satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第239話

~前回までのあらすじ~
海からポチャの両親がやって来たぞ!!
セイラ「うふふ。本編でははじめまして。セイラです♪ こちらは夫のブライトですよ~♪」
ブライト「……」
はい! よろしくねー!
かなーり前にポチャの過去編的なやつに出てきました。いつの話やねん……!


いつものスカイ基地にやってきた私達。けど、いつも通りとはかけ離れた存在がそこにいるわけで……
「ここに来るのも久しぶりですね! ぜーんぜん変わってないのね」
「そんながらっと変わるわけないでしょ」
一度、来たことがあるみたいな話をしているポチャさんとセイラ様。
「改めまして、自己紹介をさせてください。海の国から参りました王妃のセイラと申します。……王妃なんて名ばかりなので、気軽にお話ししてくださいな」
厳しそうなブライト様とは打って変わって、親しみやすい笑顔を浮かべていた。柔らかな人で、言い方がおかしいかもだけど、どこにでもいるお母さんみたいだ。
「よく言う……一部の財政任されてるくせに」
「んもー! そういうこと言っちゃいけません!」
うん。……どこにでもは……いないかもしれない。
「おれはフォース。んで、こっちのちびっこはイブな。で、王妃様は何しに来たわけ?」
「ちょっと、すーくん!? 何勝手に自己紹介してるの! ちびっこじゃなーーい!」
というか、王妃様って分かってるなら敬語使ってよー!
「あら。私は気にしませんよ~♪ 堅苦しいの、あんまり好きじゃないので。……一番の目的はティールに会うため。第二の目的は……そうね。観光?」
観光。
「ブライトはここへ仕事で来ているけれど、私は国を動かすような重大な会議なんて興味ないもの。やっぱり、ティールが一番!」
と、セイラ様はポチャさんを再び、ぎゅーっも抱き締める。突っぱねる元気もないポチャさんは、されるがままだ。
……ん? 国を動かすような重大な会議? そんなものをギルドでやってるんですか?
「あ、私は詳しいことは知らないんです。そうなのかなーって?」
なんだ……ただの予測かぁ。
「本当にそれだけの理由?」
「ええ。だから、ティール。この辺を案内してくださいな♪」
探るような目をしていたポチャさんだったけれど、それも諦めたのか小さなため息をつく。
「……それで、母さんの気がすむなら、喜んで。でも、トレジャータウンには前にも来ただろ? 案内するようなところなんてないけど」
「一回しか見たことないです。ぐるーっと見てみたいの!」
「あ……そうですか……じゃ、行こっか」
「うふふ♪ そうと決まれば、イブちゃん達も一緒に行きましょう♪」
「お邪魔なんじゃ……ポチャさんと二人きりで親子水入らずの方が」
「大勢の方が楽しいです」
あ、有無を言わせない感じ、上に立つ人って感じだ……
セイラ様のご要望により、私とすーくんも同行することに。
セイラ様がお話ししている間、すーくんがじっとセイラ様を見ていたけれど、何か気になることでもあるんだろうか。まあ、聞いたって教えてくれないんだろうけど。

