satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第245話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で思案してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、とある不思議な花に触れ、ラルが久々に時空の叫びを発動させるところで終わりました!
彼女は何を視たのか……そこからっす!


《L side》
私の能力である時空の叫びにはいくつかパターンが存在する。
一つは音声と映像を視るもので、これは私が第三者視点で視ている感覚だ。例えるなら、カメラの映像を見ているようなもの。時と場合にもよるが、ぐるりと見渡すことも可能だ。移動は無理だけれど。
もう一つは音声だけ、映像だけというもの。音声だけはっきり聞こえたり、ワンシーンだけをはっきり視たりする。能力をコントロールできてなかったとき、無意識下で発動する際はこちらのパターンが多い。
で、今回は、前者のパターン。意識してなかったにも関わらずだ。
目眩が落ち着いたと思ったら、いきなり目の前が花吹雪に覆われ、視界を奪われる。意味もないのに、私は思わず目を瞑ってしまうくらいには、大量だった。
次に目を開けた時、そこには女性が一輪の花の傍に佇んでいた。優しく花を撫で、それを愛でているように見える。そして、ここは私達がいた中間地点だろう。
彼女の特徴としては、真っ直ぐ伸びた白髪を鈴の飾りのついた髪飾りで、毛先の方だけを結っている。それだけだ。
なぜなら、私の立ち位置的に彼女の顔が見えない。どんな容姿をしているかまでは目視できないのだ。
これが現実世界なら、回り込んで顔を見れるのだが、私は固定されたように動けない。全く融通が利かない能力だ。
まあ、ぎりぎり横顔までなら見えるものの、白髪の彼女の前髪が邪魔して、はっきりとは分からない。ただ、楽しそうに微笑んでいるのは分かった。
「……本当にやるつもりなのか、ミルティア」
突然、マントに身を包む一人の男が現れた。どこから現れたのかは分からない。私を横切るようにすっと出てきたように感じた。
男は彼女を「ミルティア」と呼んだ。つまり、あの人は女神のミルティアなのだろう。じゃあ、この男は誰なのだ。
ミルティアは男に名を呼ばれ、ゆっくりと振り返る。そして、明るい笑顔と共に彼の名前を──

