satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第200話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でばたばたしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、一日目が終わりました。
今回から夏休み編、二日目突入です!
そして! 今回で200! やっべぇぇ!!


《L side》
普段とは違う朝。遠くの方で聞こえてくる心地よい鳥達のさえずりを目覚まし代わりに目を開ける……なんて。そんな優雅な起床だったのなら、どんなによかったか。
確かに、小鳥の声も聞こえてくる。それは確かである。しかし、それとは別に爆発音も聞こえてくるのだ。
そちらの非日常ともいえる音に起こされた私は、まだ眠くてぼやける頭を無理矢理起こしながら、備え付けの時計を見る。
「あ~……まだ、五時じゃん。二度寝できるぅ」
ふっかふかの枕に顔を埋める。なんとも言い表せない、気持ちよい枕なんだろう。家帰って、自宅で寝れるんだろうか。序盤から心配になってきた。謎に。
話を戻そう。
家なら、洗濯物がーとか。朝ごはんーとか。やることが多くて、この時間からなんとなく動くことは多い。しかし、今日はルーメンさんのギルドが経営するホテル。つまり、家事する必要なし。このふわふわ枕と戯れるのもやぶさかではないのだ。うだうだと時間を費やしても、問題ないくらいには。
……その、はずなのだけれど。
「……くそ。駄目だ。一回起きたら寝れん」
外だと言う自覚があるのか、度々聞こえる爆発音が無意識に警戒心掻き立ててくるのか。寝ればいいのに、頭はどんどん冴えていく。これでは二度寝も満足にできるはずもない。
仕方なく、体を起こしてベッドから出る。そして、隣のベッドを見た。
二人とも起きる気配もなく、気持ち良さそうに寝ていた。しーくんがパパにくっつくように寝ている。ティールも無意識なんだろうが、我が子を優しく抱くように寝ている。なんとも羨ましい限り。
「全く。気持ち良さそうで何よりだわ。……ほーんと、血の繋がった親子みたい」
しーくんの見た目はティールによく似ている。フォース君曰く、神様の卵であるしーくんが私達の姿を真似ていく過程で、たまたまティールに似たんだろうって話だ。
使う属性系統は元々同じだが、容姿は本当にたまたまなんだけれど。性格まで似ているかは……どうなんだろうね?
ティールとしーくんの似ているところ探しはそこそこに、手早く着替えを済ます。とはいえ、まだ朝早いし、せっかくなので、その辺を散歩がてら走ろうかと、動きやすいスポーツウェアだけど。
その間にも、何度も爆発音は聞こえてきていた。こうも何度も聞こえてくるとなると、気のせいでしたとはならない。まあ、周りは静かだし、雷姫も静かなので、緊急事態でもないのは確かだけれど。
「ま、いいや。とりあえず、ぱーっと行ってくっかねぇ」
「んー……うりゅぅ?」
「おっと。ごめんね? 起こしちゃったかな」
しーくんは、ティールの腕の中でまだ眠そうに唸りつつも、何度か瞬きをする。それでも、目は覚めないようで、うつらうつらしていた。きっと、昨日は夜遅くまで起きていたから、寝足りないんだろう。
「しーくん。まだ早いから、寝てていいよ」
「んう~……ん。……ママ、どっかいくのぉ?」
「うん。お散歩に行くの」
「おさんぽぉ……? どこいくのぉ?」
聞こえてくる方角から察するに、恐らくはギルドの中庭。修練場として解放されていたあの方角だろう。
「中庭の方かな。……どっちにしろ、すぐに戻るから。しーくんはもうちょっと寝てよっか」
「うみゅ……ねるぅ」
ティールの胸に顔を押し当てて、もう一度、夢の中へと出発するようだった。なんとも羨ましい限り。……二回目だな。これ。
私はティールが寝ているベッドの端に座り、しーくんの頭を撫でる。ついでに呑気に眠りこけるティールの方も少し乱れる髪を直してやる。
「……さて。行ってきます」
……と。置き手紙でもしておくか。あり得ないと思うが、ティールが起きて私の姿がないと騒ぐ可能性がある。朝っぱらから大騒ぎされるのは本意ではない。あと、面倒臭いし。
部屋を出る前に、机の上にあったメモ帳に『目が覚めちゃったので、ギルド内の散歩に行ってきます』と簡単にメッセージを残しておく。
それを分かりやいところに置いて、必要なものだけを持ち、部屋を出た。

