satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第239話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で探検してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回までが導入です! 奇跡の洞窟探検前の! 導入です!!
ラル「長かったな、導入」
そうだね!!
さてさて、今回からようやく、探検します。きっと! 多分!!
ラル「保険かけるなぁ」
そそそそそんなことないよ!!


《L side》
私達の目の前にあるのは、自然の洞窟には不釣り合いで頑丈そうな扉。それは誰一人として通さないという意思があるかのように異様な存在感を放っていた。
「理解していたつもりだけど、こうして目の前にするとまた違いますねぇ……『明けの明星』が管理する高難易度ダンジョン、ヤバイわ」
「ここに来るまでの警備も厳重だったからね。それくらいしないと危険なダンジョンってことなのかな」
なのかな。もしくは、危険とは別の何かがある可能性もあるが……それを解明するのもまた、探検隊の仕事だ。
「途中に検問所があるなんて聞いてなかったけど、案外、すんなり通してもらえてよかったよ」
ティールの言う通り、ここに辿り着くまでに中継地点のようなもの、所謂、検問所みたいなところを通ってきていた。そこでは、私達の名前と探検隊バッジを確認した程度の簡単なものだった。検問所で止められたときは、身体検査でもされるのかと思ったのだが、そんなことはなかった。
「普通に考えれば、事前にルーメンさんから話があったんだろうね。……にしても、あそこの警備員さん、なかなかの強面さんだったな」
「そだね。……もしかしたら、それを加味した上で、配属されてるのかも。ほら、ああいう強面の人に睨まれたら、大抵の人は逃げるだろう?」
あー……なるほど?
使えるものは使ってしまえ精神というべきか。確かに、あの警備員さんに睨まれたら近寄らないだろう。怖いもん。
「ルーメンさんのことだから、それくらいは考えてそうだよなぁって。……って、君もルーメンさんと同じ立場なら、似たようなことしそうだな」
「……は? なんの話?」
「ううん。こっちの話」
なんじゃそりゃ。
ティールが何を考えているかはさておき、私は先程の警備員さんから受け取った鍵を取り出した。その鍵は特殊な形状をしているわけでもなく、普通の鍵。特徴と言えば、持ち手の部分に白色の宝石があり、そこに『明けの明星』のギルドマークが掘られているくらいだ。
あそこで渡されたのだから、目の前の扉を開ける鍵なのは予想がつくが、生憎、目の前の扉には鍵穴一つない。じゃあ、どうやって開けるんだいって話だが、実は、鍵を渡されたとき、使い方は聞いていた。
鍵を片手で弄びつつ、扉の前に立つと、そっと鍵を掲げる。すると、宝石が一瞬光を放ったかと思えば、それに呼応するように、扉がゆっくりと開かれた。
「わお。……警備員さんの言う通りにしたらマジで開いた。マホー、スゴーイ」
「なぜ、片言。……その技術、魔法だけじゃなく、科学要素もあるみたいだけどね?」
「マホー、ムズカシイ。リカイ、フノーデス」
「この前のサバイバル合宿で魔力石使った肉焼き器作ってたじゃん。それと似たようなもんだろ……おい、こら。無視するな!」
ティールが何か言っている気がするが、私は気にせず、ダンジョンへと足を踏み入れる。そのまま、ある程度、奥まで進んでやろうかと思ったのだが、それはできなかった。
「これ……は」
「ラル? どうかし……って、何これ。凄い……!」
