satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第246話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でびっくりしてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルの時空の叫びが発動し、それを踏まえた上での考察が進みましたね。ルーメンはラル達に何をさせたいのか……みたいなのが、少しは見えたのかなと思います。
では、決意を新たにスタートだすだす!


《L side》
「ラル、ほら。手」
久々の能力は思いの外、ダメージが大きく、意識がふわふわした感覚が抜けなかった。まあ、戦闘を何度も繰り返した後ではあったし、何より心構えしてなかったのもあるとは思うが。
ティールに引っ張られる形で立ち上がるものの、足元が覚束ないためか、ティールに思いっきり支えられる低堕落である。
「……ごめん」
「そんなの気にしないで。歩けそう?」
「うん。でも、回復するまでは中間地点から出られないと思う。本当にごめん」
「いいって。時間はあるんだからさ。……謎を解き明かすんだろ? なら、万全の状態に戻さないとね。この後も時空の叫びに頼る場面があるかもしれないんだし」
……そうなるよな。うん。大丈夫。
「打倒ルーメンさんの気持ちを胸に頑張るわ」
「いや、意味分かんないからね?」
「ほぁ~……? ここに来た時点で、ルーメン様の思惑を察するとはぁ……ルーメン様は今回も相当、頭の切れる若者を寄越してきたんですねぇ~」
私達しかいないはずの空間で、第三者の声。それも頭上から聞こえてきた。
「誰だ!」
それに素早く反応したのはティールだ。私を庇うように背に隠し、スイちゃんを抜剣していた。私は私で魔具であるペンダントに手を伸ばし、いつでも攻撃できるように体勢を整えていた。
自画自賛だが、中間地点という安全地帯にいるにも関わらず、この反応速度は満点だと思う。しかし、頭上にいたものを捉えた瞬間、一気に気が抜けた。
綺麗な半透明の羽と白銀の髪に深紅の瞳。そして、手のひらサイズの少女は正しく、絵に描いたような妖精である。
が、格好はどこぞのニートですかと問いたくなるようなだぼっとした灰色と黒のジャージ姿。更に、こんな状況で眠そうにふわりとあくびを溢していた。
「えぇ~……とぉ……よーこそ、ダンジョン『奇跡の洞窟』へ~……私はあなた方をお待ちしてましたぁ」
なんか「うわ、誰か来た。仕方ない。挨拶してやるか、面倒くさいけどぉ~」オーラ出てません!?
やる気なく手を振る妖精に私とティールは戸惑いを隠せなかった。一体、どういう状況なのだろう。敵なのか、この子は。
いや、敵にしては殺気も感じないし、敵意も感じない。強いて言うなら、眠そうなのは伝わってくる。ただ、それだけだ。
「えっと、君は……誰なの?」
ティールは一応、スイちゃんを構えたまま、頭上の妖精に問い掛ける。それに妖精は、数秒の間があり、ゆっくりと答えた。
「え? 私ですかぁ? いちおー、ここを管理してる者……ですかね?」
なぜ、本人が一番、理解していないんだろう。大丈夫かな。こんな子にここの管理を任せてもいいのかな。大丈夫ですか、ルーメンさん!?
「名前もあるんですけどぉ~……なんかもう、面倒なので、好きに呼んでいいで~す」
「いやいや、あるなら教えてくれてもよくない? おーい!」
私の呼び掛けには全く応じる気はないらしく、相変わらず、眠そうに何度もあくびを噛み殺していた。
本当に大丈夫なのだろうか。確かにここには敵は来ないけれど、そういう問題ではなくて、根本的に心配になる。
「君も大して変わらなくない?」
ティール君、うるさいよ~? 私はあそこまで面倒臭がりじゃありませんからね?」
『……あや?? もしかして、ゆあちゃ?』
と、スイちゃん。それに続くように、セツちゃんも声をあげた。
『ほんとら! げんきないないだから、ぜんぜんわかんなかった!!』
「ほよよ~……? もしかして、水泉さまと、雪花さまですかぁ? お久しぶりですねぇ」
