satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第259話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界で回想する物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、ベヒーモス(ゴーレム)を倒した二人の前にユウアちゃんが出てきました。で、色々(?)教えてくれたわけですが。
はてさて、まだまだ謎は多いです。解明したいところですな!
ラル「今回で解明するとは言っていないんだよなぁ」
ティール「はは……そだね」


《L side》
“時空の叫び”で浮かび上がってきたのは、二人の人物が話している光景だ。地面に両膝をつき、花を愛でるミルティアとそのミルティアに向かって、何かを訴えるマント男。
両者とも私に背を向け、顔は見えない。どうやら、どうしても私に顔を見せるつもりはないらしい。
何度も発動しているのだから、一度くらいは顔を見せてくれればいいものを……!
「お前は『贖罪』と言ったが、それは、お前だけが背負う罪じゃない! この罪は俺にだって責任があるだろう!?」
男の訴えにミルティアは答えない。全てを聞くまでは、話すつもりはないのだろうか?
彼の訴えは続く。
「この花が咲き乱れるまでの時間稼ぎは、何もお前の命と引き換えにしなくてもいいはずだろ! 他に方法はあるはずだ!」
命と引き換え……あの昔話の通りだ。
「なんなら、民に慕われているお前より、俺の方が適任だろ!? 俺の命を─」
「アルマ!!」
男の話を遮るように、ミルティアは叫びながら振り返った。
と、ここでマント男の名前が「アルマ」であること。ようやく、ミルティアの顔を拝めることに気づいた。
……ん? あの、顔は……?
ミルティアは私の知る人物によく似ていた。もちろん、所々に違いはある。赤と青のオッドアイだとか、髪の長さだとか。
それでも、ミルティアの顔立ちはツバサちゃんによく似ていた。
私が驚いている間にも、話は続いていく。
「民に慕われているのは、あなたも一緒でしょ?」
ミルティアに問われ、マント男改め、アルマは押し黙る。思い当たる節でもあるのか、反論できないでいるらしかった。
「それに……あなたには、今度こそ幸せになって欲しいの。人として……父親として」
今度こそ……?
今まで、アルマという人物の境遇はよくなったのだろうか。それをミルティアは知っているから、彼を犠牲にする選択肢は考えられなかった、のだろうか。
……それもあるのだろう。けれど、一番の理由は違う気がした。
「俺の、幸せ……」
「うん。上のおじさま達に嫌われているあなたがやっと手に入れる幸せ。だから、私はあなたに幸せになって欲しいの。……私の分まで、幸せになって欲しい」
どうやら、アルマは上に住む……天界に住む他の神々に嫌われているらしい。理由は分からないが、彼は上で対等の存在として扱われていなかったのかもしれない。
「もちろん、死ぬのが怖くないってわけじゃない。……けど、この国の民や自然……そして、一番大好きなあなたの幸せのためなら……怖くないよ」
優しく微笑むミルティア。とても、悲しそうに笑う彼女にアルマは何を思うのだろう。
アルマはずっとミルティアに対し、彼女がやろうとしていることに反対していた。そんな、彼は、今をどう感じるのか。
彼女の意思の固さを痛感しているのだろうか。
彼女を守れない自分の無力さに怒りすら覚えているかもしれない。
「万が一、《女神》である私と《死神》であるあなたとの子供の存在が上にばれてしまっても、子供達より力の強い私が先に世界のための礎になれば、今は少なくなっている魔素も増えてくるはず。魔素が増えてくれば、おじさま達も何も言えないはずだよ」
ミルティアは立ち上がり、アルマの傍へと歩み寄る。変わらず、優しい微笑みを携えて。
「だからね、アルマ」
ほんの少し背伸びをして、両手で包み込むようにアルマの頬に触れる。
私からは、後ろ姿な上にフードをすっぽり被ってしまっているアルマの表情は窺えない。それでも、酷く哀しそうに笑うミルティアが伸ばした手に彼の手は重なるように置かれていた。まるで、彼女の体温を確かめるように。
「私の分まで、子供達のことをお願い。ルークくんも全て事情は知っているから、協力してくれる」
「ルーク……? なんで、人間のあいつも知っているんだ」
「それが交換条件だから。ルークくんが本当に愛してる人と結ばれるように私が協力して……反対に、私とあなたが結ばれるように彼に協力してもらったの。……他にも約束してることはあるけどね?」
ここに来て、新たな人物が出てくるとは。誰よ、ルークって。名前や口振りからして、神様関係者ではなく、人間の男性みたいだけれど。
ミルティアからの告白はアルマは知らなかったらしく、彼からは小さなため息が漏れる。
「……最近、やたらあいつと一緒にいると思ったら……そういうことかよ」
「えへへ♪」
先程まで深刻そうな顔をしていたミルティアだったが、一転して無邪気に笑っていた。アルマの反応が嬉しかったのだろう。いたずらっ子のような笑みで、楽しそうに問い掛ける。
「もしかして、嫉妬した? 嫉妬してくれたっ?」
「……ったく」
「ねぇ、アルマってば~……? って……きゃっ!?」
自身の頬に添えられていたミルティアの手を退けたと思ったら、アルマはミルティアを抱き締めた。これにはミルティアも驚いたようで、戸惑ったようにアルマを見た。
「ア、アルマ……?」
「…………時間はまだ、あるだろ」
「へ?」
「お前が……ティアがその命を世界に捧げるまでの時間。……それまでの時間はまだあるはずだろ? だから、今は……納得することにした」
「アルマ」
「けど、これだけは忘れんな」
彼は、強くミルティアを抱き締める。
彼女の存在を確かめるように。
まだ、そこにいると確認するように。
「俺の一番の幸せはお前の傍にいることだ」
「……っ!」
「それだけは……絶対に忘れんなよ。絶対に、他の方法だってあるはずなんだから」
「うん。ありがと。……ごめんね」
強く強く抱き締めるアルマに応えるように、ミルティアも彼を強く抱き締め返した。
歴史を見れば……あの昔話の通りなら、彼の願いは叶わなかったのだろう。
この国は、ミルティアが作り、壊しかけ……そして、自分自身を犠牲にして成り立っていた国なのだろう。
そのとき、彼は、アルマは何を思ったのだろう。
……私には分からない。分かるはずもない。
これが、女神の罪。
これが、物語の真実。
「──そう。これが、私の『罪』。そして、この国の真実」
え……?



~あとがき~
いつもより短いけど、これ以上は長くなる予感しかしないので、終わります。

次回、読者であるはずのラルに話しかけてきたのは何者なのか……!

ちょこちょこ出しではありますが、色々出てきてます。ついてきてますかー!!??
私ですか? 怪しいところっすね!!←

ではでは!