satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第244話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で探検してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、中間地点に到着したラルとティール。そんな二人が水晶の花を目の前にあれこれしました。今回もお花にまつわるあれこれの続きです。
ラル「ここのダンジョン花ばっかだな」
ティール「鉱石もたくさんあるけどね」
ラル「そうだった」


《L side》
ティールによる手当ても終わり、私は再びグローブを装備する。そして、ふと彼の剣に目がいく。
この二人のことを忘れていた。もしかしたら、何か知っているかもしれないではないか。何せ、過去にここへ訪れたアルドアーズさんとブライトさんの元相棒なんだもの。
「ねぇ、スイちゃんとセツちゃんはここまで来たことあるの?」
『う? ある! あずときた!』
『あとね、いーちゃとせいちゃともあるよ』
「お? ってことは、ここの花のこと、ルーメンさんか理事長に何か聞かなかった?」
この質問にスイちゃんとセツちゃんは一瞬だけ黙る。記憶の中から該当するものを探しているのだろう。そして、二人声を合わせ、『きいた!』と元気な返事。
『ここのおはな、めがみさまがつくったって! じっちゃがるっちゃのときにきいた! あのね、ほわわの、ぽややなの!』
『あとね、あとね! えいってやったら、ぱーってなったって、ふぃーからきいた!』
スイちゃんの言う『めがみさま』というのは、女神ミルティアで間違いないとは思うが、セツちゃんのやつは理解できなかった。擬音しかなかったぞ? つまり、何をしたんだ。女神ミルティアは!
私はスイちゃんセツちゃん翻訳機のティールに目配せをするも、ティールはティールで眉をひそめていた。長年の付き合いである彼ですら、今のは理解に苦しむらしい。
「あ~……えーっと、つまり……なんだ? 女神の力でここの花が増えたってことでいいの?」
『そうだってふぃーがいった!』
『いった! いった!!』
あ、そういうこと……
二人の言いたかったことが理解できてすっきりした私だったが、ティールは別のところも気になったらしい。
「あのさ、ふぃーって、理事長だよな? なんで『ふぃー』なの?」
『セラフィーヌだから、ふぃーなの!』
『なのなの!』
「お前らのあだ名基準がほしい……!」
今更かよ。
まあ、いい。話を戻そう。
アルドアーズさんはルーメンさんから、ブライトさんとセイラさんは理事長から詳しい話を聞いていると見ていいだろう。
それをスイちゃんとセツちゃんは傍らで聞いていたと思うのだが、この二人がその頃の内容を私達に教えられるとは思えない。
「……お前ら、他に何か覚えていない?」
『? あとはわかんない! むつかしだもん』
『ねー? むつかし、せっちゃ、わかんない!』
駄目元でティールが聞いてくれたけれど、予想通りの答えだ。覚えていたとしても、それを言語化できるとも思えないけれど。
……それにしても、ここで女神の名前が出てくるのか。
「……ねぇ、どうかした?」
ティール、私がずっと考えてたこと、ここで言ってもいいかな」
「? うん。構わないよ」
「私、ずっと疑問だったの。ルーメンさんが私達を『奇跡の洞窟』へ向かわせた理由が」
「それは……ぼく達が選ばれた理由ってこと?」
「そうとも言うかもしれない。……ここでの戦闘、私達の実力を試されているような感覚がしたの。出てくる敵全てが、私達の実力に合った奴らばかりだったから。もちろん、たまたまかもしれないけれどね」
つまり、依頼内容にある目的は表向きのもの。必ず達成してこいよという、最低限満たさなければならない目標なのだろう。
しかし、それだけでなく、裏の何かがあるように感じていたのだ。そこに女神の存在がちらついてきた。それによって、何かを試しているのではないかという憶測が確信めいたものに変わってきた。
「つまり、戦闘能力だけでなく、もっと別の何かを試すつもりなんじゃないかなって思う。というか、最初からルーメンさんの手のひらで弄ばれてる気がしてならないのよ。何て言うの? イグさんに無理矢理、仕事押し付けられるときみたいな?」
