satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第233話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわいわいしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、奇跡の洞窟編へと突入しました!
え? ダンジョン乗り込んでない? まぁまぁ! 焦ることはないですよ。あれですあれ。準備は必要だもんね!!←
ラル「言い訳だ」
ティール「準備にあの最初の怪談みたいなやつは必要だった?」
必要やろ! 失くせませんよ!
ティール「怪談である必要も?」
もちろん。必要経費だぞ。
ティール「経費だったんだ」


《L side》
ルーメンさんの異名である『赤獅子』の由来として、とある一文をよく耳にする。
──その男が通る道には、必ず真っ赤な血の跡が残り、その姿は赤く染まる獅子の如し──
誰が言い出したか、赤獅子と共に広まったものらしい。この一文から察するに、ルーメンさんの魔物の血を浴びている姿から、『赤獅子』という名前がついたと考えるのが妥当だと思うが。
「ラルちゃんの言う通りだと思うよ。まあ、教えてあげるって言ったけど、私らも親方がなんで『赤獅子』なんて呼ばれてるのか、詳しい理由は知らないのさ」
「え? そうだったんですか? ぼくらはてっきり、お弟子さんの方なら知ってるだろうって思ってたのに」
ティールの驚いたような声にアンナさんは苦笑を漏らした。
「それがねぇ……私らが親方本人に聞いても教えてくれないのさ。なんでも、恥ずかしい話だからなんだのってね? 知っている人物がいるとすれば、親方の身内だろうね。まあ、お嬢と若は年的に知らなそうだから、セラちゃんかアルフォース辺りが濃厚だろうねぇ」
ルーメンさんの娘であるセラフィーヌさんとその夫であるアルフォースさん、か。ツバサちゃんやツルギ君が知っていたら、あの手この手使って、聞き出せそうだと思ったのだが……その二人は無理だろうな。
「……ってことで、そこんところどうなのさ。アルの旦那~?」
アンナさんはニヤニヤと楽しそうにしながら、私達の背後で作業中─この前、ツバサちゃんも使っていたスノードーム型の魔法具の解体中らしい─だったアルの旦那こと、アルフォースさんに話しかけた。
当然、私達も話題を振られた方へと目を向けると、アルフォースさんは作業の手を止め、ゴーグルを外しているところだった。そして、こちらに向けられた表情はどこか困ったように笑っていて。
「アンナ先輩。こういうときだけ、『旦那』って呼ばないでください。その呼び方、聞き慣れないから……何て言うか、むず痒いんですよ」
「いいじゃないか、たまにはさ♪ こんなときじゃないと呼ぶタイミングなんてないんだから。それに、久々にここで作業しているわけだしね」
それは関係あるのだろうか……という突っ込みは無粋なんだろうな。黙っていよう。
「あはは……相変わらずですね、先輩は」
アルフォースさんもアンナさんには敵わないのか、旦那呼びについて、それ以上踏み込まなかった。その代わり、ルーメンさんの異名の話に戻った。
「先程から先輩達が話している親方の異名の件ですが、僕からは何も言えません。僕の口から親方の昔話はちょっと」
と、にっこりと笑いながら手でばってんを作った。にこやかだけど、絶対に言わないという雰囲気がひしひしと伝わってくる。
「ん~……相変わらずなのはアルもだけどね? とまあ、こんな感じに真相は闇の中って訳さ」
知っていそうな人物達は全員、黙秘を貫いているってことか。手がかりなし、と。
……いやまあ、解き明かす手がない訳ではないけれど、そこまでして知る必要もないか。
「あのルーメンさんにも、恥ずかしい過去ってものがあるんですね?」
「うーん。ぼくに話すときのルーメンさん、楽しそうにあれこれ教えてくれるから、自分の恥ずかしい話もそうすると思ったのに……黙りなんて、なんか意外だなぁ」
「ふふ。つまり、親方も一人の人間ってことです」
「だねぇ~……まぁ、そのせいか『赤獅子が浴びた血の中には、高貴なる者の血も含まれる』だの『悪魔の血が入り込んで、戦う度に必ず血を浴びる呪いを持つようになった』だの、根の葉もない噂も立つことがあるんだけど」
噂ってどこから尾鰭が付くか分かりませんからねぇ。これを言い出した人に根拠を聞きたいものだ。
アンナさんは「まあ、あの親方でも流石にないだろって私達は思ってるのさ」と、豪快に笑い飛ばした。
アンナさんには悪いけれど、私達も多少なりとも誤解をしていた。それだけ、ルーメンさんの伝説……『赤獅子』の存在は大きいのである。
これ以上、ルーメンさんについては聞き出せなさそうだ。古株に位置するアンナさんですら、『赤獅子』の由来は知らないときた。切り上げ時である。
「あ、そだ。話は変わるんですけど、アルフォースさん、少しいいですか?」
「はい。何でしょう?」
「そろそろ、依頼された『奇跡の洞窟』の調査に行こうかと思ってまして。そこで、初日に伺った中間地点にある機械のパーツをいただきたいなと」
一応、私個人でも正規ルートを使って調べてみたけれど、結局、なんの部品なのか不明なまんまだった。とは言え、手段を選ばなければ、まだ探れるだろう。しかし、そこまでして、ルーメンさんを敵に回した場合が恐ろしい。
