satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第193話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールのどたばたな夜がスタートしました。スイセツとひと悶着あったり、ラルとひと悶着(?)あったり?
今回もその続きですね。


《Te side》
ラルはむすっとしているスイとセツをドレッサーのテーブル部分に座らせると、旅行鞄から化粧ポーチを取り出す。
「ちょいちょいっと綺麗にしたげる~♪ 女の子は可愛くないとね! こっち向いて?」
「むー!」
「おやおや? 膨れっ面では可愛くできませんな~? それっ」
ニヤリと笑って、メイクブラシ(二刀流)で二人の顔をくすぐっていく。むくれていた二人も無反応とはいかず、肩を震わせて、声をあげた。
「んー!! くしゅぐったい!」
「やぁぁー! るー! だめー!!」
「よぉし! お澄まし顔できるんなら、やめてあげよう! あ、そだ。ティール」
スイとセツは任せて、ぼくもお風呂入ろうかなと思っていたところに、ラルが話しかけてきた。
「家に電話するって話、どうするの? 今ならセイラさんに繋がるんじゃない?」
あっと。忘れてた。
この時間にかけないと、タイミングを見失いそうだ。せっかくだ。色々聞きたい。
「じゃあ、ちょっとかけてみる……でも、家に直接かけると、父上出そうでやだな」
「個人番号にかけなよ」
個人? でも、母上に直接繋がる番号なんてあったっけ? そもそも、私的の端末なんて持っていた?
スイに化粧をし始めたラルは、ぼくの方を見ずに答える。
「つい最近、私が調整したやつ送った~」
「……親友の母親と何してるの?」
「ガールズトーク
電話の内容の話じゃないよ。というか、ガールって年じゃなくない……? というか、初耳なんだけれど? 父上、知ってるんだろうか。
ティールには折を見て教えるって話だったけどね。ブライトさんはどうだろ。知らなそう」
「……ぼくもそう思うよ。あ、じゃあ、ラルの端末貸して。そっちで電話する」
「ええよん。ベッドの上に放り投げてる上着ん中」
はーい。じゃ、失礼しますっと。
ラルのポケットから端末を見つけ、慣れた手つきで操作していく。親切に『セイラさん』と登録されたその連絡先は、ぼくの知る番号ではなかった。
「……こっちから電話するの、いつぶりだろ」
ずっとあちらからの電話に応えるばかりで、ぼくからってのが本当にない。仕事以外でこちらからかけるのは、初めてなのではなかろうか。
ティール、おでんわ、しないの?」
濡れた髪をタオルで拭いていた雫がぼくを見上げる。そんな雫を見て、持っていた端末をベッドに置き、髪の毛を拭いてやる。
「電話するよ。……ちょっと、緊張するけどね」
「ふにゅう~……だいじょーぶ! だって、ティールのママだもん。ティールがやさしーから、ティールのママもやさしーもん。だってね、このまえ、おはなししたときもね、やさしかったよ?」
「……そうだね。ぼくの母さんは優しいよ。いっつも。ほら、できたよ」
「ほわ! ありがとー!」
大体、拭き終わったところで、ぼくは決心が鈍らない内にコールボタンを押した。
これで出なかったら、徒労に終わるけれど。その心配はなさそうだ。数回のコールで相手が出る音がした。
『は~い♪』
「……もしもし。ティールだけど」
『あら? ラルちゃんの番号なのに……?』
「ラルの端末からかけてる。これの存在、初耳なんですけれど、お母様?」
『私もプライベートがほしかったってこと♪ 今度、ティールにも教えてあげるっ』
プライベートねぇ? まあ、いいけれど。王族としてプライベートなんてないに等しい気もするし。少しくらいは息抜きできる手段があってもいいだろう。……と、思う。
『何かご用ですか~?』
「母上……母さんに聞きたいこと、あって……あ。父上、そこにいる?」
『ん? 自室でまだお仕事中。休むって言葉、知らないのかしら。……ティールは、お父さんに用だった?』
「いや。いない方がいい」
『あら、やだ♪ 正直ですね』
くすくすと小さく笑う母に、なんか恥ずかしくなってきたぼく。もう少し繕うべきだったんだろうか。……いや、無理だな。
「この前の連絡で仕事あるって話。覚えてる?」
『ええ。夏休み入ってすぐにあるって話でしょう?』
