satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第232話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で昔語りしている物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ティールとツルギ君の仲良し大作戦が終わりました。無事、ティールはツルギ君という弟分(?)をゲットしましたとさ。
ティール「えっ」
ツルギ「ふふ~ん♪」
さて! 今回からはまた新しいお話!
新しいつっても、前々から小出しにしてきた『奇跡の洞窟』の話です。


《L side》
──これは陸の国にある、とあるダンジョンでの話。
そのダンジョンは洞窟型だ。一見、どこにでもあるダンジョンの一つだと思う。しかし、そこには奇妙な噂が伝わっていた。
例えば、敵が侵入しない安全地帯にも関わらず聞こえてくる不気味な声。
例えば、自分や仲間以外に誰もいないはずなのに、感じる不気味な視線。
つまるところ、不可解な事象が後を絶たないのである。そうして、いつしか「ここは、ダンジョンに挑み、虚しくも散った人々の魂が彷徨う場所」……という、一つの噂が広まったのである。
そんな曰く付きダンジョンへ挑む二人の男達の姿があった。その男達は奥地に存在するという石の採取へとやって来たのだという。
もちろん、ダンジョンにまつわる噂は承知の上で。
男達は手練れであり、ダンジョン内の敵に遅れを取ることもなく倒していった。更には、ダンジョンにまつわる噂すらもどこ吹く風と意にも介さない様子であった。
しかし、それは続かない。
ダンジョンの中腹を過ぎた辺りで事件が起こったのである。
一人の男が連れていたやんちゃな従者達のせいで、ダンジョンに仕掛けられていたトラップを発動させてしまったのだ。このトラップの効果により、二人は離れ離れになった。……とはいえ、ダンジョンにあるトラップなんて大して珍しくもない。トラップを発動させてしまった男も例に漏れず、探索中のよくあることだとさらりと受け流し、探索を再開。
その、探索を再開した直後だった。
「ねぇ……ねぇ……」
と、背後から女の声が聞こえてきた。
その声に男は振り返るものの、そこに人の影はない。気のせいかと正面に向き直るが、再び、男に呼び掛ける女の声が聞こえる。それも、先程よりも近いところから。
再度、振り返ってみても敵はなく、気配すら感じない。間違いなく、この場には男一人しかいないのは明白であった。
奇妙な現象に、訝しげに辺りを見渡す男の背後には忍び寄る影が迫って──

