satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第248話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、完全復活したユウアちゃんから突然の言葉にびっくりするラル。今回はそれに対する返答からやっていきまーす。


《L side》
「ここでどんな過去を視ましたか」……か。
その問いに私はどう答えるのが正解なのだろう。ユウアちゃんの言う通り、“時空の叫び”が発動したが……なぜそれが過去のものであると断定したのだろう。そもそも、視たという前提で話しているのも変な話だが。仮に、私とティールの会話を省エネモードのユウアちゃんに聞かれていたとするなら、変ではないけれど。
まあ、何にせよ、どこまで答えていいものか。どうする……?
「ふむふむ。……お二人の表情から察するに、ラル様はこの場で起こった過去をご覧になったご様子。驚き六割、困惑二割、焦りが二割……ってところでしょうか?」
ここぞとばかり、アンドロイドらしく、冷静に分析しやがって。中途半端な誤魔化しは効かないとでも言いたいのか。
「……君が言った、『女神の涙』ってなんだい? 話を聞く限りだと、ラルが触った花のことみたいだけど」
私が何も話さないからか、ティールが先に切り出した。ユウアちゃんは少しだけ首を傾げた後、ぽんっと手を叩いた。
「そう言えば、お二人は何も知らずにここへ来たんでした。ならば、私からご説明致します!」
と、自信満々に答えた後、ふわりと飛び上がって石碑の裏側へと移動する。それに私達も倣い、着いていく。
石碑の裏側にも水晶の花と、白く光る花が咲いていた。ユウアちゃんは、その光る方をちょんっと触る。
「こちらが私が言っていた『女神の涙』です。ラル様はこちらの花を触って、能力が発動したのではありませんか?」
「……そうだね。あっちにも同じものが咲いていた」
「はい! この『女神の涙』は限られた条件下で自生するのです。そのため、他のダンジョンや自然の中では滅多に見らません。その条件とは二つ。一つは空気中の魔素の濃度が非常に高いこと。もう一つは……女神、ミルティアにとって、思い出深い場所。所縁の地であることが挙げられます」
また、女神。
ユウアちゃんの言葉が正しいとするなら、ここで女神の秘密を探ることが今回の正解ルート……?
そして、ユウアちゃんはこの地がミルティアにとって、思い出深い場所だと言った。と、するなら……
「ちなみに、先程から花と形容していますが、本来は石と表現すべきなのですよ。これは、女神が作った魔力石なので」
……魔力石? そんなの、ティールは一言も言っていなかったような。
「……あ、ごめん。ぼく、その女神の涙ってやつ、ちゃんと見てないです」
「は?」
「だって、見る前に君が倒れちゃったし、起きた後も色々話して、ユウアが出てきて……見る暇なかったんだよ」
ふむ。……そう言われると、そうかも?
「にしても、うちの鑑定士が聞いて呆れるな」
「うん。石の鑑定士になった覚えはないけどね」
そりゃ、今、つけたからね。
「……えぇっと、それが魔力石とするなら、それは空気中の魔素が結晶化したってこと?」
「はい! その通りです、ティール様♪ そのため、通常の魔力石と同様に使用することが可能ですよ。ま、光魔法に特化した石ができやすいんですけれどね」
「へぇ……なんで花の形になるんだろう」
と、ユウアちゃんとティールは女神の涙……というよりは、魔力石としての女神の涙の話で盛り上がっている。
そんな二人は放置して、私は思考を続けた。
私の能力は物や人に触れたとき、それらに関する過去や未来を見通す力。
そして、ここは女神ミルティアに深く関係する場所で、私が触れた花─正確には、石だったのだが─も女神ミルティアによって作られたもの……
「だから、ユウアちゃんは私が過去を視たと推測したのか。……能力の特性とここの情報を擦り合わせて、か」
