satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第211話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でシリアスしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルとティールのお買い物風景をお見せしました。もっと続けてもいいけど、話が進まないので! 切り上げましょうね!
ベタベタにラルがナンパされるとか、変なやつに絡まれるとかさせてもよかったけどね。また今度な!
ラル「……は? 今度?」
ティール「作者からの不幸あるよって予告?」
ラル「最低かよ」


《L side》
可愛い雑貨屋に立ち寄ったり、探検に必要な道具屋に行って、物価高いことを痛感したり……有意義な時間を過ごした私とティール。
当初の目的通り、お店にも行けたし、道具もいくつか買えたし、満足である。
「ラル、最後に買ったそれ……何に使うの?」
ツバサちゃん達と別れた水遊び場まで戻る途中、ティールから質問が飛んできた。声の様子から、用途は分かっているけれど、一応確認したいなぁ~……という感じだろう。
「うん。モンスター呼び寄せ。罠用のアイテム~……これで討伐依頼も楽々だぜ☆」
「なんだろう。かなり嫌な予感しかしない。……他にも怪しいもの買ってたよね?」
うっへへ~♪ いやぁ! 使うの楽しみだなぁ!!
「それ、フォースと一緒のときに使ってね? というか、二人のときにやめてね? 一人のときも駄目だけど」
あはは。使いどころについては、未定かな。時の場合によるってやつだ。
ティールに貰った簪と買った品物達は、皆大好き異次元収納機能つきバッグに納められている。部屋に戻ったら、荷物整理しないといけないけれど、今回の買い物は楽しかったな~♪
「……君が楽しそうならよかったよ」
他にも色々突っ込みたかったみたいだが、それらは全て諦めたようだ。ティールは困ったように笑う。
「うんっ! 付き合ってくれてありがとうね。簪も買ってくれて……あ。私からのお礼どうしよう」
「え!? いらないよ! ぼくが好きでやっただけだもん。気にしないで」
……ほう? 言ったな?
「遅くなっちゃうけど、家に帰ったらアップルパイ焼いてあげよっか。他のがいいなら、それでもい─」
「えっ!? アップルパイがいいです! ありがとうございます、ラルさまー!」
お礼はいらないという言葉はなんだったのだろう。アップルパイの一言で覆ったのだけれど……まあ、喜んでいるみたいだし、いっか。

