satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第234話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界の物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回から、雑談混じりにあれこれ話してます。「これです!」って言えないな。
一応、奇跡の洞窟編ではあるけどね。
今回も、明けの明星内の工房からお送りしまーす。工房でいいんかな。作業部屋かもしれん。まあ、そんなところからの続きです。


《L side》
あぁ、これ、関係あるな。私らにバレちゃいけないヤツだな。
挙動不審になる二人を見て、気づかれないようにティールと目配せをする。ティールは少しだけ困ったように笑い、小さく頷いた。
「ごめんごめん。雫、もう聞かないよ。だから、落ち着いて。ね?」
「うゆー……ごめんね、ティール。ないしょ、よくないけど、これはいいないしょだから!」
そうか。いいことなのか……しーくん、それ以上は喋らない方いいよ。多分、あらぬ方向からぽろっと言っちゃいそうです。
「むー……ラルみたいに、ないしょ、じょーずになりたい」
「ん~?? そこはならなくていいよぉ? 私の真似しなくていいからねぇ? とまあ、ツバサちゃんも、そこまで慌てなくても、大丈夫だよ」
「う……すみません」
一連の流れを見ていたアルフォースさんから、小さな笑いが聞こえてくる。そして、優しそうな笑みのまま、しーくんとティールの方を見る。
「雫くんはお昼前に髪を乾かした方がいいかな。もしかしたら、風邪引いちゃうかもしれないし」
「そうですね。……一旦、ぼくと部屋戻ろうか」
「うん!」
しーくんの返事ににっこりと笑い、次にツバサちゃんを見る。こちらも優しそうな眼差しは変わらない。
「ツバサ、夏祭りのことを話さないように注意しないとね。それと、ツバサも部屋に戻って着替えてきな。舞の練習で汗かいただろう?」
「はーい!」
これは昼食前に一旦お開きムードだな。話のキリもよかったから、問題はないが。
「君は? ぼくらと部屋に戻る?」
「あ……と、そう、だな」
ティールとしーくんと一緒に部屋に戻るのもいい。しかし、この際だから、やりたいことをやってしまうか。
「ごめん。少し調べたいことがあるから、しーくん任せてもいいかな」
「もちろん。じゃあ、また後で」
「ラル。しらべもの、がんばってね」
ティールはしーくんを抱っこして、アンナさんにお礼を言った後、部屋へと戻って行った。
「ラルさん、何か調べたいことあるんですか?」
「まあね。今回の仕事に直結する話ではないとは思うけど。……だからまあ、個人的な興味、かな?」
「ほわ、そうなんですか」
「そそ。ってことで、資料室の資料、お借りしてもいいですか?」
ここに来てから何度か出入りはしているものの、一応、目の前にアルフォースさんがいることだし、許可を取っておくに越したことはない。もしかしたら、今日は使えませんなんてこともあるかもだし。
しかし、私の心配は杞憂だったようで、アルフォースさんは快く了承してくれた。
「よし、動きますかぁ……またね、ツバサちゃん。あと、リランもね」
「はい♪」
「あんあんっ!」

