satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

気ままな神さま達の日常記録 vol.9

こちらは『学びや! レイディアント学園』の番外編でございます。スピンオフというか、なんというか。全く本編に関係のない皆々様に焦点を当てたお話となっております。
前回、子猫と神様にお菓子作りを命じられたフォース君の続きからっすね。


☆さくっと登場人物紹介のコーナー☆
アルフ:転生の神様。穏やかな性格でにこにこしながら、みんなを見守る優しいお方。また、従者(?)でもあり、妻でもあるミィとは、どこでも仲良し。

ファウス:力の神様。ずぼらな性格で部下である制御者達(特にフォース)からの信用度は低い。趣味は料理。

フォース:制御者の一人で、最高位の色を制御する。現在、ステラの制御者として下界で暮らしている。天界では振り回されポジ。

ミィ:アルフに仕える蒼い目をした白猫。誰にでも優しい性格。天界にある図書館の主。アルフ以外だと、フォースと仲がいい。


★おねだり子猫と紅の制御者。時々、転生の神★
今回、おれが作るのはアイスボックスクッキーというお菓子。チョイスはミィとアルフ様。なぜそれにしたのかは分からないが、複雑なものでなくてよかった。
ちなみに、アイスボックスクッキーとは、生地を棒状に成形し、一旦冷蔵庫で冷やす。そして、包丁で適当に切ってからオーブンで焼くクッキーのことだ。冷蔵庫を使うから、『アイスボックス』……なんだろうが、そんな単調な命名でいいのだろうかと思う。型抜きクッキーでも冷蔵庫で生地を冷やすこともあるし、何とも言えない気がする。
何がともあれ、おれは猫と神様に言われてお菓子作りに励んでいます。誰でもいいから、こうなった訳を教えてください。なんでこうなった?
初めは、ここでできもしない料理していたマスターを叱っていただけだったんだがな。今ではおれが料理する羽目になるとは。
こんな嫌そうにやるくらいなら、初めからやるんじゃねぇよと思われるかもしれない。が、やらなくていいなら、そもそもやってないってヤツだ。
頭ん中でぐちゃぐちゃと考えているおれとは違い、おれの頭の上でミィは上機嫌だ。ついでに、少し離れたところで、適当な椅子に腰掛けているアルフ様もニコニコ顔でこちらを見ていた。
ミィが残るのはよくあることだ。時折、今回のようにミィにねだられ、料理する際も大人しく見学している。だから、ミィがその辺をうろつこうが、頭の上にいようがあまり気にはならない。が、アルフ様は別だ。第一、アルフ様がおれの料理する姿を見るってのも可笑しな話である。何が楽しくて見ているのだろう。
……一言で表すなら、滅茶苦茶やりにくい。アルフ様の視線が気になって集中できん。いやまあ、集中しないと料理できないってことじゃないけども。なんだろう。落ち着かないというか、何というか。
というか、おれが勝手に「アルフ様は仕事部屋に戻る」もんだと思っていた。そのせいで、ここに残っているのか滅茶苦茶気になってしまう。
「あの、アルフ様」
「ん~? なんだい?」
「不躾ではあるのですが、ここにいてよろしいのですか? 今日中にすますお仕事とかよろしかったのです? なんなら、この後菓子とミィはアルフ様の仕事部屋まで届けますよ」
ぶっちゃけ、アルフ様に限って、「仕事終わってないんだよね~♪」なんてことはないと思う。思うけど、あまりにも現状に耐えきれず、何でもいいから話をしたかった。何も言わず、ニコニコと見られるのはなんか気になるし。
「心配してくれてありがと! でも、今日の仕事は終わってるから大丈夫♪」
おれの問い掛けにアルフ様は、笑顔を絶やすことなく答える。
まあ、そっすよね。知ってた。うちのヘボ上司じゃあるまいし。
「……もしかして、僕が見てるとやりずらい?」
「え……いえ、そんなことは」
いやはや、全くもってその通りだよ。まあ、言わねぇけど!?
「ふふ。ごめんね? フォースくんもおっきくなったな~♪ って思ってたら、ついつい居座っちゃって」
「えーっと……どんな理由ですか、それ」
確かに、アルフ様はおれの幼少期も知っている。おれが幼い頃、ここに連れてこられたときには、アルフ様もミィもここの住人だったのだ。そこから永い年月が経っているのは紛れもない事実でもある。あるのだが、それとここに残る理由にはなっているのだろうか。
「だって、あんなに小さなかったフォースくんが、こうして一人でお菓子作れるようになったんだなーって?」
いや、だからそれは理由になってるか?
アルフ様の謎の親目線に困惑するものの、アルフ様はお構い無しに、ミィにも同意を求めていた。そして、この子猫も楽しそうに頷いている。
それを聞かされたおれは、どういう反応をするのが正解なんでしょーかね。教えて、神様~……
