satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第230話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で語り合う物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ツルギ君のラルに対する不満をティールにぶちまけたところで終わりました。
そんな話を聞かされたティールの返しをお楽しみください。
ティール「楽しむ要素あるかなぁ」
ツルギ「ふんふんっ!」
ティール「不機嫌だね」
ツルギ「ラルのこと、思い出したから!」
ティール「そ、そうなんだ」


《Te side》
ラルの名前を聞くだけで、あそこまでの不満をぶちまけるとは。相当、思うところがあったんだな。我がパートナーながら、恐ろしい。十二歳にかなりのストレスを与えているんですけど……?
「あ、あう……この話、誰かに言ってこなかったのに。つい……ごめんなさい」
お。罪悪感はあるのか。
「で、でも、後悔はしてないからな!!」
あ、してないんだ。
しかし、後悔はないと言っていても、どこか戸惑いを隠せていない。言う相手間違えてしまった、どうしよう、みたいに思っているのだろう。ラルの悪口言っていたなんてツバサにバレたら、また喧嘩になりかねない。そして、そこから嫌われるかもしれないと思ったら、それだけは避けなければと。
ぶちまけた相手、憎たらしい相手のパートナーだしな。なおさら、戸惑うよなぁ。後悔してないとは言ってるけども。
「……うーん。そこまで、戸惑う必要はないよ。別に、ぼくは他の誰かに言ったり、ラル本人に言ったりしないから」
「お、怒ってない……の?」
「怒る? ぼくが?」
「だって、自分のパートナー悪く言われたら、嫌じゃない……?」
あぁ、そっちを気にしてたのか。
「そりゃ、いい気分にはならないけど。……でも、ツルギの言ってることも、半分は間違ってないんだよね」
「……へ?」
ツバサみたいな仕草で、こてんと首をかしげた。流石、双子。性別は違えど、そっくりだ。
「ツルギの言う通り、仕事をやろうとしてくんないよ。探検隊はもちろんだけど、生徒会の仕事もそう」
ラルの放課後は、生徒会室に入った途端、「なーんにもやりたくなーい」とだらだらするところから始まる。仕事あるなしに関わらずだ。そこまで仕事がない日ならともかく、期限の迫る仕事なんてあった日にも、同じようにだらけようとするから、困ったものだ。早くやれと何度言えば聞いてくれるだろう……一生、聞いてくれなさそうだな。
「ま、ツバサが生徒会加入してくれたお陰で、脱走は減ったかな」
「え。脱走……?」
「昔は窓から逃げてたの。やってられっかーって訳の分からない捨て台詞と共に、ほぼ毎日。……ま、ツバサが来たら来たで、ツバサを愛でるのが先とかなんとか言って、早くに仕事しないけど、最終的にしてくれる頻度は上がったかな。……ツバサいない日はあれだけど」
ツバサが生徒会に顔を出せないときは、「ツバサちゃんがいない!? なら、帰るー! 仕事?? やれるわけないだろ!」と、開けた扉をすぐさま閉めようとする。いや、帰るなよって話だ。目の前に積まれた書類が見えないんだろうか、あの会長様は。
「……とにかく、仕事嫌いのサボり魔発言は間違ってないってこと。そこに関しては、弁明の余地すらない。する気もない」
「あ……そ、そうなんだ。……その、ティール? 顔怖いよ?」
「あぁ、ごめんね? 思い出してたら、腹立ってきた。今は夏休みだからいいけどさぁ。休み明けにまたその押し問答始まるのかと思った……いやいや、探検隊の仕事ですら、行きたくない連呼するから、大して変わらないな。明日、言い出したらどうしよう」
今日のところは、嫌だの一言は聞いていないが……当日になって言い出さないかが心配だ。
「まあ、それはいいよ。いつものことだから。……でも、そんなどうしようもないラルだけど、彼女は本当に凄いんだ」
一度、スイッチが切り替われば、人が変わったように仕事に対して真面目に打ち込めるのだ。きっと、根っこの部分は真面目だから。
