satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第257話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で戦闘してる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ラルの手によって一体のベヒーモスことゴーレムさんが葬られました! 残るはあと一体!


《Te side》
ラルの放った“雷槍”によって、コアだけでなく、その体ごと貫かれたベヒーモス……ゴーレムは活動不能になり、跡形もなく崩れていった。
コアを破壊するだけなのに、あそこまで派手な大技を仕掛ける必要があったのかは分からない。まあ、彼女のことだ。一発で仕留めようと高火力な技を選んだに過ぎないのだろう。
「ラルと雷姫さんが組むとどうしても派手になるよなぁ」
『ひめちゃ、おつよいのら!』
そういうことなのかな……?
ラルは地面に突き刺さった雷姫さんを抜き、こちらを振り返る。いつものラルではなく、探検隊ver.の真面目顔で。
あぁ、こんなときにこんなことを考えるのは変だけど、滅茶苦茶格好いいなぁ……っていうのは、女の子に失礼かな。
雷姫さんを鞘に納め、足止めにと呼び出したドールも帰すと、ぼくの方へと戻ってきた。そして、ラルは小さく首を傾げる。きっと、ぼくが黙って見ていたから、不思議に思ったのだろう。
「どうかした?」
「何でもないよ。あの一体はどうする? ラルが片付ける?」
「ん~……そうしたいけど」
と、ちらりとぼくが捕まえている残り一体を見つめる。仮にラルが倒す場合、スイによる拘束を解く必要がある。
「……せっかく大人しく捕まってくれてるのに、それを解くのはちょっとね。心なしか、怒ってるような気もするし。ということで、ティールに任せて、私はサポートに回るわ」
そりゃあ、相方を倒されたのだ。怒らないわけがない。まあ、ゴーレムにそういう感情みたいなものがあるのかは分からないけど。
精霊のゴーレム……というか、リアさんの精霊であるソイルにはあるみたいだけど、こういう場所にいる敵のゴーレムはどうなんだろう?
パートナーを殺されて、激怒しているのだろうか?
うぅん……そういうのを考えると、ちょっと申し訳ない気がしてくるけど、ユウアは倒してくれって言ってたし、倒される前提なんだよな。なら、気にしても仕方がないか。
やらなきゃ、こちらがやられるだけ。そういう世界。
あいつが片割れを大切に……思っていたかは分からないけど、少なくとも仲間意識はあったはずだ。番なら、尚更。
けど、ぼくだって、同じだ。
ぼくは装備を銃からセツへと変更し、隣に立つラルに笑ってみせる。
「じゃ、サクッと倒してくるね」
「お~……サクッと?」
「うん。一思いに。ほら、あいつだって、相方のところに早く行きたいかもしれないし」
「……ティールって時々、怖いこと言うよねぇ。無自覚?」
ん~……怖いかな?
誰だって痛いのは嫌だろうし、それなら、できる限り早く終わらせるのがせめてもの優しさみたいなものだと思うのだけれど……?
「ま、相手がモンスターだから、まだいいけどさ。それ、対人戦でも思ってないよね。思ってても口にしないでよ?」
「う、うん? 分かった……?」
ラルの謎の忠告にとりあえず頷き、意識を目の前のベヒーモスモドキへと向ける。
さっきはラルの大技に驚いていたけど、あれくらいの方が倒せるのかもしれない。コアの硬さが分からない以上、こちらはできる限りの火力をぶつけた方が確実ではある。
今のぼくにできる、最大火力、か。
「ねぇ、ラル?」
「ん?」
「三十……いや、十秒でいいや。時間くれない? 白雪、呼びたい」
「そこまでする!? あ、いや、うん……やりたいなら、止めないけど……なんで?」
ぼくはラルみたいに強い一撃を与える技をあまり使えない。どちらかと言えば、手数勝負を仕掛ける方が得意だから。