「ふふ……思い出すなぁ。フォースくんの小さい頃! いつもファウスさんから逃げてたよね~」
「みゃ~♪」
「……んんっ!?」
「で、よく僕の布団に隠れてたっけ。あはは♪ そんなフォースくんが今では立派になったもんね。時間が経つのは早いねぇ」
「にゃあ」
「そ、その節は……大変お世話になりました」
おれが幼い頃のマスターは今みたいな腑抜け野郎ではなく、ある程度、神としての威厳を表に出していた。そのせいで、少し……いや、かなり恐怖を感じた。想像してほしい。ほんのちょっぴり、不思議な力を持っただけの単なる少年(十歳前後)が見知らぬ大人(神様)にガン飛ばされる絵面を。恐怖せずにいられるだろうか。
そもそも、初対面時も最悪だったために、マスターに対する第一印象が底辺から始まっているのだ。そりゃ、逃げたくもなる。
……なんて開き直っても、その頃はおれにとって、黒歴史以外の何物でもない。今更、その話を持ち出してほしくないのが本音だ。
「ふふ。い~え♪ あのときは、ミィに連れられて僕の部屋に来たんでしょ? その頃のフォースくん、色々参ってたときだもん」
「まあ、そう……ですね」
……おれがまだ、制御者ではなく、継承者だった頃──つまり、兄貴……ウィルにぃがおれの制御者だった頃。
おれは『強き力』を悪用するため、おれを捕えようとしていた奴らに殺された。
仲の良かった友達も、おれを守ろうとして死んでしまった。そして、ウィルにぃもそうだ。……守るために神様であることをやめた。今じゃ、元気に神様やってるけど。
そんないろんなことが一度に起こり、制御者として目覚めた時、それらを理解してしまったおれの精神が耐えられるはずもない。……当然だ。まだ十歳前後のガキだったんだから。一度に沢山の大切なモノを失って、平然といられるわけがない。
「少しでも逃げ場になればと思って、僕も入室を許してた訳だし、『自由に使って』って言ったから」
……そんな状態の子供にぐいぐい迫ってきたマスターはやっぱり、アホなのかもしれない。デリカシーないな、あの馬鹿め。今思うと、滅茶苦茶腹立つんだけど。なんなん、あいつ。
「……ありゃ? フォースくん、顔怖いよ? そんなに昔の話、嫌だった?」
「いえ。我がマスターが昔から腹立たしい阿呆であると思い返していただけです。……アルフ様のお心遣いには感謝しています」
こうなったら、この後仕返ししに行こう。そうしよう。
「そっかそっか。ほーんと、逞しくなったね。……僕だけじゃなく、ミィもフォースくんのことは昔から気にかけてたからね。あ、今も、かな?」
「にゃあ~♪」
マスターのことには触れず、話はおれの昔話のままである。いいのか悪いのかはさておき。
今もミィに気を遣わせていたら世話ないよ。おれはいつまで、ミィの子供なんだろう。……流石に、今はそんな風に思っていないと願いたいものだ。
あれこれ話していると、クッキーをセットしていたオーブンの加熱が終わる音が響く。
「お? 焼けたかな?」
「恐らくは。今、取り出しますので、もう少しお待ちください」
「は~い♪」
クッキーが焼けたのを合図におれにまつわる昔話も終わりを告げる。ようやく解放された。……なぜ、おれの昔話になっていたのかは謎のままだけども。
「にゃっにゃー!」
「あたっ!? いや、痛くはねぇけど……落ち着けって。……やめろ。おれの上でじたばたすんな!」
アルフ様は静かに座っているのに、ミィは待ちきれないのか興奮気味にべしべしとおれの頭を叩く。早く出せと駄々っ子のように遠慮なく急かしまくった。
「みー!!!」
「だぁぁぁ!! 今、出すって! 急かしてもすぐには出てこないって!!」
頭の上でぎゃーぎゃー騒ぐミィをたしなめつつ、おれはちょっとしたお茶会の準備をする。ここにいるのはアルフ様とミィだけだが、もしかしたら、どこぞで匂いを嗅ぎ付けた奴らが集まるかもしれない。多めに用意するに越したことはないだろう。



~あとがき~
この後のことはご想像にお任せです。
ウィルがやっほいするかもしれないし、ファウスにうん百年前の制裁が下るかもしれません。

次回、本編戻ります!

フォースの生前の話はこの番外編を通して、ちらちらしてますが、本格的に書くことは……今のところ、予定はないですね。
空海フォースとレイ学フォースだと、行き着く結果は変わらずとも、結果に辿り着くまでの違いはあるんですよね。つっても、空海フォースの生前話も大してした記憶がないけどな!!(笑)
ということで、「へー、そんなことあったんだなー」くらいの認識で大丈夫です。今後の本編には関係ないので!
まあ、なんだ。空海フォースの場合、助けてくれる人がいなかったくらいで、レイ学フォースの方が恵まれてるかもしんないっすね。アルフさんとミィちゃんという逃げ道があったので。
だからって、彼の性格が変わるようなこともないけどな。うん。

ではでは!