satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第221話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で探索してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、洞窟探検終了しました。
今回からはまた別ダンジョンでお仕事します!
ティール「今更だけど、見た目があれなモンスターを薬にして知らずに飲んでる可能性」
ラル「マジで今更だな。私が調合してるやつなんてなぁ……?」
ティール「その先は言わなくてもいい!」


《Te side》
洞窟での素材採取を終わらせたぼくらは、バッジの機能で次の目的地へと到着したところだった。
周りを見れば、よくある森林ダンジョンの風景。どこにでも森林系はあるし、違いもよく分からない。細部は違うんだろうけれど、ぼくにはいまいち、違いを見つけられそうにない。
「洞窟と違って暑い」
「そりゃ、外だもん。けどまあ、炎天下で動くよりもマシでしょ?」
まあ、そうなんだけれど。
木漏れ日の中を歩くわけで、日差しは直接当たるわけではない。ないけれど、夏特有の熱波というか、不快な風は避けられるものでもない。もちろん、街の中を歩くよりは快適だけど、暑いものは暑い。
……なんて、文句を言っても始まらない。これは仕事。きちんとやらないとね。
ぼくは気持ちを切り替え、数歩前を歩くラルに追い付き、並んで歩く。そして、彼女を横目に問いかけた。
「それで、ここでの依頼って? 魔物討伐とは言ってたけど」
「おうさ。正確には指定されたはぐれモンスターちゃんを討伐すれば終了だよ」
ふうん……はぐれモンスター、ね。
本来なら生息していないはずの魔物のことをはぐれモンスターと呼ぶ。そういった魔物は、環境が体に合わず、そのイライラが凶暴性を増加させる原因になる。そのため、どんなに低レベルなやつだとしても、危険度が桁違いなのだ。今ではこうして、はぐれモンスター退治やるようになっているが、探検隊始めたばかりの頃は「暴れまくる敵に半端な気持ちで近付くな」と言われたものだ。
ま、偶然出会ってしまったが最後……ってやつなのかもしれない。もちろん、冷静に対処すれば、逃げるのも簡単なんだけど。
「本来なら山岳というか、枯れた土地って言うの? なんか、そういうとこを好むモンスターらしいよ」
なるほど。間違っても、こんな青々とした自然豊かな土地にはいないと。
「そゆこと。んでもって、そこそこ大きいみたいだから、見れば分かるんじゃないかな? 大暴れしたら、周辺燃やしたり、簡単に木々も薙ぎ払うみたいだから」
……ドラゴン?
「そこまでは」
なんで把握してないの、うちのリーダー……いや、ぼくもか。夏バテ理由に依頼書の確認をずさんにしたわけだし。人のことは言えないや。行けば分かるなら、問題はないだろう。ラルができない仕事を持ってくるとは思わないしね。
それ以上の話をするつもりがないラルは、森林浴でもしているようにのんびりと景色を楽しみつつ、歩を進める。
それにしても、ダンジョンだと言うのに、敵の気配もあまりしない不思議な空間だ。そのはぐれモンスターが狩り尽くした……んだろうか。そうだとすると、かなり凶暴化してしまっていることになるが。
「洞窟みたいに空気がじめっとしてなくていいねぇ♪」
なんて、遠足みたいな感想を述べながら、楽しそうなリーダーだ。
ラルの様子からして、危険度が増して早急に解決しなければならない……訳ではないのだろうか。ぼくを急かす様子もないし、本人から焦りも感じない。
「? どした?」
「あ、いや……なんでも」
夏休み入る前、ツバサに昔話したせいだろうか。ほんの少し、例の件が頭をよぎる。ぼくらがはぐれベヒーモスに襲われた事件。……事件、なのかは分かんないけど。
「……この前、ベヒーモスの話、しただろ」
「ん? あぁ、したね。イグさんと仲のいい理由をツバサちゃんに教えるためだけに話したおまけだったけど。……それがどうかした?」
「この、はぐれモンスター探しってのがデジャブだなぁって」
今回がはぐれモンスター退治初めてではない。過去に何度も受けているし、難なく解決してきた。だからって訳じゃないと思う。ただ、なんとなくそれを思い出してしまっただけで。
決していい思い出ではないそれを、ラルは楽しそうに笑って見せた。
「なるほど。となれば、今回は私達がイグさん達のポジションだね。なら、ここで誰かの叫び声やモンスターの雄叫びが聞こえれば、過去の我々がいると」
「そ、そうなるのかな。……ここって初心者向けのダンジョン?」
「一応はね~」
雲行きが怪しくなってきてませんか。
ぼくから切り出しておいて、勝手な思い込みなんだけれど、とことん過去のぼくらと酷似してない?
「まあ、初心者ダンジョンに桁違いの敵が紛れるなんて、よくあるじゃない? はぐれモンスター退治依頼なんて、掲示板でよく見かけるし。というか、私らみたいな大ピンチなんて、そうそうある話じゃないよ。初心者さんはきちんと脱出手段持ってるって。初心者だもの」
初心者を過信してないか、それ。
「それに、今、このダンジョンの到達レベル上がってるから。初心者、入れなくなってるから。過去の私達みたいに運の悪い子達、いないって!」
……なら、いいけど。
ダンジョン探索のためのランク上げがされているのなら、太刀打ちできない人は入らないようになっているということ。けど、ここは特別管理指定ダンジョンではない。各ギルドが管理しているところではない以上、入口に門番なんてついてないし、入ろうと思えば入れる。だから、事情を知らない人が間違って侵入という事態は大いにあり得る。だって、過去のぼくらがそうだったから。ま、あのときは、うちのギルドに情報は回ってなかったみたいだけどもだ。
「ぼく、すっごく嫌な予感がする」
「あっはは! フラグ建築しまくったからかな! 私もさ」
君もかよ!?
ラルの勘はよく当たる。なんなら、嫌なものほど、敏感なのかめちゃくちゃ当たる。やめてくれ。そんな事態を引き起こすのは……あ、いや、ラルのせいではないか。

