satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第236話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でどんぱちする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルによるミルティア様とはなんぞや! という調査を行いました。分かったような分からないような感じで終わりましたね。えへへ!
今回は久しぶりにラルVSツルギ戦いきます。まあ、一話で終わりますんで、楽しんでってくだせぇ~
視点は観戦組の方がいいので、ティールです。


《Te side》
ツバサとリランとぼく達で平和に昼食を終えた。アルフォースさんの話では、ツルギの襲撃後に部屋へどうぞってことだったけれど、こういう日に限って、ツルギは顔を見せなかった。……そういえば、今日一日、ツルギの顔を見ていない気がする。
少しの間、ギルド内をうろうろしていたのだが、ツルギの姿を捉えることはなかった。このまま続けても無駄だと判断したのか、ラルはいつもの笑顔で「先にルーメンさんのところ行くか」とぼくらに告げる。
流石のツルギでも、ルーメンさんの部屋でラルを襲うことはないと思う。……多分。
ツバサと雫は、ラルの言葉に素直に頷く。リランも同意するように一鳴きした。
一日に一回はあったから、この後に来るつもりなのだろうか。ツルギも仕事があるだろうし、今はタイミングが合わなかったのかもしれない。
ラルがどう思っているのかは分からないけれど、ぼくは念のためと辺りを見回してみる。まあ、ツルギらしき少年は見当たらないのだが。
雫とツバサが前を歩き、例の中庭を横切ろうとしたとき、ラルがピタリと歩みを止める。
「ラル、どうかした?」
理由はなんとなく察してはいるが、一応、聞いてみた。もしかしたら、ぼくの予想外な理由で止まった可能性もなくはないからだ。……限りなくゼロだとは思うんだけども。
「しーくん達をお願い」
ラルはぼくの問いには答えず、楽しそうに笑ってぼく達から離れる。なんかもう、それだけで答えになっているような気がしてきた。
「ほわ。ラルさん?」
「大丈夫。いつものだから、ぼくらは離れてよっか」
『いつもの』で通じたのか、ツバサは素直に頷いて、ラルの方をじっと見ている。というか、『いつもの』で通じてしまう程、ツルギとのバトルが定着してしまった事実に驚いているけど。
それはさておき。
……ラルは、すでにツルギの反応を察知している。だから、いち早くぼく達から離れ、動きやすいように開けた場所へと移動した。つまり、ラルにはツルギの居場所の検討がついている訳で。となれば、彼がどう動くのかもある程度の予想もしているはず。それは、ツルギ自身も分かっていそうだけれど、諦めることなくラルに挑む姿は潔くもあり、健気でもあって……
「ツルギも頑張るなぁ」
ぼくには到底、真似できないと思ってしまうのだ。
なんてことを考えていると、どこからともなく、魔法による遠距離攻撃がラルを襲う。しかし、ラルを狙ったというよりは、牽制に使われているのは、軌道から明らかだった。
ラルは焦りもせず、武器も構えず、最小限の動きでそれを避ける。そこに物陰から─もしかしたら、幻術で姿を消していたのかも知れない─ツルギが飛び出してきて、刀でラルに斬りかかった。……が、それもラルにはお見通しだったらしく、軽々と避けてしまう。
「んもー! ツルギ! 危ないでしょー!」
武器を構えていないラルの身を案じたのか、ツバサからの抗議が入る。確かに当たれば、無事ではすまない。できるなら、雷姫さんを構えてほしいものだけれど、ラルにその気はなさそうだ。
武器を構えないラルに対して、ツルギはお構いなしに連続で刀による攻撃をしていく。その攻撃一つ一つは、十二歳にしては完成度も高く、同年代相手ならツルギが負けることはそうそうないのだろう。
