satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第243話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でわちゃわちゃしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、幽霊騒ぎ(?)を見事解決したラルちゃんでしたっと。
ようやく本題だ! 本題手前まで来たぞ!!
ラル「はっはっは~……長かったー」
ティール「だねー」
大丈夫。この奇跡の洞窟編、まだまだ終わらねぇからよ……!
ラル「だろうなぁ」
ティール「あはは……」


《L side》
ここまで来るのに色々ありましたが……ようやく! ついに! 来ました!
「中間地点! 来たぞ!」
「だね~……なんか、テンションおかしくなってない?」
なってない!
さて、ダンジョンにおける中間地点とは、安全地帯のことだ。敵であるモンスターが入り込まない不思議なフロアである。基本的には迷路形式ではなく、見通しのよいワンフロアが普通。飾り気もなく、新たな発見も見込めない。なんなら、ここいらで小休止しようぜくらいの役割しかない。間違っても長く滞在する場所ではないのだ。……普通は。
だが、ここの中間地点はそうではないらしい。
清らかに透き通った水に満たされている湖。そして、ゆったりと曲がりくねった道の周り─正確には、湖の際─には、透明に近い白い彼岸花のような花が咲いていた。
そして、壁や天井には相変わらず、宝石達が散りばめられている。湖の水と宝石達が反射し合い、互いの輝きを乱反射させていた。
周りの空気すら、輝いているんじゃないかって錯覚を起こしそうだ。そんなことないはずなのに。
「ここに来てから、ファンタジー感溢れる景色に見飽きたと思っていたけれど……この考え、撤回します。ごめんなさい」
「ラル、誰に謝ってるの……? けどまあ、気持ちは分かるよ」
そして、この小道の先になにやらオブジェ的なものが見える。あれがルーメンさんの言っていた機械だろうか? 遠くていまいち、細部まで見えないが。
「こういう風景を幻想的って言うんだろうね。遠征で見た湖みたい」
「……遠征?」
「最初に参加したやつ」
あ、はい。理解した。
そういえば、いつかのツバサちゃんの魔法を見たときも同じ風景を思い描いたっけ。いやはや、それほどまでに記憶に残っているのだろう。似たようなものを見ただけで、ぱっと思い出せるくらいには。
「ゆーちゃん、元気かな」
「そこでユエの名前を出す……!? 確かに久しく会ってないけど!」
ゆーちゃんこと、ユエは、かつて私達が遠征で出向いたとある湖の護り手。所謂、守護者だ。彼女曰く、「ちょっぴり偉い人なんですよ?」とのこと。どこの界隈とは聞かなかったが。……だって、まあ、ある程度予測できるし?
それはさておき。
この彼岸花、初めて見る色をしている。ほぼ透明では? というか、彼岸花ではないんだろう。似ている何かなんじゃなかろうか。
私は植物博士ではないから、何でもかんでも知っているわけではない。それでも、こんな不思議なものは見たことがない。これもまた、ここのダンジョンにのみ自生する植物の一種なのだろうか?
私は興味をそそられて、そっと手を伸ばした。そして、花とは似つかない感触にぎょっとする。
「? どうしたの?」
「えっと……きゃっ!」
「ラル!?」
ティールの方を振り向こうとした瞬間、手元の花が、ぱきんと小さな音を立てて割れてしまった。
私の手には小さな花弁……というか、その欠片だけが残る。
「……えへ。割れちゃった☆」
「割れちゃったじゃないよ。っていうか、花って割れるもんだっけ」
「いやぁ~……知らん。というか、ティールがちゃんと見た方が分かるかも」
「……? そう、なの? じゃあ、見るけど」
私は花弁だったものをティールに手渡した。彼はそれをまじまじと観察し始める。
「……これ、水晶だな。……つまり、その花は」
ティールの解答に私はにこっと笑って見せる。そして、立ち上がりながら大きく手を広げた。
「全て水晶でできているんだと思うよ。私が割ってしまったものだけじゃなく、ここにある全ての花が水晶なんだと思う」
「うっそだぁ~……信じられないよ。……信じられないけど、目の前にあるし、紛れもない事実だって受け入れるしかないよな」
そういうことになるね。
更に、この花をよくよく見てみれば、人工的に作られたものではなく、自生しているものであると分かる。地面から生えているし、何より、一つ一つ形が違う。それに、仮に人工的に造ったと仮定したところで、わざわざ、こんなところに置いておく意味はない。しかも、こんな大量にだ。意味が分からない。
