satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第187話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界できゃいきゃいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、部屋につきました。めっちゃやべぇ部屋に滞在します。
今回はラルの思考整理回です。


《L side》
「あ、こら! 勝手に持っていくな!!」
「てぃーのおてつだーい!」
「これ、こっちおくー!」
「やめろやめろ!! ちょ、駄目だって! 置くな! 返せぇえ!!」
いつもなら、こんなにわいわいしながら整理なんてしない。二人が持ってる袋、ティールの慌て具合からして、多分、ティールの下着類では。……まあ、彼は気高き王族の生まれ。そうでなくとも、常識はあるし、エチケットを弁えているから、中が透けてしまうような袋には入れていない。だから、これは単なる私の推測。
……って、何推測してんだ、私。アホか。
しーくんはというと、特に広げるような荷物もなく、大人しく持ってきたペンペンぬいぐるみを抱え、絵本をソファの上で読んでいた。なんとなく重いなと思っていたけれど、絵本のせいか……
きっと私達の邪魔をしないよう、大人しく待っているのだろう。なんてよく出来た息子なのだろう。涙が出てくるわ。しーくん、いい子すぎる。天使通り越して神様だよ。あ、いや、本当に神様なんだけどね。しーくんは。
あとで、よしよししてあげないと……
大騒ぎする三人と心優しい我が息子から意識を逸らし、私は自分の広げた荷物をまとめていく。私の持ち物なんて、着替えや探検に必要な道具、電子機器やそれを直すための工具……普段の長期休みの際に持っていくものばかりだ。可愛いものもなければ、普通の旅行で持ち寄るようなものもない。
……可愛げねぇな。私の荷物。荷物に可愛いもないけど。
探検用の服をハンガーにかけ、クローゼットにしまう。ついでに今回、持参してきた道具も探検用のバッグに全て詰め込み、クローゼットに入れてしまう。
「……よし。こんなもんかな?」
旅行鞄は部屋の角に置いて、私の整理は終了だ。
私は上着を脱ぎ、ずっと装備しっぱなしだった雷姫共々ベッドの上に投げる。ノースリーブのシャツ姿になると、先程、ばたばたしまくったベッドに仰向けに倒れ、目を閉じる。
考えるのは、ルーメンさんとの会話だ。あの場では考える暇もなかったから。
今回の依頼は三つ。ダンジョン調査、祭りの出演、祭りの際の護衛。
ダンジョン攻略に関しては、日にちの指定はなかった。ここの滞在期間中ならば、こちらの準備が出来次第、向かってくれればいいんだろう。それなら、もう少し情報を集め、整理してから向かうとしようか。……そのために、肩慣らしもしておきたい。ダンジョン行く前にいくつか軽い仕事を受けよう。
祭りの出演は私とティールの入る余地はない。しーくんの頑張り次第だ。
最後の護衛……と、捕獲だったか。
捕獲については詳細が分からなかったが、護衛に関しては、傍で目を光らせておけばいいだろう。祭りの規模感が分からないから、これも後で調べておかねば。
「……今回の依頼、ルーメンさんは私達の実力を知った上でしてきている、と判断していいんだよな」
この待遇もある。その理由も聞いた。慎重な人選の上で私達が選ばれたのだろう。それは間違いない。
依頼に曖昧な部分はあるものの、怪しいものはなかった。悪意も感じなかった。私達を騙そうとする敵意も。仕草も、雰囲気も何一つ感じなかった。私自身も感じなかったし、雷姫だって大人しいものだった。
……しかし、どこか手のひらで踊らされている気分は拭えない。
閉じていた目を開け、なんとなく、普段からつけていた雫型にカッティングされた、青の魔力石のネックレスを触り、指でその形をなぞっていく。
なんでそんな気持ちになるのか、原因はなんなのか、私が覚えている限りのものを引き出していく。
「だあぁぁ!! いい加減にしろ、スイ!」
「だってあそびたいんだもーん」
「あそびたいんだもーん……じゃないよ! これじゃあ、いつまで経っても終わんないっつーの!」
「てぃー、これはどこしまうの~?」
「ちょっと!? しまったやつを今、出さないでくんない!?」
……くそ。うるさいな。
「……落ち着け。考えろ考えろ……ふぅ。なんだろうなぁ。この気持ち。もやっとしてるんだよなぁ」
ルーメンさんのあの雰囲気。
