satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第251話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で観察してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ユウアちゃんを仲間にしたラルとティールは中間地点から出て、先へと進み始めました!
いやぁ、長かったね……中間地点。


《L side》
「ラル、また『女神の涙』があるよ」
ティールのそんな言葉に私は後ろを振り返る。彼の言う通り、部屋の隅っこでぽつりと白くて淡い光を発しながら咲く花があった。
中間地点を出てからと言うもの、こうしてダンジョンのどこかで『女神の涙』を見かける回数が増えてきた。まあ、増えてきたと言っても、そこまで頻繁に見かけるわけではない。数階移動する毎に一輪見かける程度である。
スルーしたって構わないのだが、ミルティアの謎を解くのなら、スルーするわけにもいかない。なぜなら、『女神の涙』はミルティアによって作られた魔力石。彼女に関する情報を見る唯一の手がかりと言ってもいい。
「おぉ! では、レッツ、“時空の叫び”タイムですね!」
変な名称つけないでいただきたい。まあ、そんな名前がついてしまう程、チャレンジしてるってことなんだけども!
ちなみに、中間地点を出てから最初に見つけた花で試したのだが、これは不発に終わった。私の集中が足りないのか、見せられる程の記憶がその花にはなかったのかは分からない。……が、恐らく、前者のような気がする。
今度は何かを見せてくれるとありがたいのだけれど……
『女神の涙』の近くでしゃがみ、そっと触れて、意識を集中させる。
くらりと目眩を感じた瞬間、パッととある映像が浮かんできた。場所は変わらず、『奇跡の洞窟』内。離れたところにミルティアらしき人物がいた。
ということは……成功した? よっし! これでも駄目だったら、心が折れそうになるところだったわ! やったね!? 頑張ったな、私!!
心の中でウキウキしつつ、私は周りを観察した。
ミルティアはゆっくり屈むと、そっと両手で地面に触れる。すると、魔法陣が浮かび上がり、数体のゴーレムが現れた。所謂、精霊召喚魔法なのだろう。ミルティアの髪の色は白だから、今で言う白の魔法使い……なんでもできるチート魔法使いさんだ。どんな属性の精霊でも呼び出せるのだろう。
いや、そもそも女神なのだから、そういう範疇にいない可能性もあるな。
現れたゴーレムはどこか見覚えのある姿をしていた。ゴーレムなんてどれも同じに見えるっちゃ、見えるのだが……それでも、このダンジョンに現れるゴーレムに酷似しているのだ。私達がなぎ倒してきた敵達にそっくりである。
「それじゃあ……これから、ここをよろしくね?」
「ゴォ……」
何かを指示したミルティアは召喚したゴーレム達を解散させる。そして、ゴーレム達はそれに素直に従い、ミルティアから離れて、それぞれダンジョンへと消えていく。
ミルティアの「これから」という言葉の通りならば、ここにいるゴーレムは彼女の精霊ということになる。が、そんなのあり得るのだろうか? 精霊は主がいて初めて精霊と呼ばれる存在になる。この世には野良精霊─確か、自然界に存在する魔素から産まれた精霊のことだったと思う─なんて言葉もあった気がするけど、ここらのゴーレム全部がそれに当たるとは思えない。
となると、精霊というよりは、ここを守るための傭兵を作り出したと表現した方がいいのだろうか? 女神の涙や水晶の花のように。
うーん。そうなってくると、神様ってなんでもありだなぁ……狡い。神様、狡い。
「……!」
私がもんもんとチート能力に対して不満を考えていると、ミルティアが何かに気づいて振り返る動作をした。しかし、その途中で映像が途切れ、私の意識は現実に戻される。
私は顔を上げ、辺りを見回してみる。当然、ミルティアの姿はなく、ティールとユウアちゃんの姿しかない。
「お帰り、ラル。何か視れたみたいだね?」
「……ただいま。ま、一応はね」
ティールと会話を交わしつつも、思考は別のことを考えていた。
最後のあれは、偶然だろうか? ミルティアは私の方を向こうとしていた気がしたのだ。……いや、あり得ない。私はあくまで、能力を通して過去の出来事を視ているだけで、そこに存在していないのだから。例えるなら、ミルティア達はとある物語の登場人物で、私は読者。そんな登場人物が読者に干渉なんてできるはずがない。
「ラル? どうかした?」
「あ、ううん。なんでもない」
「ラル様。何をご覧になったのですか?」
どこか楽しそうにユウアちゃんが問いかけてきた。私はミルティアがゴーレムを召喚する光景を視たとだけ伝える。
ちなみに、最後の振り返りシーンは伝える必要がないと思って、勝手に省略させてもらった。
