satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第258話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界でお話ししてる物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、残っていたベヒーモス(ゴーレム)をティールが倒してくれました!
やったね!!
そんでもって、今回は消えてたあの妖精ちゃんが帰ってきます。


《L side》
「お二人とも、お疲れさまでした~♪ 凄かったです~!」
私の問い掛けを聞いていたのか、はたまた単純にタイミングがよかったのか。……何れにせよ、ユウアちゃんは激励と共に再び、私達の前に現れた。
「あっ!? ユウア! 戦闘があるって前もって言ってくれてもよかったんじゃないの!?」
「それについては、謝罪します。しかし、ルーメン様から、ここでの戦闘に関して口止めされてましたので、言えませんでした♪」
ティールの抗議も笑って受け流すユウアちゃん。過ぎたことではあるが、まあ、言うだけならタダだ。
とはいえ、ルーメンさんはここで戦闘があると知っていた。そして、最後の試練という言葉。……これは恐らく、私の考えるもので間違いないだろう。
「……で? 最後の試練に私達は合格なの?」
私はティールからそっと離れ、頭上にいる妖精を見上げ、問い掛けた。
ユウアちゃんは私の問いににこっと笑う。
「はいっ! 戦闘面では、合格ですっ!」
戦闘面では、か。
私達は試されていた。この依頼を通じ、強さと謎を解く力、思考力があるか否か。
それが何を意味するのかはまだ、分からないけれど。
「ユウアには色々聞きたいんだけど……そろそろ、この場所について聞いてもいい? さっきはベヒーモス……じゃなくて、ゴーレムに邪魔されて何にも聞けてないから」
「はい。ここ……『奇跡の洞窟』の全てをお話しします」
ユウアちゃんに連れられ、色とりどりの『女神の涙』が咲く部屋へと戻ってきた。そして、適当なところに腰を下ろすと、ユウアちゃんはそっと口を開いた。
「最初に『女神の涙』について、まだお話ししていないことを伝えます。私はあの花を魔力石だって話しましたよね?」
中間地点でそんな話を聞いた気がする。しかし、それを今更話すのはなぜだろう?
あの花に何か別の役割があったとして、それを開示する理由とはなんだろう?
「女神の涙は、魔素を放出する役割もあるのです」
「えぇっと……放出ってことは、花が魔素を出してるってこと?」
ティールの問い掛けにユウアちゃんはゆっくり頷く。
「本来、魔力石は魔素が魔力へと変化し、結晶化した物です。しかし、女神の涙はその逆もできるのです」
「逆、ねぇ……? ってことは、結晶化した魔力を魔素へと変換し、空気中へ放出する?」
「その通りです、ラル様。かつて、女神……ミルティア様が花を咲かせる際に自身の魔力を使って、そういう性質へ変えたと言われています」
なるほど。時空の叫びで視た魔素を増やすとは、これのことだったのか……そして、この花が咲くまでの間の時間稼ぎにミルティアは自身の魂を捧げたのだろう。
「変わった性質だなぁ。なんで、わざわざそんな性質にしたんだろう? 場所で差はあるけど、魔素なんてどこにでもあるじゃないか」
「それは平和な今だからでしょ。……昔はそうじゃなかったのよ。もっと言えば、ミルティアが存在していた時代では、ね」
「……あっ。昔話にある……?」
あれが事実なら、ミルティアが魔素を放出する花を作った理由も分かる。
魔素が尽き、争いを始めた人々を仲裁するためだったから。……まあ、実際のところ、争いがあったかは分からないけれど、少なくとも、魔素の枯渇はあったのだろう。でなければ、女神の涙が存在する理由が分からない。
「ちなみに……女神の涙は近日、行われる女神祭でも利用されるんですよ? ここまで言えば、私がなぜ、こんな話をするのかもお分かりでしょう?」
まぁねぇ……ある程度は予測している。
ティールはあまりピンとこないのか、小さく首を傾げる。もう少し、考えてほしいものだけれど、考える役目は私だ。答えを言ってしまうか。
「依頼にある緑の石の採取が『女神の涙』の採取だった……で、OK?」
「えっ!?」
「薄々、気づいてはいたんだよ。わざわざ、こんなところを指定したってことは、ここにしかない何かが欲しい。で、石は色々あったけど、壁のそれはここでなくとも手に入るものばかり。じゃあ、他に石はないかと考えれば、答えは見えてくるもん」
まあ、奥地に来るまではあくまで可能性の一つでしかなかったのだけれど。ここで他の色の女神の涙を見てから、予想から、確信に変わったのだ。