「ふふ。……そういうことです♪」
私の独り言だったのだけれど、ユウアちゃんはばっちり聞いていたらしい。私の方を見て、得意気に笑った。
……誤魔化すのは得策ではないな。アンドロイド、機械として冷静に分析する力もあるし、下手に隠すと彼女から私達に対する信用も失うかもしれない。そうなれば、連鎖的にルーメンさんからの信用も失うかもしれない。それは避けなければ。
「はぁ……遅くなったけど、さっきの質問に答えるよ。さっき、“時空の叫び”で視たものについて、ユウアちゃんに教える」
「はい! お願いします♪」
私は、ミルティアと呼ばれていた白髪の女性、女神の名前を呼んでいたマントの男……そして、辺り一面に咲き誇る花々の光景を簡潔に伝える。
それらを聞いたユウアちゃんは、妙に神妙な面持ちになり、何やらぶつぶつと呟き始めた。
「なるほど。ラル様は過去のことを鮮明に見えている……となると……」
「ユ、ユウアちゃん?」
「……うんっ!」
おぉう……?
再び、明るい笑みに戻ったユウアちゃんは、嬉しそうに話し始めた。
「やっぱり、スカイのお二人は奥地へと行く資格がありますね! さっすがルーメン様! 今回の人選もばっちりです!」
さ、さいですか……?
今回の人選も……となれば、過去に訪れた人もルーメンさんの采配によるもの且つ、ユウアちゃんに許可を貰えるような人だったということか。その人は─或いは、その人達は─私達みたいに試されていたのだろうか。
「っと、いけない!」
私達を置いて、一人楽しそうにしていたユウアちゃんだったけれど、こちらの世界に戻ってきたらしい。私達にペコッと謝ってから、指を鳴らす。すると、何もない空間に突如、スクリーンのようなものが現れ、それに何やら入力していく。
「作業をしながらで申し訳ありませんが、その間、お二人が疑問に思っていることをお答えします。……お答えできない項目も存在しますので、その辺りはご了承くださいませ」
現状、答えられるものについてはこの場で教えてくれる……みたいだが、私が知りたい半数は駄目な部類に入りそうだ。
「聞くだけ聞くけど、この先にあるって言う緑の石の正体は?」
「もちろん、私は知っていますが……ルーメン様からのご指示で教えられないです。『最後の楽しみだから、教えるな』と」
いらない! そんなふわふわした楽しみ! 今の今まで、どんだけモヤモヤしてると思っていんるだ!?
「っていうか、最後の楽しみって何! デザート感覚!? 緑の石はデザートか何かですか!?」
「えっと、ラル、一旦落ち着こう? そもそも、あのルーメンさんがここで答え合わせしてくれると思ってないだろ?」
ぐ……そうだけども。
ここまで内緒にさせられたのだから、ここでユウアちゃんから簡単に教えてもらえるとは思えない。見てからのお楽しみだぞ☆……という、大変面倒臭い展開の方がルーメンさんっぽい。
でも! 少しでも教えてくれるかなぁって思うじゃないですか。この世には予想外な展開も付き物なのだから。
「とどのつまり、私の疑問は大して解消されないということか」
「そこまでがっかりしなくても。どうせ、奥地まで行くんだし、そこで分かるって」
「そうたけど……そうだけどもだ!」
そういう問題ではないんだよ。
……はぁ。とりあえず、答えてくれそうな質問をいくつか投げ掛けようか。せっかく、何かしら答えてくれると言うのだから。



~あとがき~
進んでない……だと?

次回、ユウアちゃんのQ&Aタイム。
しばらく続きそう。

ここで分かったことをまとめておきましょう。これだけは覚えて帰ってねってやつです(笑)
女神の涙とは、女神ミルティアによって作られた、特殊な魔力石である。魔素の濃い土地且つミルティアに深く関係する土地でのみ自生する。
……ですかね? この女神の涙はこの後もちょいちょい出てきますし、まだ情報も出しきれていないので、覚えていてくださると幸いです。

ではでは。