私はアンナさん達のいる部屋を出て、資料室へと向かう。今の時間帯は他のギルドメンバーさん達ともよくすれ違う。こちらに来てから顔見知り程度にはなったメンバーさん達に話しかけられるようにもなっていた。
「あ、フェラディーネさん。こんにちは! 今からどちらへ?」
「あ、こんにちは。えっと資料室で調べものを」
「そうですか! あそこは奥に行くほど埃っぽいので気を付けてくださいね~」
「は、はい。ありがとうございます」
「ラルさん! こんにちはー!」
「え? あ、こ、こんにちは!」
うちのギルド以上にフレンドリーである。これもまた、トップに立つルーメンさんの人柄故なのだろう。……その法則に則るのなら、フェアリーギルドもそこそこクレイジーなギルドなのでは。……まあ、今更か。そして、そこの一員であるという事実には目を瞑っておこう。ほら、もう卒業しているわけだし。ホームにしているとはいえ、関係ない関係ない……!
誰に向けた言い訳でもないが、どうでもいいようなことを考えていたら、資料室に到着していた。中へ入ってみると、ちらほら人はいるものの、誰も私を気にかける素振りはない。
レイ学の図書館程の規模はないにしろ、有名ギルドに相応しい立派な資料室だった。何度か使った感覚だが、ある程度の資料は揃っていると思う。
そして、そんな場所で何を調べるのかと言うと、初日に見た銅像の人物、女神ミルティアについてだ。
ずっと抱えていた違和感を解消したいのはもちろん、女神ミルティアがどんな神様であるのか等々を調べたかったのだ。これは私の興味があるだけだ。なんなら、趣味の一環かもしれない。
しーくんに聞かせた絵本の内容や、残された伝承なんかをまるっと信じている訳ではない。どこまで信じられるものなのかは、いまいち線引きができないからだ。が、そうだとしても、真実は必ず残っていると思う。
例えば、ミルティアは存在した……というのは間違いないと思う。銅像や伝承が残るくらいだ。そこは信じていい……と思う。
では、この地を救ったとはどういうことなのか。ミルティアは本当に消えてしまったのか。ケアル家との関係とは。ミルティアは、ウィルさんやフォース君みたいに元は天界に住む神様だったのか否か。
とりあえず、なんでもいい。女神ミルティアに関する情報がほしい。
……本当は、こんなことをしなくても、ウィルさんやフォース君に聞けば一発なのだ。余程のことがなければ、二人は教えてくれるだろう。特にウィルさんは、頼られるのが大好きなお兄ちゃん。嬉しそうに講義してくれるに違いない。
しかし、この夏休み中に二人と会う予定はない。連絡を取ってもいいが、こんな私個人の好奇心だけで聞くのも変な話だ。
何より、女神ミルティアがどんな神様なのかが不明な以上、二人から聞くのはリスキーな気もするのだ。
ウィルさん曰く、一人の神が消えるなんて早々ないと言う。それこそ、禁忌に触れるようなことをしない限りは。しかし、ミルティアはしている可能性がある。その場合、ウィルさんやフォースくんの口から女神ミルティアのことは、口にしてはならない存在かもしれないのだ。
そのため、彼らに聞いてもいいのか見極めるための確証がほしかった。その確証を得るためになんでもいいから、女神についての情報がほしいのである。
「さて、やりますかね」
私はダンジョンや経済関連の資料を閲覧している人達からは離れ、国の歴史関連が並ぶ本棚を覗く。そして、片っ端から関係のありそうな本や資料を抜いていく。
一通り運び終えると、ざっと全てに目を通した。目次を確認し、関連のありそうな項目を探す。あるいは、索引で『ミルティア』や『女神』と言った単語がないかをチェックしていく。あれば、そこの項目を読み進め、なければ除外。それを何度も繰り返していく。
そんな地味な作業を三十分程していただろうか。もしかしたら、もっとかけていたかもしれない。
最後の資料を読み終え、私は盛大なため息とともに机に突っ伏した。
「……くそ。なんでだ」
女神ミルティアに関する資料が圧倒的に少ない。私の知りたかったことがほぼ見つからないとは、これ如何に。
まあ、少ないとは言え、一応は出てくる。
例えば、絵本にあった、「荒れ地を再生させるためにミルティアが現れた」というのはいくつかの資料に書かれていた。となれば、これは真実なのだろう。その手段については書いてないけれど。
他にも、ミルティアが王になった、何らかの政策をいくつも発足した、とある男性と子を成した、子の名前はハレンとサナである等々。
こうしたざっくりした情報は出てくるものの、それ以上が出てこない。例えば、ミルティアが行ったとされる詳しい政策内容は出てこない。ミルティアと結婚した男性の詳細もない。子供達の記録もなし。
極めつけは、ミルティア自身のこと。
一応、いつに生まれただの、結婚はどーの、死去した年代とか書いてあるにはある。が、重要な部分が解読不可能なのだ。資料が古すぎて読めなかったり、虫に食われたように穴が空いてしまっていたり。散々である。
「やる気失せた……資料は大切に扱え、このやろう……!」
予想外の展開ではあるものの、思考は放棄せず、もんもんと考え続ける。
この私が情報収集でしくじるはずがないのだ。資料検索は手広く行ったし、検索もれや無関係なものはできる限り省いた。……はずなのだが、この低堕落はなんなのだろう。軽くへこむんですが。
……待て。探し方は間違っていないと仮定しよう。すると、なぜここまで資料が見つからない?
答えは簡単だ。「女神ミルティア」に関する情報に規制がかけられている。
もちろん、ここの資料室がたまたま収集していなかったという可能性もなくはない。なくはないが、ここは、ミルティアが降り立った地とされるスプランドゥールにある一番のギルドだ。収集していないなんてあり得るだろうか?
……答えは否だ。あのルーメンさんが、そんな手抜きをするはずがないし、ミスをするはずもない。
そう考えれば、何らかの理由で情報公開をしていない、隠していると推測できるのではないか? それも、親方のルーメンさん自身が、だ。
……では、そこまでする必要性とはなんなのだろう?



~あとがき~
キリが悪いんですが、長くなりそうなので、終わりじゃ!

次回、ラルの推測は止まりません。続きます。

言いたいことがない……(笑)
まあ、これを書いている私も、この先の展開を知っているわけではないのでね。この辺を知っておくとこの先、楽しめるよ!
みたいなアドバイスができないという。
ただ、相方曰く、いろんな所に伏線をぺたぺたーっとしているみたいなので、「この辺怪しいな?」とか、「ここ重要かも!」みたいに探してみるのも楽しいかもしれません。

ではでは~