satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第190話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわやわやしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールの話とか、そんな話を聞いたラルの話とかやりました。(適当)
今回はごはん食べようぜって感じで食堂ですね。


《L side》
ティールの本音を聞き、なぜか分からないけれど、彼を泣かしてしまい、最終的には全然関係ないことで怒られる私でしたが……まあ、やりたかったことはできたので、問題ない。うん。
そして、約束の時間が近づき、食堂前へとやって来ていた。しかし、ツバサちゃん達の姿はないため、私達の方が早かったみたいだ。
「ちょっと端っこで待ってようか。入口付近は邪魔だろうから」
というティールの提案で、邪魔にならないように壁際で待機だ。
「おなかすいたね! どんなのがあるのかなー? ね、ラル?」
なんだろうね? あとで一緒に見よーね?
「ん! みるー!」
「あ! すいちゃもなんかたべる!」
「せっちゃも! せっちゃもー!」
「げ。お前らなんか食べるの。お腹空くって現象あったの?」
中庭で遊びまくっていた三人だけれど、まだ元気らしく、ぴょんぴょん跳び跳ねている。
「ないけどね、せっかくおくちあるから! もぐもぐしてみたい! ねー!」
「ねー!」
ふうん。まあ、ブレスレットもあるし、無料で使えるだろうから、問題はないと思うけれど。剣に戻ったときに、あれ食べたいこれ食べたいってならないかな?
「そのときはそのときー!」
「うんうん!」
その叶えられない我儘を聞くのはティールなんだよなぁ……
案の定、主ティールは、滅茶苦茶嫌な顔をしていた。そのときが絶対にあると確信しているのだろう。この子らの性格からして。だからって、今、この場で何にも食べさせませんなんて言うのも酷な話である。
「てぃー! いーでしょー!?」
「ねー! てぃー!!」
「やだ。無理。駄目」
……あ、酷だと思っていたのは私だけだったらしい。流石、ティールさん。厳しいお方。
しかし、言葉だけで諦めるスイちゃん、セツちゃんではない。
「たーべーるーのー!」
「もぐもぐするのーー!!」
「いってぇぇ!?」
あろうことか、ティールの髪の毛や耳を思い切り引っ張り始める。実力行使……もとい、武力行使だ。
ティール、そのままだと禿げるかもよ」
「この年で禿げたくはないけど! 折れたくもないっ!」
あはは……どこまで持つんだろ。その強気は。
「おい。あんたら」
「……? はい?」
突然、聞いたこともない声に、私は後ろを振り返る。邪魔とかうるさいとかの注意だろうか。そこまで邪魔していたつもりはないけれど……
振り返った先にいたのは、お世辞にも優しそうとは言えないお顔のおじさまがいた。種族は私達と同じ、人族だろう。ここにいるということは、このギルドの人なのだろうか。
睨み付けるように私を見てくる。そして、私の傍にいるティールとしーくんも観察していた。
……えぇ? ここでも難癖つけられるのぉ? 女だからってなめてんじゃねぇぞ的なやつぅ? それとも、ガキがどーのこーのってやつかなぁ。どっちにしろ、一人じゃないときにされるのは久しぶりだなぁ。
さっきまでふざけていたけれど、スイちゃんとセツちゃんは、大人しくティールの肩にちょこんと座っている。ティールもおじさまには怪訝な表情を浮かべ、しーくんを後ろに隠していた。
「……あんたらが、女リーダーで活動してるっつう、噂の『スカイ』か?」
おおう……そういう言い方するのね。もうこれ、面倒くさいやつなのかなぁ……ご飯前にやめてぇ~……せめて、私一人のときにお願い。ティールいるときに来ちゃ駄目って習いませんでしたかね。……習うわけないな。
「え、えぇ。まあ……そうで─」
「ぼく達に何かご用ですか?」
私の腕を引き、前後を入れ換えるようにティールが立つ。そして、そのまま私を隠すようにおじさまの前に立ち塞がる。
「……あ?」
「用があるなら、ぼくがお聞きします」
あ、これ、必要とあらば戦闘も辞さないやつだ。いやいや、あなた、武器ないですよ。今。
「あ、あのぉ? まだ何もされてないからね。穏便に~」
「君は黙ってて」
あ、ごめんなさい。黙ります。
