satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第226話

~attention~
『空と海』のキャラ達の学パロなif世界物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールが両親をどう思っているのかをご紹介(?)しました。
今回はそれを踏まえて、ルーメンおじいちゃんのターンでっす。
にしても、最近、ティール視点多いな。申し訳ないくらいに多いな!?
けどまあ、このスプランドゥールの夏休みが終わればティール視点なんてなぁ……こんな頻繁にないだろうなぁと予想してます。分からんけどな。


《Te side》
『また、自分を見てくれなくなるのではないか』
その言葉は以前、白雪に言われた言葉でもある。それをルーメンさんに言われるとは思っていなかった。
戸惑いを隠しきれないぼくを、ルーメンさんは慈愛を込めたような目で、優しくもじっと見つめてくる。
「やはり、サフィアさんが亡くなったことがきっかけで、お主らの関係が崩れて始めたんじゃな」
「サフィア……お祖母様?」
父上と同じ紺色の髪を持ち、顔立ちもどこか父上と似ていた。父上の母親だから似ていて当然ではあるけれど、どちらかと言えば父上がお祖母様似だったのだろう。
けど、性格は似てなかったように思う。
「そうじゃよ。サフィアさんとも付き合いはあったからの。よくアズの話で盛り上がったもんじゃ♪」
……そりゃ、そうか。お祖父様と昔から知り合いで、仲良かったのなら、お祖母様を知らないわけがない。
でも、ここでお祖母様の名前を聞くとは思わなくて、思わず、ルーメンさんを見つめ返す。しかし、ルーメンさんは、ぼくから視線を外してどこか懐かしむように宙を見上げる。
「最後にサフィアさんと話したのは、亡くなる一ヶ月前くらいかの? そのときに頼まれたことがあってな」
お祖母様に?
「『ルーメンさんが忙しい方だとは存じていますが、どうか、アズや息子たちに何かあったときには手助けしてください』とな」
……そんなこと、言っていたのか。
当時のぼくは五歳くらい。当然、そんな話があったなんて知らない。そもそも、ルーメンさんがうちと関わりがあったのも、つい最近知ったのだから。
けど、これは父上もお祖父様も知らないんじゃ……?
「儂は言われんでも、そのつもりでおったんじゃがの。しかし、友人から頼まれたとあれば、断る理由もなかろ。……でなければ、サフィアさんも浮かばれんだろう?」
「お祖母様……」
病気で大変だったはずなのに、お祖母様は最期まで、ぼく達のことを心配してくれていたんだ。
「サフィアさんは、最期まで家族のことを心配しておった。ライトの母親じゃから、こうなることは予測できたのやもしれんの。……現に、サフィアさんが亡くなった直後のアズは目も当てられん状態だったしな。あれでは公務も満足に勤まらん」
……? そう、だっただろうか。
その頃のことは、幼かったのもあってよく覚えていない。けれど、少なくともお祖父様が泣いたり、取り乱すようなことはなった気がする。
ぼくが不思議そうな顔でもしていたのだろう。ルーメンさんは苦笑を浮かべつつ、それでもそっと口を開いた。
「そりゃあ、家族の前や国民の前では気丈に振る舞い、堂々としておったがの。……儂から見れば、すぐに消えてしまいそうな状態だったぞ。それをライトも感じ取ったから、アズの仕事を引き継いだのだろうなぁ」
どこか寂しげに笑うルーメンさん。しかし、それも一瞬で、再びぼくと目線を合わせた。その目には子を慰めるような……言ってしまえば、孫を見るような目をしていた。
ティールよ、お主は……寂しかったんじゃな」
「……え?」
「あの頃は……確か、終わりが見えていたはずだが、まだ、王宮内での内部改革の途中だったはずじゃ。そんなときにサフィアさんが亡くなって、革命の中心人物であったアズが抜け殻になって公務もできない状態になってしまった。……その結果、国での仕事がライトやセイラさんに集中してしまって、以前のように構えなくなった。……お主は寂しい思いをしていたんじゃな」
……さみ、しい……か。
確かに、長い間放置されて、それが当たり前になってしまって、寂しいなんて忘れていた。……いや、違うな。考えないようにしていたんだ。自分が辛いから。そう思ってしまえば、それを受け入れてしまった後が辛いから、考えたくなかったんだ。
