satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第182話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、てるてる坊主みたいなチビッ子妖精になったスイとセツがじゃれまくる感じで終わりました。今回もじゃれていきます。
視点も変わらず、アラシ君です。


《A side》
「くぅ~ん♪」
「わー! りら、くすぐったーい!」
興味津々にスイとセツの匂いを嗅いでいたリランだったが、それがいつの間にか甘えに変わっていた。顔を近づけ、すりすりと甘えまくっている。二人と一匹の対格差があるから、雫と遊んでいたツバサも、少し慌てたように制止に入る。
「リ、リラン! あんまり押さえ込んじゃダメだよ!」
「あわ。だいじょぶ? スイー? セツー?」
「らいじょーぶ!」
「げんきー!」
元々が剣の二人には、リランが軽く体重を乗せたくらいなら、びくともしないらしい。楽しそうにリランの甘えを受け入れていた。
「りら、もふもふなのね」
「るーがもふもふ、せーぎっていうの、わかるー!」
……そうなの?
俺はツバサ達にカメラを向けているラルを見る。その視線にラルににやりと笑った。
「可愛いものともふもふは正義じゃない? つまり、両方を兼ね備えるツバサちゃんは最強なのよ?」
「……聞かなくていいよ、アラシ。ラルの言うこと、ころころ変わるから」
あ……りょーかいっす。
「りら、そろそろはなれるの。ほかのあそび、できないのー!」
「のー!」
「くぅ?」
「だめなの。あとでまた、あそぶの」
「なのなの」
スイとセツの言葉にリランは、名残惜しそうに二人を解放する。解放され、ふわりと浮き上がった妖精達は何を思ったのか、こちらにぴゅーっと飛んできて、ルー爺の目の前にやってきた。
「む? どうかしたのかの?」
「りら、もふもふしたからね! つぎは、じっちゃのばん」
「じっちゃ、もふもふするー!」
え、ルー爺をもふもふ……?
どこをもふもふするんだと、二人の様子を見ていた俺達。そんな俺達はお構い無しに、スイとセツはルー爺の髭の中にぽんっと抱きついた。そして、もぞもぞと中へと潜っていく。
……えっ!? マジで!?
「ありゃりゃ……入っちゃった」
「ばっ!? やめろって!!」
「わ、わあ……スイちゃん、セツちゃん勇者だねぇ~?」
勇者とかそういう話なのか……?
慌てるティール─多分、ラルも内心びっくりてる─だったが、ルー爺は余裕の表情だった。
「いいんじゃよ、ティール。気にしとらんから」
「え、でも……」
「この二人はいつもこんなんじゃろう? よいよい。元気が一番じゃよ♪」
剣に元気も何もないような。……なんてのは、無粋なのか。
一方のツバサと雫とリラン。
二人と一匹は、リランの上に雫が乗り、上から撫でているところだった。撫でているっつーか、ぺちぺちしてる気もするけども。多分、撫でてる。
「リラン、かわいーね!」
「わふっ!」
「リランがありがとうって言ってるよ♪」
「んふふ~♪ とんでるとこ、いつかみせてね。リラン」
「あんっ!」
あちらはかなり平和である。
「ぷはー! りらのもふもふとはちがうのね~」
「ねー?」
「おや。探検は終わりかの?」
「おわったー! ありがとね、じっちゃ!」
「ありがとー! ね! しー! りらー! つばちゃー! おいかけっこしよー!!」
え、こんなところでおいかけっこ……!?