「その言い方は二人に失礼じゃない……? けど、ルーメンさんはぼくらを陥れるようなことはしないと思うけど」
「それは私も思ってる。まあ? 上げて落とすみたいな、胸くそ悪い展開がお好きじゃないならだけど。……つっても、あの双子のおじいさんがんなことするとは思えないから、そこの心配はいらないかな」
ルーメンさんに悪い大人の雰囲気はなかったのは確かだ。何より、ギルドメンバーの面々を見れば、あそこがどんなにいいギルドなのか伝わってくる。
だから、悪いようにされることはない。なんせ、プリン親方のお知り合いでもあるし、ティールの身内とも親交のあるお方。私達が損するようなことはない……と、思う。
「……ぼくはラルみたいに考えるの得意じゃないから、ルーメンさんが何を望んで、ぼくらに何をさせたいかまでは分からないや」
「それは私にも分からない。……判断材料がないから、考えようがないもん。仮説ならいくらでも思い浮かぶけど、それはあくまで仮説。それを立証するための事実も、否定する事実もないんじゃ、考えても意味がないってやつよね。……けれど、頭の片隅には、ルーメンさんに試されているというのは忘れない方がいい」
「分かった。頭に入れておくよ。……でも、今は一先ず、できることをやっていこうか。先に進めば、ルーメンさんの真意が分かるかも」
賛成。ここで永遠と思考を重ねても答えは出てこないだろうからね。
ということで、表向きの目標であろう、中間地点にあるという機械パーツの交換をしよう。……したいんだが、それらしきものがどこにも見当たらない。
「機械だって言うから、見れば分かるものがどーんっと置いてあると思ってたけど……ありませんな」
「そうだなぁ。あるものと言えば、水晶の花ばかりだ。……これは機械じゃないよね」
当たり前やろがい。
仕方ない。この道を進んでいくとしよう。途中にぽつんと置いてあるかもしれないし。
私とティールは謎の機械を見落とさないようにと、辺りを見回しながらゆっくりと奥へと進む。
道沿いに水晶の花は咲いているのだが、水の中にも咲いていた。まあ、水晶でできているから、水の中でもなんら問題ないのだろう。腐ることもないし、枯れることもない……んだろう。多分?
「水中に咲く花って凄いね? いや、水晶なんだけど」
「あっちの離れ小島? みたいなところにも沢山咲いてらぁ~……ほんと、何なんだろうね?」
私達の歩く道以外にも陸は存在していた。が、それはこの湖を挟んだところだし、この水晶の花が咲き誇る先にあるので、私達は近づけないのだが。
「……この花、どうにかしてお持ち帰りできないかな」
「え、ラル……そんなこと考えてたの?」
「考えるでしょ! 私達は探検隊だよ? 珍しいお宝を見つけるのがお仕事でしょーが! でも、運搬方法がなぁ~……思い付かないのだよ」
「あぁ……確かに。すぐ壊れちゃうからか。専用ケースでもあれば別かもね?」
「フォース君がおれば……こんな小さな問題なんて、すぐに解決してくれるのに」
フォース君なら、望み通りの物を創ってくれるはずだ。このダンジョンを抜けるまでの間なら、嫌な顔はしても、拒みはしないだろう。もちろん、文句は大いに飛んでくるだろうが。
うーむ。諦めるには惜しいんだよね。どうにかして運搬方法を確立させたい。お持ち帰りしたい~!
諦めきれず、じっと水晶の花を見つめていると、あるところに咲く花が目に入る。
それは、水中に咲いているのだが、他の水晶の花とは違い、白みがかっている。更にほんのり発光しているようにも見えた。
他とは違うそれが気になって、傍まで近寄り、そっと触れてみる。それは、冷たい水の中にあるはずなのに、ほんのり暖かさを感じた。そして、水晶の花とは違って、強度もあり、少し力を入れただけでは割れそうにない。
「……ラル? その花は?」
「分からん。けど、周りに咲くやつとは別の個体だと思う。ティールも触ってみ……っ!」
立ち上がりながら、ぐらりと視界が揺れるのを感じた。単なる立ち眩みかと思ったが、すぐに違うと思い直す。
……これは“時空の叫び”が発動する前兆だ。



~あとがき~
中間地点、長くない? あれ??
未だに依頼一つ達成してないぞ???


次回、ラルが時空の叫びで視たものとは?

久々に出てきましたね。時空の叫び。
まあ、空海ではほぼ使われない能力なので、こういうところで活躍してほしいよね←

ではでは。