satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第238話

~前回までのあらすじ~
人知れず、イオとフォースの密談が行われてましたよーっと!
イオ「もう二度とこちらには出ないだろうな」
だろうね。ある意味、友情出演的な。なんかそういうやつだから! もうないでしょうな!
そしてそして、今回はポチャ君に関わる方が!
ポチャ「え」


最近はずぅっとどたばたしていたけれど、ここ何日かは、のんびりとした夏の日が続いています。
「あっつぅ~……溶けるぅ」
水タイプのポチャさんは夏の暑さに弱いらしく、スカイ基地……ではなく、ギルド(地下二階)の隅っこでだらっだらしていた。ここが地面の中にあるからか、比較的涼しいらしい。スカイ基地も海の近くだし、海風で涼しい気がするけど、時間帯によっては日当たり良好過ぎて、しんどいんだとか。
「お前、王子様なのにその低堕落でいいんか」
「王子様だからって暑さに強いことにはならないんだよ~……フォースこそ、暑そうな見た目してるじゃん」
「あ!? イーブイ歴なめんなっ! んなもん慣れたわ!!」
るーくんが言ってたけど、すーくんが元々、継承者としてこの世界で生きていたときも、イーブイだったらしい。そして、制御者として暮らしていく中で、何度かイーブイの方とご一緒していたとか。
イーブイイーブイを引き付ける何かがあるのかもしれない。
まあ、今のすーくん、イーブイ特有のもふもふにプラスして、スカイメンバーの証である空色のマフラーもしているから、余計に暑く見えるんだろうな。見た目が。
「すぅ、お前も大して変わんねぇだろうが」
「え? 私はほら! マフラーしてないから! リボンだから! 暑くないもん」
「じゃあ、お天道様が輝く砂浜でも歩いてきたら? 暑くないんだもんなぁ?」
「嫌です。暑いです。海の照り返しで死んじゃいます」
「暑いんじゃねぇか!」
見栄張りましたー!! ごめんなさぁあい!
私とすーくんがくだらない話をしている間も、ポチャさんはだらーっとしていた。ほんとに、暑いのダメなんだなぁ。
「ほわぁぁぁ!!! ポチャさん!! こんなところに!!」
だらだらしている私達の間を割って入るように、ぼこっと地面から現れたのはディグ君だ。どうやら、慌てているみたいだけれど、どうかしたのだろうか?
「なぁに~……ぼく、暑くて何にも考えたくな…」
「ブライト王が! 来てます!! 今、浜辺に!」
「へー……ブライト王……がぁぁ!? な、なんで!?」
今にも溶けそうだったポチャさんが一気に跳ね起きる。どこにそんな力あったのかと思うくらい、機敏な動きだった。
「ブライト王? ペンギンの父親の?」
だ、だね?
私達がいるのは陸の国。その他にも、海の国、空の国がある。ポチャさんは陸の国ではなく、海の国の出身で、王の後継者の一人だったはず。
ポチャさんの父親のブライト様がどういう人なのか、ポチャさん本人から聞いたことがないからよく分からない。一般的な知識でいいなら、他国出身者だけれど、一応、心得はある。……すーくんの受け売りで。
ブライト様は王として名のある人だ。悪い噂なんて一つも聞いたことがないくらい、愛されていると聞く。
「王様がこの辺りに何のご用なんでしょうか? あ、ポチャさんに会いに来たとか?」
「あの父がそんなことするわけない。どうせ仕事だよ。だって、今の今まで来たことなんて……一回、あったけど、あれはまた違うやつだし……ディグ! 父上はどこに!?」
「海岸です。親方とピカさんが対応しているのを、ボクはたまたま見かけて」
「分かった! ありがとう!!」
慌ててギルドを出ていったポチャさん。それを私とすーくんは、あまりの速さに、黙って見送ることしかできなかった。
……ん? ピカさんと親方さん?
「初めから海岸にいたとすれば、あいつは元から知っていたのか? プクリンも」
「そ、そうなんでしょうかね?」
ディグ君はあくまでも見かけたことを、ポチャさんに教えに来てくれただけみたいだ。理由は知らないっぽい。
「……おれ達も見に行った方が早そうだな」
「そうだね。……あれ、珍しいね。すーくん、こういうことはどうでもいいって顔して他人面してそうなのに」
「ペンギンのあの慌てよう、珍しいからさ。なんか面白そうじゃん?」
すーくん、時々、ひどい人だなーって思う。心から。
「他人の隠したいことほど、面白いことはないんだよ。ながーく生きるためには、こういう刺激も必要なの」
「人の不幸は蜜の味ってやつ?」
「そうとも言う♪」
やっぱり、ひどい人だなぁ……