まあ、使えなくはないけど、それは能力を併用するからできるのであって、その能力を発揮させるには水がいる。そして、その水はぼくが作るんじゃなくて、自然にあるものがいい。力の温存ができるから。
でも、ここにはそういうのが見当たらない。じゃあ、もう白雪で仕留めた方が早いってもんだ。ちなみに、普段はあまりしない。なぜなら、ラルがそういうことの担当だから。
「火力勝負をするため、かな。白雪でやる方がいいなって」
「確かに白雪ちゃんの火力凄いけど」
「それに試したいって思ってた。白雪で真っ二つ作戦」
「……あは。どっかの兄さんみたいなことするのねぇ」
あはは……もちろん、やるからにはコアごと真っ二つだけど。
「了解。ティールの言う通りにしよう。けど、あんまり時間かけないでよ? 私、さっきので結構やりきったんだから」
「いやいや、余力は残そうよ。この後もあるかもしんないだろ?」
「残してるよ。一応、あいつも倒そうと思えば倒せるくらいはね」
疑わしい……これは早く終わらせるに限るな。
「三秒後、スイを呼び戻すね」
「了解」
ラルは納めたばかりの雷姫さんを再び抜刀すると、一直線に敵の方へと駆け出していく。ぼくは宣言通り、スイを手元へと呼び寄せた。それは同時に敵の束縛を解くという意味でもある。
「グオォォォ!!!」
ようやく自由を得た敵の雄叫びは凄まじかった。自由になった喜びからなのか、相方を失った悲しみからなのかは、分からないけど。
しかし、接近してきたラルに対し、どこか怒りのこもった鉤爪攻撃を仕掛けている辺り、後者のような気もしてならない。
そんな怒りの鉤爪攻撃をラルは軽々と避け、飛び回るように敵を翻弄し続ける。
「っと……ラルを見てるばっかじゃ、駄目だよね。やることやらないと」
『すいちゃ、いつでもじゅんび、おけー!』
『せっちゃも! いーよ!』
「了解。いやぁ、でも、戦闘の場に呼び出すのは久々かも」
基本、スイやセツで事足りるし、なんなら銃や弓なんかを使用する方も多い。つまり、大剣の白雪なんて、そう使用する場面にないのだ。
雷姫さんじゃないけど、久々の戦闘だーって張り切りすぎないだろうか。いや、白雪はそういうタイプでもないが。
「……重なれ、水泉! 雪花!」
剣であるスイとセツを水と冷気に変換、それを元に白雪を呼び出す。
宝石のようで、それでいて氷のような透明感を持つ、大剣が出現する。ぼくが柄を握り、横へ大きく振り抜いてみる。久々に振るうけれど、普段から持っていたように手に馴染んでいた。
大剣自体、戦闘で持つの久々だったが……これなら、問題なさそうだ。
『あら、戦闘の場に私を呼ぶなんて。……なぁに? そんなに手強い相手なのかしら』
「ん~……そういうことかな。白雪、力を貸してくれ」
『えぇ。私は構わないわ……あら? 我らが王は、珍しい相手をしているのね』
白雪はベヒーモスを見て─剣の癖にどう視認してるかは知らないけど─けらけらと、楽しそうに笑う。
『もしかして、過去の因縁でも断ち切りたいの? そのための私?』
「……そうかもね」
『うふふ。そう。そんなときに私を選んでくれるのね。……いつも大切な場面で私を頼ってくれるところ、大好きよ?』
こいつ、茶化してるな。確かに否定できないけど!
「う、えっと……は、話は後! 行くぞ!」
『えぇ、いつでもどうぞ』
白雪を構え、敵の方へと走る。
ぼくが近づくのが見えたのか、ラルが敵から離れるのが視界の端で見える。合図をしようと思ってたけれど、その必要はなかったらしい。
『敵の弱点はあの小さな核ね……まあ、貴方の腕なら捉えられるでしょうけれど。それに……ふふ、ラルも置き土産、してくれているみたいよ』
置き土産?
白雪に言われて気づいた。敵の動きが若干、鈍くなっているのだ。全く動かないわけではないが、どこか動きにくそうにしている。
きっと、雷姫さんの電気を敵に流し込んだのだろう。それを雷姫さんが操り、動きを妨害してくれているのだ。
