satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

空と海 第241話

~前回までのあらすじ~
首脳会談みたいなことしてましたね。いや、ブライト以外はトップ……ではないけど。トップだけど、その一部というか、何というか。まあ、いいや。
誰でも盗み聞きできちゃいそうなギルドで、そこそこ真面目な話をしてました。
さて。今回から再びセイラチームに視点を戻します。本来、わちゃわちゃするための話のはずなのよ! これ!!


トレジャータウンやその周辺を適当に歩いていただけなんだけれど、セイラ様はとっても楽しそうにしていた。
「陸はいいですね~♪ お日さまの匂いや自然の匂い……五感がほどよく刺激されて楽しいわ」
「海の国はそんなことないんですか?」
「お日さまの光は少し届きますね。でも、基本的には人工的な光源で街を照らしているんですよ。賑わいは負けてませんけど、雰囲気は静かで落ち着いた感じです」
海の底って深くて、静かなイメージあるもんなぁ……きっと、国の方もそんな感じなのだろう。私が行くことはなさそう。だって、息続かないもん。
「イブも行こうと思えば行けるよ?」
……え?
ポチャさんから告げられた事実に目を丸くした。海の中なのに、陸上に住む私が!? 行けるんですか!?
「うーんとね……水中でも息ができるっていうアイテムがあるんだ。それを身につければね。ま、永住はおすすめしないけど、観光でちょっと泊まるくらいならいいんじゃないかな?」
そんなアイテムあるの!? え! あるの!?
「おれを見んな。……なんてったっけ? 『泡沫の守り石』だったか?」
「そうですね。海じゃメジャーな鉱石です♪ 陸や空に貿易品としてやり取りされてますわ。ここの街でもで取り扱ってるかは分かりませんが……頼めば簡単に手に入るくらい、メジャーだと思います♪」
そ、そうなんだ。初めて聞きました。
「んーと、海の国に行くだけじゃなくて、水中ダンジョンに行く道のりの必需品みたいなものだからね。覚えておいて損はないよ」
セイラ様がもっと話したそうにしていたのだけれど、ポチャさんが何かを察したのか、会話を引き継いだ。なんでかは分からないけど。
ほへ~……ダンジョン内は必要ないんでしょうか?
「場所によるかな。んでも、大抵のところはダンジョンの効果で問題なく息ができるところが多いよ。難しいところほど、効果なしって感じ」
命懸けすぎる。その石失くしたら、死んじゃうってことでしょ……? そんなところ、行きたくないなぁ。
私の顔色を見たポチャさんは、安心させるようにニコッと優しく微笑んだ。
「ま、水タイプ以外で好き好んで行く人はいないさ。そんなところ行かなくても、地上にたくさんのダンジョンがあるんだし……もちろん、海中ダンジョン特有の風景ってのもあるから、興味があるならチャレンジするのもいいかもね?」
う、うーん……い、いつか、強くなったときに考えます!
「それ、絶対に行かないやつが言う台詞じゃね?」
うっさい!