……なんて、言ってはみたけれど、私も気になるものは気になるので、すーくんと一緒に海岸へと足を運んだ。
すでに噂を聞き付けたらしい人達で静かな海岸には似つかわしくない程に、ごった返していた。
「野次馬根性とはこのことだな」
どうするの? 親方さん達はもっと前にいるみたいだけれど。
「飛ぶ」
ほへ……?
私のことをがっしりと掴むと、思ったよりも軽く上へと飛んだ。
軽くなんて言ったけれど、すーくんが何でもないように飛ぶから、そう表現してみただけ。実際はすーくんの脚力だ。普通の人からすれば、軽くなんて次元は越えていると思う。
思わず目を閉じていた私が再び目を開けたときには、野次馬さんの先頭に降り立っていた。
「ほ、ほわ……すーくん、やることが唐突だよ~」
というか、どんだけ気になるんだ!
「お前に言われる前に行動したおれを褒めろよ」
「どういう理屈なの……って、あのエンペルトが、ブライト様?」
「だろうな。今はペンギンと話してるみたいだけど」
すーくんの指摘通り、ブライト様と思われるエンペルトは、ポチャさんと何やら会話をしている。その近くに、親方さんとピカさんの姿も。私とすーくんはその二人に駆け寄った。
「ピカさん!」
「ん? お。ダイナミック登場したイーブイコンビ! ちゃお~☆」
「こ、こんにちは……あの、これは?」
「んー……ブライト様の凱旋?」
凱旋!?
「いや、嘘だよ。単純に親方に会いに来たの」
「いやぁ、この感じは凱旋でも間違ってねぇ気がするけど?」
たくさんの人が見に来てるもんね……
「単なる話し合いだったから、ポチャにも言わなかったんだけど……どこでバレたんだろ?」
「やっぱり、君が塞き止めてたんだな!?」
ブライト様とお話ししていたはずのポチャさんが、こちらを振り返った。どうやら、自分が知らされてなかったから、怒ってるみたいだ。
「だぁって、言ったら即逃げるだろ~? いいじゃん。お話しすればさぁ」
「話すことなんてないけどね!」
え、えーっと?
「ポチャとブライト様、仲悪いの。ま、ポチャが一方的に突っぱねてるんだけど~」
「うっさい!」
わ、わあ……見たことないくらいに荒れてますね……? いつも優しくて温厚なポチャさんが、あそこまで乱暴になるなんて。
「親子関係って難しいんだな」
「そーだねぇ」
適当か……?
「ポチャ~? お話は終わった? ボクら、これから会議することになってるんだ~♪」
「もう話すことはないですから、いつでもどうぞ。ピカ、覚えてろよ」
「にひ。数分後には忘れるわ~♪ じゃ、行きましょっか、ブライト様?」
「ん……あぁ。分かった」
きちんと聞いたブライト様の声は、静かで落ち着いた声だった。どこか厳格で不要なことは語らない。そんな雰囲気をまとっていた。
そのまま、ポチャさんの方を振り向かずに歩き出すのかと思ったのだが、ふと、何かを思い出したらしい。ちらりとポチャさんを見下ろした。
「……言い忘れていた。ティール」
「なんですか」
「セイラのことを頼んだぞ」
「……は? なんでここにいない母上の名前が?」
「私が知るはずもないだろう。……勝手についてきたのはセイラだからな。あいつに聞け」
と、それだけを言い残すと、今度こそプクリンギルドの方へと歩いてしまう。