どうでもいいような話をしながら、元の場所まで帰ってきた。帰ってきたのはいいのだが、先程よりも人が多く、人だかりができてしまっている。単に賑わっているだけではなさそうだ。
そして、場の雰囲気もどこかざわついて、不安感を覚えさせる。
……これは私の経験則だが、こういうときは大抵、よくないことが起こっている証拠だ。
「……ラル、街の騎士達がやけに多い気がする。見回り……では、ないだろうね」
だろうな。
まさか、ルーメンさんの治める土地で事件に巻き込まれるなんて思ってもなかった。できるなら、何事もありませんでしたというのが、一番なのだが……
「これ、嫌な予感がするなぁ。とにかく、雫達を探そう」
「君の予感はよく当たるからな……りょうか……い、だけど、必要なさそう。あそこ」
こんな人混みの中でもティールはしーくんの姿を捉えたようで、さっと指差した。
しーくんは一緒に遊んでいたはずの子供達と共に人だかりの中心にいて、そこには騎士達の姿もある。しかし、そこにツバサちゃんとルナちゃんの姿はない。
……嫌な予感ほど、的中してほしくないものはない。
とりあえず、この騒ぎの中心へと近づくと、今度はしーくんの方が私達に気がついたらしく、こちらをぱっと見た。
「パパー! ママー!」
「あんっ!」
「……えっと。なんで、リランが雫と?」
さあ。なんでだろう。……しかし、厄介なことになっているのは確かだ。
子供達の影になっていて見えなかったけれど、しーくんの側には犬姿のリランがいた。
しーくんは私達の姿を見つけると、一目散に駆け寄ってきて、私に抱きつく。ずっと堪えていたのか、大きな涙をぽろぽろと溢し、肩を震わせながら泣いていた。
今の彼に状況を説明しろというのは酷だろう。……今、分かることはツバサちゃんとルナちゃんの不在。その二人に何かあったかもしれない、ということだけ。
「くぅん」
しーくんについてきたリランも心配そうにしていた。心配そうというよりは、どうにかして慰めようとしているようにも見える。
リランはなぜ、ここにいるのだろう。ツバサちゃんの武器……ツバサちゃんを主として慕っているはずのリランが。
「あの……もしかして、『スカイ』のお二人ですか?」
「え……はい。そうですが」
近づいてきた一人の騎士の言葉にティールが頷くと、「こちらで事情をご説明します」と、促してきた。
言われるがまま、私達は人だかりから離れ、騎士達が集まる輪の中へと案内される。恐らく、市民の人に聞かれたくない話なのだろう。例えば、今起こっている事件の詳細……とかね。
「突然の無礼、申し訳ありません。あなた方のことはルーメン様から伺っておりました」
なるほど。だから、この街をホームにしていない私達のことを知っていたのか。どんな内容で騎士さん達に伝わっているのか、気にならないわけではなかったが、今は関係ない話だ。
「あの……何があったのか、お聞きしてもいいですか?」
「もちろんです。今から数十分前にここで遊んでいた子供の一人が姿を消したのです。それに気づいたツバサ様もどこかへ行ってしまわれたようで」
子供の一人、ルナちゃんのことだろう。
消えたのはルナちゃん。ツバサちゃんは自らの意思でここを離れた……ということか。
普通に考えれば、いつの間にかいなくなった少女を探しに行っただけ、だ。
しかし、ツバサちゃんはリランを残し、しーくんや他の子供達すらもここに残している。意味もなく、そんなことをするような子ではない。それに、ルナちゃんがいなくなって数十分経っている。ツバサちゃんも同じくらいここから離れているということ。……そんな状況を『普通に』考えていいはずがない。
「これ、単なる迷子探しですむ話ではないですよね?」
「……それは」
「あのね、ママ」
言い淀む騎士さんの代わりに口を開いたのは、しーくんだった。ゆっくりと顔を上げ、目を真っ赤にさせながらも、はっきり話してくれた。
「ツバサお姉ちゃん、ルナちゃんをたすけにいくって、いなくなったの。……ボク、ついていくっていったけど、ここにいてって。『何かあってもリランが守ってくれるから』っていってた」
助け……?
「つまり、ツバサはルナちゃんを探すというよりは、助けに行ったってこと?」
そうなるね。助けなんて言葉が出てくるのなら、面倒事に違いない。分かっていたが。
「実は……ここ最近、子供達の誘拐事件が数件発生しているのです」
「マジか……あれか? 神子様の力独り占め的なやつの劣化版?」
「ちょ、ラル。言い方!
ティールが慌てて止めに入るものの、すでに口から出た言葉は取り消せない。とはいえ、騎士さんは怒るでもなく、困ったように笑った。
「似たようなものですよ。毎年、祭りの時期になると悪さを企む輩は多くなりますので。例年、ルーメン様や団長のお力があり、大きな被害はありませんでした」
でも、今回は防げてない、と。
「……悔しいですが、その通りです。今回は不可解な点が多く、捜査も難航しているために、被害が出てしまっていて」
騎士さんの言う、不可解な点は大きく四点あるらしい。
突然、子供が消えること。
いなくなった子供は、白色に近い髪色、或いは高い魔力持ちか、能力持ちであること。
消えたことに周りは一切気づけないこと。
微量の魔力の探知はできるものの、詳しい詳細は不明であること。
他にも細々と不明点はあるようだが、要するにこれだけしか判明していない。複数被害があるにも関わらず、だ。
ここまで聞いてふと、そんな事件の詳細を話してしまっていいのだろうかと疑問が浮かぶ。私達は探検隊だ。必要があれば、事件にも首を突っ込むが、今は頼まれたわけでも、依頼されたわけでもない。言うなれば、部外者なのだ。
「今更ですが、そんな話を私達にしてしまってよろしいのですか? 部外者ですよ。一応」
「それはお気になさらず! ルーメン様が信頼している探検隊ですし……それに、何かあれば話してもよいと言われてます」
……信頼を得るようなこと、したっけか。いや、まあ、いい。信頼を得るのは大変なのだ。思い当たらないけれど、日々の努力の結果ということにしておこう。うん!
「それに、あなた方の仲間である雫君にも、被害が及ぶ可能性もありましたから。部外者とは言えません。……今回はツバサ様の精霊のおかげで、被害はなかったようですが」
「わふんっ!」
んーと……リランは何をしたんだろう。めっちゃ誇らしげなんだけど。ドヤ顔してるけど、君の活躍、私は見てないよ?
……こほん。それはさておき。
「連れ去られたルナちゃんの居場所はともかく、ツバサちゃんの行方も分からないんですよね?」
「はい。ツバサ様は何かに気がついて、ここを離れたようなのですが、それが何なのかまでは……我々も街中を探してはいるのですが、目ぼしい成果はないのです」
ふむ。なるほどね。
誰にも気づかれない。ここが効いて、騎士達は成果をあげられないのだ。そこのカラクリを暴かない限りは、手も足も出ないというやつだ。
「万が一、ツバサ様に何かあれば、色々とヤバイからな。……アラシ様がヤバイ」
「そこだよな。アラシ様がキレる前にツバサ様を見つけなければ」
……心中お察しします。
誰にもバレない。そして、微弱の魔力反応。
魔力反応があると言うことは、何らかの魔法が使われている。例えば、私達の認識を阻害するような妨害魔法。そんなのがあるとしたら? この、掴み所のない状況にぴったりだ。まあ、それだけの理由で、ツバサちゃんが後を追いかけるとは思えないが……子供を拐うからくりに何かヒントが?
しかし、この妨害魔法で認識できない場所こそが、敵の居場所になりうるのではないだろうか。つまり、そこがルナちゃんやツバサちゃんの居場所……?
しかし、認識できないからこそ、困っているのだ。そこをどうやって見つければいいのだろう。……何か、手はないのだろうか。



~あとがき~
きゃいきゃい楽しくしてたのに、一気にシリアスに突き落とされました。

次回、誘拐事件にスカイ、首突っ込みます。
いやもう、片足突っ込んでるよね。これ。

序盤は楽しくしてたのに、後半は事件の話になってて温度差で風邪引いてませんか!?
まあ、次回からは最初から最後まで真面目回の予定なのでね。風邪は引かなくて言いと思います。はい。

ではでは!