……が、相手が悪い。
ラルは完全に見切っていて、彼の攻撃を簡単に避けていく。その姿はどこか、ダンスをしているようにも見えた。
「流石、ラル。軽々とやってるな」
「うむむ。ツルギお兄ちゃんのこーげき、ラルにはあたらないかもー」
と、チームの分析班が呟いた。
「う? そうなの?」
「そーなの。ラル、どーたいしりょく、すごいの。それに、ラルはこーげきをよけるわざも、たーくさんしってる!」
それは多分、リアさんによるものだろう。
ラルはチームの司令塔。だからこそ、視野も広く、鋭い観察眼を持つ。あらゆる可能性から、チームの……或いは自分の勝ち筋を見出だす。それが、ラルの戦い方。
攻めの主導権を持っているのはツルギ。しかし、バトル自体の空気を握っているのはラルだ。
何度も何度も攻撃をしているのに、それが全く当たらない状況に焦りを覚えない訳がない。ツルギも例外なく、表情と動きに焦りが見え始める。そして、それを見逃すリーダーではない。
「んふふ。どうした? 君の実力はそんなものなのかな?」
「むぐ……そんなわけないだろ!」
「そうだろうねぇ~……ほれほれ、もっと本気で来てよ! そんなへなちょこ攻撃で私を倒せると思わないでよ、お兄ちゃん?」
相手の神経を逆撫でするような悪趣味な笑顔でツルギを挑発する。完全に悪役顔だが、これもまた、ラルの作戦の一つなんだろう。悪趣味だけど。
というか、年下の子にする笑顔じゃないと思うんだけどなぁ……いいんだろうか、そんなんで。
分かりやすい挑発だったが、今の精神状態では無視するなんて選択肢はない。ツルギは今までの連撃主体のスタイルをピタリとやめ、少しだけラルから距離を取る。そして、刀を下段に構え、意識を集中させていく。
「ツルギ、一気に斬りかかるつもりだ……!」
「みたいだね。まあ、ラルなら大丈夫だよ」
こういう状況下にした張本人だし……とまでは言わなかった。流石に。
ツルギは恐らく、下から振り上げるようにして攻撃するつもりだ。それも、相手の懐に突っ込んで。ツルギのように小柄なら、踏み込めないところまで入り込めるだろう。
ラルもそれくらいは予想している。避けるなら、ツルギが走り出した瞬間に後方へ飛びつつ、雷姫さんを使っての反撃だろうか。或いは、射程外に逃げるか。
……なんて、思っていたのだけれど、ラルはぼくの予想を越え、前進した。雷姫さんはもちろん、何も持たず、その身一つで。
「はわっ!?」
「ありゃ……?」
「……はぁ!?」
見ていたぼくらもつい、声が出てしまった。ツバサも雫もラル自ら突っ込むなんて思ってなかったのだろう。また、ツルギも同じようで、攻撃の手が一瞬だけ止まった。
その隙をラルが見逃すはずがなく、地面を強く踏み込み、高く飛び上がった。軽々とツルギの真上を通過し、彼の背後へと回り込む。
「ほい。私の勝ち」
「……あだっ!」
ツルギが振り返る前にラルからのチョップが振り下ろされていた。
今回もまた、ラルの勝利で終了、かな。ツルギは不服そうだ。
「むぅ……! なんで!」
「なんでって……分かりやすい性格してるからだって言ってるでしょ。真っ直ぐなのは可愛いけれどね。……というか、そろそろ、私を本気にさせてもらえると嬉しいな。これじゃあ、まだまだツバサちゃんにいいところ見せらんないねぇ」
あぁ……ツルギが気にしてることをラルは平気でつつくんだから。……わざとだと思うけどね。
「なっ……う、うるさぁぁい!! もう一回!!」
「嫌でーす。仕事があるので~」
飛びかかろうとしたツルギをひょいっとかわす。なんだか、ツルギが本気で可哀想に思えてきた。
ラルとツルギでは、実力と経験の差が明確に存在する。ツルギがラルに勝てないのは明白である。あるんだけれど、もう少しやり方があるのではと思ってしまうのだ。とはいえ、二人ともこの形で納得しているというか、成立しているから、今更ではある。