「そう。その仕事で今、明けの明星に来てる。……母さん達がお世話になってたとこ、だよね。そう親方さんから聞いた」
『あぁ~♪ ルーメンお爺様♪』
お爺様ねぇ……ルーメンさんの言ってたことは本当だったんだな。疑ってはなかったけれど、家族から聞いた訳じゃなかったから、本当に仲良しなのかもピンと来てなかった。けど、この反応は本物だな。
「こんなところと縁があったなんて知らなかったよ。なんで教えてくれないの?」
『タイミングがなかったのが一つ、かしら? それにティールがこちらにいたとき、ルーメンお爺様と会わせるタイミングもなかったんですよ』
それを言われるとなぁ……そうだよねと思うしかない。だって、親と距離取っていた頃だ。周りの人間関係なんて知る機会、なかった。
「……じゃあ、ルーメンさんのところで修行してたって話とか、お祖父様とルーメンさんが旅してたってのも本当?」
『ぜーんぶ、本当♪』
うぅ……ま、そうなるか。
『ルーメンお爺様とアルド様が仲良しになってから、うち……海の国と陸の国とも交流が多くなったと聞きます。きっと、あの二人が気の合うやんちゃさんだからね♪』
や、やんちゃ……?
『ん~……もし、私達の話が気になるのなら、ルーメンお爺様にお聞きするといいわ。きっと、面白おかしく教えてくれますよ? 正直、ティールには恥ずかしくて言えないようなことも、ころっと言うんじゃないかしら? ふふ。ブライトなら、ぜぇったいに教えてくれないようなこともね? お父さん、あなたにはカッコ悪いところ、見せたくない見栄っ張りですから』
えぇ? 父上がそんなタイプには見えない。失敗とか、そういうのもあるような人には見えないけどな。常に完璧で、真面目で、厳しくて。
『あら。あの人はそこまで機械じみてないわよ。なんて、信じられないか。それこそ、ルーメンお爺様がよく知っています。機会があるなら、持ちかけてみてね』
う、うん……
ぼくは母さんの言う、機械じみたところしか見てないんだけれど……本当なんだろうか。申し訳ないけれど、全く信じられない。
「でーきた! ほれー!」
「せっちゃー! かわわー!」
「すいちゃー! かわわー!」
「ふたりともー! ほんもののよーせーさんみたい!」
ん? あぁ、ラルのスイとセツのご機嫌取りが終わったのか。
電話越しでもラル達の声が聞こえていたのか、母さんの笑い声が聞こえてきた。
「ごめん。うるさくて」
『いいの。元気な声が聞こえてきて、こっちまで楽しくなっちゃったわ。ティール、お仕事頑張ってね。また何かあれば連絡してください。あなたは私の……私達の大切な息子なんだもの』
「うん。……ありがとう、母さん。じゃあ、近いうちにそっち行く」
『えぇ。楽しみにしています』
母さんとの通話を終わらせ、ぼくは皆のところへと近づく。
「みてー! てぃー! るーね、すごいの!」
「かぁいくなったー!」
ラルが器用に二人のことをメイクアップしたようだ。メイクを軽くしただけではあるが、髪の毛も三つ編みを使ってアレンジしてある。スイもセツもお揃いのヘアスタイルだ。
「似合ってるよ、スイ、セツ」
「よかったね、スイちゃん、セツちゃん。ティールに褒められちゃったよ~♪」
「んふふー!」
「るー! しゃしーん!」
「まっかせろー! ティールと撮ったげる」
え。ぼくはいいよ……
遠慮したかったのだが、二人は撮る気満々で、ぼくにぴたっとくっついてきた。ここで逃げるのはかわいそうすぎるよな。写真だけだし、いいか。
「……雫もおいで。というか、写真、タイマーにして皆で撮ろうよ。できない?」
「え、できるけど。……じゃ、そうするか。ほれ、皆並べ!」
「わー! みんなでおしゃしーん! かぞくしゃしんみたいだ!」
家族写真ね。それにしては、半分が風呂上がりだし、お家感満載だけれど。それはそれで楽しいか。
ラルがセットしたカメラでパシャリと一枚の写真を撮った。
いつの間にか、二人のご飯の恨みはどこかへいってしまっている。ラルさん様々である。本当に、頼りになる相棒だな。



~あとがき~
ようやく、わやわやっとしたのが終わった。

次回、ティールはルーメンおじいちゃんのところへ出向くか否か……?

今回、ガッツリセイラが出てきました。
ティールのマッマですね。セイラ・クランドさんです。ご本人登場はまだまだ先になるかと思いますが、出てくる機会はございます。
夫のブライト差し置いて、セイラが先に出てくるとは思いませんでした。出るなら同時かなと思ってたので(笑)

ではでは!