私とティールの前に広がるのは、満天の星空の下にいるのではという錯覚を起こしそうなくらい輝く洞窟内。周りには満足に明かりもないためか、星空の中に放り出されたようにも感じた。ほんの数秒、二人して息をするのも忘れてしまうくらい目の前の光景に見とれてしまっていた。が、慌てて思い直す。ここはすでにダンジョン内。言わば、魔物の巣穴である。気を抜いては危険だ。
「……これ、もしかして全部、宝石?」
「そうだね。たくさんの宝石が星みたいに光ってるんだ。サイズは小さいけど……うん。どれも質はいいと思う」
壁から少しだけ露出する宝石達を観察していたティールが嬉しそうに頷く。
「仮にここにある宝石全てが高品質なら、ギルド管理下に置かれるのも頷けるし、厳重なセキュリティも納得だよ」
ふむ。つまり、違法に採掘されないよう、ギルド直々に管理している……ということか。とは言え、決め打ちはよくない。これについては可能性の一つとして留めておこう。
「……母上がここにいたら、間違いなく発狂するな」
「セイラさんが? 流石にそれは言いすぎじゃない?」
「そんなことないよ。生粋の鉱石マニアが暴走しないわけがない」
と、冷めたように言い放つ息子。……セイラさんがここにいたら、「ティール、冷たいです!」と涙目で訴えているかもしれない。
私はセイラさんの心中をお察ししつつ、ティールと共にダンジョンの奥を目指して進んでいく。
ここの主な敵はよくいるゴブリン系統……ではなく、ゴーレム系統だった。洞窟らしく、岩で造られた体を持つゴーレムばかりだ。
岩のゴーレムと言えば、リアさんの精霊、ソイルを思い出すが、目の前の敵はソイル程の力は持っていないらしい。とは言え、ゴーレムというのは防御力が高いのが特徴だ。ちまちました攻撃では倒すことは叶わない。できるなら、高火力な攻撃を繰り出し、機能停止させる。できなければ、コアを破壊するのが一番なのだ。
で、私が選んだのは後者の方法。理由は単純。そう何度も高火力が出せるわけがないから。
ティール、援護!」
「了解。……やるぞ、スイ! セツ!」
『あいっさー!』
『ほいっさー!』
まず、ティールにゴーレムの足止めをしてもらう。今回はスイちゃんとセツちゃんを上手く使い、ゴーレムの邪魔をしてくれている。その隙に、私がゴーレムの弱点であるコアを見つけ、そこに雷姫による一閃をお見舞いする以上。
コアを破壊されたゴーレムは形を保てなくなり、ばらばらと崩れていく。それをきちんと見届けてから、雷姫を鞘に収めた。
「ラル、お疲れ様。……昔、リアさんのソイル相手に特訓したのが活きたね」
ティールはスイちゃんを手元に置き、セツちゃんは腰に収めつつ、ふわりと笑顔を浮かべる。
彼の言葉と共に過去の記憶……対ゴーレム戦闘特訓と称して、リアさんのソイルに散々やられるという特訓内容が浮かんできた。
「今、笑顔でソイルやゴーレムを突っ込ませてくるリアさんを思い出した……」
「いや、ピンポイント過ぎじゃない? まあ、あの頃のラルの攻撃は効きにくかったけどさ」
確かに、リアさんと特訓していた頃は雷姫を持ってなかったし、メイン武器に関しては迷走しまくってた時代ですけども。
『ごっちゃ、えらいのら!』
『いいこいいこするのら!』
「いやいや……お前ら、何様だよ」
この先も、こんな感じのゴーレムだけなら、何体か現れたとしても問題はない。攻撃パターンはいくつかあるものの、覚えられない程ではないし、単純な動きしかしてこないからだ。
「よぉし……どんどんいくぞー」
「なんか気の抜ける掛け声だな~……感情がない」
んなことはないっすよ。ちょっと作業っぽいなぁと思い始めただけです。
……なんて、思っていた時が私にもありましたとも。ええ。
ダンジョンの奥へと進むにつれ、ゴーレムにも様々なバリエーションが増えてきた。俊敏な動きをするゴーレムや不規則な動きをするゴーレム等々。