……そうか。二人は過去に二回来ている。だから、この不思議妖精とも会ったことがあるのか。とはいえ、二人もすぐには気づけなかったみたいだけど。
「お前らはお祖父様と父上の時もここまで来たんだね?」
『あい! きた!』
『でも、そのときはゆあちゃ、もっとげんきいっぱいだった!』
おっと? このやる気のないニート妖精姿がデフォルトではないのか。
「なんだろう。その言い回しはトゲがある気がする」
「え? だって名前がないんだもん。それとも、スイちゃん達に倣って、『ユアちゃん』って呼ぶ? このやる気のないニートを?」
「君も大概ニートしたがるだろ……ってのは、よくてだな。スイ、セツ。この子の名前は?」
『ゆあちゃ!』
「……スイの言うそれはあだ名だよな」
『だから、ゆーあだから、ゆあちゃ!』
「ユーア? それとも、ユウア、なのかな。どっちだろ?」
「えー? どっちでもいいですよぉ」
……もう、この子の名前、どうでもいいんじゃね?
ティールが頑張って妖精の名前を聞き出そうとしているものの、全く正解が分からない。まあ、ユーアにしろ、ユウアにしろ、大した問題ではない気もするが。
ティールが奮闘している横で、スイちゃんとセツちゃんは、ニート妖精改め、ユアちゃん(仮)と楽しそう(?)に会話をしていた。
『ゆあちゃ、げんきないない?』
『どこかわるいのー?』
「いーえ? どこも悪くないですよぉ~? 今は省エネモードなだけですからぁ」
ん?……省エネ?
『しょーえね! げんきないないだから、しょーえね?』
「そーです。しょーえねなので、げんきないんですー」
これは……会話になってるのか?
いや、この三人の会話は放置でいいだろう。
彼女の言った省エネモード……機械によくあるバッテリーが切れそうなときに切り替えたりするあれか? それとも、そういう状態を表現しているだけ?
……まさかね。
「あ~……忘れるところでした。お二人がここへやって来たということはぁ……交換パーツをお持ちなのではありませんか~?」
スイちゃんとセツちゃんとの雑談を切り上げたユアちゃんは、だらだらした体勢のまま、横ムーブしていた。話の内容は真面目っぽいのだが、口調と見た目と体勢で台無しである。話が全く入ってこない。
「あの~? 聞いてますかぁ?」
「あ、うん。聞いてます。……えっと、交換パーツってのは、ルーメンさんから預かってるやつで間違いない?」
「そーです。ルーメン様に持たされたパーツですよぉ。では、こちらに~」
私の返答を聞いたユアちゃんは変わらず、だらーっとしたまま奥へと飛んでいく。
あれに従ってもいいのかと一瞬だけ迷うものの、そもそもここの道は一本道。このまま進まないという選択肢は存在しないので、黙って妖精に従うことに決めた。
ユアちゃんに連れてこられたところは、中間地点の真ん中辺り。少し開けた場所で、その中央には石碑が鎮座していた。
その石碑の天辺には大きな赤い薔薇が一輪だけ飾ってある。多分、本物ではない……と、思う。
ユアちゃんはその薔薇にフラフラと入り込み、ちらりと花びらの隙間から顔を覗かせた。
「ではぁ……後はよろしくお願いしますね~?」
「……え? 何をよろしくって? ぼくらは何をすればいいの?」
「? 交換パーツ、お持ちなんでしょ?」
「いや、確かに私らが持ってるけど……え?」
「だから、交換の方はお二人にお任せするってことですよぉ~……私は寝ますので」
「「寝ますので!?」」
「おやすみなさぁい」
「「おやすみなさい!!??」」
混乱する私達を放置し、ユアちゃんは花に潜り込んで出てくる気配はなかった。言葉通り、寝てしまったのだろう。
説明の一つや二つ、あったっていいだろう。普通。
私とティールは互いに見つめ合う。「この空気、どうする?」と、目だけで会話した。
まあ、見つめ合ったところで答えは出なかったんだけど。



~あとがき~
不思議妖精、ユアちゃん(仮)登場。

次回、ラルとティールは無事にパーツを交換できるのか!

こんな展開、誰が予想していたでしょう。私はしてませんでした。ここにきて新キャラなんて想像してなかったさ!!(笑)
とまあ、現時点では謎の多い妖精さんをどうか、よろしくお願いしますね~

ではでは。