satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第203話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でもんもんしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラルVSルーメンおじいちゃんでした。勝者は(分かりきってましたが……)おじいちゃんですね。
今回はそんな戦闘後のお話です。


《L side》
手合わせの結果、最後はルーメンさんのデコピンで終了となった。なんとも締まらない終わりだが、あのまま続けていても私の負けは確定している。デコピンではなく、本当にボディブローが飛んできていたら……雷姫の強化もあったし、伸びてはないだろうが、まともに立ち上がれはしないだろう。
つーか、負け戦に熱入れすぎじゃないですかね、私……?
それくらい、本気で取り組んでしまったということなのだろう。悔しいけれど、その気にさせられた私の負けだな。
私は立ち上がって、ルーメンさんに一礼をする。
「ルーメンさん。相手してくださり、ありがとうございました」
限られた条件下だったとはいえ、何かと反省点の残る試合となった。あとできちんと分析しておかねば。
「いやいや♪ ワシの方こそこんな老いぼれを相手にしてくれてありがたい限りじゃ♪」
ご謙遜を。
「神器使いとは何度か手合わせした経験があったんだがの~……やはり、妖刀と唱われる雷姫の力は凄まじいの」
「そうは仰いますが、雷姫の攻撃は大して効いていないように見えましたよ?」
「ふむ。まあ、元より土と雷属性の相性はよくないからの……しかし、まったく効いておらんことはない。きちんと痺れは感じとるよ?」
……は?
意味深ににこりと笑うルーメンさん。
「相手に隙を見せんのも実力のうち。……戦い方の一つじゃよ?」
…………はぁぁぁ!?
驚愕の事実に思わず、私が数歩後退するのと同時に双子がこちらに駆け寄ってきた。ツバサちゃんは私に、ツルギ君はルーメンさんにだ。
「ラルさん! じいじとの模擬戦、お疲れさまですっ!」
「じいちゃん! はい、これ! 痺れ治しのポーション
「おお♪ ありがとの、ツルギ~♪」
痺れ治し……
地面に落としてしまっていた雷姫を拾い上げ、鞘に納める。そして、今度はじっくりとルーメンさんを観察した。
確か、雷姫の攻撃を受けていたのは右手。痺れを感じるのなら、そちら側だろう。
よくよく見てみると、本人の言う通り、右手には震えが出ており、雷姫の電撃によるものだろうと推測できる。あの戦いの中では私の方に余裕もなくて、それに全く気づかなかった。
「くっそぉ……もうちょい雷姫で右を攻めるべきだったか」
もし、ティールがいれば、仲間がいれば、きっと気づけていたと思う。少しでも余裕が生まれるからだ。でも、その余裕は一人のときにもできるようにするべきなんだろう。
「……はぁ」
「わわっ! ラルさん、大丈夫ですか!?」
突然ぺたんと座り込んだ私をツバサちゃんの心配の声が降ってきた。それでも、私は思考を続ける。
視野を広げろというルーメンさんの言葉は、全くもってその通りだ。一対一のあの状況下で適切な判断をしなければ、こちらがやられる。実際、相手の弱った部分を見抜けずにやられたのは私。もう少し見えていれば……少しの隙を逃さない観察眼があれば。
「あそこでやられない未来もあった……かも」
『それはない』
「うっさぁぁいっ! もう少し続けられてたかもって話だよ!」
冷静で無慈悲なお姫様に半ば八つ当たりをして、彼女をベルトから外した。
「リラン! こいつ持ってけ! 雷姫、その指摘は間違ってないけど! 私の思考の邪魔すんな! 終わったら呼び戻してやる」
『なっ!? マスター!?』
「わふ!」
「ラ、ラルさん……!?」
私が差し出した雷姫をリランは嬉しそうに咥えて、走り出した。よし、これでいい。
「……ん?」
どこからか視線を感じて、軽く辺りを見回した。すると、ルーメンさんと話をしていたツルギ君と目が合う。彼も私に気がついて、慌てて目を逸らした。それでも、なんとなく、こちらを気にしている様子だ。
なんなんだろう。ツバサちゃんに変なことしないか心配しているのか……? いや、しないし、する元気もないのだけれど。