つまり、序盤でやっていたティールに足止めをしてもらい、私がコアを破壊するというパターンが使えなくなってきたのだ。
「おわ!? なんか人みたいな動きしてくる奴がいる! 最初の奴より、ランク高めなのか……?」
『てぃー、うしろからもばーんってくるよー』
『ばーん』
「くそ。これ以上増えんなよ。こっちは処理しきれてないんだけど!」
一体倒す前に別の個体が現れ、私とティールは分断される。協力して倒していた分、これはかなり面倒な展開である。
「ゴォォ……」
「くそ。個々の動きが読めな……っ!」
俊敏なゴーレム─恐らく、アイアンゴーレム─のぶん回し攻撃をひらりとかわし、背中に位置するコアを捉える。
「邪魔!」
コアを壊す勢いで刀を振るったのだが、敵の方もその殺気に気づいたのか、体をずらし、コアの破壊を免れた。……まあ、そこは予想の範囲内ではあるが。
ティール! 狙える!?」
「もう狙ってる!」
「お仕事はやぁい……怖いねぇ」
剣から水の弓に持ち変えていたティールは、青く光る瞳でゴーレムのコア目掛けて、矢を射った。そして、すぐさま弓を手放し、セツちゃんを呼び寄せ、背後に迫っていたゴーレムのパンチを防ぐ。
「ラル! 多分、コアはうなじ辺り!」
「見えた! あと、もう飛んだ!」
「え。早くない……?」
ティールがゴーレムを抑えている隙に敵の頭上へ跳躍し、雷姫を首筋へと突き立てた。コアが壊れる手応えを感じ、すぐに離脱する。
「ふぅ……これで全部?」
「この部屋にはもういなさそう。……お疲れ様、ティール」
「ラルもね。……にしても、久々に手こずってる感覚がするな。まあ、これも慣れたら問題なさそうかな?」
まあ、そうだね。倒せない相手ではないと思う。……そう、思うが。
ここに出てくる敵は、すんなり倒せないが、少しの時間をかければ確実に倒せる相手、くらいのレベルだ。
なぜ、そのようなダンジョンへ私達を行かせたのだろう?
もちろん、目的の石の採取をさせるのが一番の理由だろう。だが、ルーメンさんはここを『あえて』選んでいる気がしてならない。となると、当初聞いていた依頼とは別に、何かをさせたいのではないか? そうなると、単なるアイテム採取と奥地調査ではなくなってしまう。
それに、報酬金額に見合うだけの難しさと聞いてはいたが……なんだ。この感じは。私達の実力に合わせた敵しか出てこないからか? それだと、まるで……
「──! ラル!」
「っ! あ、ごめん。何?」
「何じゃないよ。急に黙るんだもん。どうかした?」
「あ、ううん……その、少し考え事」
「そっか。……考え、まとまりそう? なんなら、もう少しここに留まる? 一応、見通しは悪くないから……また敵が出てきても、ぼく一人でどうとでもなるよ」
そう言ってくれるのは頼もしい限りだ。
まあ、ここで考えても意味はなさそうだが。
「……いや、先に行こう。まとめるには情報が足りない」
「分かった。じゃあ、行こっか」
「うん。……もう少し、まとまったらティールにも話すけど、今は何も聞かないでくれると嬉しい」
「いいよ。ラルのタイミングで教えてくれれば」
もし、私の感じているそれが正しいとしたら、いつも以上に……もしかしたら、今まで受けてきた依頼の中でも、トップクラスに難易度が高いかもしれない。
そうだとしたら、私達がどう行動するかによって、今回の依頼達成か否かが左右しかねない。……うわ。なんて面倒な。




~あとがき~
探検してますね。ね!!

次回、まだまだ進むよ、探検隊スカイ!

この一話でぎゅっといろんなことをした気がしますね。探検とか、バトルとか、ちょっとした考察とか。
詰め込みすぎたかなぁと思いつつも、まあ、いつもかと開き直っているところであります!(笑)
今後もそんな感じでやっていきまーす!

ではでは。