「流石、ラル様。察しがよくて助かります♪ お話が終わったあと、お二人には花の採取をしていただきますね」
採取はいいが、壊さないようにするのは神経を使いそうだ。
「ユウアちゃん、あんまり期待はしてないけど……緑多めの理由は教えてくれない?」
「え~っと……それは私の口からは何とも♪」
……ぐぬぬ。この調子だと、ルーメンさんに問い掛けたところで、当日まで内緒にされそうだな。考えるだけ無駄なのかもしれない。
「では、女神の涙のお話はここまで。……では、この場所についてお話ししましょう」
奇跡の洞窟そのものについて、か。
しかし、それに関してはある程度、能力で見聞きしたような。
「女神の涙と呼ばれる花……女神が作り出したゴーレム……ここは女神にとって、大切な場所って解釈は間違ってないよね」
「はい。……ラル様はこの件に関して、既に確信めいた思いでいらっしゃるのですね。それなら、私から話せることはありません。それに、ラル様の考えているものは、私ではなくルーメン様にお伝えする方が適切かと」
……ふむ。
「そうね。そうさせてもらうわ」
とはいえ、だ。
今まで視てきたものだけでは、まだ足りない。謎が解けそうにない。
想像だけで補うにも、ルーメンさん相手にそれは通じないだろう。ある程度、事実は必要だ。
マント男の正体も分からない。何より、ミルティアが口にしていた「贖罪」という言葉の意味も不明なままだ。
マント男との関係性そのものが悪なのか。
この地に干渉しすぎて、咎められてしまったのか。
誰かと子を成したことが悪なのか。
……それとも、私の想像つかないような何かがあるのか。
その辺りがあやふやなままでは、ルーメンさんに話すに話せない。大体、ルーメンさんがミルティアの謎の解明を試練としていた場合、あやふやなのはアウトだ。不合格と言われてしまう可能性が高い。
何をどう試されているか分からない以上、分からないをそのままにしておくのは得策ではない。
もっと、何かないか……?
今まで視てきたものにヒントはなかったか? 話の中にヒントは……?
「……ラル様、ご案内したい場所があります。場所というか、お見せしたいが正しいでしょうか」
見せたいもの?
「はい。ラル様なら、それに触れれば視えるのではないでしょうか?」
ユウアちゃんの提案に私とティールは互いに様子を窺った。
ティールは少しだけ悩んでいたように見えたが、小さなため息をつき、ふわりと笑う。
「ここまで来たら、とことん付き合うさ。君が倒れても面倒見る。……気になるんだろ? 一緒に行こうか」
「うん。……ありがと、ティール」
「あはは。お礼を言うのは、能力が発動したらにしよう。もしかしたら、不発に終わるかもだし」
それは……考えたくはないが、可能性がなくはないのも事実である。悲しいかな、女神の涙に触れても不発に終わったのは、何度かあるわけで。
いやいや。失敗のビジョンを浮かべてどうする。視てやるという気持ちでいなければ。何事も気持ちが大切だ。そんな気がする!
「では、ご案内します」
と、ユウアちゃんに案内された先にあったのは、今まで通り、女神の涙だった。色も白。これまでに見てきたものと大して違いはない。しかし、今まで見てきた中では、一番大きな花であった。大きいといっても、一回り二回りくらいなので、滅茶苦茶大きいわけでもないが、それでも周りに咲く女神の涙の中では、一際、目立っていた。
「この中で一番、魔力を備えているんだろうな。……どう? いけそう?」
彼の問いに、小さく頷く。
普段、こんなことを思うことはない。例え、直感だとしても、感じたことはない。
けれど、今……はっきりと感じる。
……この花に触れたら、“時空の叫び”が発動する。
そんな、直感。
花の傍にしゃがみ、触れる……前にティールを見上げる。私の視線に気づいた彼は、優しく笑って頷いてくれた。
心配はいらないと、安心させるような笑顔に私もつられて笑う。
……覚悟を決めよう。これが、きっと最後になる。ここで私の知りたいことを知る最後のチャンスだ。
私はそっと手を伸ばし、大きな『女神の涙』に触れる。
その瞬間、ぐらりと目眩に似たそれを感じ、能力の発動を察した。
さぁ……視せて。ミルティアの過去を。そして、彼女が犯した罪とやらを。



~あとがき~
もうそろそろ、奇跡の洞窟編は終わりそうか……?

次回、時空の叫びで視たミルティアの過去。
そして、贖罪とは……?
ってのが、分かればエエな! エエな!!

特に語りたいことはない……ぶっちゃけ、いいところで切ってしまった感ありますし(汗)
次回に回しましょう。はい。

ではでは。