「……流石、ぼくの相棒だ」
なら、ぼくはその期待に応えないとね。
地面を強く蹴り、ゴーレムを越えるくらいに大きく飛び上がる。そして、白雪を上段で構えた。
「これで仕留める!」
『えぇ。終わらせましょう』
白雪を握る手にひやりと冷気が纏わりつくのを感じる。寒さに耐性があるぼくですら、冷たいと思ってしまうくらいに。
それはつまり、白雪の力が強まっているという証拠であり、白雪の言葉通り、全てを終わらせる力。
「凍てつかせ、その時を止めろ! 白雪!!」
『“絶対氷華”』
剣を振り下ろし、落下に任せてゴーレムを斬る感覚と白雪の力が発動した感覚は同時だった。
地面に着いたと気づいたときには、宣言通り、ゴーレムを真っ二つにしていた。
ついでにゴーレムの周りの地面は凍り、氷の花をあちこちに咲かせていた。そして、ゴーレム自体も崩壊することなく、凍ってしまっていた。
え、もしかして、コアの破壊は失敗してる……? あんな大技しておいて、失敗は恥ずかしいよ!?
『うふふ。久しぶりだから、つい、張り切ってしまったわね。だぁいじょうぶ。きちんと破壊しているわ。氷が溶ければ、自然と崩れ去る』
あぁ、つまり、ゴーレムを凍らせてしまったから、崩れず残っているのか。よかったのか、よくなかったのか……
「……お前は違うって思ってたけど、雷姫さんと同じこと言ってるな」
『あら、やだ。あんな戦闘狂のお姫様と一緒にしないでくれる?』
ある意味、似たようなものなんじゃ?
いや、言わないでおこう。後が恐ろしい。
「ありがとう、白雪。助かったよ」
『貴方に助けを求められたんだもの。拒む理由はないわ。……ねぇ、ティール』
「なんだい?」
『過去は断ち切れたかしら?』
……さぁ、どうだろう。
ラルではないけれど、過去にベヒーモスにやられた痛みはきっと忘れられない。でも、多分、忘れる必要もない気がする。確かにあれは嫌な思い出だけど、あれがあったから、ラルを守るために……ラルと一緒に強くなると決めたんだ。
ぼくは白雪の疑問には答えず、大剣を二つの剣へと戻した。
「これで、討伐完りょ─」
ティール!」
うわっ!?
突然、ラルが駆け寄ってきて、思い切りぼくに抱きついてきた。本当にいきなりだったけど、倒れそうになるのをぎりぎり踏ん張って、抱き止める。
「あ、危ないなぁ……いきなりなんなのさ」
「やったよ! ようやく倒せましたー! もう戦闘はないよねー!!」
はっちゃけた様子でラルが楽しそうに笑う。それは、どこか吹っ切れたようにも見えた。
ずっと戦闘続きで、気を張っていたんだろう。それでなくても、難しい顔をして考え事をしていたのだ。戦闘は一段落したと安心しているのかもしれない。
「ここが奥地だから、普通に考えれば最後だよ。あれで最後じゃなかったら、流石にしんどいよ、ぼくは」
「私も! あははっ! なぁんであんなやつを二体も相手してんだろぉ~? めちゃ強いし、ゴーレムだって気づかなかったらやられてたよねぇ~? ま、それを加味して仕掛けてたのかもしれないけど」
……仕掛け?
いつもの楽しそうな笑顔を浮かべていたラルだったけれど、その視線はぼくではなく、それよりも上に向けられていた。
「あは。これも、ルーメンさんの目論見なのかな。……ねぇ、ユウアちゃん?」



~あとがき~
戦闘はいつでも難産。
そして、ラルの戦闘よりも長くなってしまった……!?

次回、答え合わせ。
できないこともあるけど、ある程度、やっていける……はず!

白雪の技、“絶対氷華”。
対象の全てを凍らせ、発生したエネルギーを氷の花に変換させ、地面やら対象やらに咲かせる技。その後、花を操り、他の敵に追撃も可。
簡単に説明するとそんな感じです。
単体攻撃からのフィールド変化をして、広範囲技へと変わる感じのやつ。
これを作中で話せればいいんですが、できなかったんで! ここで補足です(汗)

ではでは。