satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第206話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんぱちしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
ラル&ティールとケアル兄妹&雫で別行動です。そして、ケアル兄妹と雫パートは特に何もありません。
ってことで、のんびり過ごすであろうラル&ティールパートじゃーい!


《L side》
とりあえず、部屋に戻ってきた私達。
特に何をするでもなく、二人でソファに腰かける。黙ってぼーっと時間を費やす……ことはなく。
「……ぼくら、何する?」
ティールからの問いかけに、私は答えられなかった。理由は単純で、私の中にもそれに対する答えが見つからないから。
午後からはツバサちゃんとしーくんと観光する予定だ。つまり、午前の予定は何一つとして決まっていないのである。
この部屋に時間まで籠ってもいいし、建物内を歩いてもいいが……どれもピンとこない。特別、籠ってすることはないし、建物内は昨日、粗方回ってしまっている。
そうなると、思い付くのは一つだけで。
ティール、少しだけ体動かす気、ある?」
「……へ?」
「訓練場で私と模擬戦しよう」

二人して動きやすい服装に着替えると、中庭兼訓練場へとやってきた。
昨日みたいにちらほら指導中の方々がいる中で、私とティールは端っこにある日陰へと移動する。
「で、ルールは?」
軽い準備運動をしているティールは日陰にいるからか、まだ元気である。様子を見つつ、やってみようかな。
「そうだなぁ。武器も技もなし……だと、私、ティールに押し負けるんだよね。力比べになっちゃう」
「それを言ったら、武器なし技ありはこっちの分が悪いよ?」
……お互い、真ん中がないな。
ちなみに、技なし武器ありだと、ティールの方が勝率が高い。当然である。単純な技量は彼が上なのだから。
「無難に全部ありで……いくか」
「そうだね。それがベターかも。……よし、じゃあ、ぼくは武器はセツを使う。魔具はいつもの懐中時計を宣言しておくよ」
「ういっす。私は雷姫だけかな。魔具はなしでいーや。持ってくるの忘れた」
「なんでだよ……」
雷姫で代用できるから、いいかなぁと。
さて。簡単にルールを整理しておくと……
一、お互い技も武器も使用可。ただし、道具は使用不可。
二、宣言した武器のみを使用。
三、武器によるアタックの場合、寸止めで。危ないから。
四、危険な技は使用不可。
以上。これが私とティールがたまーにやる模擬戦のルールである。時々、武器はくじで適当に決めちゃおうぜ~……とか、技はこれしか使いませーん! とか、変則的なこともするのだけれど、今回は至ってシンプル。
とりあえず、自分の得意な攻撃で相手をねじ伏せろ、である。
「来い、雷姫!」
『なんじゃ。今日は呼び出しが多いの~?』
そういう日なの! 黙って従わんかい。
「出番だよ、セツ」
『あいっさー!』
激しく電流を散らしながら現れる雷姫と、静かに冷気を纏って現れるセツちゃん。対照的な登場の仕方だが、そこに意味はない。
「三カウントで仕掛けるからね?」
「了解」
私は雷姫を、ティールはセツちゃんを構え、お互いを見据える。
心でカウントし、ふっと短く息を吐く。それと同時にティールにも僅かながらに力が入るのが見えた。
「……せやぁぁ!」
「わっと……流石。速いな」
持ち前のスピードでティールの背後に回ったものの、ティールは涼しい顔でセツちゃんを操り、簡単に受けきった。長年共に戦ってきた仲だ。手の内なんて知られているということなのだろう。
「これでも、手は抜いてるけど……ねっ!」
「あはは。……だろうなっ!」
剣と刀で互いを弾き、距離を取る。
ティールは片手でセツちゃんを構え、私は両手で雷姫を構えた。そして、どちらかともなく、攻撃を仕掛ける。
技ありなんて言ったけれど、技を出す暇がない。武器による攻防をメインに進めているせいだろう。ティールが攻めてきたら、私は雷姫で受け、その逆も然り。
そうしたやり取りが何度か続いたあと、きらりとティールの瞳の奥が光る。
「敵を氷結の世界へ誘え、セツ!」
「なぁぁぁ!? それはずるい!! 私が寒いの苦手だって知っててやってるぅぅ!!!」
剣だったセツちゃんが一瞬で冷気へと変化し、私を包み込んだ。ここが外でしかも季節は夏だというのに、辺りの気温が急激に下がり始める。
寒いのが苦手以前に、寒さで動きも制限されてしまう。苦手でなくても、体はかじかみ、動きは鈍ってしまうだろう。まあ、私の場合、苦手というバッドステータスもあるため、二重苦である。
ついでに言えば、セツちゃんで視界は最悪である。近くにいるはずのティールすら、全く見えなくなっていた。
「容赦ねぇぞ、うちのパートナー。だったら、私だって容赦しないもん……! 雷姫! 生体感知!」
『うむ』
生物は生きている以上、微弱な電気信号を使って動く。それを雷姫で感知すれば、簡単に居所を探れるわけだ。普段は自分で気配察知をするために、生体感知は使わない。しかし、今は寒さで集中できないし、こっちの方が早い。
