satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第253話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界な物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、時空の叫びで視た光景をあれこれ考える話でした!
今回は先に進みます。ようやくだね!
ラル「おお。そろそろ終わりかな?」
残念。終わりはしない。
ラル「……」


《L side》
ミルティアの謎は一旦放置し、私達は奥地へと順調に歩を進めていた。戦闘を重ねるうち、心なしかユウアちゃんともいい感じに連携が取れるようになり、かなり楽に事を進められたように思う。
まあ、それでもユウアちゃんに攻撃してもらうのは怖かったので、支援に徹してもらっていたけれど……最後の最後まで、なぜ支援メインになっているのか、理解してもらえなかった。なぜだ。
そんなこんなありつつも、私達はようやく最深部へと辿り着いた。
ここに来てから、綺麗な風景には見慣れていたと思っていたのだが、その考えを改めなければならないらしい。
どこからか射し込む光のシャワーに照らされる、『女神の涙』が目の前に広がっていた。その花も、私達が今まで見てきた白だけでなく、様々な色彩に溢れていた。
「女神の涙って白だけじゃなかったんだ」
しかしまあ、冷静に考えてみれば、あれは魔力石の一種だと言う。なら、他の色……すなわち、他の属性に特化したものがあっても不思議ではない。そもそも、白ばかりってのが珍しいのだ。本来ならば、だが。
「というか……ここ、地下だよね。なんで光が?」
「さあ……でも、太陽の光みたいで暖かそうだね」
違う。そうじゃない。
「わ! 見てよ、ラル! 壁の宝石達! 今までのやつより大きいよ」
ティールの言う通り、道中で見かけたもののより、大きくてキラキラ輝いているように思う。
ゴーレム達が地道に運び、これらを作り出しているのだろう。それにしても、なかなかのスケールではあるが。
さて、ここが奥地なら、依頼にあった石の採取をしなければ。確か、緑多めに採ってこいだったか。
「ラル、もう少し感動しようよ。こんなに絶景なのに」
「石にそこまでの気持ちは込めらんないかなぁ」
「えー? 薄情者だぁ」
そこまで!?
いつもなら、仕事第一なティールだが、もう少しこの風景を堪能したいらしい。私はすでにお腹いっぱいになってきたので、早々に切り上げ、今回集めた情報の整理と勤しみたいのだけれど、せっかくここまで来たのだ。多少はのんびりしてもバチは当たらないだろう。
……なんて思っていたのだが、ユウアちゃんがそろりと私達の目の前にやってくる。
「感動しているところ、申し訳ないのですが、奥地へと到着されたお二人には、最後の試練を受けてもらいます」
最後の試練?
ニヤリと怪しい笑みを浮かべたユウアちゃん─心底、嫌な予感しかしない─に着いていくと、別の部屋のようなところへ通される。
そこは壁に宝石類はあるものの、花は咲いておらず、光も射し込んでいない。言うならば、先程まで攻略していたダンジョンの大部屋のような……或いは、奥地に存在するボス部屋のような、そんなところだ。
ようやく目的地に辿り着いたはずなのに、こんなところへ連れていかれるとは。ますます、嫌な予感しかしない。
戸惑いを隠せない私達になんの説明もなく、ユウアちゃんはにっこりと笑う。
「それでは、お二人とも……頑張って『この子達』を倒してくださいませ!」
と、それだけ言い残し、この場から消えてしまった。話も、質疑応答も、抗議すらもできずじまいである。
「は!? 待ってよ、ユウア!」
いや待て、この子……『達』を倒す? つまり、複数の敵を倒せってこと?
つまり、なんだ……よくあるあれか?
「あれですか。ボス戦ですか。今からボス戦と相成るわけですか」