そんなこんなで、ポチャさんが最後にと連れてきたのはライブさんの図書館兼情報屋さんだった。
そういえば、キアさんとチコちゃんがここでお仕事していたような。チコちゃんはキアさんのお手伝いだけど。
「チコは真面目に仕事してるって言うのに、うちの子ときたら、暑さ理由に引きこもりだよ。お兄ちゃん、泣いちゃう」
と、わざとらしく両手で顔を覆うすーくん。最近、すーくんのクールなところがなくなってる気がするのは私だけだろうか。
まあ、そんなことはどうでもよくってだ。
「最後の方、感情伝わんないよ? すーくん」
「あ、バレた?」
ぱっと両手を顔から外して、ペロッと舌を見せる。完全にふざけてるよね、このお兄ちゃん。ここまでノリのいい人だったなんて知らなかった。十年くらい一緒にいるけど、知らないことってあるんだね……?
「大きな建物ですね~」
「図書館でもあるからね。母さんの好きなやつもあるんじゃないかな」
「まあ♪ ティールはお母さん思いでいい子ですねー!」
「はいはい」
ポチャさんがピカさんみたいに適当な返答しかしない。珍しい光景。
「あれが素だったりしてね」
「……な、なのかなぁ?」
家族だからこそ見せる表情、というやつなのかもしれない。
ポチャさんが扉を開け、奥へと進む。その後を私達も追いかけた。
「あら? ポチャくんだ。珍しいわね~」
「ぼくよりピカが来るからね。久しぶり、ライブ」
「そうね。ピカちゃんには贔屓してもらってるわ~♪ と、イブちゃん達も一緒なのね? そちらは……」
と、ライブさんの視線がセイラさんに向く。
ティールの母です。いつも息子がお世話になってます~」
と、お母さん特有のご挨拶。
何も言わないけれど、ライブさんがセイラ様のことを知らないはずもなく、かなりびっくりしていると思う。だって、セイラ様の言葉に何かしらの返答をしていないんだもん。
数秒の沈黙の後、ライブさんはハッと我に返り、ふわりと笑った。
「……こんなところに海の国の王妃様が来てくださるとは思いませんでした」
「うふふ♪ あまり気にしないでくださいな。今日は王妃ではなく、ただの客ですから」
それはちょっと無理な話では……?
セイラ様はにこりと笑うと、楽しそうに館内へと進んでいく。どこまでも自由な人だ。
セイラ様を先頭に私達も後に続く。そして、たくさんの椅子と机が並べられた閲覧スペースへとやってくると、チコちゃんとキアさんの姿があった。
「あ、イブ。いらっしゃい」
「やっほー! ポチャさんとフォースも! あと、そちらの方は……」
「ぼくの母親だよ。今、この辺を歩いて回ってたの」
「へぇ~……え。てことは」
ここに来てから何度目の反応だろう。まあ、目の前に本物の王妃様が現れたら、びっくりもするけどね。私もしたし。
チコちゃんは目を白黒させ、キアさんはそんなチコちゃんの様子に首を傾げる。その様子からして、キアさんはセイラ様を知らないみたいだ。
「ふふ。私なんて大したことありませんよ? 重要なことは夫がやってますから。なので、そこまで緊張しなくていいんですよ~」
セイラ様は親しみやすい笑顔で二人に話しかけた。キアさんはともかく、チコちゃんは「そうですか!」と素直に頷けるはずもない。だって、知ってるもの。王妃様って知ってるもの!
しかし、セイラ様はお構いなしに二人に話しかけた。ここの図書館のこととか、たまたま広がっていた本の話とか……他愛ない話を持ちかけ、緊張を解していく。
そんな作戦(?)が上手くいったのか、─主にチコちゃんだけど─二人にから、ぎこちなさは消えていた。これはきっと、セイラ様のお陰だろう。
「せっかくなので、お二人に案内を頼んでもいいですか?」
「ワタシなんかでよければ!」
「もちろんです。上手くできる自信はないですが……精一杯、務めます」
「うふふ♪ ありがとう。イブちゃん達はどうしますか?」
えっと、私は着いていこうかな。せっかくだもんね。
こういうときのすーくんは来なさそうだけど、ポチャさんはどうするんだろう?
「お前らだけで行ってこい。おれはこいつと話があるもんで」
と、すーくんはポチャさんを引き寄せて勝手に私達から離れていく。ポチャさんの同意があってかと思ったけれど、すーくんの言葉にポチャさん自身もぽかんとしていた。多分、すーくんの独断だ。
ここから離れるための言い訳なのか、本当に何かあるのかまでは、私には分からないけど。……さっさといなくなった二人を追いかける必要もあんまりない。仕方がないので、残ったメンバーで図書館ツアーとなった。



~あとがき~
短いんですが、きりがいいので、終わりです。

次回、フォースとポチャのお話。

調子がいいときと駄目なときの文章のムラが凄いっすね。今回は駄目な方っすね。
いつか手直ししてるかもっす。お恥ずかしい!

ではでは!