satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第237話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話しする物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルVSツルギ戦を行いました。ティール視点だったのもあって、淡々としてましたね。
今回から視点をラルに戻し、洞窟の話です!


《L side》
いつものルーティーンを終わらせ、ようやく本日のメインイベントとも言える、ルーメンさんとの仕事の話をするため、親方部屋の前までやってきた。
ツバサちゃんとしーくんは別室待機するらしく、親方部屋の前まで来ることはなかった。あと、なぜかスイちゃんとセツちゃんも、『すいちゃたちもここ、のこるー! しーとつばちゃとあそぶ!』と高らかに宣言し、別室待機である。
主であるティールは二つ返事で彼女らから離れた。一応、自分のメイン武器なのだから、側に置いとくべきだと思うんだけれど……まあ、ここで襲われる心配はないけどもだ。というか、襲われる可能性があるのは私だけか。ツルギ君に。
「じゃ、行こっか」
手慣れた手付きでティールが部屋のノックから、扉を開けるところまでやってくれる。初日にビビっていた彼はどこへやら、である。
「失礼します、ルーメンさん」
「うむ。……そういえば、日の高い内にこうして会うのも久しい気がするのぉ」
「あはは。まあ、いつもは夜ですからね」
あれ。……知らない内に溶け込んでるじゃありませんこと?
「……なぁに、ラル? ぼくのこと、じっと見ちゃってさ」
「いやぁ、その……私の知らないところで成長してるなぁって。お母さん、泣きそう」
「はあ? 何変なこと言ってるの。……あぁ、でも、お母さんはあながち間違ってはないかも?」
そうだねぇ。家では家事に明け暮れる勤労学生だもの。いやまあ、同い年のティールにお母さんなんて、呼ばれたいと思わないけどね。
「そうなのですよ。今、我が子の成長に感動してるところです~」
「……そこはちょっと分かんない。なんで君がぼくの成長で泣きそうに……って、成長ってなんだ!?」
「今更、そこ突っ込む?」
「突っ込むよ! どこにどう成長を感じる要素があったんだよ」
そりゃ、初日の貴方を思い出してくれれば自ずと見えてくると思いますよ。はい。
部屋に入って早々、ルーメンさんそっちのけで話してしまったが、ルーメンさん自身は大して気にも留めていないらしい。黙って優しそうな笑みを浮かべ、こちらを見ているだけだ。
「ごめんなさい、ルーメンさん。仕事の話をしに来たのに、ラルとどうでもいい話なんてしてしまって」
「いいんじゃよ。仲がよさそうで何よりじゃ♪」
そうは言うが、これ以上時間を無駄にする訳にもいかない。私とティールはルーメンさんの対面に座ると、ようやく仕事モードに切り替える。
「アルフォースさんから伺っているとは思いますが、今回の依頼の一つである『奇跡の洞窟』についてよろしいですか?」
「もちろん。……以前に話した中間地点にある機械の交換パーツの件じゃろう。これがそうじゃ」
ルーメンさんがテーブルの上に置いたパーツは二つ。
一つは拳大の大きさで多面カットされた丸っぽくて白色の石。
もう一つは透明で楕円形の石。大きさは先程の石の約四分の一くらいだろうか。そして、この石には、正方形の小さなチップが埋め込まれている。
機械のパーツと聞いていたから、てっきり歯車とかそういうものを想像していたのだが、まさかの石……予想の斜め上のパーツが来るとは。……確かに、機械と魔力石を合わせた道具は存在する。今回の交換ってのもそういうものなのかもしれない。……しれないが、白色の石は魔力石ではないだろう。魔力石特有の力を感じないのだ。だが、これが単なる石ではないのは想像に難くない。小さい方も魔力石……では、ないと思う。透明の魔力石なんて聞いたことがないからだ。
「これが、交換パーツ……?」
ティールも私と似たような想像をしていたのか、少し困惑気味に二つの石を見ていた。ティールの問いにルーメンさんは、にっこりと微笑みながら頷いた。
「中間地点にある機械にも同じパーツが嵌め込まれておる。それと交換してほしいんじゃよ。……それと、これも渡しておこうかの?」
どこからか袋を取り出すと、それもテーブルへと置く。
袋はどこにでもありそうな普通の巾着袋。二つの石を入れても余裕があるくらいの大きさだ。
「奥地で石の採取も依頼しておるじゃろう。その石をここに入れておいてほしくてな」