私の話を聞いたユウアちゃんは「なるほどなるほど」とこれまた楽しげに頷く。何が楽しいのかは不明である。
「ゴーレムの召喚か~……となると、ここにいるゴーレムはミルティアの眷属ってことになるのかな?」
「どうだろう。でもまあ、視た感じ、私達が戦っているゴーレムと、ミルティアが呼び出したゴーレムは滅茶苦茶似てるからなぁ……それにここはミルティアと深い関わりのある場所。あり得ない話ではないよ」
現実的に考えれば、ミルティアに作られたゴーレム達が繁殖し、今に至るのではないかと思う。流石に遠い昔に作られたゴーレムが今でも元気よく動いているとは思えないし、なんなら、私達がバンバン倒している。というか、私達だけではなく、過去にここを訪れた人達も同様に戦い、倒しているはずなのだ。
つまり、私の視たゴーレムが親だとして、今いるゴーレムはその子孫であると考えた方がいいのだろう。
そして、その子らは主であろうミルティアの命令を今でも忠実に守っている。『奇跡の洞窟』を死守せよ……みたいなやつを。
「もしかしたら、神様であるミルティアに作られたから、普通のゴーレムより強いのかもね」
「あぁ……なるほど? ぼくは場所の問題だと思ったけど、ミルティアのせいってこと?」
「あくまで可能性の一つだけどね。……で、ユウアちゃん、ゴーレムはこの場所を守る化身ってことでいいの?」
「そーですね。もちろん、その役割もありますが……あ、ちょうどいいところに! ラル様、ティール様。あちらをご覧ください!」
言われるがまま、ユウアちゃんが指差す方向を見てみると、散々倒してきたゴーレムが壁をじっと見つめていた。
「……何してるの? あのゴーレム、ストレスでも溜まってるの?」
「ストレス溜まると、あんなことするなんて聞いたことがない。というか、モンスターにストレス発散なんて概念が存在するのかな」
知らん。でも、イライラして咆哮を上げるなんてざらにある。そういうものなのかなと。
「な、なるほど。ぼくは、モンスターの咆哮って威嚇かなにかだと思ってたけどな」
うん……まあ、そっちの方がしっくりくるけども。
「何をしているかは見ていれば分かりますよ~♪」
言葉で説明する前にまずは見てろってことね……りょーかいっす。
私達は物陰から黙ってゴーレムの行動を観察していた。
ゴーレムは壁に埋め込まれている宝石をじっと見つめていた。そして、何を思ったのか、宝石の周りを削り始めたのだ。まるで、その宝石を発掘するかのように。
「ゴーレム、職業が採掘者だったのか……え、宝石を採るのが趣味なの……?」
「ラル。そんな小ボケ、今はいらない」
すみません。
「ここにいるゴーレム達は《敵の排除》という行動の他にもう一つあるんです」
それが今、見てるやつってことかな。
「それが、一定以上の大きさの宝石を見つけると、その宝石を周りの岩ごと採掘して、更なる下層へと運び、再度埋め込むのです。お二人もお気づきかと思いますが、入口付近と下層では宝石の大きさが違うでしょう?」
そういえば、そんなことをティールが言っていたような。見えてる宝石の大きさが違う~みたいな。
「自然にできたわけじゃなくて、ゴーレムが故意に作り出していたわけか。まあ、自然にできるなんて思ってなかったけどさ」
「でもさ、なんでわざわざ宝石を移動させるの? ダンジョンの見映えをゴーレムが気にしてやってました~……なんてないだろうし」
「あぁ……そこの理由は単純なんじゃない? ダンジョンは下に行く程、敵は強くなる。つまり、より珍しい宝石をより強い下層のゴーレム達が守ってるってことだろ?」
なぁる……今ではルーメンさんがダンジョンの管理を行っているから、勝手に採られることは早々ないだろう。しかし、そうでなかった時代の方が長い。そのための自衛手段、か。
そうなると、そんな命令を下していたのはミルティアってことになるのか? ここの管理と宝石の管理をゴーレムに任せた、と?
「……長い間、ミルティアの命令を何代にも渡って守り続けてきたんだね、彼らは。そんなゴーレムを私らはなぎ倒してきたわけだ」
「そこを突かれると何も言えないんだけど。……彼らもダンジョンのモンスター扱いだし、適当な時間になったら復活するだろ……多分」
そだね。ミルティアのことだし、その辺は考えてあるだろう。無限湧きゴーレムなんだろうな。うんうん。
ということで、さっさと進むかぁ……
「ということで、に繋がらないんだけど?」
気のせいだよ~



~あとがき~
今週の火曜、レイ学の更新を忘れてました……(汗)
予約してあるもんだと思ってました!! 申し訳ないっ!!(土下座)

次回、時空の叫び回。
まだまだ考察してもらうぞ、ラルさんや。

ゴーレムの秘密と統一された宝石大きさの謎が明らかになりましたね。
要するに、ゴーレムはミルティアが作り出し、宝石はゴーレムによって手が加えられていたって感じっすね!

ではでは。