「え……嘘だろ?」
嘘なら、どれだけよかったか。
「グオォォ!!」
どこから現れたのか問いたくなる、大型モンスター二体が私達の目の前に出現した。
どちらも同じ見た目をしているものの、一体は二本生やし、もう一体に角はない。そして、逞しい四足のモンスターは、いかにも、悪魔みたいな見た目で、鈍い赤色の目をこちらへと向けていた。
私は……いや、私達は嫌と言うほど、こいつらのことを知っている。なんせ、過去に一度戦い、こちらが死にかけた相手だ。
「ボス級モンスターのベヒーモス……しかも、二体? なんで、こんなところに」
疑問を口にしながらも、ティールが二振りの剣を構える。そして、ちらりと私を見る。
「とにかく、これがユウアの言う試練って認識でいい?」
「……多分」
全く、悪趣味にも程がある。
何事も、衝撃的な場面ってのは強く心に残るものだ。私にとって、ベヒーモスも例外ではないらしい。
頭ではベヒーモス相手に恐れる必要なんてないと理解している。あの頃よりずっと強くなっているし、経験も知識も能力もある。
それなのに、こうも不安に思うのはなぜだろう。
「うへ……やっぱ、昔語りなんてしたせいかな」
こんなときに、嫌な光景しか浮かばない自分が嫌いだ。
過去の未熟だった頃の私と重なって、最悪のシーンが消えてくれない。
まあ、いつだって、『最悪』の展開はついてくるものだろうけれど……今回はそれが嫌にちらつく。そのせいで、上手いこと作戦が立てられる気がしない。
どうする。どう戦うのが正解だ?
相手はボス級。しかも、二体。
ここまでのモンスターのレベルを考えるに、このベヒーモスも普通の個体よりも強いかもしれない。そんなのが二体?
私達も二人。他に仲間はいない。一対一で戦うしかない? それで勝つ見込みはある?
相手の能力値が未知数である以上、踏み込みすぎるのは危険ではないか? ならば、一定距離を保ちつつ、攻撃するしかない……?
そんな逃げ腰のような攻め方で、本当に勝てる相手なの?
「──ラル!!」
相棒の叫ぶような声に私は顔を上げる。
相棒はすでに剣を振るいながら、応戦していた。私が呆然としている中でも、─いや、もしかしたら、脳内会議してると思って、守ってくれていたのかもだけど─ティールは一人で勇敢に立ち向かっていた。
力任せに一体のベヒーモスを後退させたティールは、私を庇うように前に立ち、ふっと笑う。
「もしかして、珍しく弱気になってる?」
「珍しくって何さ……別に、どう戦うか推考中なだけですが」
「そんなの簡単さ。君は一言、ぼくに言ってくれたらいい」
「一言?」
ティールに問いかけると、彼は力強くも挑戦的な笑みを浮かべた。
「二人なら勝てるって言えばいいんだ。……今のぼくらなら負けないってね。だって、ぼくとラルは最強コンビだろ」
……あぁ、そうだね。そうだった。
ティールだって、私程でないにしろ、それなりに思うところはあるはずだ。それでも、それを表に出さず、無条件に私を……私と自分自身の力を信じているのだろう。
「私達は……『あの頃』の私達じゃない。今の私達なら勝てる。ティールとなら、なんだってできる」
「そういうこと。さあ、リーダー? ぼくはどうしたらいい?」
そんなの、決まってる。
「……目の前の敵、ベヒーモス二体を倒すよ!」
「了解」



~あとがき~
一人じゃないって素晴らしいよな。

次回、スカイVSベヒーモス(二体)!

きっと、精神面の強さはティールが上なんすよね。いや、お化け駄目ってのは、置いといてね?(笑)
ラル視点なので、ティールがベヒーモスをどう思っているかは書けませんが……ラルのように、悪い方へ引き込まれることは多分、ないんですよね。それは頼れる相棒が傍にいるからに他なりませんが。
彼も頼れる相手がいない状況だと、ある程度、狼狽えるとは思います。ティールにとっても、苦い思いをさせられた相手なのでね~

ではでは。