satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第228話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃってる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとルーメンおじいちゃんとのお話は終わりました。今後もあるかは謎です!(笑)
今回はてけてけ帰るティールとどっかの誰かさんのお話。大丈夫。すぐに誰か分かるから!


《Te side》
ラルと言えば。
なんで、ルーメンさんはあんなことを言ったのだろう。ラルと恋人同士とかなんとか? 愛しのパートナーってなんだ。愛しのって。
ラルを愛おしく思う……思っているように見えてるってことか? どの辺が?
いや、彼女は可愛いとは思うけど……騙されるな? それ以上にサボりやら、怠けることを優先しようとする堕落したダメ人間だぞ。スイッチ入らないとてんでダメダメな人間だよ?
……うん。まあ、いいところもたくさんあるの、知ってるけどさ。
「……それはそれとして、急にそんな話になる流れが分からない」
『りゅ? じっちゃがいってた、いちょし?』
「いちょし?」
ルーメンさんのところでは終始静かだったスイがふわりと飛び出してくる。いや、そもそも、こいつを連れてきた覚えがないけど、一体どこから出てきたのだろうか。
『すいちゃ、いつでもてぃーといっしょ!』
「こわ。少しでもいいからぼくを一人にさせろよ。……で? さっきの流れからすると、『いちょし』は『愛しの』って意味であってるかい?」
『そだよー! るーはてぃーのいちょし!』
セツまでいるのか。どこから出て……いや、いい。どうでもいいや。この際。
「ラルがぼくの愛しの人ってこと? ないってば。そりゃ、ラルのことは好きだけど、友達として相棒として好きなだけだし。それと愛おしく思うのは別だろ」
普段のラルを見て、どう愛おしいなんて感情を出せるんだよ!?
……あ。これ、本人の前で言ったら殺されそう。「私は可愛いやろが! 愛しく思えよ!?」なんて、無茶苦茶言い出すに決まってるんだ。言わないでおこう。
『じゃ、あいらぶゆーだ!』
「違うっての」
こいつらの会話にいちいち付き合っていたら、部屋に戻るのも遅くなりそうだ。ここら辺で適当な相槌だけに切り替えて、さっさと戻ろう。明日は近くのダンジョンに仕事行く予定あるし、早く寝よ。
来たときと同じ道を通り、中庭の横を通りすぎようとしたとき、中庭から「カコンッ…カコンッ」と何かを打ち付けるような音が聞こえてきた。
は? こんな時間に中庭で何が……?
『なにかいるねー?』
『ねー? しろーいね?』
はあ!? ものは考えて発言しろ!
夏と言えば、怪談ってか。え、じゃあ、この音は心霊現象みたいなやつ? いやいやいや!? あり得ないって!!
『てぃー?』
『かべにぺたんこしてどーしたの? そーすると、すずしーの??』
背中を壁にくっつけて、できる限り中庭と距離を取る。取れているかは知らないけども。
『るーにみられたら、わらわれるのら』
うっせ!!!
あーもー! なんでこういうときにラルはいないの!? 呆れ顔で「は? 幽霊? いないいない。何も感じないもん」って言ってほしい! お願い!
……願ったって、ぼくの頼れる相棒は部屋で休んでる頃だろう。ここはダッシュで逃げるか。うん。そうしよう。
『あ。あのしろいの、つるちゃなのら』
あのねぇ……お化けに名前なんてつけてどうすんだよ。つるちゃってどこに由来してるの。
『おばけじゃないよー! つるちゃなの! つばちゃの! にーちゃ! つるちゃ!』
……ツバサのお兄さんってことはツルギ? いや、この時間帯にツルギがいるわけないだろう。実際、ぼくがここを通るようになってから、見かけた記憶がないのに。
しかし、スイとセツが頑なに引かないので、渋々、中庭の方をよく見てみる。
中庭の奥の方で何かが複数揺れている。それを避けながら動く影もあった。
