁ」
お父さんと大好きな妹からのエールを無視できるほど、ひねくれてはいないツルギ君。渋々ではあるものの小さく頷いた。

これからお仕事があるらしいツルギ君とヒデさんと別れ、アルフォースさんの案内の下、親方部屋へと向かっていた。
一番後ろを歩く私達は、今更ながらに緊張感というものを感じ始めていた。
「……完全私服なんだけど、よかったのかな。もういっそ、制服着てくればよかった」
「え。仕事で来たんだし、制服じゃなくてもよくない? というか、格好なんて今更気にしないでよ」
うるっせ! 普段からフォーマルスタイルのお前に言われたかないわ!! というか、釣り合わん! やだ! 帰りたい!!
「なんで怒られてる気分になるんだろ、ぼく」
「だって、ツバサちゃんのおじいさまだよ? きちんとした格好の方がよくない? 今から会う人ってこの国のお偉い様だよ?」
「それはうちの親方も同じ。……プリン親方に会うとき、服装なんて気にしないだろ」
それはそれ! これはこれ!!
「変なこと言ってる自覚ある!?」
あれこれティールと言い合ってあると、先頭を歩くアルフォースさんの笑い声が聞こえてきた。
「親方は気難しい方ではなく、フレンドリーなので、緊張なんてしなくても大丈夫ですよ」
「あう。……すみません。騒がしくしちゃって」
私が謝ると、アルフォースさんは笑って許してくれる。そして、とある部屋の前で立ち止まった。
「ここが親方部屋です。ここで我がギルドの親方、ルーメンがお待ちです」
「じゃ、開けますね~♪」
え、心の準備したい……!
ツバサちゃんは何の躊躇いもなく、部屋をノックすると、返事も待たずにドアを開ける。本当に迷いのない行動だ。
部屋はかなり広く、どこかの豪邸のリビングなんじゃないかと思いたくなるくらいの広さである。壁には陸、海、空の国の各地のダンジョンが記されている地図が飾られている。戸棚にも、ダンジョン資料や魔法関連の資料が多く並べられていた。その奥、仕事用の立派デスクもあり、そこの椅子に誰かが座っている。こちらに背を向けているが、状況を考慮するに、あの人がここの親方であり、ツバサちゃん達の祖父ルーメン・ケアル・レイディアント、なのだろう。
「じいじ! ただいま~♪」
ツバサちゃんが部屋に入るなり、椅子に座る人物へと駆け寄る。そして、ぴょんっと抱きついた。
「ん? おぉ、ツバサか~」
「えへへ。ラルさん達、連れてきたよ!」
「そうかそうか……連れてきてくれたのか♪ ありがとう、ツバサ♪」
あれ。ご、ご機嫌なおじいちゃんの声が聞こえてきたんですけど……?
抱きついたツバサちゃんがそっと離れ、椅子がくるりとこちらを向く。そして、明けの明星の親方の姿が現れる。
縁側でお茶を飲んでいそうなおじいちゃんだな、というのが第一印象だった。うさぎ族の特徴である長い耳はオレンジ。子供達にプレゼントを運ぶ赤いおじ様のような立派なお髭、そして、和装に身を包み、優しそうに笑う老人。
「お主達がプリンの言っていた『スカイ』か。お初にお目にかかる。そして、ツバサがお世話になっておるの~♪ ギルド『明けの明星』の親方、ルーメン・ケアル・レイディアントじゃ♪」
うん。あの、うん……はい。
「ラル、言いたいことは分かる。けど、絶対にここで言うなよ」
私をよく理解するティール君の耳打ちにこくこくと頷く。
言いません。心の中で叫ぶので。
……想像と違ったぁぁぁぁ!!!!
前情報が凄すぎて、もっと厳しめおじいちゃん想像してました! してました!! え、なんなん!? え、透かし食らった気分!
……よし。もう切り替えられる。
私は気持ちを入れ換えるように、ふっと小さく息を吐いて、背筋を伸ばす。
「初めまして。探検隊スカイのリーダー、ラル・フェラディーネです。こちらは私のパートナーのティール。そして、メンバーの雫です」
「スカイ所属でラルのパートナー、ティール・クランドです」
「メンバーの雫です! よろしくおねがいしますっ」
「うむっ♪ よろしく頼むぞ♪」
……やっぱり、調子狂うな。勝手に想像していたのはこちらだが、イメージと違うというか、なんというか。
『おわぁぁぁ!!!』
!? スイちゃんの声……?
「! ばっ……お前!」
ティールの腰に装備されていたスイちゃんが勝手に剣から水へと変化し、ルーメンさんの方へと飛んでいく。それを見た……というか、感じ取ったセツちゃんも……
『ずるいぞ、すいちゃー!』
と叫びながら、冷気になって同様に飛んでいく。いつもならこんなことしないのに、なぜよりにもよって今なんだ。
「スイ! セツ! こんなときにやめろって!」
「ほお。久しいの~♪ 水泉、雪花や。元気かの~?」
『げんき!』
『めちゃげんき!!』
え……あ、え? どういうこと?
誰か説明してくれという気持ちで、周りの方々を見るけれど、そもそも声が聞こえていないっぽいアラシ君とアルフォースさんは、ぽかんとしている。声の聞こえているツバサちゃんやしーくんは首を傾げていた。それは私も同様で。
主であるティールですら、あの慌てようなのだ。事情なんて知るよしもない。
『じっちゃもげんきー?』
「うむ。元気じゃぞ~♪」
世間話してるところすみませんけど、説明求むだよ? ここにいる誰一人として理解していないよ?
「ねえ、スイ? セツ? なんでそこまで親しげなの。いや、お前らはいつも誰に対してもそんなんだけど。今回のは流石にまずいって」
『まずくないよ? だって、じっちゃ、なかよしだもん。ねー?』
『そだよ! じっちゃはね、あずといーちゃとなかよしだもん! だから、せっちゃとも、すいちゃとも、なかよしさんなのー! ねー!』
『ねー!』
「……はあ!?」
えぇっと……どういうこと?
つまり、スイちゃんもセツちゃんもルーメンさんと仲良しってこと? 剣なのに。
水と冷気がふよふよする中、混乱しかないこの親方部屋。きっと、冷静なのはルーメンさんだけなんだろう。他の人達は何かしらの戸惑いを覚えているはずだ。
というか、あずといーちゃって誰……?
「こいつらが使う……お祖父様と父上のあだ名だね」
ってことは。
ティールは言い淀むものの、答えを教えてくれる。
「えっと……あずはアルドアーズ元国王。……いーちゃはブライト現国王、だよ」
は、はあぁぁぁ!? な、なん……どういうこと?
「それはぼくも知りたい」
「うむ? ティールや、何も聞かされてないのかの?」
「え……? いえ、特には」
戸惑うティールにルーメンさんはニコッと笑う。
「ワシは昔からアズとライト……つまりお主の祖父と父親とは、昔からの仲……懇意にある間柄じゃぞ?」



~あとがき~
ルーメンおじいちゃんはブライトだけでなく、その前の王様から仲良くしてましたとさ。

次回、ルーメンさんとティールの親族達との関係について。
達っていうか、三人しか出てきませんが。

登場人物多くて、影が薄くなってる子達がいて申し訳ない! アラシ君! もっと主張していいのよ!?
いいところで、アラシ君視点を入れてあげたいね。基本、ラル視点が楽なんですがね。

ではでは!