あれがうちの親方や仕事を押し付けてくるときのイグさんに似ている。そう感じた。そこか?
あの二人と話していると、どこか何かを企んでいるんじゃないかと思わせる。イグさんは仕事を持ってくるときがそうだ。それをルーメンさんにも感じたんだ。……いや、今回は別に仕事は押し付けられてないけれど。
じゃあ、ルーメンさんは一体何をするつもりなのだろう。
心当たりと言えば、ティールとブライトさんの仲をどうにかしようとしていた……あそこだけど、あれは仕事とは関係ない。うーん……それ以外にも何かありそうなんだけれど。
「ラル~? どしたの?」
いつの間にかしーくんが私のところへ近寄ってきて、ベッドの縁から顔を出してこてんと首を傾げていた。
……そういえば、しーくんを見ていたときのルーメンさん。そこでも違和感を覚えた。あれは……目か? しーくんを、雫を見る目……ただの子供を見るだけではなかった気がする。いや、この年で探検隊のメンバーなのだ。ただの子供ではないんだけれども。
「う? んふふ~……♪」
私は静かにしーくんの頭を撫でる。しーくんは嬉しそうに顔を綻ばせ、黙って撫でられていた。
まさか……雫の正体に気付いたか?
伝説の冒険家だ。見ただけで分かる、なんてこともあるのかもしれない。
仮にそうだとしても、ルーメンさんがむやみやたらに言いふらす人ではないと思うから、問題はないが……
「? ラル~?」
「しーくんがずーっといい子にしてたから、偉い偉いってなでなでしたくなっちゃった~♪」
「! えへへ! えらいでしょっ! おにもつもね、おわったんだよ!」
「おー! 偉いぞ~♪ じゃあ、そんなしーくんにミッションだ。スイちゃんとセツちゃんのお相手、できるかな? パパ、整理終わんなくてお困りだからね」
「はーい! ボクがスイとセツとあそべばいいんだね! できるよ!」
すくっと立ち上がり、しーくんはティールの元へと駆け寄った。
「スイ、セツ! ボクとあーそぼ!」
「あい! しーとあそぶー!」
「いーよ! なにするのー!」
ティールの周りを飛び回っていた二人はしーくんのところへと移動。それを見たティールはほっと息をついた。
「ありがと、雫」
「んーん! あっちいこーね!」
元気っ子妖精達とようやく離れられたティールは、手早く荷物の整理を再開させる。一人になった途端、手際がよくなりました。どんだけ邪魔されていたんだって話である。
……色々、思案したけれど、結局のところ、それは私の推測でしかないし、事実ではない。推測はその域を出ないってやつだ。
ルーメンさんは危険な人でも、害を与えてくるような人ではない。それは紛れもない事実。そこが揺らぐようなことがあれば、私はチームのために、ティールや雫のために戦う……それだけのことだ。
私の中に雷姫の嘲笑が聴こえる。それは完全無視して、私は体を起こした。
「ま、なんとかなるだろし、追々と分かるっしょ」
「またなんか物騒なこと、考えてなぁい?」
いつからこちらを見ていたのか分からないが、ティールがじとーっと疑うような目で見ていた。
「……そう見える?」
「無茶はやめてよね」
「善処する~」
「またそんなこと言う」
「大丈夫だって。……そんなことより、荷物整理、終わったのー?」
「そんなことぉ?」
あは。睨まなーい、睨まない♪
ティールの盛大なため息が聞こえてきたものの、彼はこくんと頷いた。
「もちろん。スイとセツが邪魔しなければさっさと終わってたんだよ? 人の姿でうろうろされるの嫌すぎる」
まあ、その辺は諦めていただくしかないな。今日までの辛抱だし。
「ねえ、整理終わったんなら、ちょっと歩かない? ギルド内の構造把握、しときたいからさ」
「ん。いいよ。ちょっと待ってね」
緩いながらもずっと締めていたネクタイをほどき、ボタンも二つくらい外してしまう。そこまでするなら脱げばと思うのだが、まあ、彼のデフォルトはこんな服装だし、仕方ない。
私もベッドに投げ捨てていた上着と雷姫を手に取ると、ソファの近くでわいわいしている子供達に声をかける。
「よぉし! ギルド探検についてくる人! 返事!」
「いくー!」
「すいちゃも!」
「せっちゃも! せっちゃもー!」
「お供します」
よしよし。全員参加だね!
……この間にティールの本音を聞き出せるといいんだけれど。そこは私の頑張り次第だろう。ま、いつも通り、話してみますかね。



~あとがき~
ラルの思案回でした。

次回、家族に対するティールの本音とは。
探検go! とか明るめに言っておきながら、真面目回だと思われる。申し訳ね。

話したいことないな。

ではでは。