「──ラル!」
「……てぃ、る……?」
「よかった。……大丈夫?」
「ん。……私の名前はお呼びじゃない……です」
「は? 何言ってるの」
もう少しでマント男の名前が分かるはずだったのに、きりの悪いところで途切れてしまったらしい。代わりに、相棒が私の名前を呼んでいたわけで。
それはともかく。今、どういう状況だ?
目の前には私を見下ろすティールの顔があるということは、地面に寝かされているはず。しかし、頭に固い地面の感触はない。つまりだ。
「男の膝枕ってどうなんすかね……? 前は天使の膝枕で目覚めたのに……!」
「ごめんね? 天使の膝枕じゃなくて。なんなら、今すぐにでも退こうか?」
「いえ、固くて冷たい地面は嫌です。このままでお願いします……ティール様」
相棒の膝の上でなんつー茶番劇を繰り広げているのだろう。
「はぁ……こっちはびっくりしたんだからな? いきなり倒れるから。どこか変なところはある?」
「ううん。大丈夫。……その、久しぶりに勝手に能力が発動して、立ってられなくなっただけだから」
「ってことは、何かを視たの?」
そうなる。
あれがミルティア生前の話なら、大昔の映像を視たのだろう。ということは、今回の時間軸は過去で間違いない。
「大昔の記憶……ミルティアに関する記憶を視た。この場所で誰かと会うミルティアを視たんだけど……」
「……けど?」
事前調査……もとい、私の好奇心でミルティアに関する情報を集めた。その結果はどうだ? 満足のいく結果は得られなかった。ミルティアに関する情報を隠匿されてるのではと疑う程に。それなのに、ここにきて、彼女に関する物を視るという状況はどこかおかしい。情報を隠したのは、バレたくないため。しかし、私達は部外者だ。バレたくないのに、他者を招くのは如何なものか。
秘密にしたいなら、身内に行かせればいい。私達がこの依頼をやる必要性はない。だから、何らかの思惑があるのではと推測した。
私達でなければならない理由がある……?
一つ整理しよう。
なぜルーメンさんは私達にここの調査を依頼した?
答えは、依頼内容の二つの達成の他に、私達の何かを試すため。
では、その何かとは?
答えは……私達の実力を図るため? 或いは、『奇跡の洞窟』の謎を解き明かすため? 延いては、ミルティアに関する情報を得るため?
ならば、謎を解くため、私達が適任だと考えた理由は?
…………私がいるから?
「もしかしたら……ルーメンさんは、私達にミルティアについて調べさせたいのかもしれない」
「……と、言うと?」
「ここは女神に関する場所だってのは、スイちゃんとセツちゃんに聞いたよね? つまり、依頼をこなすと共に、ミルティアの調査もしてほしいんじゃないかなって」
「わざわざ、そんな面倒なことをする必要ってある? 直接言ってくれても……って、まさか、ルーメンさんがぼくらを試すってこのこと?」
恐らくは。
「で、でも、ミルティアについて、どう調べるの? ラルはここに来る前に調べていたじゃないか。ってことは、文献にもなかったことをルーメンさんは調べさせようとしてるってことだよね? そんなの、ぼくらがどう……やって……って」
ティールは自分で話しながら、自身の疑問の答えに思い当たったらしい。じっと不安そうな顔で、私を見下ろしていた。
「……君を使って、調べさせる? 時空の叫びでミルティアの……ここの過去を視ろってこと?」
「多分。……私の能力のことは、ツバサちゃんは知っている。彼女を通して、アルフォースさんも知っていたみたいだった。となれば、ルーメンさんも知ってるんじゃないかな」
もしかしたら、私の能力でどこまで分かるのかも試されているのかもしれない。
要約すると、私達は依頼の他に、いくつかなの試験を受けている可能性がある。
一つ目は私達の実力を見られている。それは戦闘能力だったり、探検隊としての能力だったりするかもしれないこと。
二つ目は洞窟にまつわる、ミルティアの調査。そこに私の能力がどこまで通用するかも試されているかもしれない。
三つ目、ここでの情報をどう扱うか。
「一つ目、二つ目は分かるけど……三つ目ってどういうこと?」
「神様に関する情報なんてろくなもんじゃないでしょ。……そもそも、ここは限られた人しか来られない場所。そんなところに隠された謎を解き明かそうするんだよ? 得た情報をどう扱うのかも見られているんじゃないかって思うのが普通だよ」
ルーメンさんは、私達がここの情報を外に漏らす可能性があると思っている。もちろん、秘匿する可能性だって考えているだろうし、なんなら、何も調査せずに終わる可能性だって含まれているはずだ。
私達がどのように行動し、最終的にどう動くのか……それらを見たいんじゃないかと思う。
私はゆっくり体を起こし、ティールと向き合う。未だふらつく頭で、今の考えを告げた。
「今、決めなきゃいけないのは、私達のできる限りでここの秘密を解き明かしてしまうか、否か、だ。……ティールはどうしたい?」
「……ぼくは」
少しだけ迷うように目を逸らしたものの、すぐに真っ直ぐとした瞳を向け、にっと笑って見せた。ティールらしくもない、挑戦的な笑みだ。
「……ぼく達は探検隊だ。そこに謎があるなら解き明かす。……そうだろう?」
「だよね。目の前に転がる謎から目を逸らすのは探検隊じゃない。……それに、この情報を元にルーメンさんから色々聞き出せるだろうし。ティールが調べたくないって言ってても、私はやる気満々でしたけどね~」
「なっ! じゃあ、聞くなよ!!」
えへへ☆ でも、ティールの意見も聞いておきたかったのだ。仮に知りたくないと言うなら、情報共有を極力行わないようにしようと思っていた。
「ま、それはそれとして……ティール。ここで知った情報は秘密でお願いね」
「分かってる。誰にも言わないし、君の判断に従う」
「ふふん♪ よく分かっているじゃないか、相棒。後の事は任せてよ。ここで得たものを使って、ルーメンさんの真意を聞き出してやるから」
「あはは♪ ルーメンさん相手にそれは難しそうだなぁ。……けど、うん。頼りにしてるね、相棒」



~あとがき~
ごちゃごちゃ書いたけど、大丈夫っすかね(汗)

次回、今後の方針を固めた二人の前に新たなる影が!
……お分かりかと思いますが、適当に書いてます←

最近、ラル&ティールばっかりだけど、自キャラなのでやりやすいコンビではありますね。ティールだからこそ、ラルもある程度オープンで自然体なんだろーなーと。
ティールは誰といても、あまり変わらないけど、基本、年下といるときは優しいお兄さんしてくれるような気がします。

ではでは。