「ラル、さん? ほんとに大丈夫ですか?」
「……うん。大丈夫。色々と一人で反省をね……心配かけてごめん」
「いえ! そんなことより、ラルさんすごかったですね! 大会のときもすっごくかっこよかったですけど、今日もかっこよかったです」
座っている私に合わせて、ツバサちゃんも私の隣にちょこんと座る。そして、無邪気な笑顔を浮かべて、負けた私を褒めちぎった。
「あはは……あんな負け方してるのに?」
「勝ち負けじゃないです。真剣勝負してたラルさんがかっこよかったんですっ」
慰めかなぁ……いやこれ、ツバサちゃんの表情的には本心らしい。全く、真っ直ぐで素直で、恥ずかしげもなくよく言えるものだ。
「ありがと、ツバサちゃん。でも、ルーメンさんの方が凄いよ。私、雷姫の電撃は効かないって思わされてたんだもん」
「流石のじいじでも、ラルさんの電撃……雷姫さんの電撃を完全無効化なんてできないと思います」
君のペットには無効化されたんですが。それは……?
「それに、じいじ、感情コントロールって言うんですかね? それがとっても上手なんです。ほんとの表情を表に出さない戦い方をするので……私も見習いたいです!」
ツバサちゃんにそれはちょっと難しいかなぁ。少なくとも、数年は習得できなさそうである。
「ツバサちゃん」
「? はい!」
「君はそのまんま、素直な君がとっても可愛いと思います。しばらく、そのままでいてください」
「ほえ? わかりました……?」
分かってねぇ。いや、もういいけどさ。きっと、しばらくは素直で分かりやすく愛らしいツバサちゃんのままだろうから。
そのままでいいんだぞと思いを込めて、ツバサちゃんの頭をなでなでする。こんな私の行動も、ツバサちゃんは受け入れてくれて、嬉しそうに耳と尻尾をぱたぱたさせていた。
「あう~ん!」
『黙れ、駄犬! いい加減にしろ! 我を怒らせたいのかぁ!?』
……後ろの戯れは無視しよう。
あの戦いの中での違和感。あれは、結局なんだったのか。何に対しての違和感なのだろう。
ゴーレムを一度に破壊したあの瞬間だったか。では、ゴーレムに関しての何かに疑問を感じたのだ。具体的に何だったのか、あそこではルーメンさんの不意打ちもあって、考えられなかったけれど。
「そもそも……一発破壊なんて、本来、避けるべきだ」
「ふにゅ~……? ラルさん?」
私はツバサちゃんをなでなでしながら、更に考えていく。
あのゴーレム達は私を捕らえるため……或いは、私の動きの制限を目的としていたのなら、全体破壊なんて状況は避けるべきだ。避けるためには、コアの位置をあんな分かりやすい位置に配置するのは変だ。一体一体、バラバラにするか、それができないのなら、私が破壊しにくい位置に置くべきでは?
それをしなかった理由がある。
一応、バラバラに配置できなかったというのも可能性として考えられる。考えられるが……
「ね、ツバサちゃん」
私は撫でていた手を止める。
「数体のゴーレムを召喚したときに、コアの位置って変えられるのかな。例えば、バラバラに配置する、とか」
「ん~……そうですね。簡単ではないですが、じいじならできると思いますよ。じいじは身体強化系魔法と土魔法が得意ですから!」
となると、あのゴーレムは陽動。私の意識を目の前のゴーレムに向けさせ、自分は私の背後へと回るための……いわゆる、捨て駒だったのだろう。だから、コアの位置も全て同じにし、私の目に付く場所にしておいた。
それにまんまと引っ掛かったのは私。
私と雷姫なら、破壊してくれるだろう……しなくても、ゴーレムが攻撃の手助けをする。どちらに転んでもルーメンさんの手の上。
本当にやってくれる……
「これが年の功……経験の差。伝説と言われるだけはあるよ、君のおじいさまは」
「? はい! じいじはすごいんです♪」
私の言葉に首を傾げたものの、自分のお祖父ちゃんを褒められて嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべた。
やれやれ……私もまだ半人前だ。もっと精進しないとねぇ……?



~あとがき~
ラルな反省会もとりあえずここまでかな。

次回、ラルVSルーメン戦。まとめていきます。もうまとまってた気もするけど。

いつもは手のひらで転がす側のラルですが、今回は逆の立場でしたね。珍しく。
まあ、年上&ベテランには勝てないってことだな!(笑)

ではでは。