聞こえてくる音を頼りに、ギルドの中を歩く。やはり、私が予測した通り、中庭へ近づくほどに音は大きくなっていく。ついでに、賑やかな雰囲気も。
朝の静けさとはかけ離れた雰囲気だなぁ……これ。
「こんなんじゃ、優雅な起床が台無しだよ」
『今までしとらんかったじゃろ。優雅な起床とやらは』
うっさい。雰囲気だよ! 雰囲気!
私の中で雷姫が冷静な突っ込みをしてくる。それと同時に、楽しそうに笑う声も聞こえてきた。
『マスターが大人しくお嬢様しておる人間か? それにしても、あちらは随分と楽しそうじゃのぉ♪』
雷姫の言う『楽しい』は、大体がろくでもない何かである。これは身を引き締めるべきかもしれない。
雷姫の失礼な言動には澄まし顔で、華麗にスルーしつつ、中庭をちらりと覗いてみる。
そこにはギルドメンバーと思わしき人々が倒れ、その人達には目もくれずに戦う二人がいた。
「……ここは戦場か何かかな?」
『ほれ。楽しそうじゃろう?』
お前にはな! そう見えるだろうよ!?
戦う二人の一方は、白の魔力石をぶら下げた刀を構えた少年。白に赤のラインが入ったパーカーに短パン姿の狐族の男の子……ツルギ君だ。そして、もう一方は──
「甘いぞ! ツルギ!」
和服の上半身をはだけさせ、お爺様とは思えない肉体美が凄まじい、ルーメンさんだった。見たところ武器はないが、両手にグローブがつけられている。多分、この人の戦闘スタイルは拳闘士……格闘家スタイルだろう。超接近戦好みなんだろうか。
気合い十分な雄叫びと共に、刀に炎をまとわせたツルギ君がルーメンさんに突っ込んでいく。しかし、ルーメンさんは両の拳を地面に突き立て、魔法を発動。豪快に地面から岩が突き出てきた。
その魔法反動に巻き込まれたギルドメンバー達が呆気なく飛んでいく。
「どわぁぁぁ!!」
「ぎゃあぁぁ!?」
……様々な情けない叫び声と共に。
「……ティールのおじいさんも、こうやって飛ばされたと思うと不憫だよ」
『どちらにせよ、滑稽じゃな』
スイちゃんとセツちゃん、連れてくればよかったかな。そうしたら、そのときのことが聞けたかもしれない。
「あっ! ラルさーん♪」
聞き覚えのある声に、私はそちらを振り向く。
ツルギ君とお揃いの洋服─パーカーのラインは青だけど─に身を包んだツバサちゃんだ。朝早いのに、いつも通りの天使の笑顔を輝かせている。ぱたぱたっと駆け寄ってきて、愛らしいお出迎えをしてくれた。
「おはようございます、ラルさん!」
「おはよう……あの、出会い頭に質問ごめんね。……何これ? たまたまこんな激しい感じなの?」
「? いつものことですよ?」
いつもかぁ……いつもなのかぁ……
日常茶飯事、というやつなのだろう。まあ、なんだ。私が実験失敗して爆発起こす的な? なんかそんな感じで毎回やってるんだろうな。そういうことなんだろうな?
『違うと思うぞ』
お黙りなさい。
「じいじのギルドでは、朝に修行するんです。じいじの指導が受けられる朝練なんですよ♪」
は、激しい朝練だぁ……
「ツバサちゃんもここにいるってことは誰かを相手してたの? それとも、ただの見学?」
「んと、私もヤスさんって方と手合わせちゅ……はっ! 忘れてた!!」
ツバサちゃんが慌てて、その相手とやらの方を振り向き、ある程度の距離まで近づいた。私も少し後ろからついていくことにした。
そこまで離れてなかったけれど、そこでは、リランが水色の髪を束ねた男性に噛みついているところだった。
「がう~!」
「いってぇぇ!? ちょ、リラン! 軽い手合わせにその強さは駄目だってー!!!」
よくやるじゃれあい甘噛みではなさそうだ。ドラゴン(子供)の噛みつき、痛いだろうな。
「リラーン! 噛みつきストップ! ヤスさんの腕もげちゃうー!!」
うん。……朝からおっそろしい発言を聞くことになるとはね。思いもしませんでしたよ。はい。
ご主人の声にリランは素直に従った。ぱっと男性の腕から離れ、利口にもお座りをする。
噛みつかれていた男性は、痛みを逃がそうとするように腕を擦りながらこちらに近づいてきた。
「いってぇ~……あ、おはようございます。話は聞いてますよ」
「お、おはようございます……あの、大丈夫です?」
「あ~……大丈夫っす。リランも本気じゃなかったんで!」
そのわりには痛そうだったけどな……?
「すみません。名乗りもせずに……俺、ヤスと言います」
「初めまして。探検隊スカイのリーダー、ラルです。残りの二人はまだ寝てるんですけど」
こんなところであれではあるが、お互い、軽く自己紹介をする。
「俺、若であるツルギ様の付き人をヒデと一緒にやってまして……ラルさんの話も若から少々……伺ってます」
と、多少言いにくそうにしつつも、ぺこりと挨拶してくれた。
どうせ、誘惑魔がどうのってやつだろう。お付き人にも鬱憤晴らしに話しまくっているのだろうな。別に構わないけれど、ここまで来たら、いっそのこと少年が一生忘れられないほどに、しつこく構ってやろうかな。
『マスター、楽しそうじゃの』
まあね。
「そのご様子だと、彼の嫉妬心溢れる大変楽しいお話なんでしょうね? お気になさらず。慣れてますので」
「す、すみません。それに、昨日も若がご迷惑を」
「それこそ、お気になさらず。真っ直ぐで可愛いもんですよ」
年を重ねた阿呆達の方がよっぽど迷惑ってものだ。それを考えると、ツルギ君の真っ直ぐな罵倒や襲撃など、そよ風レベルなのだ。



~あとがき~
きり悪い気もするけど、この先書くと長くなりそうなんでここまで。

次回、ツルギVSルーメンの決着です。
とか、ちょっとした提案とか。

私、幼児に夢見すぎなのか、雫をかなり幼く書いてるんですよね。本当ならもっと流暢に喋るだろうし、しっかりしてそうなんだけど。幼く見えるようにとひらがな表記にもしてるけど。本当なら、ところどころ漢字でもよくね? とも思います……(笑)
まあ、実際は生を受けて三年目なので、間違ってないのかもしれんが。肉体年齢(見た目)は五歳なんだよなぁ……(汗)
ま、甘えたい年頃ってことで! 一つ!!←
そして、ティールが雫を潰さないか心配です。間違っても雫側に寝返り打つなよ、お前……!

ではでは!