satomiのきまぐれ日記

二次創作ポケモンストーリーをいくつか連載しています。他、日記とかをちょいちょいと

学びや!レイディアント学園 第260話

~attention~
『空と海』のキャラ達が学パロなif世界での物語です。本編とは一切関係がありません。また、擬人化前提で話が進み、友人とのコラボ作品でもあります。苦手な方はブラウザバック!
前回、奥地に咲く女神の涙に触れ、能力を発動させたラル。ミルティアとマント男改め、アルマとのきゃっきゃうふふを見ました。
ラル「シリアス雰囲気だったんだから、きゃっきゃうふふとか言うな!!」
最後の方、きゃっきゃしとったやん?
ってなわけで、そんなきゃっきゃうふふの続き~……ではないですが、そんな後の続きです。
ラル「きゃっきゃうふふ言いたいだけでは」


《L side》
背後から聞こえてきた謎の言葉にハッと意識が覚醒し、無意識に回避行動を取っていた。
距離を取って振り返ると、目の前に広がっていた光景はなくなり、真っ暗な空間にぽつりと佇む、一人の女性。
先程まで、アルマと共にいたはずの女性。
女神、ミルティアがそこにいた。そして、彼女は私に話しかけてきた?
「……な、んだこれ」
“時空の叫び”は過去や未来の映像を視る能力。そこに出てくる人物が、私に干渉するなんてあり得ない。こんなことはあり得ない……はずなのに。
なぜ、私に話しかけた?
いや、そうじゃない。なぜ、私に話しかけられた?
ここはどこだ。過去でも未来でもない。
私の夢? 私の精神世界?
或いは、ミルティアの精神世界?
仮に私の夢なら、精神世界なら……
本来ならあるはずの所に手を伸ばす。そして、強く念じてみる。私の愛刀、雷姫があると、強く念じた。
すると、慣れた感触が手のひらに伝わってきた。声は聞こえないけれど、雷姫は私の手の中に収まっている。
なら、一応の対抗策はあるってことか。
ミルティアから視線は外さず、雷姫を構える。そんな私を見て、ミルティアは小さく笑った。
「ふふ……ごめんなさい。そこまで驚かせるつもりはなかったの」
また、話しかけてきた。
ミルティアは“時空の叫び”で視たものと変わらない笑顔を見せる。
「はじめまして、人の子さん。私はミルティア。他には『癒しの女神』とも呼ばれています」
……知ってるけど。さっきまで色々視てきたし。
だからと言って、警戒を解いていいとは思えなかった。こんなこと初めてで、何があるか分からない。
ここで私の力がどこまで通じるかも怪しいところだが。そもそも、女神に対して、抵抗できるのかも怪しい。ミルティアの戦闘力やんて知らないが、癒しの女神とは言っても、神様だ。……私の人生、終わったかもしれない。
「う~ん……そこまで警戒しなくても大丈夫だよ?」
警戒心剥き出しの私を安心させるためなのか、柔らかで砕けた口調で語りかけてきた。そして、敵意のない証明なのか、ひらひらと両手を振る。
「今の私は思念体みたいなもので、何かできるわけじゃないんだ。あなたが触れた花に私の思いと魔力が少し残っていたの。その残滓でできてるって言ったら、分かるかな?」
物に命が宿るという話は……まあ、信じるけども。
「つまり、花に残った私の思いと魔力があなたの能力を通じて、私と会話しているの」
んなことある? 初めてなんですけど……?
……相手は神だ。そう考えると、できなくはないのか? 分からない。
信用していいのか。話を続けても大丈夫なのか。判断ができない。
「それに、あなたの生きる時代に私はもういない。例えるなら、幽霊と話してる感じだよ」
……幽霊と話すのが安全かはさておき。
確かに、あの昔話通りなら、ミルティアはもういない。既に存在していないのに、私に危害を加えられるとは思えない。
第一、ミルティアに何かした覚えもないのにどうこうされても困るのだが。どうこうされる前に、雷姫がどうにかしてくれるだろうか。うん……そう、願うしかない。
私は雷姫を下ろし、じっとミルティアを見つめる。完全に警戒は解けないが、とりあえず、攻撃の意思はないと伝えておく。
「ふふ。それにしても、驚いたなぁ。まさか、未来で私の過去を視る人がいるなんて」