なんて心配をしていたものの、探索中に誰かの助けを呼ぶ声も、魔物の雄叫びも聞こえてこないまま、時間だけが過ぎていく。
ぼくらが探している魔物はおろか、他の敵もまばらに出てくるだけで、張り合いがない。まあ、初心者ダンジョンという場所を踏まえれば、それも納得できるような気はする。敵も馬鹿ではない。勝てない相手に無闇に突っ込まない。……そういうことなのだろう。
「思った以上に捜索が難航してますなぁ。マップも予想以上に広い……これだから平面ダンジョンは嫌いなのよ」
ぼくらが入るダンジョンは大きく分けて二つ。階層ダンジョンと平面ダンジョンだ。階層ダンジョンは比較的狭い迷路をいくつも突破していき、奥地へと辿り着くもの。平面ダンジョンは大きな迷路を攻略する感覚に近い。入口があって、目的地である奥地を探し出す。
平面ダンジョンの場合、探す範囲が広いから、はぐれモンスター探しって面倒になるんだよね。標的もじっとそこにいてくれるわけでないから、探すのに苦労するのだ。
その点、階層ダンジョンは狭いし、遭遇率も高い。また、標的のいる階層に踏み込んだ瞬間、肌勘で察せるから、比較的楽ってのはある。
ちなみに、今回ぼくらが行ったダンジョンはどっちも平面ダンジョン。
「しーくんが恋しい。……連れてくるべきだったか。やらかしたなぁ」
捜索系の使い手である雫にかかれば、はぐれモンスターなんて一発で見つけてくれるだろうな。それに、気配に敏感なフォースも適任と言える。
ラルもぼくも人並み以上に敏感だと思うけど、あの二人には負けるというやつだ。
「昨日の今日で雷姫の力使うのもなぁ……やなんだよなぁ。手分け……うーん」
雷姫さんの力を使いまくったの、昨日じゃないけどね。
「手分けするしかないんじゃない? ぼくは大丈夫だよ?」
「……うーん。でもなぁ」
? どうして、ここまでラルが渋るのだろう。体調の心配されてる? ソロで対面した場合の危惧?
「もしかして、そんなに危ないやつが入り込んでるの? それなら、離れない方がいいか」
「……そういうわけじゃない。ティールなら一人でも大丈夫だと思うよ。……けど、こういうときのティールってさ……いや、いいや。悩んでる時間がもったいない。時間決めて手分けしようか」
「了解」
結局、ラルがここまで悩んでいた理由が分からないままだったけれど、一時間だけ手分けして探すことになった。何もなければ連絡して合流し、その後の作戦を練る。見つけた場合は即連絡して、合流できるなら、待って戦闘。無理そうなら単騎で討伐というざっくりした方針を決めた。
正直、ここまで探して、すんなり見つかるとも思えないが、やらないよりはマシだろう。



~あとがき~
冒険してる感がないけど、だらだらしてるこの感じも嫌いじゃない私です。

次回、はぐれモンスターちゃん、発見なるか!?

いつもはラルが「仕事? いいよ。こんなのときくらいやらんでもー!」みたいなタイプなんすけど、色んな理由があって、最初からそこそこやる気のある彼女です。
んでも、この夏休み編でもどっかで「嫌だー! 仕事なんてくそくらえじゃー!(`;ω;´)」みたいなことを言っちゃうシーンとか入れたいですね(笑)

ではでは。