「始まる前は嫌だ嫌だってうるさいけど……それでも、仕事やり始めたら、指示は的確だし、分析力や観察力なんかも誰よりも優れている。いつだって、ぼくらのことを考えてくれている……そんな頼れるリーダーなんだよ? ま、度が過ぎると無茶苦茶やり始めるから、そこは直してほしいけどね」
ぼくがどんなに言っても、聞いてくれないから、そういう性分なのだろう。付き合う身になってほしいものだけれど。
「ツバサも、ラルのそういうところをかっこいいって思ってるんじゃないかな? 普段のだらけた彼女じゃなくてさ。……それにぼくも、ラルを支えたいって思う。ぼくはラルに助けられてばかりだから」
「支えたい……?」
仕事をしなかったり、文句しか言わないラル。自信たっぷりだったり、反対に心配になるくらい、弱々しくなったりするラル。意地悪な笑みを浮かべたり、ときには優しく包み込むように微笑むラル。どんなときでも手を差し伸べてくれるラル……彼女の良し悪しを知っている上で、傍で助けたいと思う。
「だから、ツルギも嫌いより、普通くらいに思ってくれると嬉しいかな。ぼくの大切な相棒のいいところも見てくれたら……って、どうしたの? ぼくの方をじっと見て」
どこから見られていたのか分からないが、ツルギがぼくの様子を窺うようにじーっと見つめてきていた。
ティールってさ」
「うん?」
「ラルのこと、好きなの? 友達とかじゃなくて、恋愛感情みたいな感じでさ」
……ん???
ぼくが理解していないと思ったのか、ツルギは真剣な顔で補足説明していく。
「だから、よくあるやつだって! 恋愛的な意味の好きかってこと!」
「いや……ぼくが、ラルを好きかって話なのは分かってる。分かってるけど、なんでいきなり、そう思ったのかが不思議で」
「だって、ティール見てたらそう思ったんだもん」
子供らしい直感ってやつ? 素直か!?
「あと、ラルの話してるときのティール、ほわほわしてたもん」
「抽象的過ぎて、意味が分からないですが!?」
そう訴えかけても、ツルギもなぜ伝わらないのかと不思議そうに首を傾げた。お互い、一方通行である。
「あのね、ツルギ? ラルとは親友で、相棒で、仕事上でパートナーってだけ。お互い、そこに恋愛感情はないよ?」
「でも、ティールはラルを『大切』って思ってるんでしょ?」
「そうだね。今までずっと一緒に探検隊やってたから」
「支えたいとも思ってるんだよね。できるなら、ずーっと隣で」
「ま、まあ……そうなるかな?」
何これ。誘導尋問?
「じゃ、ティールはラルを好きなんじゃん。恋愛的な意味の方で」
「ごめん。そこに行き着く過程が不明過ぎる。どういうこと?」
「えー? なんで分かんないのー?」
分かるわけがない。
理解してくれないぼくに、ツルギは本当に困ったように首を傾げていた。どう言えばいいのかと悩んでいるのだろうか。
それ以前に、本人がないって言ってるんだから、それを受け入れてほしいところなのだが。なぜ、ぼくがラルを好きって話になってるんだ。……なんかデジャブだなぁ。
『んあぁぁ! てぃー! なぁんでわかんないのー!』
『せっちゃ、いう! つるちゃー!!』
おい、待て。いきなり出てくるな。黙ってろって言ったはずだろ!?
今まで大人しかったスイとセツがいきなり飛び出し、ツルギの方へと飛んでいく。
『あんねー! あんねー! このまえ、てぃー、るーのりぼん、ちゅーってしたの!』
『そのとき、あいらぶなのーってきいたの! でも、ないないっていってきたのー!』
『でもでも、ないないはないって、すいちゃたちおもうのー!』
「うるさいぞ、お前ら。あと、ぼくはないないって二回も言ってないから」
あれに深い意味はないって言ったはず。なぜ、それが伝わらないんだろうか。



~あとがき~
ツルギ君の話を聞いていたはずなのに、なぜか話題はティールへと移ってます。

次回、ティールが抱く本当の思いとは。
ティール君、主役感強すぎやしませんかね?? いいの?

言いたいことというか、補足はあるんですけど、次回言いますね。
ですが、これだけ言わせてください。
十二歳に諭される十八歳の威厳は何処へ……?

ではでは。