揺れているのは、大木に複数吊るされている小さな丸太で、それらを避けているのがツルギ……みたいだ。手に持った棒─恐らく、木刀を打ち付け、振り子の要領で返ってきた丸太を避ける。そして、別の丸太を攻撃して、それを避ける……という特訓をしているらしかった。
「やってることは古典的だけど、なんでこんな時間に。夜の中庭使用禁止なんて、聞いたことはないけど、誰かを見たのは初めてだな」
今日、たまたま使っているだけなのか。今回からやり始めたのか……それなら、なぜ今日からやり始めたんだろう?
「……ぼく、ラルみたいな推測はちょっとなぁ。いくらなんでも、情報がないや。あっても、ラルみたいに正確な推測はできないんだろうけど」
でも、彼女ならツルギの今までの様子とか、この光景だけで、彼の心情や行動の理由を見抜いてしまうんだろう。
通りすぎてもよかったのだが、なんだか放っておけなくて、遠くからツルギの様子を窺っていた。
ツルギはというと、変わらず丸太を使った特訓に夢中なのか、ぼくを認識していないみたいだ。見られているとも思っていないかもしれない。
少しの間、ただただツルギが丸太を打ち付けているところを見ていると、その打ち付ける間隔が狭くなっていることに気づいた。
意図的に叩くスピードを上げているんだろうか。当然だが、早くなればなる程、難易度は上がる。……とはいえ、流石に、今のツルギに対応しきれるのか、ぼくには分からない。分からないけど……
「動きに粗が出てきてるなぁ。あれ以上はちょっと危ないんじゃ……?」
スピードを出す前は余裕を持って避けていたのだが、その余裕がなくなってきていた。本人もそれくらいは分かっていそうなはずなのだが、構わずスピードを上げていく。そして、目の前に迫る丸太を捉え、さっと構えた。しかし……
「! 斬風……へぼらっ!!」
「うわ。綺麗に顔面入った。あれは痛いなぁ」
技を出す前に丸太が直撃。しかも、ギャグ漫画の世界かと言わんばかりのクリーンヒット。そして、ツルギは起き上がらなかった。
「……感心してる場合じゃないよ。ツルギ! 大丈夫!?」
慌ててツルギの側に駆け寄り、仰向けに倒れる彼を診る。パッと見、目を回しているだけのように思うが……医者じゃないし、何とも言えない。
「顔面ヒットだもんな。無闇に動かさない方が無難か? セツ、いつもの一割未満の力で患部……えっと、ぶつけたところ、冷やしてやって」
『いちわり! つるちゃ、ひやす!』
うん。全身じゃなくていいからね。頼むから、全力でやるなよ? ツルギを氷付けにしないでよ?
気絶しているツルギの額を冷やすため、セツがふわふわっと漂い始めた。ぼくの言う通り、弱めの力で冷気を巧みに操る。なんとなく、ひんやりした冷風を感じるくらいの力加減だ。
「……う」
「あ、よかった。思ったよりも早くに気がついてくれた。大丈夫? 他に痛いところとか、変なところはない?」
目を覚ましたばかりだからか、ぼんやりとした様子でぼくをじっと見つめてくる。こちらの質問も聞いていたか怪しいところだ。
「ツルギ? せめて、大丈夫かそうじゃないかくらいの返事はほしいかなぁって……? 何かあったら、誰か呼んでこないとだし」
「……お前……は、家出王子の……ティール?」
いや……それを思い出してただけかよ!? というか、曖昧か! 一応、こっちに来て挨拶くらいは交わしていたはずだけど。
……まあ、なんだ。ラルばかり攻撃していたし、ぼくとは大した関わりはない。現に二人きりで話した記憶はない。そんなもんなのかもしれない。彼にとってのぼくの存在は、ラルのおまけくらいのイメージだったりして。



~あとがき~
切りどころ不明かー!
まあ、いいや。

次回、ツルギとティールのお話。

今にして思えば、ツルギ君、初登場したときもティールとの会話は特になかったですね。こちらに来てからも、ラルにご執心だったので、ティールなんて眼中になったんでしょう。ラルの近くにいたと思うんですけどね。ティールは。

ではでは!