ツバサ達がわいわい遊び始めてから時間が経った頃。ティールも精神的なショック(?)からも立ち直り、いつも通りに戻ったらしい。
「お?……仕事の話、できそう?」
「うん。なんとか……ねぇ、ずっと写真撮ってたの?」
「可愛いじゃん。スイちゃんとセツちゃんのあれは、今回限りだよ? 記録しとかないとね!」
「あ、そう。……好きにして」
ティールはスイとセツに今まで何をされてきたんだろうか。けど、あんな元気な声が毎日聞こえてきたとすると、確かに気が滅入るかもしれない。少なくとも俺は、メンタルがやられるような気はする。その点で言えば、ティールは我慢強いんだろうな。
……今回は色々ありすぎて、崩壊してるけど。
「次はセツちゃんが鬼だね! 逃げよっか、しーくん!」
「うん! リラン、こっちににげよ! ツバサお姉ちゃん、こっちー!」
「あんあんっ!」
この遊びの中で、雫の呼び方がしーくんへと変化していた。仲良しになって何より。
「まてまてまてー! はっ! すいちゃ、まてー!!」
雫を乗せたリランとツバサを追いかけていたセツだったが、標的を背後に浮かんでいたスイに切り替える。びっくりしたスイはあろうことか、こちらへと向かって飛んでくる。
「え、スイちゃん、セツちゃん? こっちは駄目だって!」
「うみゅうぅぅぅっ!!!」
「るー! じゃまだよー!!」
「ん!? 私!?」
スピードを出しすぎたのだろう。逃げるスイはくいっと曲がり、ルー爺の髭へとダイブ。止まれなかったセツはラルにぶつかる……前にティールが捕まえていた。
「……いい加減にしろ、雪花。水泉もだ。ぼくらはお前達の遊びに付き合うために、ここにいるわけじゃない」
「ご、ごめんなさいなのら」
にこにこ笑顔だけど、声はマジトーンだし、しひしひと怒ってますオーラが出ている。本人も隠すつもりもないらしく、キッとルー爺……の影に隠れるスイを睨み付けた。
「こっちに来い。……これ以上、ぼくを怒らせたいのか?」
「や、やだー! ごめんなさいー!!」
ルー爺の影からぴゃーっと出てくると、ティールの目の前にぴたっと止まる。セツ同様、スイも空いている手で掴むと、俺の方を見る。
「アラシ」
「あ、はい」
気迫に負けて、つい敬語で返答してしまった。笑ってるのに怖いって一番怖いやつなんだけど……というか、普段、怒らない人が、ちらっとでも怒りを見せると怖く感じるのはなぜだろう。
「悪いんだけど、このてるてる坊主達、任せてもいいかな。近くにいると仕事にならないって分かったし。……鬱陶しかったら捨てるなり、燃やすなりしてくれていい」
え!? 聖剣燃やせっつった!? この人、国の宝燃やせって!? 俺にそこまでの罪は背負えないんですが。
ティールさん、ティールさん? マジなトーンで言うと、冗談に聞こえませんぜ」
「半分、本気だけどね。……ごめん、アラシ。こいつらの遊び相手、してくれると嬉しいな。嫌だったら無視していいからさ」
「お、おう……分かった」
半分本気ってどの辺が本気だったんだろう。
スイとセツをティールから受け取り、今度こそ仕事の話をするらしいラル達だけを残してツバサ達と共に部屋を出る。
「ごめんね、スイちゃん、セツちゃん。ティールさんに怒られちゃったね?」
「いいのいいの。あれくらい、いつもなのら。つばちゃ、わるくないよ~」
「ねー」
いつもあれくらいされないと止まらないのも、どうかと思うけどな。
俺達はルー爺に言われた通り、隣の部屋で待機することに。ここはルー爺の仕事部屋よりも少し狭いくらいだが、ある程度、遊ぶくらいのスペースはある。部屋に入った俺は二人を宙に放してやった。
「あらちゃ、あらちゃもあそぼ?」
あらちゃ? あ、俺のことね。
「そ! 『アラシちゃん』であらちゃ」
「へー……ん? アラシ、ちゃん!?」
ちゃん付けなの!? まさかの!?
「そだよー? つばちゃは『ツバサちゃん』だから。りらは『リラン』だから! るーは『ラル』だからねー」
「てぃーは『ティール』だもん。しーは『雫』だしー? すーは『フォース』だからー! いーちゃは『ブライト』で、あずは『アルドアーズ』なの」
ブライトって……ティールの親父さんだな。親父さんもちゃんから来てるのか……?
さふぃー、ちっちゃいころ、いーちゃを『いーちゃん』ってよんでたのら。だから、いーちゃ」
「……あ、さふぃーはね、いーちゃのおかーさん。てぃーのおばーちゃんだったひとなのねー」
「ねー? あず、さふぃーにさからえなかったのよー」
な、なるほど? こいつらの名付けの法則は分からんな。
「……あれ? だった、人?」
ツバサの質問に二人は悲しそうに頷いた。そして、スイがしょんぼりしつつ、教えてくれる。
「てぃーがちっちゃいころ、いないなったの。だから、さふぃー、もういないなの」
ティールが幼い頃って……
「あらちゃ! あそぶのら!」
「え、この空気で」
「かなしーのきらい! だから、あそぶー!」
ぶんぶんっと強く首を振ったセツは、なんでそうしたのか分からないが、俺の顔面に飛び込んできた。真正面から。なんでか分からない。ここ、重要。
「せっちゃ、ずるい! すいちゃもー!」
ぐえっ!?
セツに重なるようにスイもぶつかってきたのだろう。その衝撃に俺は思わず尻餅をついた。
「! あんあんっ!」
「おー! りらもあそぼー!」
!? この状態でリランはまずい! やめろやめろ!!
なんて言葉が通じる相手ではなく、俺を押し倒すようにリランも乗っかってきた。目の前には妖精─の見た目をした聖剣─二人と、腹には白いドラゴンが一匹。
な、なんつーとばっちりを……?
「ア、アラシ……? 大丈夫?」
「こんなのでまけるあらちゃじゃない! おいかけっこするのだー!」
「あらちゃ、おにー! りら、はなれるのら! つかまったら、おににされちゃうの!」
「わふんっ!」
スイの言葉にリランは素直に俺の上からどいた。きっと、おいかけっこをするつもりなんだろう。
……なるほど。上等。聖剣だかなんだか知らないが、目にものを見せてやる。
「アラシ? 多分、熱くなったらだめ─」
「絶対に捕まえてやる! 覚悟しろ、スイ! セツ!」
「むふー! いいよー! かかってこーい!」
「えへへー! つかまんないもんねー!」
……このあと、ツバサの忠告を無視した俺は、案の定、あの小さな悪戯妖精に好き勝手されたあげく、リランのとどめをもろに食らうのだった。



~あとがき~
きゅっと詰め込みました。

次回、本題のスカイが受けた仕事の詳しいお話を。
これも一話で終わらないかなぁ。どうでしょ?

聖剣二人によるはちゃめちゃお遊び。
あまり描写できませんでしたが、アラシ君もその餌食となりました。なりましたっていうか、これからなるんですけど。
とはいえ、ここでちらっと出てきた『さふぃー』と呼ばれた女性。このあと、話に出てくる予定ですので、なんとなく、片隅に置いておいてくれると嬉しいです。覚えてなくてもいいけどな。
だって、きっと、さふぃーって名前で出てこないし←

ではでは。