学生から探検隊をしているというのは、なかなか悪目立ちするもので、同職同士のいざこざも後を絶たない。そのため、ティールはこういう初対面で、柄悪く絡んできた同職の方々をあまり信用していない。
人当たりのいいティールが敵意剥き出しなのも珍しいけれど、こういうときのティールは案外、怒りっぽいというか、冷静というか。
さてさて、どうしようかな。ここはフェアリーギルドではないし、知り合いが親方のギルド。騒ぎなんて起こしたくはないんだが。
「むー……ラルをいじめるひとは、ゆるさない~」
しーくんまで! やめてー!?
私にぴたっとくっつき、じとーっとおじさまを睨み付けている。どこで覚えたのだろう。嬉しいような、やめてほしいような。お母さん、複雑な気持ちです。
「あー! ちょっと、カズキさーん!? 何、勝手に親方の客人と睨み合ってるんすか!」
今度はなんだ。新手か。
しかし、言動からこちらに害をなすような雰囲気はなかった。少し離れたところで声を荒らげて、強面おじさまのことを注意しているらしかった。
バーッと走ってきた声の主は犬族の男性らしく、大きな耳がぺたんとしていた。そんな彼を見たおじさま……カズキさんとやらは、肩をすくめた。
「別に睨んでなんかねぇよ。ただ、親方が呼んだっつー客人がどんなんなのか気になって声をかけただけだ」
その割にはガン飛ばされた気が。見た目のせいかな。
「カズキさんはただでさえ、その顔で誤解されやすいんすよ? 一人のときに声なんてかけちゃ駄目っすよ。その顔で誤解されやすいんだから」
「てんめ! 『その顔で誤解されやすい』って二回言ったな!?」
「言ったすよ。事実ですから」
「ハル、てめぇ!!」
「奥さんに確認してもらいますか?」
「ちょ、女房は関係ねぇだろ!!」
この犬族の方はハルさんと言うらしい。言葉から察するに、このカズキさんが先輩で、ハルさんが後輩……かな。
「……何、この状況?」
「さてね。けどまあ、いつもの難癖つけてくるような人達ではないんじゃないかな?」
「みゅ~……ラル、いじめられない?」
うん……多分ね。
「ラルさーん! お待たせしました~♪ あれ、カズキさんとハルさん? ラルさん達にご用ですか?」
私達の姿を見つけてくれたツバサちゃんがぱたぱたと駆け寄ってきたものの、強面おじさまと犬族の男性を見て、不思議そうにしていた。
ツバサちゃんの口から名前が出てきたのなら、やはりここの関係者か。
アラシ君と共に、少し遅れて到着したツルギ君は私達の状況を見て、カズキさんをじーっと睨む。
「カズキおじさん……? まーた問題でも起こしたの~?」
「若! そりゃあ誤解ってやつですぜ!? 俺はただ、ライトの倅とその相方のリーダーに挨拶したかっただけですから!」
……ライト。この人、ブライトさんのお知り合いなのかな。
ブライトさんの名前にティールが一瞬だけ、表情を曇らせる。
「……ま、また、父上関連……? 今日一日だけでお腹一杯ですけど」
と、小さく呟いた。ティールほどではないが、私もそこそこお腹一杯である。
カズキさんの言葉を聞いたハルさんはむっとしながら、会話に入っていく。
「だから! それをするなら、僕が来るまで待っててくださいよ! カズキさん一人だけってのは、誤解されるんだって分かるでしょう!? 現に、ライトの息子さんに誤解されてます!」
「……えっと、ぼく?」
戸惑ってるけども、敵意出してたの、君だから。必要なら戦えるようにしてたじゃん。
「不意打ちされるの嫌じゃない?」
嫌だけども。
ハルさんの指摘にカズキさんは、誰がどう見ても落ち込んでいるといった感じで、分かりやすく落ち込む。
「そ、それは申し訳ない……」
「うわ。急に萎れないで、カズキおじさん。強面おじさんが落ち込む姿とか、なんかちょっとむさ苦しいんだけど?」
「若ぁ~……そりゃないですよぉ」
辛辣なツルギ君の言葉にカズキさんはさらに落ち込む。
初対面で言うのもあれではあるが、確かに強面おじさまがしょんぼりしているのは……インパクトがあると言いますか。
つか、結局誰やねん。この人達。



~あとがき~
ご飯食べてねぇ~

次回、ラル達に絡んできたこの二人は誰だ!
あとはご飯食べます。ご飯。

ティールはちゃんとラルを守る騎士様できるんです! ほんのちょっと前まで泣いていたやつとは思えませんね!
そして、雫も微力ながら、威嚇してますね。描写してないけど、ティールの肩でスイセツも「むー」ってしてるのではなかろうか。

ではでは。