なるほど。
「交換パーツもここに入れておくとよい。パーツはちと、壊れやすいからの。袋は緩衝材だと思ってくれてよいぞ」
えっと……袋が、緩衝材……? このペラペラが、緩衝……材?
いえ、疑っては駄目。ここは明けの明星。商品開発も行う商業ギルド兼探検隊ギルドだ。きっと、そういう商品……いえ、道具を開発したというだけのこと。そういう機能がついている袋なのだろう。多分。
採取した石もここへと言うからには、この袋は異次元収納付きの巾着袋なのだろう。
「それと、採取を頼んでおる『緑の石』じゃがの。壊れないよう丁重に扱ってほしいんじゃ。あれは少し寒さに弱くてな……洞窟内も温度が低いから、くれぐれも用心するんじゃぞ」
……そこまで話してくれるのに、その緑の石とやらの詳細は教えてくれないのね。話してくれてもよくないですかね。私達も把握していれば、何かと気が楽なのだけれど……それを言っても無駄なのだろうな。くそぉ~……!
肝心なことは何も教えてくれないルーメンさんにやきもきしつつも、要求は受け入れた。
仮に不測の事態でぶっ壊れても知らんからな。私は!! だって! 知らないだもん!!
この緑の石についても独自に調べたかったのだが、如何せん、情報が少なすぎる。どんな見た目なのか、どのような性質のあるものなのか、どういう成分で作られているのか等々……検索しようにも幅が広すぎて難しいのだ。今聞かされた情報があったとしても、石の特定まではできないだろう。
当日までお預けか。全く、仕事が失敗しても知らんぞ。私は……!
ルーメンさんから受け取った交換パーツは巾着袋に入れておく。一応、これで仕事の話は終了だ。
「あの、ルーメンさん。一つ、ぼく達からもよろしいですか?」
「む? 申してみぃ」
「私達が『奇跡の洞窟』の調査に行っている間、しーく……雫を預かってはもらえませんか?」
これはティールと相談して決めたことだ。
もちろん、連れていく選択肢もある。しーくんは後方支援を得意とする。敵との戦闘だけでなく、ダンジョン内部の探索でも大いに活躍するだろう。しかし、今回のダンジョンはギルドが管理する特別なダンジョン。普段、出入りするようなところとは訳が違う。しーくんの実力を低く見ているつもりはないが、どんな危険があるかは分からない。そんなところに、しーくんを連れていく訳にはいかない……という結論になった。
まあ、単純に特別管理指定されているダンジョンに幼児を連れていくのはなぁ~……っていう理由もなくはないけど。
私達の申し出に、なぜかルーメンさんは少々驚いた様子だった。しかし、すぐにニッコリと笑う。
「元よりそのつもりじゃよ。……ワシはてっきりツバサ辺りに頼むもんだと思っておったがの?」
あぁ、そういう意味の驚きか。
「ツバサにもこの後お願いするつもりではあります。ですが、ここで預かってもらうなら、まずはルーメンさんにお話を通すのが筋かなって」
という、ティールの説明に私も横で頷いた。
日帰りで帰ってこれるならいいのだが、もしかしたら、数日がかりになるかもしれない。そうなった場合、一応、大人にも話は通しておくべきだろうと。ここはルーメンさんのギルドだ。長に話をしておくのが普通……だと思うんだが。
「律儀な奴らじゃの、お主らは」
……何事にも保険って必要だと思うんだけどな。律儀なのか? これは律儀って言うのか?
「まあ、よい。雫の件は安心せい。ここにはツバサの他にも、アリアやワシの弟子がおるからの。お主らがおらぬ間の安全は保証しよう。気にせず、ダンジョンに挑みなさい」
「ありがとうございます、ルーメンさん」
「それでは、私達はこれで失礼します」
「うむ。頼んじゃぞ、『スカイ』の二人よ」
ようやく、今回の第一目標である洞窟調査に乗り出す。いや、行きたくないから先延ばしにしていた……なんてことはないのだが。
ギルドの管理するダンジョン、か。一筋縄ではいかなそうだ。あらゆる可能性を考えて行動する必要がある。……ま、なんにもなければいいんだけど。



~あとがき~
次回からっす。探検は。

次回、ラルとティールで『奇跡の洞窟』調査!
もちろん、一話では終わりません!!

何気にちゃんとした探検は今回が初めてかもしれませんね。いやまあ、幽霊屋敷探検とか、モンスター討伐とかはしてますが。
きちんとダンジョンの名前が出てきて、探検隊らしい探検をするのは、初めてかなって。
いやぁ、ここの題名、レイディアント学園なんすけどね。学園ものとは……(笑)
まあ! 休みに探検は! お約束ですもんね!! そういうことです!!!!

ではでは!