「え、あ……それは、その……すみませんでした」
「? どうして謝るの?」
「必要があったからあなたの過去を視たけれど、本来なら視てほしくないはずだと思って。その、あまりいい過去とは思えないので」
罪だとか贖罪だとか色々言ってたし。
それはきっと、ミルティアにとって、人に知られたくない過去だろう。人間に知られるには、都合の悪い過去と言ってもいいかもしれない。
「ん~……確かに少し恥ずかしいけれど、まあ、過ぎた過去だもん。それに、私はもうこの世界にはいないから。知られるのが嫌だとは思わないかな」
……そういうもの、だろうか。
「あなたは、私の過去を知って何かするつもりはないでしょう?」
「……え?」
「誰かに言いふらしたり、悪さをしたりしないかなって」
ふぅん……私を疑わないんだ。
「これでも一応、謎を解き明かすのが本業の探検隊なんですが。随分と私を信用しているんですね」
「うふふ♪ あなたは賢い子だもん。まあ、私の子孫に伝えるくらいはするとは思うけれど、それは必要だからするだけ。不用意に言うつもりはない。……違う?」
「違いません。あれを言ったところで私にメリットがない。なんなら、デメリットしかないでしょうね」
スプランドゥールではミルティアは女神として崇められている。そんなところで、今回知ったものを言えるわけがない。
信仰心は恐ろしい。よくも悪くも、人の心の支えになりうるのだから。それを意味もなく、興味本位で壊す必要なんてどこにもない。
実際、ミルティアがこの国を救ったのは事実だ。過程や原因ががなんにせよ、だ。
「ほら、あなたは賢い。……ふふっ。よかった~♪ ありがとうね」
ツバサちゃんとよく似ているその顔で大人びた微笑みを見せられると、変な気持ちになる。なんというか、違和感がある。
「あ……もう時間がないかな? 人の子さん、あなたに頼みたいことがあるの」
「私に……?」
ミルティアは笑顔で頷くと、私に近づき、そっと両手で手を握る。
「伝言とお願い、かな? ウィルくんに伝言いいかな」
思いがけない名前に呆然としてしまった。
ウィル、さん? ウィルさんて、あの、ウィルさん? フォース君のお兄ちゃんの? あのお気楽神様のウィル兄さんでお間違いない??
いや、まあ、神様同士だし、交流があってもおかしくはないが。ないけど、なんで私と交流があるって分かったんだろう?
「ウィルくんにこう、伝えてくれるかな。……私は幸せだったよ……って。いいかな?」
「え、えぇ……分かりました。けど、意味は分かりませんが」
「えへへ。そうだよね。でも、ウィルくんは、分かってくれると思うから、そのまま伝えてくれて大丈夫だよ。……それで、お願いの方なんだけど」
「あぁ、はい。一般人の私にできることでお願いします」
「うん、それは大丈夫! お願いはね……これからも、私の転生体と仲良くしてくれると嬉しいなって♪ よろしくね、ラルさん」
「転生体? それってどういう……っ!」
質問を投げ掛けようとした瞬間、突然の突風に阻まれ、会話が中断してしまう。
気がついたら、繋がれていた手も離れ、ミルティア自身からも離れてしまっていた。
困惑する私とは裏腹に、ミルティアは笑顔であった。時間がないと言っていたし、こうなると予測していた可能性はある。だからと言って、あの満面の笑みはどうなんだ。
「あっ! 近いうちにまた逢えるかもしれないから、そのときはよろしくねー!」
「はあ!? どういう意味ですかっ!?」
私の質問に答えず……というか、答えていたとしても、謎の突風のせいで聞き取れなかった。私を追い出そうとする謎の力でも働いているのかと疑いたくなるくらい、謎の強風が私を襲う。
「くそっ……待って! まだ、話は……っ!」
……まだ、終わっていないのに。



~あとがき~
ラルと女神様の邂逅でした。

次回、お花(石)採取の時間だ!!

ミルティアの話がいろんな所で出てきたので、こんがらがってるかもしれません。大丈夫てす。私も混乱中ですので、ご安心を←
まあ、どっかでラルがまとめてくれるでしょうし、謎として残っているものはどっかで明らかになるとは思うので、ご安心を!

ではでは!