だから、当たり前にしてしまおうと。構わなくていいことにしてしまおうと。……一度、差し伸べられた手を振り切ってしまったのかもしれない。
……母さんにそれは、意味なかったが。
「『なぜ、見てくれないのか』『なぜ、ぼくではなく仕事を優先するのか』……そう、思っておったんじゃないか? いや、今もそう思っておるのかもしれんの」
当時、ぼくが言葉にできなかった感情を……言葉を……ルーメンさんが紡いでいく。そして、それは今のぼくが意識していなかった、未知の部分でもあって。
「じゃから、『王子様』である自分か嫌で、『何者でもない』ただの自分でいられる今が楽しいんじゃないかの?」
……それ、は……否定できない。
王子でいなければならないあそこより、ぼくをぼくとして見てくれるここに……ラルといたいと思っているのは確かだ。
祖国を嫌っているわけでも、王子としての役割を忘れたわけではない。でも、どちらが楽しく感じられるのか、自分らしくいられるのはどこなのかと考えれば、答えは一つしかなくて。
「そう、ですね。……これからも彼女と……ラルと一緒に探検隊をやっていきたいって思う自分はいます」
これが本音だった。ラルやチームの仲間と続けられる限り、探検隊を続けていきたい。リーダーが辞めると言うまでは……チームを終わらせるその日までは、一緒にやっていきたい。それは、嘘偽りないぼくの思い。
でもまあ、それが許される立場にないんだけれど……
「じゃあ、続ければよかろ」
「……へ?」
ルーメンさんから、ぼくとは反対の言葉が聞こえてきた。やりたきゃやれ、みたいな肯定が聞こえてきたような。
ぽかんとしてしまうぼくなんて気にせず、ルーメンさんは続ける。
「王子が嫌なら離反すればよい。ライトには妹のセレティがおるだろ? そして、セレティには息子達がおる。後継者についてはなんら問題ない」
確かに、おば様には子供が二人いる。血筋的には、その二人のどちらかが王になっても問題はない。問題はないが……
「新たな王が甥になったとて、今さら政権が揺らぐようなこともない。アズがその基盤をとっくの昔に作り上げておるからの~」
「あの、ルーメンさん……?」
「しかし、そうなると女神の恩恵はどうなるんじゃろうな? その辺りは詳しくないが……まあ、一代くらいなくても問題はなさそうじゃがの」
そこは問題大有りですが!? そこだけは昔から変わらない掟みたいなもんだし! いや、それは今はいいや。そうじゃなくって!
「ルーメンさんはとめないんですか!? 今、ぼくは自分の立場を考えず、自分勝手な我儘を言ってるようなものなのに……!」
一人で納得するように話を進めるルーメンさんに、思わずぼくはその場で立ち上がり、話を中断させた。いきなり話を遮られたからか、ルーメンさんは目を丸くするも、すぐにいつも通りの表情になり、小さく首を傾げる。
「儂はとめんぞ? 反対もせん」
「は!?」
「儂は海の国の王族と関わりはあっても、政治にはあまり関わっておらんよ。仮にするとしても、少しの助言くらいかの? 一応、陸の国をまとめる一人としてな。じゃから、ティールがこれから王族側ではなく、一介の探検隊としてやっていくのに反対はせん。それは、お主の両親も同じだと思うがの」
「!? そんなわけ……! 父と母は王と王妃! ぼくはその二人の子供……王子ですよ!? だから─」
いい顔はしない。肯定するはずがない、と続けるつもりだったが……
ティール、お主らは『王族』である前に、『家族』じゃろう」
と、ぼくの言葉を遮るようにぴしゃりと言い放つ。そして、ふわっと表情を和らげた。
「親は子の幸せを願うもの。そこに身分なんて関係ないんじゃ。ライトもセイラさんも例外ではなかろう。……まあ、流石に建前というのもあるからの。重鎮達の前で一度は反対するやもしれんがの」
言いたいことは言い終わったのか、ルーメンさんは湯呑みを手にし、ずずっとお茶を美味しそうに啜る。ぼくは反発できるような言葉も見つからなくて、力が抜けたかのようにソファに腰掛けた。



~あとがき~
あ、もうそろそろ終わりそう??
そして、今年最後の更新! きりが悪いな!?

次回、おじいちゃんとティールのお話!
……なんですが、多分、周年記念話が割り込みます。しばらく本編はお休みです。……ほんとうに、きりが、わるい……(汗)

言いたいことはないです。はい。
ルーメンさんの言葉を受けて、ティールがどうするのか、今後をお楽しみに……って感じかな。

ではでは。