親方さんが先頭を歩き、ブライト様の後ろにピカさんがついていってしまったから、事情を説明してくれる人がいなくなってしまったわけだけど。
「母上!」
ポチャさんが海に向かって、お母さんを呼ぶ。それに答える人なんて見当たらないと思ったけれど……
「なぁんだ……ブライトにはバレていたのね? 私も腕がなまりましたねぇ~……というわけで、お久し振りです。ティール♪」
海面からちょこんと顔だけを出して、どこか楽しそうにしているポッタイシが現れた。
「ポチャ、さん……あの方は」
「父上の妻で、ぼくの母……セイラ王妃」
ですよねー!!
海から上がってきたセイラ様は体を軽く震わせ、水滴を落とす。そして、こともあろうことか、ポチャさんに抱きついた。
「きゃー!! ティール! 元気にしてましたかー!!」
「なぜ母上がここに!?」
「んもう! お母さんでしょ!」
母上呼びが嫌なのか、むっとしながら訂正する。王妃なんだから、ポチャさんが母上って呼ぶのは変ではないと思うけど、そこはセイラ様の拘りなんだろうか。
「……なんで、母さんが、ここに」
ポチャさんは、セイラ様の指摘に、渋々呼び方を変えて、改めて聞き直す。今度は問題なかったのか、パッと顔を輝かせた。
「それはもちろん、あなたに会いに!」
「ぼくぅ?」
「そうよ? 帰ってこないから」
「帰るわけないでしょ……これでも修行中なんだから」
「あら。ごめんなさい。修行と書いて、家出だものね?」
痛いところをつかれた、みたいな顔をしているポチャさん。所謂、図星ってやつなんだろう。
「……うるさいなぁ。それに、帰ったって父上がぼくを王宮に入れるわけないよ。王様になれない、でき損ないなんだから」
……え?
「とりあえず、離して。母さんの事情はあとで聞くよ。……どうせ、他にも目的はあるんでしょ?」
「あら、わかっちゃう?」
くすくすと楽しそうに笑いながら、優しくポチャさんを解放した。ポチャさんの深刻な顔なんて見なかったみたいに、触れることもなく。
「ぼくらの基地に行こう。そこで話を聞く。……あ、イブ達も来る?」
「え? ご一緒しても……?」
「もちろんです! こんな可愛らしいイーブイさんと、こんなところでお別れなんて、悲しいですもの!」
あ、え……え?? え!?



~あとがき~
やべ。空海にしては長いぞ。

次回、ポチャとセイラとイブとフォース。
チコがいないけど、もうちょい先で出てくるよ! 安心してくれ!!(笑)

お久しぶりの更新。今年初の空海ですね。
とりあえず、ちょっとストックが貯まったので、月一更新で再開していこうと。なので、月初めは空海更新していくぞーと息巻いてます。それなりにストックが増えたら二週に一回更新したい……っていう希望を抱いて、更新していくので、よろしくです!
すぐに不定期になりそうな予感! ひえぇー!(汗)

覚えてますかぁぁぁ!!!(三回目)
セイラとブライトです! ポチャの両親です!!
ブライトがメインって言うよりは、セイラの方がメインになりそうです! なんでって? ブライトよりも動かしやすいから!

ポチャとブライトの仲は悪いです。はい。
レイ学でも取り上げてますが、それ以上に拗れていると思ってくれれば。
とはいえ、レイ学ティールは反発も大してできないような感じでしたが、空海ポチャはがんがん反発してます。意思疎通が苦手なのかな、この二人……(笑)

ではでは!