「わふんっ!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁ!?」
うっさいなぁ……たかがリランの鳴き声に怯えすぎなのよ。
私の隣で絶叫した相棒、ティールの背後にはちょこんと座ったリラン─恐らく、ギルド内をお散歩中─がいた。
「なんで君はそこまで冷静なの!? おかしくない!?」
「おかしいのは、真っ昼間から怪談話にビビって女子高生に抱きつくお前だ!!」
お化けの類いが苦手なティールが冷静に話を聞けるはずもなく、突然現れたリランの声にビビっていた。まあ、それほどまでに話に集中していたということなのだろうが……嫌なら耳でも塞いでいればいいものを。
……なぜ、燦々と光陽が降り注ぐ夏の昼間にティールに抱きつかれているとか言われると、私達の目の前に座る女性が原因と言えるだろう。
その女性は暗赤色の髪をポニーテールにまとめ、頼れる姉貴分って雰囲気を纏う人だ。
彼女はティールの反応を見て、豪快に笑い飛ばした。
「さっすが、あの二人の息子だね! 反応の仕方がセイラちゃんそっくりさ! いやぁ……? それ以上の反応かね?」
「そ、それは! いきなり怪談話なんて始めるからですっ! ぼく、そんなの頼んでませんよ!? ルーメンさんのお話を聞きたかっただけなのに」
ティールの言葉に目の前のお姉さまはパチッとウインクをしてみせた。
「普通に話すだけじゃ面白くないだろ?」
「普通で! いいです!!」
「そう? 夏っぽくてよかったと思うけどなぁ?」
「ラルは黙ってて」
へ~い……
目の前のお姉さまこと、アンナ・カンナギさんは言わずもながな、『明けの明星』に在籍するメンバーの一人でカズキさんの同期に当たる人でもあるらしい。そして、ギルド商品を手掛ける技師さんだ。
その仕事の関係上、機械いじりもよくするので、趣味でいじり倒す私と滞在中に意気投合した。ちなみに、ファーストコンタクトは私からではなく、アンナさんからである。
「あんた、親方の客人だろう? 機械いじり、好きなんだって?」
と、ギルド内を歩いていたときに話しかけられたのが最初だ。そこから、あれよあれよと世間話をするまでに至る。
今回も仕事の休憩中だったアンナさんに「ルーメンさんの伝説について教えてほしい」とお願いしたのだ。その結果、あの怪談話に繋がる訳だ。
そして、その怪談チックなお話を全否定するティールの反応にアンナさんは首を傾げる。
「あたしの話、面白くなかった? これでも、怪談好きには評判いいんだけどねぇ?」
「話の内容じゃなくて、怪談がよくないんですって!」
ニヤニヤと笑いながら話すアンナさん、確信犯である。絶対、ティールの反応を楽しんでる。確かに、分からんでもないな。
楽しそう(?)にお話ししている二人を横目に、私はふと物思いに更ける。
アンナさんの話が実際にルーメンさんにまつわる話であるとするならば、その相方は誰だったのだろう。かつての相棒……? はたまた、信頼のおける部下だったのか。
……しかし、話の途中に出てくる『やんちゃな従者達』か。心当たりがない訳ではない。そして、初日に見た色褪せた写真に写っていた人物もその『やんちゃな従者達』を連れていたはずだ。
「アンナさん、さっきの怪談ってルーメンさんの若い頃のお話ですか?」
「ん? そうだよ~♪」
なら、相方は多分、ティールのお祖父さんのアルドアーズさんだろう。『やんちゃな従者達』は差し詰め、スイちゃんとセツちゃんのことと見た。まあ、私の知らないところで同じ条件に当てはまる人がいるかもしれないけれど。
「ちょ、何一人で納得してるの?」
ティールのせいでこの怪談のオチ、聞きそびれたんだもん。予測したくもなるでしょ?」
「はあ!? 実際にあった心霊話なんて聞きたくもないよ!!」
完全フィクションなら、ここまでビビらないのになぁ……でも、ノンフィクションだろうと、フィクションだろうと、大した違いなんてないだろうに。
「わふん?」
「……お? なんなら、今からリランも一緒に話を聞くかい?」
アンナさんからの提案にリランがぱっと楽しそうに尻尾を振る。仲間に入れて嬉しそうである。話の内容を理解するかはさておき。
「今度は怪談じゃないですよね……?」
「んー? どぉしよっかねぇ?」
「アンナさぁぁあん!!??」
「あっはっはっ! 大丈夫! 今度は普通に話してあげるさ。ティールの心臓が持たなそうだしねぇ?」
弄ばれるティールもなかなかに面白いけれど、いちいち彼の絶叫で話が止まるのもテンポが悪い。できるなら、普通が望ましいってやつだ。ティールがいなければ、怪談でもなんでもいいのだけれど。
「ラル……今、ぼくを馬鹿にしてるでしょ」
「えへ。事実だからね。仕方ないね」
「このやろ……!」
キッと睨んでくるものの、言い返す程の材料を持たないティールは不服そうに押し黙った。
「二人は親方の伝説について知りたいんだったね。なら、親方の二つ名の『赤獅子』について教えてあげようかね」



~あとがき~
きりがいいんで終わり。

次回、ルーメンの『赤獅子』についてとか。色々。
まあ、そこまで突っ込みませんけど。

ラルは話に出てきた男二人とやんちゃな従者達について推測してますが、ティールはそれどころじゃないので、なんにも考えてません。なので、あれが祖父のアルドアーズと愛剣のスイセツかもしれないとは思ってません。
ぶっちゃけ、フィクションならいいのにとさえ思ってます。考える気ゼロです(笑)

ではでは。