『マスター、七時の方向にパートナーがおる』
「はいよっ! なら、その方角に電撃を放つ!」
『任せろ♪』
軽く雷姫に電気を帯電させて横一文字に振ると、電撃波が放たれた。
『お、当たったぞ♪』
「よっしゃあ! ってか、寒い! セツちゃーん! 寒いんですけど!!」
『それが、せっちゃのおしごとなので!』
まあ、確かに……それを言われてしまうと頷くしかないわ。
この冷気から逃れるためには、ティールを戦闘不能にするしかない。
技が当たったのなら、彼の位置も変化ないはず。一気に畳み掛けよう。
「行くぞ、雷姫!」
『うむ♪』
先程、雷姫に教えてもらった方角に一直線に突っ込んでいく。懐中時計を片手に佇むティールを視界に捉えたということは、セツちゃんの冷気から逃れられたことを意味していた。
……ん? 別にセツちゃんから私を解放する意味はない。せっかく、私の動きを制限できるのだ。それを解除する必要性はない。つまり……
「わざと雷姫の攻撃受けたな、お前!」
「寒さで考えが安直になってるんだよ。寒さは君の弱点の一つ。狙わない手はないからね! “氷水撃”!」
ティールの背後に水で作られた無数の矢と、私の背後にセツちゃんの冷気で作られた氷の矢がセットされる。そして、間髪入れずに全て放たれた。
これを全て避けるのは無理だ。なぜなら、ティールは“あやつり”で水の矢を必ず当ててくるし、それと同時にセツちゃんをも操って、氷の矢すら必ず当ててくるだろう。百発百中とはこのことである。
だが、対処の方法はある。
「……雷姫!」
『言われると思うたわ。すでに準備済みじゃよ♪』
私は“身体強化”で無理矢理方向転換し、雷姫を構える。そして、可能な限り、帯電させていく。
「全て蒸発させて凌ぎきるよ!」
『承知した』
「は? 蒸発!? ちょ、タイム!」
……えー?
ティールの場違いな「タイム」の声で私達は一旦攻撃を中断させる。ティールは“氷水撃”全てを消して、セツちゃんも剣に戻す。私も雷姫に帯電させていた電気を全て放電させた。
「なんで止めるのさ、ティール。いいとこだったのに」
「いやいやいや? 止めるだろ。普通。あれを蒸発させようとしたの? 全部? いくつあると思ってるの。万はあるよ。自分で言うのもあれだけど!」
私の肩をがしっと掴み、鬼気迫る勢いで捲し立てる。確かに、水と氷の矢はかなりの数はあった。そこは、ティールの技量の高さ故だ。きっと、絶好調だったらもっと数を出せるのだろう。
「知ってるよ。けど、雷姫なら楽勝だもん。ね、雷姫?」
『うむ。我にできぬことはないぞ♪』
「雷姫も楽勝だって~」
「ちっがぁぁう!! できないって話じゃなくてだな! そのあと! そのあとの話をしているの! 君、ぶっ倒れたいの!?」
……あ、そっち?
ティールに言われるまで気にしてなかった。はてさて、どうだろう。五分五分か?
「危険なことはなしってルール覚えてます?」
「覚えてますけど、あれは危険に入らないんじゃないかなーって?」
「ダウト」
何でだよー!!
私が不満たらたらなのを感じ取ったのだろう。彼は小さくため息をついた。
「ぼくも少し熱くなって、思った以上の矢を作ったけどさ……それを上回るようなことしないでくんない? 仮にそれを放ったとして、爆風で吹き飛ぶでしょ。ここで修行してる人とか、のんびり休みに来た人とか」
ふ、吹き飛ぶかなぁ……?
しかし、正直なところ、ティールの“氷水撃”をまともに蒸発させてやろうとしたことはないため、前例がない。どうなるかは未知数であるため、ティールの心配もごもっともではあるが。
「ぼくの負けでいいから、やめようか。この手合わせ」
「なら、引き分けでいいよ。お互い、熱くなったということで」
「OK。……それにしても、君と模擬戦は冷静さなくしそうで怖いよ。実際、やり過ぎた感が否めないや」
ティールは、日陰のベンチに腰をおろして、今度は大きなため息を一つついた。
彼はそうは言うが、ティールの本気はもっと激しいものになる。つまり、まだ全力ではないはずだ。そしてそれは、私も同じ。
「いいじゃない。二人で切磋琢磨できるってことだもん。まだまだ発展途上な私達は伸び代があるもんね~♪」
「前向きだなぁ……誰の受け売り?」
ルーメンさんかな? 朝に言われたもので。
「ふーん……? 本当にそうなら嬉しいけど」
「だね。……ちょっとここで休憩したら、部屋戻ろっか。久しぶりに体動かしてどうだった?」
「まあ、楽しかったかな……? 数日後にはダンジョン調査もあるし、いい運動にはなったよ」
それは何よりだよ♪



~あとがき~
雑にラルとティールの模擬戦でした。

次回、二日目午後パートだ!

ティールの真面目戦闘はここがお初です。幻影相手に技ぶっぱなしてた件は忘れてくれ。……って言いたいけど、彼の場合、真面目戦闘って言ったら、スイセツの二刀流なので、今回は若干の手抜きver.ですかね?
持ち前の頑丈さを生かして、ラルを誘い出すスタイル。まともに雷姫の電撃を受けたわけではないでしょうが、それでも一発くらいなら耐えれるくらいのタフさは持ち合わせています。まあ、ラルも全力で電撃放ってないってのもありますが。

ではでは!