そもそもだ、こんなものを人の手で造れるものなのか?
「ねえ、ティール。馬鹿なことを聞いてもいいかな」
「……なんだい?」
「こういうのって造ろうと思ったら造れるもん?」
「ん~……どうだろう? ぼくは造形に詳しくはないから。でも、水晶を人が軽く触れただけでも割れるくらい薄くするってのは、現実的ではないと思う」
そうだよな。なら、これは、自然とできたものであると考えた方が自然か。……いや、自然なのか?
「次の質問。こういうものが自然界に存在するってのはあり得るの? ティールはそういう事例、知ってる?」
「知ってたらさっきの発言はしないと思うけど?」
……ですよね。確かめたかっただけだよ。
「でも、自然の力だけでこうはならないと思う。なんらかの力は働いてるんじゃないかな? それが『技』なのか『魔法』なのか『術』なのか……或いは、『能力』の一つで保たれているのかは分からないけど」
「はは……なるほど。それならいっそ、神の御業によるものでしたってのが一番納得できそうだよね」
半分冗談みたいなものだったのだが、ティールからの突っ込みはなく、数秒の沈黙が二人の間に流れた。
「……人間がやりましたってよりは納得できる説だよ。神秘的でリアリティはないし、ラルらしくもないなげやり解答だけどね」
「私らしくもない解答で悪かったな。でもさぁ、実際に存在する訳じゃないっすか。神様は」
「まあ、ねぇ……じゃあ、その神様は何のためにこれを造ったの?」
「……趣味かな」
「それ、真面目に考えた?」
「ごめん。適当」
私は再び花の傍にしゃがみ、割ってしまった花にグローブを外した手で触ってみる。
肌で触ってみても、生花のような感触はないが、まるっきり作り物だと思えない。なんとも不思議な感覚である。
割れた部分はいつの間にか丸みを帯び、ガラスのような鋭さはない。水晶が割れたのだ。そこは鋭利な刃物並みに鋭さがあるものだと思ったのだが。……こういうところを見ても、これらは生きていると仮定した方がよさそうだな。
私はもう一度ほんの少し、力を込めた。すると、やはり簡単に花は割れる。断面を見ると、不用意に触れてしまえば、怪我をしてしまうくらい鋭さがあった。
そして、興味本位で自分自身の手の甲を切り裂いてみた。当然、鋭い刃物でつけられたような切り傷ができあがる。
「お~……切れた」
「ちょっと!? ラルさん!?」
ティールの慌てた声は無視し、私は花を凝視する。割れた断面から水滴が溢れだし、刃物状態だった断面を丸く整形し直していた。
……うーん? どういうメカニズムなのだろう? 人で言うところの、かさぶた的なものなのだろうか?
「ラル!」
悶々と考えていたところにティールが私の腕を掴み、無理矢理立たせた。そして、私の目線を合わせて、じっと見つめてくる。その瞳にはどこか怒りの色がちらちらしているような……していないような。
「今、何した? なんで自傷行為したの? 意味が分からないんだけど?」
「え……興味本位……?」
「はぁぁぁ!!??」
あ、これは怒ってますね。とりあえず、言い訳しておくか。通用するかは分からないけれど。
「こんな簡単に割れるからさ、殺傷能力はあるのかな~……って気になって。断面がよく切れそうだなって思って……その、つい?」
「そんなくっだらない理由で今の行為が許されると思った?」
「死ぬようなことじゃないからいいかなと」
「基準がおかしい!! 死ぬような行為じゃないなら何やってもいいことにはならない!」
でも、こんな切り傷、日常茶飯事では?
「戦闘の末にできるのと、故意にやるのとでは意味合いが変わるから。事故と故意は後者の方が罪深いの。分かる?」
「……そうなの?」
「そうなの。……手、出して」
私はティールに言われた通りに手を出した。すると、どこからか取り出した傷薬と包帯を使って、てきぱきと怪我の手当てをしていく。
「大袈裟じゃない? 仰々しく手当てしなくても……」
「この後も戦闘するんだから、きちんと手当てしておいて損はない。それに、ばい菌とか入ったら困るでしょ」
ま、まあ……そうなのかな。
なぜ、ティールがそこまで大事にしていくのか分からないが……やりたいようにさせておこう。
こんな傷、ほっといても問題と思うんだけどなぁ……?



~あとがき~
思ったよりも進まなかった。

次回、中間地点でのお仕事は続くよ!
仕事すらしてませんけど!

語りたいことはないです……まだまだ続くのでお付き合いくださいとしか言えない。
なんか、そこまで探検してる! モンスターと戦闘してる! みたいなシーンがないですが、きっとこれからです。

ではでは。