なので、今回はルールに反しない程度の調べもので終わっている。その結果、情報ゼロなんたけれど……
「分かりました。それでは、本日の午後、ツルギの襲撃が終わった後に親方部屋へ来てくれますか? そこで部品パーツの受け渡しと、取り扱いについての説明を親方がしてくれると思いますので」
アルフォースさんの言葉に私とティールは、了承の意味合いで同時に頷いた。頷いたはいいが、アルフォースさんの言葉に引っ掛かりを覚える。
「……ツルギ君の襲撃は確定事項なんですね」
「今更、それを言う? いつでも相手してあげるなんて言ってたじゃん」
初日の宣戦布告から今までずっと一回はツルギ君の襲撃は受けていた。最早、襲撃というか、単なる一日のルーティンみたいになっている。何て言うのだろう。私からすると、どことなく作業みたいになってきた。
それにしても、ツルギ君もツルギ君だ。毎日飽きもせず、私に突っ込んでくるんだもの。そろそろ諦めてくれてもいいと思うんだけれどな。
「ツバサと必要以上にくっつかなければ、ツルギも諦めるかもね?」
「はあ!? 無理! 私からツバサちゃんという癒しを奪うの!? 殺す気か!」
「ちょっと何言ってるのか理解に苦しむなぁ……」
「何よ。私より先にツルギ君を手懐けたティールなんてきらーい」
「それをまだ言うか!? っていうか、ぼくは何にもしてないよ。それに、手懐けたつもりもない」
なーんにも聞こえなーい。
ティールの反論は聞きませんアピールでそっぽ向き、手で両耳を塞ぐ。それを見たティールは呆れつつも、「子供か!!」というツッコミを入れてくれた。
「あっはは! 本当に仲がいいんだねぇ」
「「どこが!?」」
「そういうところかな?」
……ぐぬ。
私とティールのやり取りを見ていたアンナさんの一言に私達は何も言えなくなる。何とも言えない気持ちのまま互いに見つめ合い、下らない口論は鎮火した。
……あぁ、セイラさんやブライトさんもこうしてアンナさんに弄ばれたんだろうか。いや、弄ぶなんて言い方はよくないかな。見守られていた、と取るべきか。
でも、私の知るブライトさんは、こんな風にセイラさんと言い合う人ではない。セイラさんが一方的にアンナさんの餌食になっていたと見た。
「! あんあん!!」
私達の足元で大人しくしていたリランが突然、嬉しそうに鳴き始める。その声につられ、部屋の出入り口を見ると、ツバサちゃんとしーくんが入ってくるところだった。
私達の姿を見つけたしーくんは、ぱっと顔を明るくさせてこちらへと駆け寄ってきた。
「ラル! ティール!」
「おかえり、雫。今日も練習、お疲れ様」
「えへへー! うん! いっぱい、がんばった!」
しーくんはほぼ毎日、ツバサちゃん達と夏祭りの練習をしている。そこでどんなことをしているのかは、「ないしょ!」と全力で隠しているらしいので、突っ込まないようにしている。あれこれ聞いてしまうと、幼いしーくんは隠しきれなくなってしまうので、そこは私達が大人になり、そっと見守ろうと決めたのである。
はあぁ~……それにしても、今日も私の天使は愛らしいなぁ。なんでこんなに可愛いんだろう。
「うゆ? ラル、どーしたの? ボク、へんなとこある?」
「ううん。なんでもないの。……しーくん、いっぱい頑張れて偉いね」
「あいっ! あしたもがんばる!」
頑張りすぎて倒れちゃわないようにね。どっかの誰かみたいに。誰とは言わんけど。
「盛大なブーメランだね」
「うっさいわ。……ツバサちゃんもお疲れ様」
「はい! ありがとうございます♪」
ツバサちゃんはリランにひとしきり構った後、すくっと立ち上がり満面の笑みを浮かべた。彼女もまた、夏祭りで披露するらしい舞の稽古に忙しいのである。
今の私らよりずっと忙しいんだろうな。うん。
「……雫、今日はどうしてこんなに髪が濡れてるの? 何かした?」
ティールの言う通り、しーくんの髪はプールにでも入った後みたいに、水に濡れ、ぺったりとしている。まさか、そこまで汗だくになるようなメニューをこなした……訳でもないだろう。
「んとね、アリアお姉ちゃんと『ひみつのとっくん』したから!」
「アリアと秘密の特訓。凄いね」
「そう! 『ひみつのとっくん』! すごいの!」
あ、誇らしげなしーくんも可愛い。えっへんしてるしーくん可愛い。
「その特訓、ルーメンさんがしーくんにやらせたいって言ってたことと関係あるのかな? どう思う?」
「どうだろう。そんな気はするけど」
「んーとねー……」
「あ!! ダメ! しーくん、それはラルさん達には内緒! 言っちゃダメだよ!!」
しーくんの今にも話してしまいそうな勢いにツバサちゃんが慌てて制止し、しーくんも一瞬、ぽかんとしていたけれど、すぐに気づいたのか手で口を覆う。
「そーだ! おくちチャック!」
この二人、隠し事向いてないなぁ。そんなところも可愛いけど。



~あとがき~
これ以上書くと長くなりますので、終わり!
次回に続く~

次回、隠し事向いていない二人の続きとか、ラルによるとある調査とか。

ルーメンおじいちゃんの二つ名の詳細については、また今度だそうです。お楽しみに。

くだらないことでぎゃーぎゃーできるラルとティールの関係が羨ましいなと思います。楽しそうで(笑)

ではでは。