「もう! いっかいっ!」
「しつこいなぁ……さっきので君は一回死んでるんだぞ~?」
再試合を望むツルギに対し、ラルは適当に返している。時折、手が出ているツルギだが、それをラルが避けられないはずもなく、何でもないようにあしらっていく。
「あーもう」
淡々としたやり取りに飽きたのだろうか。ラルが再び、ツルギの背後に回り込み、今度は首根っこを掴もうとした。……したってことは、結果的にできなかったわけで。
ラルの意図を読んだのか、ツルギも掴まらんと逃げたのだ。その結果、ラルは思いがけず、ツルギの尻尾に触れてしまった。
「あ、やべ」
「ふぁっ!?」
触られたと知ったツルギはこれまで以上の反応を見せ、今までで一番のスピードでラルから離れる。そして、今まで以上に威嚇モードでラルを睨み付けた。
「へんたい! ラルの! へんたい!!」
「えー? 別にわざとじゃないんですけど~……? まあ、いいや。今日はもうやる気なくなったでしょ? おわりおわり~」
と、全力威嚇モードツルギは放置し、勝手に切り上げて、こちらへと戻ってきた。確かに、あのままでは続きは難しいだろうけれど。
「お待たせ。そろそろ行こっか」
「……その前に一ついいかな」
ぼくの言葉にラルは小さく首を傾げる。思い当たる節がないのだろう。そりゃそうだ。ラルはそういう人だから。
「ツルギの攻撃、当たってたらどうするつもりだったの?」
「うん? どうもしないよ。というか、ティールは私が一回でも当たると思ってたの?」
思ってないけど! そうじゃない!!
「当たっててもツバサちゃんが治してくれるかなって」
「他力本願か!?」
「ほえ……はい! 治します!」
いや、返事しなくていいから……!
「ま、当たったら当たったで、ツルギ君の動揺は誘えるから、何ら問題はないかな」
そこじゃないって、何度言えばいいんだろう。何かを言っても、ラルは変わる人ではないが。
「せめて、雷姫さんを構えてほしかったよ。用心のために」
「? 必要ないでしょ」
……万が一を想定してくれないかな、この人は。
しかし、ここで押し問答を続けても仕方がない。言ったって今後の身の振り方を変えてくれるわけがないのだ。
「はぁ……あ、ツルギは? 一緒に来る?」
「僕、これから別の仕事なの」
揃いも揃って……仕事前に何しているんだろう。実は仲良くなれるのではないだろうか。なんて、ツルギには言えないか。
「……仕事前にラルに挑んでたんだね。お疲れ様」
「う……まあ、負けちゃったけど。……あ、ティールもお仕事、頑張ってね!」
ラルに負けた不満はあれど、笑顔で手を振りながら去っていった。
「私も一緒に仕事なんですけどねー? まあ、いいけどさぁ」
あんなことしておいて、よく言えるな。
何がともあれ、一応、ツルギの襲撃イベントはこなしたわけだ。これでようやく、ルーメンさんのところへと行ける。
このイベントをこなす必要があったのかはよく分からないけどね?



~あとがき~
適当になってしまって申し訳ない。

次回、ラルとティールとルーメンの三人でお仕事の話。

悪い癖なんですけど、いつかに描写したやろみたいなことを繰り返し書いてることがあるんですよね。まあ、書いてる私は以前書いたってのを忘れているのが原因なんすけどね!!
とまあ、なんでいきなりこんな話するんやってことなんすけど、ティールがラルのことを考えるシーンがよく出てくるからなんですね。再三繰り返してますけどぉ!?……みたいな事柄があると思いますが、スルーしてくれていいよってことで。表現は変わってるとは思うんですけどね……(汗)
多分、知らんうちにそっと消えていたりするんで。はい。
まあ、ティールがラルのことを考えるシーンだけじゃなくて、物語全般に言えますけどね。この悪い癖は……気を付けたい……!

ではでは。