「うふふ♪ 賑やかで楽しい町ですねっ」
一国の王妃様がのんびりと歩いているってだけでも、町中は大騒ぎ。皆、遠巻きに私達を見ていた。
「母さん、少しは姿を隠すとかやらないの?」
「今更ですよ。あんな登場の仕方をブライトがやっちゃうから」
海から現れたと思われる王様は、姿を隠すためのマントとかもなかったですからね……堂々としてて、ある意味かっこよかったけれど。
「ブライトは自分の力に絶対の自信を持っているんです。自分に敵意を向けた相手は、問答無用で倒しちゃうような人ですし、実際、とっても強いの」
「へぇ……まあ、まとってたオーラっつーか、雰囲気だけでも、大抵のやつははね除けそうだな」
すーくんの率直な感想に、セイラ様は楽しそうに笑って、こくんと頷いた。
「ええ、そうなんです♪ 悪いことしようとしてた大臣とかも、一睨みでノックアウトですっ」
睨んだだけで……!?
「ま、そんくらいの威厳がある方が王様らしいっちゃらしいけど」
「……あ、ちょっとごめん。ここで待ってて」
ポチャさんがぱっと商店の方に走っていった。何か買い物かな?
ポチャさんの背中を見送ったセイラ様はにこっとこちらを振り向いた。
「? どうかしましたか?」
「あの子、ここではどうですか?」
「おれ達、そこまで付き合いは長くないぞ」
「でも、フォースさんの身に付けているマフラーはティールとピカちゃんの隊のものなんでしょう? あの子と仲良くしてくれてるんですよね」
な、仲良くって……そんな! こっちがよくしてもらっていると言うか!
「ふふ、そうなのね。ここではちゃあんと先輩、しているのね。……ティールはね、自分が王位継承の儀に後ろ向きなのを気にしているの」
……王位継承の儀?
「……海の国での王位継承は国民による投票だったな。何人かの候補者の中から次期国王が選ばれるってやつだろ?」
「あら、詳しいのね♪ そうなの。ティールの他にも継承者は何人かいて……ある一定の年齢に達すると、国民の支持率を可視化します。ティールが自分をでき損ないって表現したのは、そこなのよ」
もしかして。
「あんまりよくないってことか」
すーくんの指摘に、セイラ様は小さく頷いた。
「元々、海の国は海中にあるため、閉鎖的な国。陸に上がることも一部の人々しか行わない。……単純に、ティールの頑張りが伝わりにくいのです。『スカイ』の名は私達の国まで届いてはいますが、探検隊自体を知らない民も多い。他のことも原因にありますが……ティールの支持率は中の下ってところなのです。もちろん、具体的な数字は王家の一部しか知らないことですが、なんとなく、体感で分かるものでしょう? 自分のことは」
「そんな。ポチャさん、とっても素敵な方なのに」
「ありがとう、イブちゃん。私もそれはたぁくさん知っています♪ でも、問題はそこじゃないんですよね」
……ほえ?
ティールがそれを理由にブライトと険悪だってところが問題なの。ティールが王様になろうとなかろうと、私の可愛い息子ってことには変わらないじゃないですか! それはブライトも一緒。……なんですけど」
それが伝わっていない?
「そうなんです。ティールが自分を卑下してしまうから、変な方向に捉えがちなんですよ。あの人も口下手だから、変な言い回しになるんです。それで、誤解が誤解を招くんですよ~」
な、なんて悪循環だ……!
「複雑な親子だな」
「ほんとに! どうにかしたいんですけど」
「あんたの本当の目的って、それだろ」
「……うふ♪ そうとも言いますね♪ ここにはピカちゃんがいますから、なんとかなるかなーって」
? どういう……?
私だけが理解していない中、買い物を終わらせたらしいポチャさんが戻ってきた。私達の話なんて知るよもないポチャさんは、不思議そうに首を傾げていた。
「さあ! ティール、次です! つぎー!」
「え、あ、う、うん!?」
考える暇なんて与えないというセイラさんの勢いに、ポチャさんは流されるままに頷いて、ぐいぐいっと背中を押されまくっていた。
「おれらも行くかー」
「う、うん」
パワフルなセイラ様を慌てて追いかけ、再び観光がスタートする。
しかし、さっきのセイラ様のお話やすーくんの台詞からするに、まだ何かありそうなんだよね。この訪問には……?



~あとがき~
振り回していくスタイルなセイラ。

次回、場所は変わって、ピカとプクリン、ブライトの三人のお話です。
真面目です。唯一の真面目な話かもしれん。

どっかで言ったかなぁ……? 海の国の王様選びのお話。レイ学とは少し仕様が変わってます。あっちは基本、王家に生まれた男子がとある条件を満たすと、王になる素質があると判断されるシステムです。半ば、強制的な感じですね。まあ、あれはあれとして、捉えていただければ!
さてさて、ここで補足していこうかな! 知らなくてもいい話なので、本編には書きませんでしたが。知りたいって方だけお読みください。マジで、本編には関わらないところなんで(笑)
海の国のトップは、王位継承権を持つ男子数名による選挙で決められます。もちろん、誰でもなれるわけではなく、王家の血筋の者です。ポチャ君は現国王の嫡男ですので、第一王子となります。そして、第二、第三と続きます。その方々とはブライトやポチャと、親戚くらいの関係になりますかね。仮にポチャに弟が生まれれば、順位はずれます。
まあ、この王様を決める選挙、いつやるのーって感じですが、基本的に現国王が玉座を退くと決まったときですかね。なんで、本番の選挙ってのはまだまだ先な話なんですね!
ちなみに。空の国は問答無用で生まれた順です。男子も女子も関係ないっす。なので、チルちゃんは次期女王様、なんですね~♪

ではでは!